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高次脳機能障害マエストロシリーズ リハビリテーション介入 第2版
4,180円(税込)
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高次脳機能障害マエストロシリーズ
リハビリテーション介入 第2版

定価 4,180円 (本体 3,800円+税10%)
  • 総頁数:188頁 / 2色
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2026年11月
  • ISBN978-4-263-21568-5
  • 注文コード:215680

序文

第2版 序
 本書の初版を刊行してから,20年余りが経った.初版の序には「近い将来,マエストロを目指す読者の皆さんの手で課題を克服し,本書が改訂されていくことを望んでいる」と記されている.この改訂では,当時このシリーズを手にしてくださった「皆さん」が執筆者として加わってくださり,思いがけず,私の希望が実現することとなった.
 某AIに確認したところ「序文には不釣り合いな表現です」と言われてしまったが,この介入編は,丸くて,泥臭い,でも根っこのある本であると私は感じている.
 論文での症例報告は,ある臨床疑問を緻密に研磨し,新たな知見など先端をつくる必要がある.この本では,執筆者のそれぞれが大切にしている症例を挙げ,障害像や介入方法だけを切り取らず,対象者と対峙し,対象者を理解しようと考え,悩み,試み,また考えるという臨床そのものを語っている.結果,良い意味で,丸くて,泥臭くなった.編集では,評価編と介入編で同じ症例を取り上げていただき,一人ひとりの輪郭が失われないことを心がけた.
 高次脳機能障害に対するリハビリテーションの営みは,時代や立場が違っても変わらない.初版の終章である「介入の概説:介入の視点および今後必要になること」において,鎌倉矩子先生は「患者/クライエントを助ける方法は自力で,自身の問題意識に基づいて探っていかなければならない」と述べられている.本書では,あえて初版の終章を再掲した.そこには,この本の根っこがあるからだ.
 加えて,今回の改訂では,障害とともに生きる当事者にも執筆者として加わっていただいた.支援する側だけで本書が構成されていないことも,今回の改訂で加わった新たな根っこの一つである.
 本書の編集を通して,私自身もまた,対象者を理解すること,介入することの意味をあらためて考えることになった.大切な経験と知識,また,症例と臨床を本書に託してくださった執筆者の皆様に,心より感謝申し上げたい.また,初版から20年余り本シリーズに携わり,今回も私たちの意図を汲み取り,本書が形になるまで辛抱強く支えてくださった医歯薬出版編集部の塚本あさ子氏に,深く御礼申し上げる.
 20年前に思い描いたように,かつての読者が今,本書を書き継いでくださった.さらに時を経たとき,この本から何かを受け取った誰かが,それぞれの臨床のなかでまた次へとつないでくれていたなら,これほどうれしいことはない.
 2026年9月
 編者を代表して
 早川裕子


初版 序
 本書は,高次脳機能障害に対する「リハビリテーション介入」のマエストロを目指す人を対象にしたものである.内容は,高次脳機能障害に対するリハビリテーション(以下リハ)の現状,および現時点で示しうる訓練法のモデルとその理論を盛り込むことを目指した.よって執筆は実際に高次脳機能障害のリハに携わっておられる先生方に依頼し,症例の呈示を主体に構成している.
 実際のところ,高次脳機能障害に対する介入は一筋縄ではいかない.障害をもってしまった本人はもちろん困惑しているが,こちらも悩み,苦しむ.食事をしていても,トイレでも,テレビを見ていても,「この皿の上のハンバーグはどう見えているのだろう」「便器にうまく座れないってどういうことだろう」「このニュースはどうやって理解されるのだろう」と,担当した方のことが四六時中,心から離れなくなる.学校で習ったノートを持ち出したり,本を拾い読みしたり,先輩に相談したりしながら,何をどうすれば気持ちよく生活してもらえるようになるか,試行錯誤し,悪戦苦闘しながら行っているのが現状であろう.
 高次脳機能障害への介入が難しいのは,私たちの障害に対する知識が追いついていないことも原因のひとつではあるが,障害そのものを追体験しにくいという特徴があることも一因だろう.たとえば,車いすによる移動や片手での家事動作をシミュレートし,何が困難かを想像することは比較的容易だが,自分の体や洋服がどういうものかを理解していながら更衣ができないことや,歯ブラシの用途がわからなくなって髪をとかしてしまうという経験を共有することは,不可能に近い.さらに高次脳機能障害は周囲の環境や状況にも非常に敏感で,浮動性も大きい.原理原則をもって介入することは理想的ではあるが,実際には本当に難しい.にもかかわらず,臨床の現場では自分がどんなに未熟で知識が不充分でも,障害の見立てが充分にできていなくても,目の前にいる人に介入せざるを得ないのである.
 本書の総論では,対象者本人の気づきの重要性や,評価の解釈を確認して介入を組み立てていく方法を示し,各論では,具体的な症例を呈示する構成をとった.症例の呈示にあたっては,現時点で示しうる個々の障害への訓練方法とその理論,また,さまざまな支援方法や施設・地域での取り組みの紹介とあわせて執筆をいただいた.介入理論は,臨床で応用しやすい実践的な理論を呈示するよう努力したが,まだ不充分なところがあるかと思う.また,支援においても社会資源の貧困さ,家族支援の困難さなど,多くの課題も明らかにされている.
 読者の皆さんには,常に自分の臨床と結びつけて読みすすめていただきたいと思う.さらに,鎌倉矩子先生が最終項で提起されている,「高次脳機能障害に対する介入の変遷」「いま私たちが立つ位置」「今後のあり方」についても考えていただきたい.そうすることで,明日の臨床のヒントが導かれ,いま取り組むべき課題が明確になるものと考える.近い将来,マエストロを目指す読者の皆さんの手で課題を克服し,本書が改訂されていくことを望んでいる.
 末筆ながら,お仕事の時間を割いて貴重なご執筆をいただきました先生方に心から感謝いたします.また,刊行まで種々尽力してくださった医歯薬出版編集部に感謝いたします.
 2006年6月
 編者を代表して
 早川裕子

目次

総論
1 高次脳機能障害のリハビリテーション治療と支援
 (青木重陽)
 高次脳機能障害のリハビリテーションを考えるにあたって
 高次脳機能障害の難しさ
 神経心理学的リハビリテーションのアプローチ
 包括的全人的神経心理学的リハビリテーションの開発
 包括的全人的神経心理学的リハビリテーションの実際
 当事者 鈴木氏の提言から
 長期支援とチームアプローチの必要性
 おわりに
2 高次脳機能障害に介入するとはどういうことか
 (早川裕子)
 高次脳機能障害への介入とは理解することである
 二つの理解
 介入を設計する・実施する・確認する
 介入の可能性と限界
 おわりに
各論
3 二つのことを同時にできない 注意障害
 (堀越 歩,藤森秀子)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 注意障害に対する介入(障害介入の概説)
4 気が散って集中できない 注意障害
 (小久保香江,長谷川千洋)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 注意障害に対する介入(障害介入の概説)
5 新しいことが覚えられない・思い出せない 記憶障害
 (鈴木麻希)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 記憶障害に対する介入(障害介入の概説)
6 片側をぶつけやすい 半側空間無視
 (太田久晶)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 半側空間無視に対する介入(障害介入の概説)
7 歯ブラシを見ても何かがわからない 視覚失認
 (松川 勇)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 視覚失認に対する介入(障害介入の概説)
8 道に迷いやすい 地誌的障害
 (甲斐祥吾)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 地誌的障害に対する介入(障害介入の概説)
9 ハサミを使えない 失行
 (花田恵介)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 失行に対する介入(障害介入の概説)
10 服が着られない 着衣障害
 (山本 潤)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 着衣障害に対する介入(障害介入の概説)
11 いきあたりばったりの行動をする 遂行機能障害
 (酒井 浩)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 遂行機能障害に対する介入(障害介入の概説)
12 物を取ろうとしてもうまくつかめない Balint症候群
 (菅原光晴)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 Balint症候群に対する介入(障害介入の概説)
13 すぐに怒り,我慢ができない 社会的行動障害
 (川上克樹)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 社会的行動障害に対する介入(障害介入の概説)
14 すらすらと話すが,相手のはなしが理解できない 流暢性失語
 (中川良尚)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 流暢性失語に対する介入(障害介入の概説)
15 ことばがすぐに出てこない 非流暢性失語
 (吉村貴子)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 非流暢性失語に対する介入(障害介入の概説)
16 会話が理解できずに突然怒り出してしまう 聴覚性失認
 (有川瑛人)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 聴覚性失認に対する介入(障害介入の概説)
17 文字が読めない 失読
 (大森智裕)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 失読に対する介入(障害介入の概説)
18 コミュニケーションがとりにくい 右半球損傷後のコミュニケーション障害
 (永山千恵子)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 右半球損傷後のコミュニケーション障害に対する介入(障害介入の概説)
19 長期支援例 若年高次脳機能障害者の社会復帰支援
 (山田麻和)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 長期支援例への介入(長期支援の概説)
20 長期支援例 右半球損傷者の長期支援
 (上杉 治)
 ケース紹介
 ケースへの介入―私はこう介入・支援した
 長期支援例への介入(長期支援の概説)
21 当事者が考える支援のあり方―二つの提言
 (鈴木大介)
 はじめに
 私の問いと「軽度」と言われた実際の症状
 身体機能とは異なる回復曲線
 奪わない支援とは
 身体機能のゴールデンタイムに大切なこと
 援助要請力の支援
 おわりに
22 介入の視点および今後必要になること
 (鎌倉矩子)

 検査略語一覧
 索引

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