はじめに
昨今の入院患者の高齢化には目を見張るものがあります.成人病棟に限ると10年前と比較して平均年齢は約10歳あがりました.併存症のある患者数は増加し,原疾患の治療の難易度は高まり,肺炎や低栄養など治療中・後の合併症のリスクは増加しています.医療資源の大規模な導入を要する患者さんが増えているのです.入院日数が延びると病院の経営効率は低下します.そればかりではありません.スタッフの仕事量は激増して疲労は蓄積しますが,重症の患者さんは減らず,負担感は増加して勤労意欲は低下してきます.
大きな視点では,医療行政や病院経営の観点で改善していただく他はありませんが,その間にも疲弊していく仲間が増えています.共に働く者として,質を落とさずに負担の少ないキュアとケアを実現したいと考えます.
入院患者に対する口腔・咽頭ケアで肝心なのは,毎日毎日,継続的に続けることです.しかし,肺炎予防などの大きな効果をその場で確認できるわけではありませんので,緊急対応の多い中で口腔・咽頭ケアを継続するのは容易ではありません.
私たちの目的は「ケアの負担は増えず質が担保され,患者に快感を与える継続可能な口腔・咽頭ケア」の確立です.口腔内を見るには十分でない照明下に苦しい姿勢で,一生懸命に敏感な部位をケアしても,患者は吐き気を訴えたり,苦しがったり,時には誤嚥したりします.必要だとわかっていても目の前の患者が嫌がっていれば,ケアの意欲を持続することは困難です.質の向上とケアの負担の軽減,そして患者に快感を与える視点が必要なのです.
目指す方法は,ケアの負担を増やさずに質を確保して患者に快感を与える継続可能な口腔ケアです.難しい課題ですから,たくさんの智恵と行動力が必要です.一つの病院内だけではなく,志を同じくする複数の病院の多職種が集まって創造的に検討することが,課題の解決につながります.そこで,せんぽ東京高輪病院,横浜市立みなと赤十字病院,武蔵野赤十字病院のスタッフが集まって1年間の協議を重ねて本書をつくりました.
本書は看護師と歯科との連携・協同で効率よく質の高い口腔・咽頭ケアを実践していくために創りました.まずは入院患者のケアに少しでも役立てばさいわいです.さらにこのマニュアルを契機に,急性期から在宅まで,多施設で使える口腔・咽頭ケアが確立するようにとの願いも込めています.
2013年7月
道脇 幸博
本書の特長
本書の特長は,対象が入院患者であること,口腔・咽頭ケアを看護師と歯科の協働(collaboration)作業と考えていること,原疾患が異なっても病院が違っても使える標準的なマニュアルであることです.また,均霑化を目標に,せんぽ東京高輪病院,横浜市立みなと赤十字病院,武蔵野赤十字病院のスタッフが協働で作成したマニュアルであることです.
1.入院患者用であること
口内炎予防,肺炎予防,低栄養予防……,口腔・咽頭ケアの重要性は広く知られるようになってきました.口腔の健康維持に加えて全身への感染予防のために口腔・咽頭ケアが必要です.入院患者の多くは,入院の原因となったがんや心臓病などの原疾患のために,また原疾患の治療の副作用のために,感染しやすい状態です.ケアの必要性はさらに高いのです.
しかし,入院患者の口腔・咽頭ケアは必ずしも十分ではありません.習慣として身についていない,状態が悪くてできない,などが主な理由です.必要なのは入院患者全員の口腔・咽頭内を清潔に保つ方法と病院内体制です.
入院患者の状態はさまざまです.ADLでは自立から全介助まで,意識レベルでは清明から昏睡まで,口腔では全て自分の歯から総入れ歯まで,いろいろな方がいます.そんな多様な患者さんですが,口腔や全身の感染を上手に予防し,主たる疾患の治療に集中されて早く退院できるようにサポートしたいのです.
2.看護師と歯科の協働作業であること
入院患者のケアの主な担い手は看護師です.診療補助と全身のケアの中で,効果が見えにくい,患者に拒否されがちなケアはついついおろそかになりがちです.毎日数回繰り返す口腔ケアはその代表でしょう.口腔を診る医療者は稀です.主な疾患に隠れて見過ごされがちなのも口腔です.少ない時間の中,担当看護師が行った口腔ケアをチェックしてアドバイスしてくれる医師はなく,先輩看護師にもゴールは明確ではありません.どこまで清潔になればよいのか,どこで歯科に診せるのか,十分な指針はありません.
本書の目的は,看護師の疑問に応え,看護師が行うプライマリーケア(primary care)としての口腔ケアをサポートすることです.そのため,看護師と歯科衛生士,歯科医師が協働で創りました.
入院患者の口腔ケアは,看護師と歯科の協働作業であり,主たる疾患の治療に専念できるように共同で患者をサポートすることが,患者自身とスタッフ,病院に正の連鎖を起こすと考えています.
3.口腔・咽頭ケアの範囲
「口腔」や「咽頭」は身体の部位を示す解剖学用語です.「口腔ケア」とすると,歯や舌,頬などの範囲に限定した「口腔のケア」と思いがちです.日常業務で行っている「口腔ケア」の範囲は,例えば,意識のない方を考えると,口腔だけでなく鼻腔や咽頭,気管内の吸引や清掃も行っています.口腔と咽頭を主として,いわゆる上気道の範囲を全て清潔にしていますし,全身感染症の予防ではそのことが有効です.
本書のケアの範囲は従来の「口腔ケア」と同じですが,「口腔ケア」の現状をより正確に伝えることが大切と考えましたので,本書では「口腔・咽頭ケア」を採用しました.
4.標準的なマニュアルであること
入院する原因はさまざまですし,病態もADLもいろいろです.口腔・咽頭ケアの手法も多様になりましょう.しかし,個別対応を基本としながら標準化できる部分は一元化したほうが,スタッフ間のコミュニケーションにおいても,業務の効率化と負担軽減の意味でも有用です.画一的でない標準化したマニュアルです.
本マニュアルでは,考え方と手法の基本を一元化しました.各施設で使っているものを基本に,どの施設でも使えるマニュアル創りを目指しました.コンセンサスを得るのに約1年を要しましたが,せんぽ東京高輪病院,横浜市立みなと赤十字病院,武蔵野赤十字病院のスタッフが集まり,議論し,まとめ,修正を繰り返して完成しました.
患者さんの病態によって,また施設によってさまざまな工夫がされていますし,医療技術の進歩に伴って手法や器具,薬剤の変更はありましょう.しかし,口腔・咽頭ケアの基本手法とその考え方は,標準化したものになると考えています.
本書が,看護師,歯科衛生士をはじめ,たくさんの方に利用され,患者の口腔・咽頭ケアが実りあるものになる,その手助けになること祈念しています.
昨今の入院患者の高齢化には目を見張るものがあります.成人病棟に限ると10年前と比較して平均年齢は約10歳あがりました.併存症のある患者数は増加し,原疾患の治療の難易度は高まり,肺炎や低栄養など治療中・後の合併症のリスクは増加しています.医療資源の大規模な導入を要する患者さんが増えているのです.入院日数が延びると病院の経営効率は低下します.そればかりではありません.スタッフの仕事量は激増して疲労は蓄積しますが,重症の患者さんは減らず,負担感は増加して勤労意欲は低下してきます.
大きな視点では,医療行政や病院経営の観点で改善していただく他はありませんが,その間にも疲弊していく仲間が増えています.共に働く者として,質を落とさずに負担の少ないキュアとケアを実現したいと考えます.
入院患者に対する口腔・咽頭ケアで肝心なのは,毎日毎日,継続的に続けることです.しかし,肺炎予防などの大きな効果をその場で確認できるわけではありませんので,緊急対応の多い中で口腔・咽頭ケアを継続するのは容易ではありません.
私たちの目的は「ケアの負担は増えず質が担保され,患者に快感を与える継続可能な口腔・咽頭ケア」の確立です.口腔内を見るには十分でない照明下に苦しい姿勢で,一生懸命に敏感な部位をケアしても,患者は吐き気を訴えたり,苦しがったり,時には誤嚥したりします.必要だとわかっていても目の前の患者が嫌がっていれば,ケアの意欲を持続することは困難です.質の向上とケアの負担の軽減,そして患者に快感を与える視点が必要なのです.
目指す方法は,ケアの負担を増やさずに質を確保して患者に快感を与える継続可能な口腔ケアです.難しい課題ですから,たくさんの智恵と行動力が必要です.一つの病院内だけではなく,志を同じくする複数の病院の多職種が集まって創造的に検討することが,課題の解決につながります.そこで,せんぽ東京高輪病院,横浜市立みなと赤十字病院,武蔵野赤十字病院のスタッフが集まって1年間の協議を重ねて本書をつくりました.
本書は看護師と歯科との連携・協同で効率よく質の高い口腔・咽頭ケアを実践していくために創りました.まずは入院患者のケアに少しでも役立てばさいわいです.さらにこのマニュアルを契機に,急性期から在宅まで,多施設で使える口腔・咽頭ケアが確立するようにとの願いも込めています.
2013年7月
道脇 幸博
本書の特長
本書の特長は,対象が入院患者であること,口腔・咽頭ケアを看護師と歯科の協働(collaboration)作業と考えていること,原疾患が異なっても病院が違っても使える標準的なマニュアルであることです.また,均霑化を目標に,せんぽ東京高輪病院,横浜市立みなと赤十字病院,武蔵野赤十字病院のスタッフが協働で作成したマニュアルであることです.
1.入院患者用であること
口内炎予防,肺炎予防,低栄養予防……,口腔・咽頭ケアの重要性は広く知られるようになってきました.口腔の健康維持に加えて全身への感染予防のために口腔・咽頭ケアが必要です.入院患者の多くは,入院の原因となったがんや心臓病などの原疾患のために,また原疾患の治療の副作用のために,感染しやすい状態です.ケアの必要性はさらに高いのです.
しかし,入院患者の口腔・咽頭ケアは必ずしも十分ではありません.習慣として身についていない,状態が悪くてできない,などが主な理由です.必要なのは入院患者全員の口腔・咽頭内を清潔に保つ方法と病院内体制です.
入院患者の状態はさまざまです.ADLでは自立から全介助まで,意識レベルでは清明から昏睡まで,口腔では全て自分の歯から総入れ歯まで,いろいろな方がいます.そんな多様な患者さんですが,口腔や全身の感染を上手に予防し,主たる疾患の治療に集中されて早く退院できるようにサポートしたいのです.
2.看護師と歯科の協働作業であること
入院患者のケアの主な担い手は看護師です.診療補助と全身のケアの中で,効果が見えにくい,患者に拒否されがちなケアはついついおろそかになりがちです.毎日数回繰り返す口腔ケアはその代表でしょう.口腔を診る医療者は稀です.主な疾患に隠れて見過ごされがちなのも口腔です.少ない時間の中,担当看護師が行った口腔ケアをチェックしてアドバイスしてくれる医師はなく,先輩看護師にもゴールは明確ではありません.どこまで清潔になればよいのか,どこで歯科に診せるのか,十分な指針はありません.
本書の目的は,看護師の疑問に応え,看護師が行うプライマリーケア(primary care)としての口腔ケアをサポートすることです.そのため,看護師と歯科衛生士,歯科医師が協働で創りました.
入院患者の口腔ケアは,看護師と歯科の協働作業であり,主たる疾患の治療に専念できるように共同で患者をサポートすることが,患者自身とスタッフ,病院に正の連鎖を起こすと考えています.
3.口腔・咽頭ケアの範囲
「口腔」や「咽頭」は身体の部位を示す解剖学用語です.「口腔ケア」とすると,歯や舌,頬などの範囲に限定した「口腔のケア」と思いがちです.日常業務で行っている「口腔ケア」の範囲は,例えば,意識のない方を考えると,口腔だけでなく鼻腔や咽頭,気管内の吸引や清掃も行っています.口腔と咽頭を主として,いわゆる上気道の範囲を全て清潔にしていますし,全身感染症の予防ではそのことが有効です.
本書のケアの範囲は従来の「口腔ケア」と同じですが,「口腔ケア」の現状をより正確に伝えることが大切と考えましたので,本書では「口腔・咽頭ケア」を採用しました.
4.標準的なマニュアルであること
入院する原因はさまざまですし,病態もADLもいろいろです.口腔・咽頭ケアの手法も多様になりましょう.しかし,個別対応を基本としながら標準化できる部分は一元化したほうが,スタッフ間のコミュニケーションにおいても,業務の効率化と負担軽減の意味でも有用です.画一的でない標準化したマニュアルです.
本マニュアルでは,考え方と手法の基本を一元化しました.各施設で使っているものを基本に,どの施設でも使えるマニュアル創りを目指しました.コンセンサスを得るのに約1年を要しましたが,せんぽ東京高輪病院,横浜市立みなと赤十字病院,武蔵野赤十字病院のスタッフが集まり,議論し,まとめ,修正を繰り返して完成しました.
患者さんの病態によって,また施設によってさまざまな工夫がされていますし,医療技術の進歩に伴って手法や器具,薬剤の変更はありましょう.しかし,口腔・咽頭ケアの基本手法とその考え方は,標準化したものになると考えています.
本書が,看護師,歯科衛生士をはじめ,たくさんの方に利用され,患者の口腔・咽頭ケアが実りあるものになる,その手助けになること祈念しています.
はじめに
本書の特長(道脇幸博)
初級編
看護師が体験した1例(大坪千智,藤原弥生)
1章 口腔ケアの目的(愛甲勝哉)
1 口腔・咽頭ケアとは
2 口腔ケアによって合併症は減少するか
3 含嗽剤のうがいだけで口腔ケア(細菌の除去)はできるか
(1)家族・介護職による日常的な口腔ケアとは (2)看護師による専門的口腔ケアとは
4 口腔ケアがもたらす効果
2章 口腔・咽頭ケアの実践
I 基本ステップとアセスメント
1 口腔ケアの基本ステップと考え方(向山 仁)
(1)準備 (2)口腔・咽頭清掃 (3)後片付け
2 口腔の見どころとアセスメント(向山 仁)
(1)口腔の見どころ (2)患者の所持物品のチェック
(3)口腔のアセスメントに必要な器具 (4)口腔内の異常のアセスメント
(5)口腔汚染度のアセスメント
II 歯磨きの方法(田頭絹代,川本真規子,小野寺敬子,飯田佑子)
1 基本的な歯磨き方法
(1)歯ブラシの持ち方 (2)歯ブラシの当て方
(3)歯磨きの力加減 (4)歯ブラシの動かし方
(5)磨く順番
2 特殊箇所の歯磨き方法
(1)凸凹した箇所 (2)根だけの箇所 (3)隙間が広い
III さまざまな口腔ケア用物品
1 歯間ブラシの使用方法(小野寺敬子)
(1)歯間ブラシの活用 (2)種類と適応 (3)使用方法
(4)交換時期 (5)歯科への照会
2 デンタルフロス(田頭絹代)
(1)デンタルフロスとは (2)デンタルフロスの種類
(3)デンタルフロスの使い方−指に巻くタイプ
(4)使用上の注意
3 ワンタフトブラシの使用方法(川本真規子)
(1)適応箇所 (2)使用方法 (3)交換時期
4 舌の清掃(小野寺敬子)
(1)なぜ舌を清掃するのか (2)舌苔は体調のバロメータ
(3)舌の清掃器具 (4)舌清掃の手順
5 さまざまな口腔ケア用物品の使用用途(飯田佑子)
(1)粘膜ケア時の使用物品 (2)保湿剤 (3)口腔ケア項目別使用物品・使用用途
IV 口腔・咽頭ケアの実際
1 全介助者(挿管患者を含まない)の口腔・咽頭ケア(川本真規子,小野寺敬子,飯田佑子)
2 部分介助者の口腔・咽頭ケア(岡元弥生)
3 自立患者の口腔ケア(田頭絹代)
V ケアの実施と効果検証のための記録
1 口腔ケア・アセスメント表(向山 仁)
2 口腔内観察記録表(飯田佑子)
3 口腔ケア・フローチャート(飯田佑子)
4 観察・記録一体型シート(岡元弥生)
中・上級編
3章 状態把握と最適ケア決定のためのアセスメント(愛甲勝哉,岡元弥生)
1 全身および口腔・咽頭状態の把握
2 呼吸状態
(1)呼吸困難 (2)呼吸回数 (3)酸素濃度
3 意識レベル
(1)意識障害とは (2)意識障害(レベル)の評価方法
4 循環動態・安静度制限
4章 口腔・咽頭ケアのリスクマネジメント(道脇幸博)
1 口腔と咽頭の立体構造
2 粘膜や歯肉の損傷
3 歯の動揺や脱落
4 嘔吐
5 飲み込み(嚥下)の仕組み
6 誤飲
7 誤嚥
8 窒息
5章 難症例への対応
I バイタルが変動しやすい患者(愛甲勝哉,岡元弥生)
1 気管挿管中
(1)患者状態の把握 (2)気管挿管 (3)気管チューブの太さの目安
(4)気管チューブの深さ (5)気管チューブのカフ圧の目安:20〜25mmHg
(6)気管挿管中の加湿・吸引の必要性 (7)基本的な援助を丁寧に行う必要性
2 呼吸障害
3 意識障害
4 せん妄
5 アセスメントとリスク管理のためのフローチャート
6 挿管患者の口腔・咽頭ケア
II がん治療中の患者の口腔ケア(道脇幸博)
1 がん放射線治療中の患者の口腔ケア
1.放射線治療による口腔粘膜炎
2.放射線治療中の口の手入れの基本
(1)Grade 0:開始から放射線照射10Gyぐらいの時期
(2)Grade 1:射線照射20Gyぐらいの時期 (3)Grade 2:放射線照射40Gyぐらいの時期
(4)Grade 3:放射線照射50Gyぐらいの時期 (5)放射線照射60Gy終了後,1カ月
3.放射線治療後の晩発期合併症
2 がん化学療法中の患者の口腔ケア
1.抗がん剤による口腔粘膜炎
2.抗がん剤治療中の口の手入れの基本
(1)Grade 0:開始2日目 (2)Grade 1:およそ1週目 (3)Grade 1:終了後2週目
3.化学療法中に発症しやすいその他の病気
(1)ウイルス感染症 (2)細菌感染症 (3)カンジダ症
(4)口内炎を合併しやすい抗がん剤とレジメン
III 緩和ケアにおける口腔ケア
1 緩和ケア病棟患者の口腔の特徴(櫻井仁亨)
(1)終末期がん患者の口腔の特徴 (2)全人的視点に立った適切なケアを
2 緩和ケア病棟患者(終末期がん患者)の口腔ケアの実際(瀬戸弘美)
(1)緩和ケア病棟における患者の口腔ケアの位置づけ
(2)終末期がん患者における口腔トラブルとそのケア
(3)事例
IV 口腔疾患を併存している患者の口腔ケア
1 口が開かない(開口困難)(飯田佑子,生田 稔)
2 粘膜のただれ(粘膜の糜爛と潰瘍)(川本真規子,礒部 薫)
(1)糜爛と潰瘍 (2)糜爛・潰瘍が存在する場合のケアにおける注意点
3 血が出る(口腔出血)(小野寺敬子,生田 稔)
(1)口腔出血の原因 (2)口腔ケアの方法 (3)歯科への照会
4 歯がぐらぐらする(歯の動揺)(飯田佑子,礒部 薫)
(1)動揺歯とは (2)動揺歯の原因 (3)口腔ケアの実際(注意するポイント)
5 口腔乾燥がある(飯田佑子,礒部 薫)
(1)口腔乾燥とは (2)口腔乾燥の原因 (3)口腔ケアの実際(注意するポイント)
6 口腔内疼痛がある(飯田佑子,生田 稔)
(1)歯の疼痛 (2)粘膜の疼痛 (3)その他
付章 Q&A(道脇幸博)
Q1 症状に応じて,その原因と口腔ケアの注意点は?
Q2 洗口剤には,どんなものがありますか?
Q3 保湿剤には,どんなものがありますか?
Q4 患者が全介助,部分介助の場合での,口腔ケアのポイントは?
Q5 VAPについて教えてください
Q6 気管挿管について教えてください
Q7 「血液ガス分析」とは?
本書の特長(道脇幸博)
初級編
看護師が体験した1例(大坪千智,藤原弥生)
1章 口腔ケアの目的(愛甲勝哉)
1 口腔・咽頭ケアとは
2 口腔ケアによって合併症は減少するか
3 含嗽剤のうがいだけで口腔ケア(細菌の除去)はできるか
(1)家族・介護職による日常的な口腔ケアとは (2)看護師による専門的口腔ケアとは
4 口腔ケアがもたらす効果
2章 口腔・咽頭ケアの実践
I 基本ステップとアセスメント
1 口腔ケアの基本ステップと考え方(向山 仁)
(1)準備 (2)口腔・咽頭清掃 (3)後片付け
2 口腔の見どころとアセスメント(向山 仁)
(1)口腔の見どころ (2)患者の所持物品のチェック
(3)口腔のアセスメントに必要な器具 (4)口腔内の異常のアセスメント
(5)口腔汚染度のアセスメント
II 歯磨きの方法(田頭絹代,川本真規子,小野寺敬子,飯田佑子)
1 基本的な歯磨き方法
(1)歯ブラシの持ち方 (2)歯ブラシの当て方
(3)歯磨きの力加減 (4)歯ブラシの動かし方
(5)磨く順番
2 特殊箇所の歯磨き方法
(1)凸凹した箇所 (2)根だけの箇所 (3)隙間が広い
III さまざまな口腔ケア用物品
1 歯間ブラシの使用方法(小野寺敬子)
(1)歯間ブラシの活用 (2)種類と適応 (3)使用方法
(4)交換時期 (5)歯科への照会
2 デンタルフロス(田頭絹代)
(1)デンタルフロスとは (2)デンタルフロスの種類
(3)デンタルフロスの使い方−指に巻くタイプ
(4)使用上の注意
3 ワンタフトブラシの使用方法(川本真規子)
(1)適応箇所 (2)使用方法 (3)交換時期
4 舌の清掃(小野寺敬子)
(1)なぜ舌を清掃するのか (2)舌苔は体調のバロメータ
(3)舌の清掃器具 (4)舌清掃の手順
5 さまざまな口腔ケア用物品の使用用途(飯田佑子)
(1)粘膜ケア時の使用物品 (2)保湿剤 (3)口腔ケア項目別使用物品・使用用途
IV 口腔・咽頭ケアの実際
1 全介助者(挿管患者を含まない)の口腔・咽頭ケア(川本真規子,小野寺敬子,飯田佑子)
2 部分介助者の口腔・咽頭ケア(岡元弥生)
3 自立患者の口腔ケア(田頭絹代)
V ケアの実施と効果検証のための記録
1 口腔ケア・アセスメント表(向山 仁)
2 口腔内観察記録表(飯田佑子)
3 口腔ケア・フローチャート(飯田佑子)
4 観察・記録一体型シート(岡元弥生)
中・上級編
3章 状態把握と最適ケア決定のためのアセスメント(愛甲勝哉,岡元弥生)
1 全身および口腔・咽頭状態の把握
2 呼吸状態
(1)呼吸困難 (2)呼吸回数 (3)酸素濃度
3 意識レベル
(1)意識障害とは (2)意識障害(レベル)の評価方法
4 循環動態・安静度制限
4章 口腔・咽頭ケアのリスクマネジメント(道脇幸博)
1 口腔と咽頭の立体構造
2 粘膜や歯肉の損傷
3 歯の動揺や脱落
4 嘔吐
5 飲み込み(嚥下)の仕組み
6 誤飲
7 誤嚥
8 窒息
5章 難症例への対応
I バイタルが変動しやすい患者(愛甲勝哉,岡元弥生)
1 気管挿管中
(1)患者状態の把握 (2)気管挿管 (3)気管チューブの太さの目安
(4)気管チューブの深さ (5)気管チューブのカフ圧の目安:20〜25mmHg
(6)気管挿管中の加湿・吸引の必要性 (7)基本的な援助を丁寧に行う必要性
2 呼吸障害
3 意識障害
4 せん妄
5 アセスメントとリスク管理のためのフローチャート
6 挿管患者の口腔・咽頭ケア
II がん治療中の患者の口腔ケア(道脇幸博)
1 がん放射線治療中の患者の口腔ケア
1.放射線治療による口腔粘膜炎
2.放射線治療中の口の手入れの基本
(1)Grade 0:開始から放射線照射10Gyぐらいの時期
(2)Grade 1:射線照射20Gyぐらいの時期 (3)Grade 2:放射線照射40Gyぐらいの時期
(4)Grade 3:放射線照射50Gyぐらいの時期 (5)放射線照射60Gy終了後,1カ月
3.放射線治療後の晩発期合併症
2 がん化学療法中の患者の口腔ケア
1.抗がん剤による口腔粘膜炎
2.抗がん剤治療中の口の手入れの基本
(1)Grade 0:開始2日目 (2)Grade 1:およそ1週目 (3)Grade 1:終了後2週目
3.化学療法中に発症しやすいその他の病気
(1)ウイルス感染症 (2)細菌感染症 (3)カンジダ症
(4)口内炎を合併しやすい抗がん剤とレジメン
III 緩和ケアにおける口腔ケア
1 緩和ケア病棟患者の口腔の特徴(櫻井仁亨)
(1)終末期がん患者の口腔の特徴 (2)全人的視点に立った適切なケアを
2 緩和ケア病棟患者(終末期がん患者)の口腔ケアの実際(瀬戸弘美)
(1)緩和ケア病棟における患者の口腔ケアの位置づけ
(2)終末期がん患者における口腔トラブルとそのケア
(3)事例
IV 口腔疾患を併存している患者の口腔ケア
1 口が開かない(開口困難)(飯田佑子,生田 稔)
2 粘膜のただれ(粘膜の糜爛と潰瘍)(川本真規子,礒部 薫)
(1)糜爛と潰瘍 (2)糜爛・潰瘍が存在する場合のケアにおける注意点
3 血が出る(口腔出血)(小野寺敬子,生田 稔)
(1)口腔出血の原因 (2)口腔ケアの方法 (3)歯科への照会
4 歯がぐらぐらする(歯の動揺)(飯田佑子,礒部 薫)
(1)動揺歯とは (2)動揺歯の原因 (3)口腔ケアの実際(注意するポイント)
5 口腔乾燥がある(飯田佑子,礒部 薫)
(1)口腔乾燥とは (2)口腔乾燥の原因 (3)口腔ケアの実際(注意するポイント)
6 口腔内疼痛がある(飯田佑子,生田 稔)
(1)歯の疼痛 (2)粘膜の疼痛 (3)その他
付章 Q&A(道脇幸博)
Q1 症状に応じて,その原因と口腔ケアの注意点は?
Q2 洗口剤には,どんなものがありますか?
Q3 保湿剤には,どんなものがありますか?
Q4 患者が全介助,部分介助の場合での,口腔ケアのポイントは?
Q5 VAPについて教えてください
Q6 気管挿管について教えてください
Q7 「血液ガス分析」とは?