やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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社会・環境と健康
公衆衛生学 2023年版

発行時参考価格 2,700円
  • 総頁数:216頁 / 2色
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2023年2月
  • ISBN978-4-263-70846-0
  • 注文コード:708460

定評ある公衆衛生学のテキストを,新情報でアップデートした2023年版!

内容紹介

●疫学・公衆衛生学の専門家が,わかりやすく,コンパクトにまとめた,使いやすいテキスト.
●2023年版として,統計データや法令などの最新情報・知見をアップデート!
●「食品衛生」の章を新たに設けるなど,コンパクトな内容はそのままに,さらに学びやすい内容に更新した最新版.

序文

2023年版の序
 新型コロナウイルス感染症は,2019年末に発生して瞬く間に世界に広がり,パンデミックとなりました.新型コロナのいくつもの波が押し寄せる中で,ウイルスも変異して,社会の対応も変化してきました.
 この流行において,保健所の活動など公衆衛生の重要性が広く認識されるようになりました.特にこのような感染症については,一人ひとりの健康の確保のためには,その人の個人の努力だけでは限界があり,社会・環境を見据えた取り組みが不可欠となっています.このような感染症や災害などに対するより効果的な健康危機管理のあり方について考えていく必要があります.実は,普段からの生活習慣病やその他の健康課題への対応も,個々人への対応と社会のあり方への対応の両方が必要となります.
 本書の毎年の年度版は,このような社会情勢の変化を考慮しつつ,新しい時代の公衆衛生のあり方を学んでいただきたいという期待をもって編集しています.国内外の新しい動きをできるだけ見逃さないようにするとともに,毎年変わる統計数字についてもできるだけ新しいものに差し替え,読者の皆様方にタイムリーな正しい情報が提供できるように努めています.2023年版では特に,寄せられたご要望に対応して「食品衛生」の項目を追加しました.ここで扱われているリスクアナリシスやリスクコミュニケーションは感染症等の健康危機管理でも重要なポイントです.また,「生活習慣の現状と対策」「主要疾患の疫学と予防対策」「国際保健」について,新しい執筆者に担当していただき,見直しを行いました.
 生活習慣病予防をはじめとした公衆衛生活動を展開するためには,管理栄養士・栄養士はもとより,保健師や看護師,臨床検査技士,リハビリテーションスタッフ,歯科衛生士,保育士など,保健医療分野の専門職の方々がチームワークを組み,お互いの職責と役割を理解しつつ仕事を進めていかなければなりません.その意味で,本書は上述の幅広い保健医療職を目指す学生諸君の教科書として,また,第一線で公衆衛生および保健予防活動に従事している方々の活動の手引き書として役立つことを考慮しました.
 本書の内容については,まだまだ不十分な点もあると思います.何とぞ皆様方の忌憚のないご意見,ご批判をいただきたく,また,不正確な記述などを指摘していただければ幸いです.
 最後に,改訂に当たり煩わしい仕事を快く引き受けてくださった医歯薬出版株式会社のスタッフ各位に厚く御礼申し上げます.
 2023年1月
 編者 柳川 洋,尾島俊之


第1版の序
 公衆衛生といえば,かつては乳幼児を筆頭にすべての人びとの延命を第一の目標としたものであったが,わが国では今やその目標はほぼ達成されて,世界でも有数の低乳児死亡率や高平均寿命を享受できるような時代となってきた.当然のことながら,公衆衛生の目標も高齢化対策や人生の質(quality of life)の向上などに向けられつつあるわけで,問題はこのような目標の変化に公衆衛生従事者がいかに適切に対応するかということであろう.
 公衆衛生学とは,公衆衛生活動の理論的根拠となるべきものであるが,上述したような意味では公衆衛生学も日々新たでなければならないし,事実これほど変動の激しい学問も珍しいかもしれない.今日の公衆衛生が多くの職種の人たちのチームワークによって支えられていることは周知の通りであるが,共通の学問である公衆衛生学をそれぞれの立場から勉強していただき,変貌する公衆衛生の目標にどう対応すべきかを考えてほしいというのが本書を出版した編著者らの願いである.
 本書は,主として栄養士ならびに管理栄養士をめざす人たちを対象に編さんされており,その内容構成は厚生省が定めた栄養士・管理栄養士養成カリキュラム(昭和62年改正)に忠実に従っている.すなわち,全体を15の大項目(章に相当)に分け,1項目平均3時間の講義で合計45時間,4単位となるように配列した.中項目(節に相当)は当初の予定より増えて全体で63項目となったが,いずれにしても大項目間あるいは中項目間で記述の長さにアンバランスのある点は今後改訂する必要があるかと考えている.今回は,講義時間の配分などで調整していただければ幸いである.
 本書は,もともと医歯薬出版から同じ目的で昭和43年以来出版されていた「公衆衛生学」(曽田長宗・重松逸造・黒子武道著)を全面改訂する意図で準備が進められていたが,公衆衛生分野の急速な変化と進展を考えて,それにふさわしい新著者による新著ということに方針を切換えたものである.現在,公衆衛生の第一線で活発に活躍しておられる3著者の執筆になる本書は,読者各位のご期待に十分そいうるものと確信している.本書について,忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いである.
 1990年3月
 重松逸造

目次

CHAPTER 1 社会と健康
 (柳川 洋)
 1─健康の概念
 2─公衆衛生の概念
 3─疾病予防と健康管理
  1 疾病予防の段階
  2 健康管理
  3 ヘルスプロモーション
  4 公衆衛生活動の進め方
 4─健康格差の是正
CHAPTER 2 環境と健康
 (黒沢洋一)
 1─生態系と環境の保全
 2─地球規模の環境破壊
  1 温暖化
  2 酸性雨
  3 オゾン層破壊
  4 砂漠化
  5 化学物質による汚染
 3─環境汚染と健康影響
  1 環境汚染
  2 公害
 4─環境衛生
  1 気候,季節
  2 空気
  3 温熱
  4 上水道と下水道
  5 建築物衛生
CHAPTER 3 健康,疾病,行動にかかわる統計
 1─保健統計とは(柳川 洋)
 2─人口静態統計
  1 人口の動向
  2 人口増減の要因
  3 人口構造と人口指標
  4 人口の高齢化と公衆衛生
 3─人口動態統計(中村好一)
  1 出生
  2 死亡
  3 乳児死亡,死産,周産期死亡
  4 婚姻と離婚
  5 人口動態統計特殊報告
 4─生命表
 5─疾病統計
 6─その他の保健統計
 7─死因統計と死因分類
 8─政府統計の総合窓口(e-Stat)
CHAPTER 4 健康状態・疾病の測定と評価
 (柳川 洋)
 1─疫学の概念
 2─疫学指標
 3─バイアスと交絡の制御(率の標準化)
 4─疫学の方法
  1 観察研究
  2 介入研究
 5─スクリーニング
  1 意義
  2 妥当性
  3 評価の指標
  4 スクリーニング実施の条件
 6─因果関係の判定
 7─疫学研究と倫理
 8─リスク・アナリシス(リスク分析)
  1 リスク・アセスメント
  2 リスク・マネジメント
  3 リスク・コミュニケーション
CHAPTER 5 情報とコミュニケーション
 (中村好一)
 1─情報とは
 2─エビデンスに基づいた医療(EBM)および保健対策(EBPH)
 3─情報収集
  1 文献(論文)
  2 書籍
  3 インターネット
  4 どのようなかたちの情報が信用できるか
 4─情報マネジメント
 5─個人情報の保護
 6─情報の守秘義務(セキュリティ)
CHAPTER 6 生活習慣(ライフスタイル)の現状と対策
 (大木いずみ)
 1─生活習慣と健康
  1 食生活と栄養
  2 身体活動・運動
  3 睡眠・休養・ストレス
  4 喫煙
  5 飲酒
  6 歯および口腔保健
 2─健康日本21
CHAPTER 7 主要疾患の疫学と予防対策
 (小林勝義)
 1─生活習慣病
 2─がん
  1 主要部位のがん
  2 がん対策
  3 がん検診
 3─循環器疾患
  1 動脈硬化
  2 高血圧
  3 脳血管疾患
  4 心疾患
 4─代謝疾患
  1 肥満症とメタボリックシンドローム
  2 糖尿病
  3 脂質異常症
 5─骨・関節疾患
  1 骨粗鬆症,骨折
  2 変形性関節症(OA)
  3 ロコモティブシンドローム
 6─その他の疾患
  1 慢性腎臓病(CKD)
  2 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  3 認知症
  4 難病法と難病対策
CHAPTER 8 感染症
 (牧野伸子)
 1─感染症と疫学
 2─感染症法の概要
 3─予防接種法の概要
 4─検疫法の概要
 5─主要感染症の疫学
  1 結核
  2 後天性免疫不全症候群(AIDS)
 6─世界の感染症
  1 エボラ出血熱
  2 中東呼吸器症候群(MERS)
  3 重症急性呼吸器症候群(SARS)
CHAPTER 9 精神疾患
 (堤 明純)
 1─精神障害者の現状
 2─精神保健対策
  1 精神保健対策の歴史
  2 医療体制
  3 地域における精神保健福祉活動
  4 福祉サービスと社会復帰支援
 3─職場のメンタルヘルス
CHAPTER 10 自殺,不慮の事故,虐待,暴力
 (堤 明純)
 1─自殺
 2─不慮の事故
 3─虐待・暴力
CHAPTER 11 保健・医療・福祉のしくみ
 (島田美喜)
 1─社会保障の概念
 2─保健・医療・福祉における行政のしくみ
  1 保健医療福祉行政とは
  2 地方自治のしくみ
  3 国・都道府県・市区町村の役割
  4 衛生行政の体系
 3─保健医療福祉に関する法令
  1 法令とは
  2 保健医療福祉に関する主な法令
 4─多職種の役割と連携
CHAPTER 12 医療制度
 (中村美詠子)
 1─日本の医療制度
  1 概要
  2 歴史
 2─医療保険制度
  1 社会保険
  2 医療保険
  3 高齢者医療制度
  4 公費負担医療
 3─医療提供体制
  1 医療施設
  2 医療従事者
 4─医療費
 5─医療法と医療計画
  1 医療法
  2 医療計画
 6─保険者の役割とデータヘルス計画
CHAPTER 13 福祉制度
 (尾形由起子)
 1─社会福祉
  1 社会福祉の概念
  2 社会福祉の歴史
  3 児童福祉・母子福祉
  4 高齢者福祉
 2─社会福祉施設
 3─障害者福祉
  1 障害者対策の始まり
  2 障害者総合支援法
 4─障害者福祉施設
 5─在宅ケア,訪問介護
 6─福祉関連法規
CHAPTER 14 地域保健
 1─地域保健活動の概要(柳川 洋)
 2─地域保健法
 3─健康危機管理(尾島俊之)
  1 健康危機管理とは
  2 健康危機管理の4本柱
  3 健康危機管理を担う組織
CHAPTER 15 食品衛生
 (川村 堅)
 1─食品衛生と食品安全行政
  1 食品衛生とは
  2 食品安全行政の概要
 2─HACCPによる衛生管理
 3─食中毒
  1 食中毒とは
  2 細菌による食中毒
  3 ウイルスによる食中毒
  4 化学物質による食中毒
  5 寄生虫による食中毒
  6 自然毒による食中毒
  7 微生物による食中毒予防の三原則
 4─食中毒の現状
CHAPTER 16 母子保健
 (尾島俊之)
 1─母子保健の概要
 2─母子保健法
 3─母子健康手帳
 4─乳幼児健康診査
 5─保健指導
 6─新生児マススクリーニング
 7─健やか親子21
 8─少子化対策
 9─児童虐待防止
CHAPTER 17 成人保健
 (尾島俊之)
 1─生活習慣病の発症予防と重症化予防
 2─特定健康診査・特定保健指導
 3─高齢者の医療の確保に関する法律
CHAPTER 18 高齢者保健・介護
 (尾島俊之)
 1─高齢者保健・介護の概要
 2─介護保険法
 3─介護予防
 4─要介護認定とケアマネジメント
 5─地域包括支援センター
 6─介護施設,老人保健施設
 7─地域包括ケアシステム
CHAPTER 19 産業保健
 (黒沢洋一)
 1─労働と健康
 2─労働安全衛生法
 3─労働安全衛生対策
  1 作業環境管理
  2 作業管理
  3 健康管理
 4─産業保健従事者
 5─労働衛生行政
 6─職業と健康障害
  1 産業疲労
  2 職業病
 7─労働災害
CHAPTER 20 学校保健
 (中村好一)
 1─学校保健の概要
 2─学校保健統計─児童・生徒の健康状態
 3─学校保健安全法
 4─学校保健従事者
 5─学校保健安全対策
 6─学校給食
 7─栄養教諭
 8─学校感染症
CHAPTER 21 国際保健
 (若林チヒロ)
 1─地球規模の健康問題
  1 グローバルヘルス(Global health)
  2 保健水準の国際比較
  3 死亡原因にみる保健水準
  4 世界人口と人口問題
  5 健康の保持に必要な水と食糧の確保
 2─グローバルヘルスの基本概念
  1 アルマ・アタ宣言とプライマリヘルスケア(PHC)
  2 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)
  3 持続可能な開発目標(SDGs)
 3─国際協力
  1 国際協力の概念と歴史
  2 日本の国際保健活動
 4─保健関連の国際機関
  1 世界保健機関(WHO)
  2 国連食糧農業機関(FAO)
  3 コーデックス委員会(CAC)
  4 国連世界食糧計画(WFP)
  5 国連児童基金(UNICEF)
  6 国連人口基金(UNFPA)
  7 国連エイズ合同計画(UNAIDS)

 COLUMN
  健康水準の地域格差
  海洋汚染
  リサイクルに関する法整備の歴史
  70年前と現在の寿命の変化
  死亡率と出生率の誤用
  エビデンスと健康政策
  たばこの歴史と新型たばこ
  成人病から生活習慣病,そしてNCDsへ
  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状
  職場のメンタルヘルス対策
  景気変動および失業率と自殺率
  医療における多職種連携
  医師数の都道府県格差
  児童相談所と児童虐待防止対策
  生活保護─変遷と現状の課題
  保健所活動の現状と課題
  希望出生率
  健康増進法におけるがん検診等
  高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施
  テレワーク
  いじめ,差別,人権

 索引

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【編著者略歴】
柳川 洋【やながわひろし】
 1966年 金沢大学大学院医学研究科修了
 1966年 米国ペンシルバニア大学医学部客員研究員
 1967年 国立公衆衛生院疫学部室長
 1977年 自治医科大学公衆衛生学教授
 1999年 埼玉県立大学副学長
 2002年 自治医科大学名誉教授
 2003年 埼玉県立大学学長
 2007年 埼玉県立大学名誉教授
 元・日本疫学会理事長,元・国際疫学会理事

尾島俊之【おじまとしゆき】
 1987年 自治医科大学医学部卒業
 1992年 愛知県設楽保健所長
 1995年 自治医科大学公衆衛生学助手
 2002年 米国UCLA公衆衛生大学院留学
 2006年 浜松医科大学健康社会医学講座教授
 日本疫学会理事,日本公衆衛生学会理事
 元・日本混合研究法学会理事長

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柳川洋・尾島俊之 編著/大木いずみ・尾形由起子・川村堅・黒沢洋一・小林勝義・島田美喜・堤明純・中村美詠子・中村好一・牧野伸子・若林チヒロ 著