序文
本書は,基本的な知識に加え,現代の歯科医療に沿った新しいエッセンスを取り入れた最新の歯科衛生士学生用のテキストである.大学教員に加え,最先端の歯科医療を導入している臨床歯科医や臨床衛生士にも執筆をお願いし,現在および今後必要となる口腔衛生学・歯科衛生統計をよりわかりやすくまとめた.また,歯科衛生士学生のみならず,歯科医療に携わるデンタルスタッフにも活用できる.
現在の日本は,感染症,気象変動,経済の変化,情報網の発達,人口,少子高齢化,外国人の流入などさまざまな変化に直面している.歯科医療従事者は,これらにいち早く対応できる歯科医療を提供しなければならない.口腔衛生学を正しく学ぶこと,歯科衛生統計を正しく理解することは,歯科衛生士として活動していくために重要なことであり,かつ要かなめとなる.
福沢諭吉は,「学問の要は活用にあるのみ.活用なき学問は無学に等し」という言葉を残した.まさに本書は,この言葉を実践するための知識や技術を学ぶためにうってつけのテキストである.
2020年のオリンピック,また2025年にかけて日本は「団塊の世代」の超高齢社会に伴う医療システムの変革期を迎える.これまで受けられた「当たり前の医療」の形が,さまざまな理由で変わっていくことが予想され,世界における日本の歯科医療がより注目され,その情報は一瞬のうちに世界中を駆け巡ることであろう.わが国では実際の医療の質と比べ,「受けられる医療に満足していない」人が多いことが指摘されている.患者と医療従事者の信頼関係が満たされない限り,医療は成立しない.医療従事者の能力,誠意がより必要となり,常に歯科衛生士として試されることになる.
本書は,口腔衛生学・歯科衛生統計を学ぶことを通じて,歯科衛生士が患者との信頼関係のもとに歯科医療を施せる一助になると確信している.また,歯科衛生士としての将来像を描くにも最適であろう.
著者一同,歯科衛生士学生に本書をぜひ活用していただき,新しい時代の幕開けに備えられることを願っている.
2018年1月
泉福英信