特集にあたって
周知のようにわが国の人口高齢化率は世界一であり約3割に達している.それとともに認知症も増加し,現在は介護が必要になった要因の第1位が認知症であり,2040年には認知症が500万人以上,認知症までには至らない軽度認知障害(mild cognitive impairment;MCI)が600万人以上に達すると推定されている.これまでのところ,認知症に対するリハビリテーション医療に直接的に従事しているリハビリテーション専門職は必ずしも多くはないと思われるが,急性期,回復期,生活期のいずれにおいても併存症としての認知症は避けて通れず,今後は認知症を知らずにリハビリテーション医療を語ることができないフェーズになることが確実である.最近は認知症に対する薬剤も相次いで開発されており,それらに対する理解も必要である.
本号は6つの特集項目と1つのコラムから構成されている.初めに総論として,秋田県立リハビリテーション・精神医療センター認知症診療部の下村辰雄先生から認知症の症候学的診断と認知機能評価として,認知症の疫学,診断,評価法について執筆いただいた.次に,東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室の富田泰輔先生から認知症の薬物療法について執筆いただいた.認知症に対する非薬物療法であるリハビリテーション医療としては,脳活リハとコグニサイズを取り上げた.国立長寿医療研究センターリハビリテーション科の大沢愛子先生らから脳・身体賦活リハビリテーション(脳活リハ)とその実際について詳しく執筆いただいた.認知症,MCIの方に加えてその家族介護者を対象として行うのが特徴的である.一方,コグニサイズは鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻の牧迫飛雄馬先生から執筆いただいた.コグニサイズでは運動と認知の二重課題になるため,その対象は認知機能が健常またはMCIであり,脳活リハよりも軽度の認知機能障害者が対象となる.また,今回は言語聴覚分野から,摂食嚥下リハビリテーションと言語リハビリテーションを取り上げた.大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能治療学講座の野原幹司先生から認知症に対する摂食嚥下リハビリテーション,東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野の太田祥子先生らから認知症に対する言語リハビリテーションを執筆いただいた.摂食嚥下障害,言語障害の分野でも認知症の有無が治療内容や治療効果に大きく影響する.さらには,国立長寿医療研究センターの近藤和泉先生らから認知症に対するコミュニケーションロボットについてコラムを執筆いただいた.認知症に対して薬物療法,非薬物療法ともにパラダイムシフトが起こりつつあり,今回の特集を参考にしながら日々の臨床に活かしていただければ幸いである.
(編集委員会 企画担当:加賀谷 斉)
周知のようにわが国の人口高齢化率は世界一であり約3割に達している.それとともに認知症も増加し,現在は介護が必要になった要因の第1位が認知症であり,2040年には認知症が500万人以上,認知症までには至らない軽度認知障害(mild cognitive impairment;MCI)が600万人以上に達すると推定されている.これまでのところ,認知症に対するリハビリテーション医療に直接的に従事しているリハビリテーション専門職は必ずしも多くはないと思われるが,急性期,回復期,生活期のいずれにおいても併存症としての認知症は避けて通れず,今後は認知症を知らずにリハビリテーション医療を語ることができないフェーズになることが確実である.最近は認知症に対する薬剤も相次いで開発されており,それらに対する理解も必要である.
本号は6つの特集項目と1つのコラムから構成されている.初めに総論として,秋田県立リハビリテーション・精神医療センター認知症診療部の下村辰雄先生から認知症の症候学的診断と認知機能評価として,認知症の疫学,診断,評価法について執筆いただいた.次に,東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室の富田泰輔先生から認知症の薬物療法について執筆いただいた.認知症に対する非薬物療法であるリハビリテーション医療としては,脳活リハとコグニサイズを取り上げた.国立長寿医療研究センターリハビリテーション科の大沢愛子先生らから脳・身体賦活リハビリテーション(脳活リハ)とその実際について詳しく執筆いただいた.認知症,MCIの方に加えてその家族介護者を対象として行うのが特徴的である.一方,コグニサイズは鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻の牧迫飛雄馬先生から執筆いただいた.コグニサイズでは運動と認知の二重課題になるため,その対象は認知機能が健常またはMCIであり,脳活リハよりも軽度の認知機能障害者が対象となる.また,今回は言語聴覚分野から,摂食嚥下リハビリテーションと言語リハビリテーションを取り上げた.大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能治療学講座の野原幹司先生から認知症に対する摂食嚥下リハビリテーション,東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野の太田祥子先生らから認知症に対する言語リハビリテーションを執筆いただいた.摂食嚥下障害,言語障害の分野でも認知症の有無が治療内容や治療効果に大きく影響する.さらには,国立長寿医療研究センターの近藤和泉先生らから認知症に対するコミュニケーションロボットについてコラムを執筆いただいた.認知症に対して薬物療法,非薬物療法ともにパラダイムシフトが起こりつつあり,今回の特集を参考にしながら日々の臨床に活かしていただければ幸いである.
(編集委員会 企画担当:加賀谷 斉)
特集 認知症に対するリハビリテーション医療
特集にあたって(加賀谷 斉)
認知症の症候学的診断と認知機能評価(下村辰雄)
認知症の薬物療法(富田泰輔)
脳・身体賦活リハビリテーション(大沢愛子 前島伸一郎)
コグニサイズ(牧迫飛雄馬)
認知症に対する摂食嚥下リハビリテーション(野原幹司)
認知症に対する言語リハビリテーション(太田祥子 鈴木匡子)
コラム:認知症に対するコミュニケーションロボット(近藤和泉 大高恵莉)
TOPICS 高齢社会の交通事故減少のための道路環境の対策
(吉本一哉)
新連載 支援機器の現在と未来―普及に向けた取り組み
1.支援機器の現状と進歩(総論)(大高恵莉)
連載
リハなひと
作業療法士 沖田勇帆さん
巻頭カラー デジタルフロンティア:次世代技術の展望
3.アバター技術(茂出木謙太郎)
おさえておきたい転倒・転落予防の基本知識と現場での応用
11.セッティング別の転倒・転落の予防と対策:(3)回復期リハビリテーション病棟(長野文彦)
ニューカマー リハ科専門医
(杉山由夏)
最新版! 摂食嚥下機能評価―スクリーニングから臨床研究まで
15.VFの定量解析(中尾雄太)
知っておきたい! がんサポーティブケア
8.がんサバイバーシップケア(橋 都)
“こんなときどうする?” リハビリテーション臨床現場のモヤモヤ解決! 令和版
形態変更・スキルアップ編(6)訪問診療・リハビリテーションを中心に運営したい(吉村菜穂子 斉木三鈴)
回復期リハビリテーション病院・チームでキャリアアップ―私たちの院内研修
3.栄養サポート(吉村芳弘 嶋津さゆり・他)
障害福祉サービスとリハビリテーション
12.共同生活援助(グループホーム)(今橋久美子)
リハビリテーション関連学会に行ってみよう!
3.日本転倒予防学会(萩野 浩)
追悼
米本恭三先生の思い出(江藤文夫)
NEWS速報(吉村芳弘)
開催案内
学会報告
投稿規定
特集にあたって(加賀谷 斉)
認知症の症候学的診断と認知機能評価(下村辰雄)
認知症の薬物療法(富田泰輔)
脳・身体賦活リハビリテーション(大沢愛子 前島伸一郎)
コグニサイズ(牧迫飛雄馬)
認知症に対する摂食嚥下リハビリテーション(野原幹司)
認知症に対する言語リハビリテーション(太田祥子 鈴木匡子)
コラム:認知症に対するコミュニケーションロボット(近藤和泉 大高恵莉)
TOPICS 高齢社会の交通事故減少のための道路環境の対策
(吉本一哉)
新連載 支援機器の現在と未来―普及に向けた取り組み
1.支援機器の現状と進歩(総論)(大高恵莉)
連載
リハなひと
作業療法士 沖田勇帆さん
巻頭カラー デジタルフロンティア:次世代技術の展望
3.アバター技術(茂出木謙太郎)
おさえておきたい転倒・転落予防の基本知識と現場での応用
11.セッティング別の転倒・転落の予防と対策:(3)回復期リハビリテーション病棟(長野文彦)
ニューカマー リハ科専門医
(杉山由夏)
最新版! 摂食嚥下機能評価―スクリーニングから臨床研究まで
15.VFの定量解析(中尾雄太)
知っておきたい! がんサポーティブケア
8.がんサバイバーシップケア(橋 都)
“こんなときどうする?” リハビリテーション臨床現場のモヤモヤ解決! 令和版
形態変更・スキルアップ編(6)訪問診療・リハビリテーションを中心に運営したい(吉村菜穂子 斉木三鈴)
回復期リハビリテーション病院・チームでキャリアアップ―私たちの院内研修
3.栄養サポート(吉村芳弘 嶋津さゆり・他)
障害福祉サービスとリハビリテーション
12.共同生活援助(グループホーム)(今橋久美子)
リハビリテーション関連学会に行ってみよう!
3.日本転倒予防学会(萩野 浩)
追悼
米本恭三先生の思い出(江藤文夫)
NEWS速報(吉村芳弘)
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学会報告
投稿規定














