2018年6月23日（土），宇治徳洲会病院（京都府宇治市）において，「当直医マニュアル・セミナー2018」が開催された．
本セミナーは「当直医マニュアル」編集委員が講師・インストラクターを務め，現場での実際のマニュアルの使い方や，クリニカルパールなど診療の要点を生の言葉を通してダイレクトに伝えることで当直帯の実践力の向上を目指してもらうことを目的としている． 昨年に引き続き2回目の今回は，宇治徳洲会病院8名，京都民医連中央病院5名，および京都桂病院2名の計15名の1年目研修医の参加を得た(ポスターはこちら)．

第一部：ミニレクチャー

第一部ではミニレクチャー形式にて，3つの講演が行われた．

・発 熱
乗井達守 先生（ニューメキシコ大学附属病院，ビデオ出演）
・失 神
井上賀元 先生（京都民医連中央病院）
・整形外科疾患
吉岡篤志 先生（耳原総合病院）

いずれも，症候・身体所見からいかに見逃さないように的確な鑑別診断につなげるかなど，本マニュアルに記載されているポイント・チェックリストを活用しての分かりやすい解説がなされた．

第二部：シナリオ・ステーション

第二部では，シナリオ・ステーション（模擬実習）形式にて4ブースを設置し，事前に作成されたシナリオに沿った患者を想定しての実践的なシミュレーション教育が行われた．

・肺炎・気管支喘息（+CKD）
加藤なつ江 先生（太田協立診療所）× 井上賀元 先生（京都民医連中央病院）
・アナフィラキシーショック
自閑昌彦 先生（宇治徳洲会病院）
・外　傷
小出正樹 先生（彩の国東大宮ﾒﾃﾞｨｶﾙｾﾝﾀｰ) × 奥永 綾 先生（いしいケア・クリニック）
・胸　痛
中村琢弥 先生（弓削メディカルクリニック）× 大竹要生 先生（同クリニック）

終了後の受講者へ行ったアンケートからは，「実際やってみるとやはりつまずきました．想像だけではできない部分が体験できてよかったです」「日頃から治療を思い浮かべながら学ぶ必要があるなと思いました」といった，今後の臨床研修での糧となる気づきが得られる貴重な経験であった，との声が多く寄せられた．

本書のメイン読者である研修医の方々と編集委員＆執筆者が直接交流を図るという貴重な経験により，有益なフィードバックを相互に与え合うことで得られたアイディアを活用して，さらに広く深く「ユーザー目線」のマニュアル作りに反映していくことが期待される．