やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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歯科技工士教本
顎口腔機能学

発行時参考価格 3,200円
  • 総頁数:122頁
  • 判型:B5判
  • 発行年月:1995年4月
  • ISBN978-4-263-43042-2
  • 注文コード:430420

内容紹介

歯科技工士として知っておかなければならない咬合の知識・咬合器の取り扱いを示すとともに,下顎運動と咬合面形態の動的学習用チャートを付して理解しやすいように配慮した.

序文

推薦の序

 厚生省健康政策局歯科衛生課長 佐治靖介

 本格的な高齢化社会を迎えるなか,歯科医療における歯科技工物の需要はますます増大し,今後とも歯科技工業務を担う歯科技工士の役割はいっそう大きなものになると思われる.それに伴い資質の高い歯科技工士の養成確保が重要な課題となっている.
 1955年(昭和30年)の歯科技工法制定以来,時代の要請に合わせて種々の見直しが行われてきた.厚生省においては「歯科技工士養成の改善等に関する検討会」(座長:林都志夫)が1990年(平成2年)12月に設置され,高度な技術水準を有する資質の高い歯科技工士を適正に確保していくため,今後の歯科技工士養成のあり方について幅広く検討が重ねられ,1992年(平成4年)3月報告書が提出された.その結果として歯科技工士養成所指定規則の一部改正ならびに歯科技工士養成所教授要綱の改正が同年12月に行われたところである.
 また,歯科技工士が免許取得後に活躍する就業場所として歯科診療所や病院の歯科技工室と並んで歯科技工所があるが,近年その作業環境や管理運営状態が問題化されてきており,1992年(平成4年)12月には「歯科技工所運営に関する検討会」が設置され,歯科技工所の設備構造基準から廃棄物処理等に至るまで幅広く検討が行われ,1993年(平成5年)7月報告書が提出された.
 このような時期において全国歯科技工士教育協議会はじめ関係各位の御尽力により,歯科技工士養成所指定規則の学科課程に準拠し,従来の教本を見直し,歯科技工士教本が出版の運びとなったことは誠に意義深く,心からお慶び申し上げる次第である.
 本書が教育関係者や学生諸君に十分活用され,適正かつ充実した教育が実施されることにより,新しい時代に適応した資質の高い歯科技工士が輩出されることを念願し,推薦の序としたい.
 1994年1月20日

発刊の序

 歯科技工士養成所指定規則の改定・改正,さらに歯科技工士試験出題基準の作成に伴い,全国歯科技工士教育協議会は歯科技工士教本を過去2回にわたり編集,発刊してきた.
 前回の歯科技工士教本は1989年春にそのほとんどが発刊された.
 全国歯科技工士教育協議会は1989年より「歯科技工士教育改善検討委員会」を設置し,教育内容,養成年限,養成者数などについて検討してきた.
 一方,厚生省においても上記と同様の主旨で「歯科技工士養成の改善等に関する検討委員会」(委員長:林都志夫)が設置され,1992年3月に報告書がまとめられた.これに基づき1992年12月には歯科技工士養成所指定規則が改定された.この改定によって歯科技工士教育の教授要綱が改められた.新教授要綱では総授業時間数2200時間は変更がないものの,新科目の設置,科目の再編および選択科目の設置が行われた.
 さらに,これまでの「歯科技工法」が1994年2月2日(公布)「歯科技工士法」に改められ,同時に同法の第14条が改正された.このことはこれまで,厚生省管轄の歯科技工士養成所によってのみ行われてきた歯科技工士の養成が,今後は文部省管轄の歯科技工士学校によっても行われることを意味する.
 そこで全国歯科技工士教育協議会としては「教科書編集等に関する検討会」を主体として今回の歯科技工士教本の発刊にあたり,これら歯科技工士の養成を取り巻く環境の変化に対応するべく,科目間の再編を含む目次だての検討,著者の選出を慎重に行ってきた.
 執筆者諸氏にはこのような経過に対する深いご理解と早期発刊にむけての真摯なご努力をいただき,今回の歯科技工士教本発刊のはこびとなった.
 このように,時代に即して編集された新しい教本であるので,歯科技工界の将来を担う有望な歯科技工士を養成するために教育の現場で十分活用されることを期待する.
 最後に,教本の執筆者の方々に対して感謝申し上げるとともに,出版にあたられた医歯薬出版株式会社に深く謝意を表する.
 1994年2月10日 全国歯科技工士教育協議会 会長 渡辺嘉一

序文

 本書は1992年12月の歯科技工士養成所指定規則の改正に伴い,歯科技工士教育の教授要綱に新たに登場した学科目である.また「顎口腔機能学」という名称も,従来,歯学教育のなかにも,学問分野の名称のなかにもない新しい名称である.このことは,歯科技工士教育はミニ歯科医師教育であると考えられがちであったが,そうではなく自立した一つの教育分野であることを示している.そして,この分野においては歯科技工学を確立しながら新教育学科が誕生する道と,この「顎口腔機能学」のように新しい名称でこれまでの歯科界にはないが,歯科技工士教育,ひいては歯科技工界に必要であると協議され,誕生する学科があることをも示している.
 「顎口腔機能学」をどうとらえるのか,全国歯科技工士教育協議会の編集会議でも議論をいただき,さらにこの新学科を学生にわかりやすく解説するにはなど,多面的に考えた.その結果,「顎口腔機能学」に対する著者としての概念はさておき,また将来はより理想的なものに確立されるとしても,一歩一歩,向上していけばいいのであって,とりあえず全国的な現状にそくしたところから出発することとした.
 現状を考えるうえで2つのポイントがあって,その一つは旧教本の『歯冠修復技工学・歯冠修復編』の付章,「下顎運動と咬合器」の項目と『有床義歯技工学・総義歯編』の第4章「下顎運動と咬合器」の項目を統一・整理し,歯科技工士として知っておかなければならない咬合の知識・咬合器の取り扱いを示した.今一つは顎口腔の解剖学,生理学などは前章に組み立てる方法が正論であろうと考えたが,歯科技工士教育での解剖では神経機構は含まれていないし,顎口腔の生理学もなされていない.また学生にとっては必ずしも解剖学が得意でないばかりか,嫌がって苦手な学科とする傾向が多く,そうした抵抗感を避ける意図で,最終章として顎口腔系の機能と関連した解剖学的なものを扱った.実際の教育においては,それぞれの事情に応じて,この章が前に扱われてもよいと考えている.
 図や写真は極力大きくし,顎顔面・歯列の図は臨床にそくして患者の右側を示した.また,原寸大で示した図はグレーの地で表してより理解しやすいように工夫した.
 各章の分担として有床義歯の章は大木一三教授,歯冠修復および総論的な章は私と波多野泰夫が著者となった.大木一三教授の教室員の永井栄一氏にもご努力いただいて完成したことを感謝したい.
 現在の歯科技工士で咬合を軽視したり,咬合器を使用しないで技工を行うことは考えられない.そうした意味からも本書を技工士教育に十分生かしていただき,早い時期に顎口腔機能学の基礎学科を歯科技工士教育のなかに取り入れる時代がくることを期待したい.
 最後に,全国歯科技工士教育協議会教科書編集委員,また医歯薬出版株式会社の編集担当の方々に深甚なる謝意を表します.
 1995年3月1日 渡辺嘉一

目次

1 顎口腔系の機能……1
 1.顎口腔系とその機能……1
 2.顎口腔系の機能と形態の維持……2
   チェックポイント……3
   歯列のバリエーション1……4
2 下顎位……5
 1.下顎位……5
   1.咬頭嵌合位(中心咬合位)……5
   2.中心位……8
   3.下顎安静位……8
   4.偏心位……8
   チェックポイント……11
   歯列のバリエーション2……12
3 下顎運動……13
 1.下顎運動の種類……13
 2.下顎運動の分析に関係する基準面・基準点……13
   1.矢状面……13
   2.水平面……15
   3.前頭面……15
   4.後方基準点……15
   5.前方基準点……15
 3.咬合に関係する平面と指標……16
   1.咬合平面……16
   2.フランクフルト平面……17
   3.カンペル平面……17
   4.HIP平面……17
   5.ボンウィルの三角……17
   6.バルクウィル角……17
 4.下顎の限界運動……18
 5.下顎の基本運動……18
   1.前方運動(前突運動)……19
   2.側方運動……21
   3.開閉運動……24
   4.後退運動(後方運動)……24
 6.機能運動……24
   1.咀嚼時の下顎運動……25
   2.嚥下時の下顎運動……25
   3.発音時の下顎運動……25
   チェックポイント……26
4 歯の接触様式……27
 1.歯の形態と機能……27
   1.機能咬頭と非機能咬頭……27
   2.被蓋……28
 2.咬頭嵌合位における咬合接触……30
   1.咬頭対窩……30
   2.咬頭対辺縁隆線……31
   3.咬頭嵌合接触の前頭面での分析……31
   4.咬頭嵌合接触の矢状面での分析……32
 3.偏心位における咬合接触(咬合様式)……34
   1.両側性平衡咬合……34
   2.片側性平衡咬合……35
   3.グループファンクションオクルージョン……36
   4.臼歯離開咬合……36
   5.前方運動時の咬合接触……37
   6.後方運動時の咬合接触……38
   7.その他の咬合様式……40
 4.咬合干渉……40
   1.咬頭嵌合位の咬合干渉……42
   2.平衡側の咬合干渉……42
   3.作業側の咬合干渉……42
   4.前方運動の咬合干渉……42
   チェックポイント……42
5 咬合器……43
 1.咬合器の使用目的……43
   1.修復物の製作……43
   2.咬合関係の診査……44
   3.咬合と下顎運動についての教育……44
 2.咬合器の機構と分類……44
   1.解剖的咬合器(顆路型咬合器)……44
   2.切歯指導板(インサイザルテーブル)……47
 3.下顎位,下顎運動の記録・再現と模型の装着……50
   1.解剖的咬合器の取り扱いステップ……50
   2.咬合器の操作ステップ……51
   3.咬合器使用時の注意点……52
   4.その他の咬合器……53
 4.平均値咬合器の使用手順……54
 5.半調節性咬合器の使用手順……55
   1.アルコンボックス型半調節性咬合器の使用手順……55
   2.下顎位の記録と再現……59
   3.下顎運動の記録と再現……62
   4.コンディラースロット型半調節性咬合器の使用手順……64
 6.全調節性咬合器……67
   チェックポイント……68
6 修復物の咬合……69
 1.修復物の咬合……69
   1.1歯の修復における咬合の付与……69
   2.臼歯の形態と蝋形成……74
   3.ブリッジおよび連結歯の咬合の付与……74
   チェックポイント……76
7 有床義歯の咬合……77
 1.部分床義歯の咬合……77
   1.咬合の診断……77
   2.咬合の不調和に対する処置……78
   3.部分床義歯の咬合様式……81
 2.全部床義歯の咬合……84
   1.全部床義歯の咬合の特徴……84
   2.咬合関係の診断……85
   3.咬合診断の対策……87
   4.全部床義歯の咬合様式……89
   チェックポイント……90
8 顎口腔系の形態……91
 1.顎口腔系の機能……91
 2.顎口腔系の形態……92
   1.歯と歯列……92
   2.顎口腔系を構成する骨……92
   3.顎口腔系に関係する筋……95
   4.顎関節……99
   5.その他の軟組織……101
   6.顎口腔系の神経支配……101
   チェックポイント……101
   下顎運動と咬合面形態の動的学習法……102

参考図書……103
講義の進め方目安例……104
さくいん……105

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【著者略歴】
渡辺嘉一 わたなべかいち
 1934年 東京に生まれる
 1961年 日本歯科大学卒業
 1961年 日本歯科大学助手
 1967年 日本歯科大学講師
 1970年 日本歯科大学助教授
 1988年 日本歯科大学附属歯科専門学校技工士科科長併任
 1993年 日本歯科大学附属歯科専門学校校長併任(現在に至る)
 1996年 日本歯科大学教授
大木一三 おおきかつぞう
 1934年 東京に生まれる
 1959年 日本大学歯学部卒業
 1963年 日本大学大学院歯学研究科修了
 1963年 日本大学歯学部講師
 1965年 日本大学歯学部助教授
 1973年 日本大学歯学部教授
波多野泰夫 はたのやすお
 1951年 東京に生まれる
 1975年 日本歯科大学卒業
 1979年 日本歯科大学大学院修了
 1979年 日本歯科大学助手
 1979年 日本歯科大学附属歯科専門学校講師併任(現在に至る)
 1981年 日本歯科大学講師

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