はじめに JCNセレクト「薬物-飲食物相互作用-的確な栄養療法のために」発刊にあたって 栄養には,からだに取り入れる「栄養素」と,それを代謝して自分のからだの血となり肉となる「栄養状態」の,ふたつの意味があると日頃から感じています. これらふたつの栄養は,互いに影響し合い,共鳴し合います.摂取する栄養素の量と質が十分でなければ,まるで光を浴びた木陰が,湖面に細かく揺れながら映し出されるように,からだの栄養状態は映し出されてしまいます. 疾患が栄養素の摂取量と質とを変化させる.疾患が重症であればあるほど,その変化の度合いと方向をさえも変えてしまいます.ヒトのからだになんらかの病魔が巣くったとたん,疾患の種類と重症度が,これらふたつの栄養を決定する函数に加わってくることを,今回ご執筆いただいたすべての原稿から勉強させていただきました. 今回のテーマである薬剤は,薬剤そのものが症状や疾患を軽快,消滅させるためのものであるのと同時に,直接・間接に栄養に影響を与えます. すべての臨床栄養にたずさわっておられる方は,そのことをすでに十分ご承知とは思いますが,本書によって,アップデートされた情報を確認することができることと思います. 千年に一度の大災害で,深い傷を負ってしまった日本.しかし,私たちを取り巻く地球と宇宙の時間は,決して止まることはありません. きっとくる,さらなる善き日のために玉稿を賜ったすべての執筆者の方々に深く感謝いたします. かつて彼の地で,片方の聴力を失われたある方が静かに私に語ってくれた言葉が,あの日以来私の頭のなかで繰り返し響いています. Never Give Up! Never,Never Give Up!! Never,Never,Never Give Up!!! いまを信じ,明るい未来の到来を信じ,一歩だけ前に歩をすすめることにいたしましょう.