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29巻1号 2020年1月号
特集 肝臓リハビリテーション Update
特集にあたって
 肝臓は代謝中枢機能を持ち,また消化吸収に重要な胆汁分泌や生体に不要な物質を排泄する胆汁色素代謝・解毒等,身体のホメオスターシスや健康を維持するための多くの重要な役割を果たしている.しかし,肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように,病気になっても当初は自覚症状に乏しく,肝硬変や肝がんといった重篤な事態になって初めて気づかれる場合も少なくない.重度の肝臓機能障害では,脱力感,掻痒感,筋肉痛,体重減少,腹水による腹部の膨満感,浮腫,消化管の静脈瘤の破綻による吐下血,脳症による意識障害・昏睡,食思不振・悪心・嘔吐等の症状により日常生活活動が制限される.
 肝臓機能障害は2010年4月に新たに追加された内部障害である.CRでは2011年4月号で「見えない障害,肝臓のリハビリテーション」というわが国初の肝臓リハビリテーションの特集を組んだ.それから,8年が経過した.この間に,肝臓機能障害の身体障害認定基準が緩和され,肝臓リハビリテーションの運動療法のエビデンスが大きく進歩を遂げた.
 そこで,本特集号では,肝臓機能障害の基礎疾患,身体障害認定基準の変更内容,障害の特徴,ADLや運動耐容能をレビューするとともに,慢性肝炎,肝硬変,肝がん,肝移植後の肝臓リハビリテーションの方法と効果について最新知見やエビデンスを交えながら解説いただくこととした.
 執筆者はこの領域でトップランナーとしてご活躍されている先生方であり,極めて充実した内容にしていただいた.すなわち,上月正博先生からは総論として肝臓リハビリテーションの考え方を明快に示していただいた.また,NAFLD/NASH患者のリハビリテーションを小田耕平先生らに,肝硬変患者のリハビリテーションを筆保健一先生らに,肝がん患者のリハビリテーションを西田佳弘先生らに,小児の肝移植後患者のリハビリテーションを峯 耕太郎先生らに,肝移植術後患者に対する微弱電気刺激療法を花田匡利先生らに,それぞれ,病態,運動耐容能やADL,運動療法の効果,食事療法・薬物療法の効果,リハビリテーション普及の阻害因子と解決法等に関してわかりやすく解説していただいた.
 肝臓機能障害は腎臓機能障害と並ぶリハビリテーション医学・医療のこれからの大きなターゲットである.本特集により肝臓機能障害を正しく理解するスタッフが増え,自信を持ってそのリハビリテーションの普及にますます貢献されることを期待する.(編集委員会)
目 次
肝臓リハビリテーションの考え方  上月正博
NAFLD/NASH患者のリハビリテーション  小田耕平,井戸章雄
肝硬変のリハビリテーション  筆保健一木村浩彰
肝がん患者のリハビリテーション:がんロコモとの新しい提言  西田佳弘,岡田貴士・他
小児肝移植後患者のリハビリテーション  峯耕太郎,井上彩・他
コラム
肝移植術後患者に対する神経筋電気刺激療法の効果  花田匡利,及川真人・他
新連載
巻頭カラー  リハの現場で役立つ! 目で見る動作・歩行分析 
1.健常歩行のバイオメカニクス@─重心と床反力─  勝平純司江原義弘 
筋電図を症例から学ぶ 
1. 手根管症候群  赤星和人 
連載
ニューカマー リハ科専門医 
  福井遼太 
リハビリテーション医療における臨床倫理 
6. 事例紹介 失語症  渡邊淳子 
現場で生かせるExcelシート付き! リハビリテーション自主トレーニング指導 
16.療養病院の自主トレーニング  稲垣貴義 
運動器・末梢神経の診察テスト法 
4.肩腱板断裂症例に対する診察テスト法  伊藤陽一,湯川晃矢 
急性期リハビリテーションの実際─なにを、いつ、どのように 
11. 大動脈解離・大動脈瘤  巴崇,安隆則 
心に残ったできごと―リハビリテーション科の現場から 
リハビリテーションとの出会い,スポーツを通しての広がり  伊佐地隆 
臨床研究 
順序尺度である発症前 modified Rankin Scale と入院時 Japan Coma Scale を説明変数に加えることで重回帰分析の予測精度が高まる  徳永誠,野口大助・他

CLOSE UP!! 
TOPICS 
手の外傷治療における最近の取り組み  酒井昭典,善家雄吉・他
学会報告 
第6回日本サルコペニア・フレイル学会大会  長野文彦
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