やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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新編 言語治療マニュアル

発行時参考価格 6,400円
  • 総頁数:420頁
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2002年3月
  • ISBN978-4-263-21128-1
  • 注文コード:211280

内容紹介

言語聴覚障害および関連障害の検査・訓練・指導法についての基本的知識を,言語療法の第一線で活躍中の執筆陣が懇切にわかりやすく解説した好評書.時代の要請に応えて,新たに自閉症・学習障害,発声(音声)障害,右脳損傷によるコミュニケーション障害,摂食・嚥下障害の章を加えて新編にした.

序文

序

 本書の前身である「言語治療マニュアル」は1984年11月に第1版第1刷が発行され,以来今日まで17年の間に9回にわたる増刷を重ねました.言語聴覚士の活動の核となる検査,訓練・指導の内容を具体的に記述したものは類書がないため,多くの読者の支持を得たものと思われます.この間,誤字脱字などの訂正は随時行ってきたものの,内容面に関してはほとんど手をつけずに今日に至りましたが,数年前より執筆者の中からこのままの内容での増刷に難色を示される方が出て来られました. また, 学問の進歩による新しい検査法や訓練・指導法も開発が進んでいる折から,前書の編集にあたった編者も,そうした最新の情報をできるかぎり盛り込んだ内容のものに改訂する必要性を感ずるに至りました.
 このたび発行元である医歯薬出版の担当編集者に編者の意向をお伝えしたところ,幸い全面的な賛同を得ることができ,改訂に着手することとなりました.
 改訂にあたっては,「言語聴覚障害および関連障害の検査・訓練・指導法についてコンパクトにまとめる」という前書の基本性格を踏まえつつ,一部項目の執筆者の変更,新しい項目の追加などを行い,最新情報を盛り込むことを目指しました.
 具体的には,改訂の中味は以下の5点に集約されます.
 1 前書で取り上げた8障害(言語発達遅滞,失語症,機能性(的)構音障害,口蓋裂,脳性麻痺,吃音,麻痺性構音障害,聴覚障害)について,最新情報を盛り込みました.
 2 「麻痺性構音障害」は,「運動性発話障害」という名称に改め,ここにディサースリア(dysarthria)と発語失行を含めました.なお,「ディサースリア(dysarthria)」については,定義と翻訳用語についての混乱が生じています.これまで,「麻痺性構音障害」「運動性構音障害」「運動障害性構音障害」のいずれかに訳されてきています.しかし,ディサースリアはその症状として単に構音の障害のみを示すのではなく,また,必ずしも麻痺によって生じるものでもありません.したがって,従来用いられてきた訳語はいずれも適切とはいえません.本書の第9章の執筆者である西尾氏は適切な訳語が見あたらないとして,英語名のまま「dysarthria」とするか,多くの医学用語がそうであるように,「ディサースリア」とカタカナ表記することを提案しています.以上のことを考慮し,本書では,西尾氏の提案を採用し,「ディサースリア」と表記することにしました.
 3 時代の要請に応えて,新たに,自閉症・学習障害,発声(音声)障害,右脳損傷によるコミュニケーション障害,摂食・嚥下障害を加えました.
 4 聴覚障害と摂食・嚥下障害については,小児と成人とで対応が大きく異なるため,二つに分けて記述しました.
 5 前書の付録として付けた生育歴調査用紙,言語聴覚士の活動の流れ図,報告書等の例は,割愛しました.
 各障害の記述には,いずれも以下のような内容が含まれています.
 「検査」では,検査の目的,適応,道具,注意事項などが簡潔に述べられています.
 「訓練・指導」では,障害ごとに,訓練・指導の目的,適応,教材・教具,手続き,注意事項などが具体的に記述されています.
 なお,本書は前書と同様,理論面の説明は必要最小限にとどめたため,本書を正しくかつ有効に利用していただくためには,言語聴覚障害および関連障害に関する基本的知識を習得していることが前提となります.また,各障害については成書を参照し,最近の知見にも触れておかれることが望まれます.
 編集段階では,前書と異なり,編者は最小限の介入しか行わず,また,どのような検査法,訓練・指導法を含めるかも各執筆者にお任せしました.その結果,検査・訓練・指導法のとりあげ方,文章のスタイル,用語・用字などに関して,やや統一を欠く部分もあると思われますが,そのことが本書の特色となっても,欠点とはならないと考えます.
 本書の執筆者は,わが国の言語治療・医療の第一線で指導的な役割を果たしておられる方々です.本書が所期の目的を達成しえたとすれば,それはひとえに各執筆者の日頃の研鑽と本企画に対するご協力の賜です.
 本書が,時代の要請に応えて,臨床現場の言語聴覚士の座右の書となり,また,言語聴覚士の教育のための参考図書として活用されることを願っております.
 なお,原稿の95%は書き下ろしであり,新しい章の追加や執筆者の交代,ページ数の増加などから総合的に判断し,本書のタイトルを「新編 言語治療マニュアル」としました.
 最後に,行き届いたお世話をいただいた医歯薬出版の編集担当者に謝意を表します.
 2002年2月
 伊藤元信
 笹沼澄子

目次

 序……伊藤元信・笹沼澄子

第1章 言語発達遅滞(小寺富子・倉井成子・山田麗子)
  1 検査
   1.言語・コミュニケーションおよび全般的発達・知能に関する検査
   2.記号形式―指示内容関係に関する検査
   3.文字言語検査
   4.記号形式―指示内容関係の基礎的プロセスに関する検査
   5.コミュニケーション行動に関する評価
  2 訓練・指導
   1.言語・コミュニケーションに関する諸アプローチ
   2.言語未習得から単語学習
   3.語連鎖レベルの訓練
   4.文字言語の訓練
   5.発信(表現)に関する訓練
   6.コミュニケーション行動の訓練
   7.環境への働きかけ
第2章 自閉症・学習障害(飯塚直美・大石敬子)
 自閉症
  1 検査
   1.全般的評価
   2.コミュニケーション,言語,社会的認知などの評価
  2 訓練・指導
   1.環境の構造化
   2.コミュニケーション行動の形成
   3.心理的状態を伝えたり援助を求める
   4.基本的な会話のルール
 学習障害
  1 検査
   1.音韻
   2.語彙
   3.意味
   4.統語
   5.語用
  2 訓練・指導
   1.話しことばの障害に対する指導
   2.読み書き障害に対する指導
   3.家族と学校に対する働きかけ
   4.授業への対策
第3章 機能性構音障害(船山美奈子・竹下圭子)
  1 検査
   1.構音検査
   2.発声発語器官に関する検査
   3.語音聞きとりに関する検査
    付表1~6
  2 訓練・指導
   1.音の獲得の段階
   2.ことばで使用する訓練
   3.語音の弁別,同定,モニタリングの訓練
   4.親への指導
第4章 口蓋裂(岡崎恵子)
  1 検査
   1.生育歴・病歴調査
   2.発語器官の形態と機能の検査
   3.鼻咽腔閉鎖機能に関する検査
   4.構音検査
   5.粘膜下口蓋裂,先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症の検査
   6.その他の検査(聴力検査,精神発達検査,言語発達検査など)
  2 訓練・指導
   1.両親に対する指導,助言
   2.哺乳指導
   3.鼻咽腔閉鎖機能に関する訓練
   4.構音訓練
第5章 脳性麻痺(森永京子)
  1 検査
   1.話しことばの準備段階に関する検査
   2.話しことばに関する検査
   3.その他の補足的検査
   4.その他の情報収集
  2 訓練・指導
   1.訓練指導をする前に
   2.話しことばの準備段階に関する訓練指導
   3.話しことばに関する訓練
   4.言語機能に関するもの
   5.その他
第6章 吃音(森山晴之)
  1 検査
   1.吃音症状に関するもの
   2.症状可変性に関するもの
   3.その他
  2 訓練・指導
   1.言語に直接働きかけるもの
   2.間接的に働きかけるもの
   3.その他
第7章 聴覚障害(中村公枝・廣田栄子)
 小児の聴覚障害
  1 検査
   1.聴力検査
   2.ことばの聴き取り検査
   3.言語検査
  2 指導・訓練
   1.指導機関・指導法選択のためのガイダンス
   2.母子コミュニケーション指導
   3.聴覚活用による指導
   4.人工内耳
   5.手指的手段の利用による指導
   6.発音・発語指導
   7.その他の指導
 成人の聴覚障害
  1 聴覚機能の臨床評価・検査
   1.標準純音聴力検査(pure-tone audiometry)
   2.語音聴力検査(speech audiometry)
   3.自記オージオメトリー(self-recording audiometry,Bekesy audiometry)
   4.リクルートメントに関する聴覚機能検査
   5.後迷路障害の聴覚機能検査(閾値上の聴覚機能検査)
   6.電気誘発反応聴力検査
  2 聴覚補償機器の評価と訓練(補聴器)
   1.補聴器特性測定・保守管理
   2.補聴器適合
   3.聴覚活用訓練(聴覚学習)
   4.読話併用訓練
   5.コミュニケーション理解の支援テクノロジー(assistive technology for the enhancement of receptive communication)
   6.聴覚ハンディキャップ評価(心理社会的障害観の評価)
  3 言語機能と発声発語機能の評価・検査
   1.言語機能の障害
   2.発声発語機能の障害
第8章 失語症(吉畑博代・本多留実・長谷川純・小山美恵・髙橋雅子・綿森淑子)
  1 評価―その目的と各検査の紹介
   1.失語症評価の目的と留意点―なぜ検査を行うのか
   2.スクリーニング検査
   3.総合的失語症検査
   4.掘り下げ検査
   5.コミュニケーション能力
  2 訓練・援助
   1.訓練実施に関する考慮点
   2.援助の3本柱と実際の訓練・援助
    資料 言語機能と関連した能力の検査
第9章 運動性発話障害(西尾正輝j
  1 検査
   1.発声発語器官の生理学的検査
   2.発話機能に関する検査
  2 訓練・指導
   1.呼吸機能に関するもの
   2.発声機能に関するもの
   3.鼻咽腔閉鎖機能に関するもの
   4.構音機能に関するもの
   5.発話速度に関するもの
   6.プロソディーに関するもの
   7.拡大・代替コミュニケーション・アプローチに関するもの
   8.発語失行症に関するもの
第10章 発声(音声)障害(倉智雅子)
  1 検査
   1.喉頭(声帯)の視診
   2.声帯振動の検査(視診)
   3.声そのものの評価
   4.声の高さと強さに関する検査
   5.空気力学的検査
   6.その他
  2 訓練・指導
   1.未成年者に対する訓練治療
   2.声の安静
   3.声の衛生
   4.主として声の高さを変える訓練
   5.主として声の大きさを変える訓練
   6.主として声の質を変える訓練
   7.発声時の緊張を増す訓練
   8.発声時の緊張を緩める訓練
   9.その他の訓練
   10.包括的な訓練
   11.無喉頭音声の訓練
第11章 右脳損傷によるコミュニケーション障害(竹内愛子)
  1 検査
   1.全体的障害像の把握
   2.面接時会話の評価
   3.非言語面の評価
   4.課題による言語運用面の検査
   5.既存の検査による評価
  2 訓練・援助
   1.訓練対象機能別のアプローチの方法
   2.家族への援助
第12章 摂食・嚥下障害(尾本和彦・岡田澄子)
 小児の摂食・嚥下障害
  1 検査
   1.口腔機能の観察による検査
   2.VF検査(ビデオ透視嚥下検査)
   3.超音波検査
  2 訓練・指導
   1.過敏の除去訓練(脱感作)
   2.食内容指導
   3.姿勢指導
   4.直接訓練
   5.間接訓練
 成人の摂食・嚥下障害
  1 検査
   1.病歴聴取
   2.身体所見の評価
   3.嚥下機能に関する検査
   4.摂食状況の評価
  2 訓練・指導
 間接的訓練
   1.嚥下過程全般に関する訓練
   2.気道を保護するための訓練
   3.食道入口部開大不全に対する訓練
   4.様々な代償的嚥下方法
 直接的訓練
   1.直接的訓練の前提
   2.直接的訓練に用いる補助的・代償的方法

 索引

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【執筆】
小寺富子 (元国立身体障害者リハビリテーションセンター 病院)
倉井成子 (国立身体障害者リハビリテーションセンター 病院)
山田麗子 (元国立身体障害者リハビリテーションセンター 病院)
飯塚直美 (よこはま発達クリニック)
大石敬子 (元国際医療福祉大学)
船山美奈子 (元国立身体障害者リハビリテーションセンター 学院)
竹下圭子 (神奈川県立こども医療センター)
岡崎恵子 (上智大学言語障害研究センター非常勤講師)
森永京子 (東京都立多摩療育園医療科)
森山晴之 (元国立身体障害者リハビリテーションセンター 学院)
中村公枝 (国立身体障害者リハビリテーションセンター 学院)
廣田栄子 (国際医療福祉大学)
吉畑博代 (広島県立保健福祉大学)
本多留実 (広島県立保健福祉大学)
長谷川純 (広島県立保健福祉大学)
小山美恵 (広島県立保健福祉大学)
髙橋雅子 (広島県立保健福祉大学非常勤講師)
綿森淑子 (広島県立保健福祉大学)
西尾正輝 (国際医療福祉大学)
倉智雅子 (広島県立保健福祉大学非常勤講師)
竹内愛子 (北里大学医療衛生学部非常勤講師)
尾本和彦 (心身障害児総合医療療育センター)
岡田澄子 (東京都老人医療センター)
(執筆順)
【編集】
伊藤元信 (国際医療福祉大学)
笹沼澄子 (国際医療福祉大学大学院)