内容紹介
●多くの読者の熱い声に支えられ,新装復刻版としてあらたに発行されることとなりました.
●本書は月刊「Medical Technology」誌の人気連載コラム「軽笑室」を経て,19年前の1996年に発行されました.
●読んでいるうちに医学用語が自然に覚えられる,「楽しい医学用語ものがたり」の続編の復刻版.医学用語の語源・由来が軽妙な語り口で,見開き頁ごとにまとめられた百話.
●1話,1話読み終わったあとなるほどと納得でき,これまでの疑問や不思議がスーと解消する一冊です.
目次
2.医療過誤とカロリー(悪いのは“mal”,暑いのは“cal”)
3.ぜい肉と肉質化(カーニバルでスマートに)
4.カラメル反応とカニューレ(甘い竹と細長い管)
5.キニーネ(伯爵夫人の粉薬)
6.ピラゾールとピロリドン(女性が赤面する“おせじ”)
7.ピロニン(アキレウスは炎のような赤毛)
8.安息香酸とベンゾール(香りのよいザクロの樹脂)
9.鉛と酢酸鉛(農耕の神と土星の甘い塩)
10.ヤーヌス体とヤーヌス緑(二つの顔をもつ門の守衛神)
11.アルブミンとカンジダ(白い掲示板と候補者の白手袋)
12.塩類(サラリーマンに必要な塩辛い給料)
13.ペトリ皿とワセリン(玉石混交の固いもの)
14.検疫と四つ子(40日間の隔離)
15.ペストとヴェロナール(「ロミオとジュリエット」の舞台に流行った忌まわしい病)
16.バルビタールとペスト(「デカメロン」の背景に悲惨な病が……)
17.胃とゼラチン(美食家の好きなアイスクリーム)
18.フレグモーネとセツ・癰(“おでき”を起こすこそ泥)
19.ルックス(目の守護聖女セントルシア)
20.チフス(怪物のせいで噴火や台風が…………)
21.リムルステスト(怪物の化身のカブトガニ)
22.糖尿病と尿崩症(サイホンから流れ出る水)
23.性病と無性感症(愛と美の女神の名が転じて…………)
24.衛生学と万能薬(名医アスクレーピオスの子供たち)
25.診断と持続性陰茎勃起症(医学の故郷エペソスで“知ること”)
26.アキレス腱(トロイア王にねらわれた踵)
27.Rh因子(トロイア軍についたトラーキアの王)
28.キサンチン(アキレウスの暴挙に憤った河神)
29.既往歴と健忘症(記憶の女神ムネーモシュネー)
30.吐き気(オデュッセウスを助けた心優しい娘)
31.ムレキシッド反応とポルフィリン体(ラッパ自慢の神様が吹いていたホラ貝)
32.カルシウム(白墨も石も踵も計算機も……)
33.ユーグロブリン(復讐の女神たちを恐れた市民の好意)
34.安楽死と尊厳死(神が人に与える最大の贈り物)
35.不死と仮死(死の神が捕まると死人はなし)
36.プルトニウム(“豊かなもの”と呼ばれた冥界の王)
37.セリウム(農耕や穀物の女神)
38.メンタ(ハッカ)(冥界の王妃に踏み付けられたニンフ)
39.酒石酸と歯石(ブドウ酒樽にたまる燃える結晶)
40.タンタル(じらされ,飢えと渇きに苦しめられるゼウスの子)
41.悪性貧血と壊死(不老不死の酒と食べ物)
42.チタニウム(“大地の子”は巨神)
43.マラカイト・グリーン(ゼニアオイの葉は青竹色)
44.仙骨(“生けにえ”の儀式に用いられた聖なる骨)
45.クリプトコックス(厚い莢膜に隠された真菌)
46.タウリン(ゼウスが感謝して大空に上げた雄牛)
47.ラビリントス(迷路)(怒った王がつくらせた複雑な迷路)
48.ハロゲン(海神が恋したロドス島の海の女)
49.ロダミンとロダン化合物(バラを表象する太陽神)
50.胸腺とT細胞(心気を昂進させるタイム草)
51.リウマチ(体の中を悪い液が流れる)
52.不整脈とユーモア(なにかが流れる)
53.甘汞とメラニン(美しい(白い)ものと黒いもの)
54.コレステロールと広頸筋(広い葉の木陰で説いた黄胆汁)
55.レズビアニズム(美人の抒情詩人が住んでいた島の風習)
56.銅とコバルト(鉱山を開き,冶金を教えたキプロスの王)
57.ジギタリス(不誠実で美しいだけの手袋)
58.ブドウ球菌とレンサ球菌(山羊飼いが見付けた青い房)
59.セラチア(血のような不吉な赤)
60.慢性(不摂生や生活力の低下で病的産物がたまる)
61.急性(鋭く,酸っぱく,ぴりぴり刺激する)
62.にきびと毛瘡(イチジクの中の粒状の実に似たもの)
63.有棘赤血球(ハアザミはニンフの化身)
64.ストレスと狭窄(厳格な教授も締め付けられて悩んでいる?)
65.好中球と血友病(“フィル”はなにかがお好き)
66.狂水病と羞明(勇ましい軍神の息子は弱虫と怖がり)
67.酸素とシュウ酸(酸っぱい四つ葉のクローバー)
68.トリウム(スカンジナビアの雷神)
69.薬局(安全を獲保するため離して乾いたものを調合して与える所)
70.ガドリニウムとテクネチウム(希少な土と人工的につくられたもの)
71.バリウムとタングステン(重い土と重い石)
72.キセノン(異国人の英雄に親切な女)
73.矢状縫合(射手座になった半人半馬の怪獣)
74.外科とアルゴン(“外道”は手でやる仕事)
75.馬尿酸(海の神様が乗りこなした怪獣)
76.コルヒチン(魔女の故郷は毒薬の産地)
77.精液と精子(苗床に種を蒔くセミナー)
78.アスペルギルスとオブラート(聖水がまき散らされ,扁平なパンが奉献される)
79.るつぼとフラスコ(十字架とつくり損ないの大失敗作)
80.オートクレーブとクリトリス(自動的に閉まる小さな鍵)
81.検査室と分娩(骨の折れる大仕事)
82.カタルシス(すっかりきれいにする“心の癒し”)
83.カテプシン(完全に沸騰する)
84.カタルとカテーテル(“カタ,カタ”と下へ流れる)
85.乳首と関節(水道工事に使われる?)
86.手術とドレッシング(作戦をたてて正装する)
87.リコールとブロック(飲み物と大きなひとかたまり)
88.精神病(美の女神が奴隷にした美女)
89.精神分裂病と破瓜病(横隔膜から転じた“心の座”と青春の女神)
90.躁病(3人の復讐の女神たち)
91.広場恐怖症とマンドラゴラ(メドゥーサの首が埋められた市民の広場)
92.ダフニン(太陽神に追いかけられ月桂樹になった河神の娘)
93.キメラ(口から火を吐く若い雄山羊)
94.白血球減少症(愛の神の母は貧乏の女神)
95.けいれんと病期(競争の単位を決めた日の出)
96.ヘモジデリンとチロシン(チーズのような王女の継母“鉄の女”)
97.図譜と錠剤(民族芸能付き居酒屋風レストラン)
98.夜間多尿(眠りの神が付き従う夜の女神)
99.ビリルビンとビリベルジン(ルビーは赤く,ベルは緑)
100.ウンチの話(虎の威を借りる傲慢な男)
著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.
星 和夫【ほしかずお】
1927年 新潟に生まれる
1949年 東京医学歯学専門学校医学科卒業
1951年 東京医科歯科大学医学部第1外科助手
1962年 東京医科歯科大学医学部付属衛生検査技師学校講師,教務主任
1963年 東京医科歯科大学医学部第1外科講師併任
1972年 東京医科歯科大学医学部付属臨床検査技師学校講師
1973年 東京医科歯科大学医学部第1外科専任講師
1980年 東京医科歯科大学助教授
1984年 青梅市立総合病院院長
2001年 文京学院大学大学院経営学研究科
(~2008年)客員教授(医療システム論)
2005年 青梅市立総合病院病院事業管理者
2007年 青梅市立総合病院名誉院長
慈生会理事,同ベトレヘムの園病院院長
2009年 慈生会ベトレヘムの園病院顧問
現在にいたる 医学博士
日本病院会名誉会員
全国公私病院連盟顧問
日本私立病院協会名誉会員