やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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細菌学的アプローチによる歯内療法の臨床
バイオフィルム感染症として捉え解決に導く

定価 6,600円 (本体 6,000円+税10%)
  • 総頁数:96頁 / カラー
  • 判型:A4判変
  • 発行年月:2023年2月
  • ISBN978-4-263-44670-6
  • 注文コード:446700

歯髄の感染をバイオフィルム感染症として捉え,歯内療法の治療戦略を問い直す
-そして,細菌学的理解に基づく歯内療法の実践へ!

内容紹介

・臨床と研究(基礎)の第一線で活躍する二人の著者が,歯髄の感染をバイオフィルム感染症として捉え,歯内療法の治療戦略を問い直す
・歯内療法にパラダイムシフトを起こしているNiTiロータリーファイル.そのメリットと課題を浮き彫りにし,具体的な器具の選択方法を教示
・化学的根管清掃の意義と効果,薬剤活性化の方法について細菌学的な観点から再検討し,効果的かつ適切な根管洗浄方法を提案
・歯内療法に関連する最新の細菌学的知見が深まる一冊です

序文

はじめに
 近年,歯内療法は大きなパラダイムシフトの中にあるとされています.Mineral Trioxide Aggregate(MTA)の開発に始まったバイオセラミックス系材料の進化は,歯髄保存療法をはじめ,パーフォレーションや根尖開大症例等,従来は保存困難とされてきた多くの難症例に対する予知性高い保存治療を可能としました.また,金属工学の進化はNiTiロータリーファイルの柔軟性や破折抵抗値を大幅に向上させ,それは治療中のファイル破折や根管形態の破壊という深刻なリスクを減少させました.こうした技術革新は,これまでゴールドスタンダードとされてきた歯内療法の術式にも変革をもたらしています.例えば熱処理NiTiロータリーファイルの登場は,根管形成時のストレートラインアクセス形成を最小限にすることを可能とし,従来切削していた歯頚部象牙質を可及的に保存することで,将来の歯根破折を積極的に予防しようという考え方につながっています.このような概念は「Minimally Invasive Endodontics(MIE)」として世界中に拡がってきています.
 一方,従来から歯内療法における最も重要なことは,バイオフィルムを含む感染源の除去であることはいうまでもありません.MIEとして形成された細い根管の中には,どの程度の感染源が残存することになるのでしょうか.またそれらは根管洗浄で除去可能なのでしょうか.研究では適切な濃度の次亜塩素酸ナトリウムを数分間作用させれば,バイオフィルムの発育を阻止しつつ,機械的にも除去されたという報告がいくつかなされています.しかし,実験のために短期間培養で作られたバイオフィルムと,私たちが臨床で経験する数年から数十年という時を経た感染根管内のバイオフィルムは,果たして同じものなのでしょうか.そもそも根管内にどれほどの細菌が存在すれば根尖病変が発症し,それらをどの程度除去すれば治癒に導けるのでしょうか.このような疑問に対する答えはまだ明確ではありません.ただし,研究は着実に進んでいます.次世代シークエンサーなどの基礎医学領域における進歩は,今まで知り得なかった口腔内のマイクロバイオームを明らかにし,ディスバイオーシスによる各種疾患との関係も少しずつ解明されてきています.それはやがて歯内感染の詳細解明と治療方法の開発につながってゆくものと考えられます.
 本書は,歯内感染がバイオフィルム感染症であるということを踏まえ,それに対して臨床医がどのように対応することが望ましいのかについて,基礎医学と一般臨床の2つの観点から考察していきます.現時点における根管内細菌に関する情報を整理し,それを基に臨床の質を少しでも向上させるために何ができるのかを,ともに考えていただくことを目的としています.読者の先生方にとって,本書が困難な歯内療法症例を解決に導くための一つのきっかけとなることを願う次第です.
 阿部 修

目次

 はじめに
序論 対談:バイオフィルム感染症としての治療戦略とは?
 (石原和幸・阿部 修)
01 根管形成のパラダイムシフトと微生物学的視点から考える問題点
 (阿部 修)
02 根尖性歯周炎のマイクロバイオーム解析
 (石原和幸)
03 根管内バイオフィルムの質を考慮した歯内療法
 (阿部 修)
04 根尖性歯周炎の処置とバイオフィルム
 (石原和幸)
05 根尖部の残存細菌を減少させるためにできること
 (阿部 修)

 索引

書評

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書評:木ノ本喜史 先生 (『歯界展望』2023年7月号掲載 PDFファイル)

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

石原和幸【Kazuyuki Ishihara】
 1989年 東京歯科大学微生物学講座助手
 1992年 米国Texas大学San Antonio Health Science Centerに留学
 1993年 米国New York州立大学Buffalo校に留学
 1994年 東京歯科大学微生物学講座講師
 2002年 東京歯科大学微生物学講座助教授
 2007年 東京歯科大学微生物学講座准教授(職名変更)
 2008年~東京歯科大学微生物学講座教授

阿部 修【Shu Abe】
 2000年 東京歯科大学卒業
     平和歯科医院勤務
 2006年 東京歯科大学大学院修了
 2006年 平和歯科医院開業
     東京大学医科学研究所幹細胞組織医工学研究部門客員研究員(~2008年)
     東京歯科大学非常勤講師(~現在)
 2016年~日本歯内療法学会国際交流委員
     関東歯内療法学会常任理事

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石原和幸・阿部修 著