やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

●はじめに
 1970年代の後半から電子顕微鏡やアイソトープ,MRI,種々の電気泳動法など物理学的手法の発達,また,ことに酵素法,免疫学的手法や組織化学などの化学的手法の開発に伴い,医学に関する分野でも,数多くの生理機能の解析や,病態生理学的な解明が進み,以来,これらの新しい知識の吸収,応用による学問的検索の再構築が行われてきたのである.
 そこで,私たちは,当時,発展しつつあった医学的知識を取り込み,基礎医学はもちろん,臨床医学さらにはコ・メディカルの部門に携わる諸兄姉にとって,良き座右の書であることを願い,左ページに図を,右ページでそれを解説する形態をとった『図説シリーズ』の刊行を企図したのである.
 すなわち,1979年8月,はじめて,『図説・からだの仕組みと働き』を発刊し,以来,20有余年にわたり,『図説・ヒトのからだ』,『図説・病気の成り立ちとからだ』として[I]症候別病態生理編と[II]疾患別病態生理編,さらには『図説・運動の仕組みと応用』,『図説・運動・スポーツの功と罪』と既に6冊のシリーズを刊行し,読者,諸兄姉のご賛同を得て,現在まで,16万余冊のロングセラーが続けられているのである.願わくば,本シリーズで得られた知識が,さらにその知識を深く追求する端緒となることを期待している.
 さて,今回,これらの『図説シリーズ』すべてに通じるものとして,『図説・クリニカルサインと臨床検査』を出版することにした.その意図するするところは,からだから何らかの病的なサインが出された場合,そのサインは,からだの何処が,どのような変調を起こしたために現れてきたものかを追求するために,どのような臨床検査を行えば,そのサインの原因を,どの程度,追求することができるか,さらにはその疾病の診断の確立にどの程度,寄与できるかということにある.したがって,従来の本シリーズと重複するところはあるものの,観点を臨床検査において,からだの基本的な生理的機能,身体防衛機構,各生理機能別からみた臨床検査の概要,そしてクリニカルサインの病態生理と臨床検査―その意義とそれに関する主たる臨床検査方法などについての解説を試みたのである.
 ただし「V.生理機能別からみた臨床検査」では,他の編とは異なり,その内容が多岐にわたることから必ずしも左ページに図,右ページで解説という形を取り得なかった.また,「胸痛」「呼吸困難」「嚥下障害」などのように,一つの症候が異なった生理機能の障害によって現れてくる場合には,各生理機能の項で,それぞれの解説を行っている.
 本書が,基礎,臨床,コ・メディカルに携わる人々にとって,臨床検査の意義,その重要性を知る恰好の入門書になればと考えている.
 なお,本書を編集するにあたり,多くの先輩,諸兄姉の論文,著書その他から多くのご教示を戴いており,本書に引用させていただいた文献その他に関しては,各項,各章末にまとめ,心から感謝の意を表するとともに,これらの文献,図書を本書より進んだ教科書として推薦する次第である.
 また,本書は,多くの人々のご厚意を受けており,個々に謝辞を述べることは不可能に近い.ここに本書の著者を代表して,ご指導を戴いた先輩,諸兄姉に満腔の謝意を表するものである.さらに図版の制作をお願いした高橋雄作氏,本書の企画,出版に際して,多大なご協力を戴いた医歯薬出版株式会社編集部の桃井輝夫氏ほか,お手数を煩わした諸兄姉に感謝したい.
 2005年2月
 東海大学名誉教授(医学部・生理学)
 日本体育大学名誉教授(運動生理学・スポーツ医学)
 中野 昭一
I.病態のサインと,その検索の流れ(中野昭)
  1.バイタルサインと病態のサイン
   1)自覚症状
   2)主要臓器・組織別の症候
   3)疾病のICDによる分類
   4)主要臓器・組織別機能の臨床検査
   5)主たる疾患の症候と臨床検査
  2.病気の成立ちと,その見極め方
   1)分岐方式
   2)マトリックス方式
   3)消去方式
II.クリニカルサインの臨床検査,その方法の現状と概要(中野昭)
  1.安静時におけるバイタルサインと,運動時におけるクリニカルサイン
   1) 安静時におけるバイタルサインと,運動への対応
   2)運動時および運動後のクリニカルサインと,その変動
  2.臨床検査の検索試料と,その測定方法
III.からだの基本的な適応と防御の仕組み(中野昭)
  1.からだの正常な働きを維持するための制御機構
   1)神経性調節(協関)
   2)体液性調節(協関)
  2.ストレッサーと汎適応症候群(GAS)
   1)ストレッサーと,ストレス
   2)汎適応症候群
  3.身体防衛機構
   1)細菌性病原体の侵入に対する対応
   2)免疫の機構
   3)免疫反応
  4.安静の必要性と,その効用
   1)安静の意義
   2)安静状態の生理機能と,その効用
   3)安静の生理的効用のまとめ
IV.緊急時におけるクリニカルサインと臨床検査(鈴木)
  1.血液ガス検査
   1)血液ガス分析装置と分析項目
   2)血液ガス分析の異常値を示す病態
  2.心電図検査
   1)狭心症における心電図の特徴
   2)急性心筋梗塞における心電図の特徴
   3)不整脈における心電図の特徴
  3.血清浸透圧および電解質検査
  4.血糖,血中アンモニア,アミラーゼの測定
   1)血糖
   2)血中アンモニア
   3)血中アミラーゼ
  5.輸血検査
   1)ABO式血液型の検査
   2)Rh血液型検査
   3)交差適合試験
V.生理機能別からみた臨床検査(1〜4・6〜8章:鈴木,5章:松浦)
 1章 骨格・神経・筋肉・運動系
  1.神経生理学・生化学・遺伝子検査
   1)神経生理学的検査
   2)生化学的検査
   3)遺伝子検査
  2.骨格筋および運動器系の検査
   1)筋力測定
   2)筋生検
   3)神経・筋電図検査
   4)画像検査
 2章 感覚系
  1.平衡機能検査
   1)眼振,異常眼球運動の検査
   2)体平衡機能検査
  2.視覚検査
   1)無散瞳眼底カメラを用いた眼底検査
   2)視力検査
   3)視野検査
   4)固視抑制検査
  3.聴覚検査
  4.味覚検査
   1)定性的味覚検査
   2)電気味覚検査
  5.嗅覚検査
   1)基準嗅力検査
   2)静脈性嗅覚検査
 3章 血液系
  1.末梢血液検査一般
   1)血球数の算定およびその異常
   2)赤血球沈降速度検査とその異常
  2.血液塗抹染色検査とその異常
  3.染色体検査
   1)染色体標本の作成
   2)分染法による核型分析
   3)白血病および悪性リンパ腫における染色体異常
   4)FISH法
  4.白血球表面抗原解析法―フローサイトメトリー(FCM)
   1)白血球表面抗原解析に用いられるFCMの原理
   2)CD分類
  5.造血器腫瘍の遺伝子検査
   1)サザンブロット法
   2)PCR法
  6.血液凝固および線溶系の検査
   1)出血時間の測定
   2)血小板粘着能の測定
   3)血小板凝集能の測定
   4)血液凝固時間の測定
   5)部分トロンボプラスチン時間(PTT)の測定
   6)トロンボテス
   7)トロンビン時間の測定
   8)アンチトロンビンIIIの測定
   9)第XIII因子の測定
   10)FDPの測定
 4章 心臓・循環器系および呼吸器系
  1.心臓・循環器系の検査
   1)心電図検査
   2)心音図検査
   3)脈波の検査
   4)心臓・循環器系の画像検査
   5)心臓カテーテル検査
   6)心拍出量(CO)の測定
   7)血圧測定
   8)心臓異常の血液生化学検査
  2.呼吸器系の検査
   1)肺機能検査
   2)換気応答検査
   3)気道過敏性試験
   4)気管支ファイバースコープ
   5)呼吸器系異常の画像検査
 5章 消化器系
  1.尿素呼気試験に代表される13C―呼気試験の現状と未来
   1)安定同位体13Cと医学への応用
   2)13COCO2比の測定基準と赤外分光法による測定
   3)13C―尿素呼気試験
   4)13C―呼気試験の未来
  2.肝障害の原因となるウイルスの検査
   1)肝炎ウイルス検査
   2)肝炎ウイルス以外のウイルスによる肝炎の検査
  3.消化器関連腫瘍マーカー
   1)腫瘍マーカーの臨床的意義
   2)消化器・肝胆膵における代表的腫瘍マーカーと臨床的意義
 6章 内分泌・代謝系
  1.甲状腺異常の検査
   1)甲状腺ホルモンとその分泌調節機構
   2)主な甲状腺疾患と甲状腺機能検査
  2.副甲状腺異常の検査
   1)副甲状腺ホルモンの役割とその分泌調節機構
   2)副甲状腺機能検査
  3.副腎皮質異常の検査
   1)基礎分泌量の定量
   2)分泌刺激試験
   3)分泌抑制試験
   4)アルドステロン分泌異常
  4.副腎髄質機能異常の検査
  5.下垂体機能検査
   1)下垂体前葉ホルモン
   2)下垂体中葉および後葉ホルモン
   3)分泌刺激試験
   4)分泌抑制試験
  6.膵内分泌機能異常の検査
   1)血糖および尿糖検査
   2)ブドウ糖経口負荷試験(OGTT)
   3)グルカゴン負荷試験
  7.肝機能異常の検査
   1)蛋白代謝機能検査
   2)血清アルブミン濃度およびA/G比
  8.脂質代謝異常の検査
   1)高脂血症の分類
   2)リポ蛋白の種類―CM・VLDL・LDL・HDL
   3)血清リポ蛋白の異常とその測定法
  9.尿酸代謝異常の検査
  10.性機能異常の検査
   1)性ホルモンの分泌調節機構
   2)プロラクチンの測定と性機能障害
   3)性機能検査
 7章 排泄系
  1.腎血流量(RPF)および糸球体濾過量(GFR)の検査
   1)RPFの測定およびPSP排泄試験
   2)GFRの測定
   3)遠位尿細管,集合管機能検査(Fishberg試験)
  2.一般尿検査
   1)採尿方法
   2)尿定性試験
  3.尿沈渣
   1)尿沈渣標本の作製法
   2)尿沈渣の鑑別
  4.腎臓の画像検査
   1)レノグラムおよびレノシンチグラム
   2)腎のX線,超音波検査
 8章 感染
  1.感染とは
  2.感染症の種類
   1)正統感染症
   2)日和見感染症
   3)市中(市井)感染症および院内感染症
   4)人畜共通感染症
   5)輸入感染症
   6)新興感染症・再興感染症
  3.感染症を疑わせる症候
   1)発熱
   2)発疹
   3)リンパ節腫脹
  4.感染症に関連する臨床検査
   1)白血球
   2)C反応性蛋白
   3)赤血球沈降速度(血沈)検査
   4)感染部位の診断検査
   5)病原微生物の検査
VI.クリニカルサインの病態生理と臨床検査
 1.神経系(1〜8章:岡,9〜10章:中野昭,11〜15章:中野浩)
  1章 意識障害
   1.意識とは
   2.意識の神経機能
   3.意識障害の分類
    A.意識の内容の障害
    B.意識の量の障害
    C.意識障害の分類
     1)一過性の意識障害
     2)持続する意識障害
  2章 痛み
   1.痛みとは
   2.頭痛
    1)頭痛はなぜ起こるか
    2)原発性の頭痛(慢性頭痛)
    3)二次性の頭痛
   3.胸痛
    1)胸痛をきたす疾患
    2)胸痛の原因疾患
   4.腹痛
    1)内臓痛
    2)関連痛
   5.腰痛
    1)腰痛を起こす脊椎の病態
    2)代表的な脊椎腰痛性疾患
    3)腰痛の検査
   6.関節痛
   7.筋肉痛
   8.神経痛
    1)三叉神経痛
    2)舌咽神経痛
    3)坐骨神経痛
   9.間歇性跛行
  3章 視野の異常,複視,眼瞼下垂
   1.視野の異常
    1)解剖学的経路(網膜―後頭葉)
    2)視野の異常と疾患
    3)視野の検査
   2.複視
    1)神経筋接合部および筋原性
    2)末梢神経性
    3)脳幹障害性
   3.眼瞼下垂
  4章 嚥下障害,構音障害
   1.嚥下障害
    1)嚥下の仕組み
    2)嚥下障害をきたす原因
   2.失語と構音障害
    1)失語と構音障害の鑑別
    2)失語の分類
    3)構音障害の原因と特徴
  5章 けいれん,不随意運動
   1.けいれん
    1)てんかん性のけいれん
    2)スパスム
    3)クランプ
    4)筋線維束攣縮
   2.不随意運動(ふるえ)
    1)振戦
    2)舞踏病
    3)アテトーゼ
    4)バリスム
    5)ジストニア
    6)チック
    7)ミオクローヌス
  6章 めまい
   1.めまいの種類
   2.各種のめまいの特徴と,原因・病態・検査
    1)回転性めまい
    2)非回転性めまい
    3)眼前暗黒感(失神性めまい)
    4)よろけてまっすぐに歩けないという平衡感覚障害
    5)めまいの鑑別チャート
  7章 歩行障害
   1.痙性歩行
    1)痙性片麻痺歩行
    2)痙性対麻痺歩行
   2.パーキンソン歩行
   3.小刻み歩行
   4.動揺性歩行
   5.鶏歩
   6.失調性歩行
    1)深部知覚障害性失調性歩行
    2)小脳障害性失調性歩行
  8章 手足のしびれ,麻痺
   1.手足のしびれ―とくに感覚障害による
    1)中枢疾患による感覚障害
    2)脊髄疾患による感覚障害
    3)神経根障害による感覚障害
    4)末梢神経障害による感覚障害
    5)感覚障害の分布による鑑別の仕方
   2.手足の麻痺
    1)大脳半球・脳幹障害
    2)脊髄障害
    3)下位運動神経(脊髄前角細胞)障害
    4)末梢神経障害
    5)神経筋接合部障害
    6)筋原性障害
  9章 食欲と,その異常
    1)食欲に関係する中枢
    2)食欲に影響を与える因子
    3)食欲の異常
    4)食欲不振の分類
    5)食欲不振の生理機能に及ぼす影響と,その対策
  10章 シヨック
    1)ショックの本態
    2)ショック時の状態
    3)ショックの分類,ショック状態の進展と悪循環
    4)ショック状態の心臓循環系に対する影響
    5)ショックの鑑別と,必要な臨床検査の概要
  11章 眠りの異常
   1.正常な睡眠
    1)レム睡眠とノンレム睡眠
    2)健康成人の睡眠パターン
    3)睡眠ポリグラフ検査と睡眠の段階
   2.睡眠の障害
    1)不眠症
    2)過眠症
    3)睡眠時随伴症
    4)概日リズム睡眠障害
  12章 言語の障害―失語症
   1.大脳における言語領野
   2.失語症の主な症状
    1)喚語障害
    2)錯語
    3)統語障害
    4)流暢性の障害
    5)復唱の障害
    6)書字の障害
    7)聴覚的理解の障害
   3.失語症の検査
   4.失語症のタイプ
    1)ブローカ失語(運動失語)
    2)ウエルニッケ失語
    3)伝導失語
    4)失名詞失語
    5)全失語
   5.失語症のリハビリテーション
  13章 感情の障害―躁うつ病
   1.躁うつ病の出現頻度と原因
   2.躁うつ病の症状
    1)うつ状態の精神症状
    2)うつ状態の身体症状
    3)躁状態の症状
    4)躁うつ病の診断基準
   3.躁うつ病の治療
    1)うつ状態の治療
    2)躁状態の治療
  14章 痴呆(認知症)
   1.痴呆の出現頻度
   2.痴呆の原因
    1)アルツハイマー型痴呆
    2)脳血管性痴呆
   3.痴呆の症状
    1)アルツハイマー型痴呆
    2)脳血管性痴呆の症状
   4.痴呆の診断と検査
   5.痴呆の薬物治療
    1)アルツハイマー型痴呆に対する薬物療法
    2)脳血管性痴呆に対する薬物療法
  15章 てんかん
   1.てんかんの出現頻度とその原因
   2.てんかんの診断と検査
   3.てんかん発作型の分類
    1)部分発作
    2)全般発作
   4.てんかんの治療
 2.呼吸器系(桑平)
  16章 咳と痰
   1.咳の発生機序
   2.咳をきたす病態・疾患
    1)湿性咳嗽(喀痰を伴う)をきたす呼吸器疾患
    2)乾性咳嗽(喀痰を伴わない)をきたす呼吸器疾患
   3.咳の鑑別に必要な臨床検査
   4.痰の生成
   5.痰の性状と病態・疾患の鑑別
    1)慢性呼吸器疾患の場合
    2)急性呼吸器疾患の場合
    3)Curschmannのらせん体とCharcot-Leyden結晶
   6.喀痰検査
    1)喀痰の採取法
    2)成人市中肺炎における原因微生物検査のフローチャート
  17章 チアノーゼ
   1.チアノーゼの発生機序
   2.ヘモグロビンの構造
   3.チアノーゼをきたす病態・疾患
   4.臨床検査
    1)動脈血ガス分析
    2)肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDo2)の算定と臨床的意義
    3)ヘモグロビンの酸素飽和度とSao2の測定
    4)酸素含量,酸素供給量,酸素解離曲線
    5)呼吸不全の定義と概念
    6)チアノーゼの出ない一酸化炭素中毒
  18章 喘鳴
   1.喘鳴とは何か
   2.喘鳴の発生機序
    1)気道狭窄と気流速度
    2)喘鳴が呼気時に起きるわけ
    3)喘鳴の臨床的意義
   3.喘鳴をきたす病態・疾患
   4.臨床検査
    1)フロー・ボリウム曲線のパターンと臨床的意義
    2)上気道狭窄(固定性狭窄・胸郭内変動性狭窄・胸郭外変動性狭窄)とフロー・ボリウム曲線のパターン
    3)特殊な気管狭窄の例
  19章 血痰,喀血
   1.病態・疾患
   2.臨床検査
   3.喀痰細胞診
  20章 呼吸困難
   1.呼吸困難とは何か
    1)呼吸困難にみられる自覚症状のさまざま
    2)低酸素血症と呼吸困難
   2.呼吸困難の発生機序
    1)呼吸困難を知覚する3つのルート
    2)呼吸困難を説明する歴史的理論
   3.呼吸困難の評価
   4.呼吸困難をきたす病態・疾患
    1)鑑別診断の進め方と必要な検査の組み合せ
    2)呼吸困難の発症の仕方と経過からみた鑑別診断
   5.呼吸困難に関する最近の話題―エコノミークラス症候群
  21章 胸痛
   1.胸痛をきたす病態・疾患
    1)胸痛が突然発症し,急速に進行する場合
    2)胸痛に随伴する症状からの診断
   2.各疾患における胸痛と検査
   3.消化器疾患における胸痛と検査
   4.胸壁疾患における胸痛と検査
  22章 換気の異常
   1.肺胞低換気
   2.高炭酸ガス血症の症状・所見
    1)急性高炭酸ガス血症の一般症状
    2)CO2ナルコーシスの症状と発生機序
   3.肺胞過換気
   4.低炭酸ガス血症の症状・所見
    1)過換気症候群の症状と対応
    2)その他の低炭酸ガス血症をきたす疾患
   5.[関連事項]睡眠中の呼吸モニタリング
 3.血液系(海渡)
  23章 赤血球の異常
   1.貧血とは
    1)貧血の原因と分類
    2)貧血のクリニカルサインと検査
    3)貧血の検査と診断
   2.鉄欠乏性貧血
    1)鉄欠乏の起こり方
    2)特徴的なクリニカルサインと検査所見
   3.巨赤芽球性貧血
    1)貧血の起こり方と原因
    2)特徴的なクリニカルサインと検査所見
   4.溶血性貧血
    1)貧血の起こり方と分類
    2)溶血性貧血に共通なクリニカルサイン
    3)共通の検査所見
     A.遺伝性球状赤血球症
     B.自己免疫性溶血性貧血
      1)貧血の起こり方と分類
      2)検査―クームス試験(直接法と間接法)
     C.発作性夜間血色素尿症(PNH)
      1)貧血の起こり方
      2)特徴的なクリニカルサインと検査所見
   5.再生不良性貧血
    1)貧血の原因と起こり方
    2)一般的症状と治療方針
   6.多血症
    1)多血症とは
    2)特徴的検査所見
  24章 白血球の異常
   1.白血球の異常とは
    1)白血球数の異常
    2)白血病とは
   2.急性白血病,骨髄異形成症候群
    1)急性白血病とは
    2)急性白血病の分類―FAB分類
    3)骨髄異形成症候群(MDS)の病態と分類
    4)典型的なクリニカルサイン
    5)特徴的な血液像の所見
    6)白血病の確定診断
    7)白血病の治療
   3.慢性骨髄性白血病(CML)
    1)慢性骨髄性白血病とは
    2)遺伝子異常
    3)特徴的なクリニカルサインと検査所見
    4)治療
   4.慢性骨髄増殖性疾患
    1)概念
    2)真性赤血球増加症(PV)
    3)原発性骨髄線維症(MF)
    4)本態性血小板血症(ET)
   5.慢性リンパ性白血病,成人T細胞性白血病
    1)慢性リンパ性白血病
    2)成人T細胞性白血病
  25章 リンパ節の腫大
    1)リンパ節の腫大をきたす原因疾患
    2)診断と検査
    3)悪性リンパ種
  26章 血漿蛋白の異常
    1)M蛋白を産生する代表的疾患とその鑑別
    2)原発性マクログロブリン血症
    3)意義不明のM蛋白血症
    4)多発性骨髄腫とは
  27章 出血傾向
   1.生体における凝固と線溶の仕組み
    1)止血の機序
    2)凝固・線溶の調節機構
    3)出血傾向のスクリーニング検査
   2.凝固因子の異常
    A.血友病
     1)血友病とは
     2)病態の特徴
     3)検査所見
     4)治療
    B.フォンビルブランド病
     1)発症のメカニズム
     2)特徴的な症状,検査所見
   3.血小板の異常
    A.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
     1)発症のメカニズム
     2)急性型と慢性型
     3)特徴的な症状,検査所見
     4)治療
    B.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
     1)病態の特徴
     2)原因
     3)症状と検査所見
     4)治療
   4.播種性血管内凝固症候群(DIC)
    1)病態の特徴,基礎疾患
    2)DICの病型と症状
    3)検査所見
    4)治療
   5.抗リン脂質抗体症候群(APS)
    1)病態の特徴
    2)症状と検査所見
 4.心臓・循環器系(田中)
  28章 胸痛
   1.胸痛とは
   2.狭心痛
   3.冠危険因子と動脈硬化
   4.心筋虚血
    1)心筋虚血とは
    2)虚血心筋のエネルギー代謝
    3)虚血による心筋障害
    4)狭心症(一過性の心筋虚血)
   5.心筋壊死
    1)急性心筋梗塞症
    2)心筋壊死の発症機序
    3)急性心筋梗塞症の心電図
    4)急性心筋梗塞症の血液生化学的指標
    5)壁運動異常の検出と血行動態
   6.冠循環
    1)構造
    2)機能的特性
  29章 動悸
   1.動悸とその原因
   2.不整脈の分類と発生機序
   3.主な不整脈
    1)徐脈性不整脈
    2)頻脈性不整脈
   4.不整脈の血行動態と動悸
    1)心室性期外収縮
    2)心室性頻拍,上室性頻拍
    3)心房細動
  30章 失神
   1.失神とは
   2.失神の原因
    1)末梢血管収縮不全による失神
    2)心拍出量低下による失神
    3)血液の性状による失神
   3.心臓性失神
    1)アダムス・ストークス症候群
    2)器質的心疾患
  31章 呼吸困難
   1.病態生理
   2.診断の進め方
    1)病歴聴取
    2)診察のポイント
    3)検査の進め方
   3.呼吸困難をきたす病態と疾患
    1)肺性呼吸困難
    2)上気道性呼吸困難
    3)心臓性呼吸困難
    4)血液性呼吸困難
    5)中枢性呼吸困難
    6)神経性呼吸困難
    7)代謝性呼吸困難
    8)圧迫による呼吸困難
   4.心臓性呼吸困難
    1)心臓性呼吸困難とは
    2)心機能
    3)心不全の病態
    4)心不全の代償機構
  32章 血圧の異常
   1.動脈血圧
    1)動脈血圧の決定因子
    2)血圧測定
    3)血圧の日内変動と加齢変化
   2.高血圧症
    1)定義と病態
    2)分類
    3)二次性高血圧症
    4)本態性高血圧症
    5)高血圧による臓器変化
    6)臨床症状
    7)携帯式血圧測定法と白衣高血圧,およびnon-dipper型高血圧
   3.低血圧症
    1)低血圧症とは
    2)起立性低血圧症
 5.消化器系(松浦)
  33章 悪心・嘔吐,嚥下障害,胸やけ,心窩部不快感
    1)悪心・嘔吐の原因
    2)嚥下運動のメカニズムと,嚥下障害の原因
    3)主な検査
   1.胃・食道逆流症評価のための臨床検査
    1)胃・食道逆流症の病態と分類
    2)GERDの診断と食道機能検査
   2.ペプシノゲンによる胃健診
    1)健診におけるペプシノゲン法による萎縮性胃炎の診断意義
    2)ペプシノゲンとは
    3)ペプシノゲンの測定法
    4)血中ペプシノゲン値の基準値と異常値
    5)ペプシノゲン法が適さない場合
  34章 吐血・下血,下痢
    1)吐血・下血の原因と検査
    2)便潜血反応
    3)下痢の原因と検査
   1.難治性・再発性胃・十二指腸潰瘍の原因菌“ヘリコバクターピロリ”感染の診断と治療
    1)H.pylori感染による消化管病変と,除菌療法
    2)H.pylori感染の病態
    3)H.pyloriの除菌療法
    4)H.pylori感染の検査診断と保険の適応および除菌治療後の効果判定
   2.腸管出血性大腸菌感染症の診断と検査
    1)腸管出血性大腸菌感染症の原因と病態
    2)腸管出血性大腸菌感染症の検査・診断法
   3.粘血性下痢を引き起こす感染症(アメーバ赤痢)
   4.吐血・下血・下痢・腹痛を伴う消化器関連内分泌疾患
    1)激しい水様性下痢を伴う内分泌疾患(WDHA症候群)
    2)激しい上腹部痛,吐・下血を伴う内分泌疾患(Zollinger-Ellison症候群)
    3)発作性の皮膚紅潮と下痢を伴う内分泌疾患(カルチノイド症候群)
  35章 腹水,腹部膨隆(膨満)
   1.原因
    1)腸内容物の停留による腹部膨隆
    2)腹水による腹部膨隆
   2.腹水の検査
    1)腹水の性状から鑑別すべき消化器・肝臓疾患
    2)腹水の一般検査項目
    3)Rivalta反応とは
  36章 腹痛
   1.腹痛の種類とその鑑別
    1)内臓痛,体性痛,関連痛
    2)腹痛の鑑別
   2.腹痛・背部痛を認めたときの膵臓疾患の検査
    1)急性膵炎の動向
    2)急性膵炎の検査
  37章 黄疸,肝機能異常
    1)黄疸の分類
    2)肝疾患の診断と臨床検査の進歩
   1.肝機能・肝障害を評価する検査
    1)肝機能を評価する検査
    2)肝障害を評価する検査
   2.肝臓の自己免疫疾患
    1)自己免疫性肝炎(AIH)
    2)原発性胆汁性肝硬変(PBC)
  38章 消化管・肝胆膵疾患における画像診断
   1.医用画像の進歩
   2.腹部CT検査
   3.腹部超音波検査
   4.腹部MRI検査
   5.腹部血管造影検査
   6.上部・下部消化管内視鏡検査
 6.内分泌系(中野昭)
  39章 甲状腺の異常
    1)甲状腺と,その働き
    2)甲状腺ホルモンの分泌調節
    3)甲状腺機能亢進による病態
    4)甲状腺機能低下による病態
    5)その他の甲状腺疾患
    6)甲状腺機能の検査
  40章 副甲状腺の異常
    1)副甲状腺と,その働き
    2)副甲状腺ホルモンの生理的機能
    3)副甲状腺機能低下による病態
    4)副甲状腺機能亢進による病態
    5)サイロカルシトニン
  41章 副腎の異常
    1)副腎の構造と,その働き
    2)副腎髄質と,そのホルモンの生理作用
    3)副腎皮質と,そのホルモンの生理作用
    4)副腎皮質ホルモンの分泌調節
    5)副腎皮質機能亢進による病態
    6)副腎皮質機能低下による病態
  42章 膵臓ランゲルハンス島の異常
    1)糖尿発生の仕組み
    2)糖尿病とは
    3)糖尿病の分類
    4)糖尿病の症状とインスリン不足の病態
    5)糖尿病の一般的な診断基準
    6)糖尿病の臨床検査
  43章 下垂体前葉の異常
    1)下垂体と,そのホルモンの概要
    2)下垂体前葉ホルモン
    3)下垂体前葉機能亢進症
    4)下垂体前葉機能低下症
  44章 下垂体後葉の異常
    1)抗利尿ホルモン(ADH)の主たる作用と,その病態
    2)オキシトシンの主たる作用と,その病態
  45章 生殖機能(下垂体・卵巣・精巣)と,妊娠
    1)男性の生殖機能
    2)女性の生殖機能
    3)妊娠の成立と,その早期診断
 7.体温調節(中野昭)
  46章 正常体温と,その維持
    1)体温の意義と役割
    2)体熱の平衡
    3)体温を維持する仕組み
  47章 体温の異常と,うつ熱と発熱
    1)高体温の状態とは
    2)発熱
 8.腎臓機能と尿(鈴木)
  48章 尿性状の変化
   1.蛋白尿
    1)生理的(良性)蛋白尿
    2)病的蛋白尿
    3)その他の蛋白尿
   2.血尿
    1)血尿の原因
    2)血尿と鑑別診断
   3.ビリルビン尿
  49章 腎臓機能の障害
   1.むくみ(浮腫)
    1)局所性(血管性)因子
    2)全身性(体液調節性)因子
    3)心臓および腎性浮腫の発生機序
   2.腎性高血圧
   3.ネフローゼ症候群
   4.腎・尿路結石
    1)成因
    2)腎結石
    3)尿路結石・膀胱結石・尿道結石
   5.尿毒症
  50章 排尿の異常
   1.排尿困難
   2.尿失禁
   3.尿 閉
 9.体内中間代謝(中野昭)
  51章 糖質(炭水化物)代謝と,その異常
   1)糖質の栄養学的特徴
   2)体内における糖質の合成
   3)体内における糖質の分解
   4)糖代謝異常の病態
  52章 脂質代謝と,その異常
   1)脂質の栄養学的特徴
   2)体内における脂肪の合成
   3)体内における脂肪の分解
   4)脂質代謝異常と,その病態
  53章 蛋白質代謝と,その異常
   1)蛋白質の栄養学的特徴
   2)体内における蛋白質の合成
   3)体内における蛋白質の分解
   4)蛋白質代謝異常と,臨床的にみられる蛋白質の病態
 10.その他(中野昭)
  54章 肥満と,やせ
   1.肥満
    1)肥満と脂肪の蓄積
    2)肥満の対策
   2.やせ
    1)“やせ”の成因と,その障害
    2)低栄養による障害
    3)“やせ”の対策
  55章 疲労
    1)疲労の分類
    2)疲労に伴い訴えられる症状
    3)疲労の対策