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はじめに―医師と連携・協働し,タイムリーな症状マネジメントを担う診療看護師(NP)
 草間朋子
 日本NP教育大学院協議会会長
 2008年に大学院修士課程において養成教育が開始された診療看護師(nurse practitioner:NP)は,2025年時点で1,118名を数え,全国各地の病院,診療所,訪問看護ステーションなど,さまざまな医療機関で活躍している.
 NPは,看護職の強みであるコミュニケーション能力,すなわち“看る““聴く”“つなぐ“力を基盤とし,高度な意思決定能力,自律性,アカウンタビリティを備えたうえで,“一定範囲の診療”を主体的に提供できる看護職として育成されている.医師等との緊密な連携・協働のもと,あらゆる患者に対して“いつでも,どこでもタイムリーな診療・症状マネジメント”を提供することを目指して活動している.
 超高齢社会や人口減少,さらには医療人材の不足・偏在といった日本の医療が抱える課題に対し,患者を中心とした“チーム医療のキーパーソン“および“地域医療のゲートキーパー”として,医療改革の一翼を担うことが期待されている.
 NPは,それぞれの現場で「自分の病状や治療について十分に理解し,納得したうえで安心して医療を受けることができた」といった患者の声に励まされながら,日々の実践を積み重ねている.NPが専門職としてのプライドと自信を持ち,より主体的に診療に携わり,患者満足度のさらなる向上に貢献していくためには,その“役割““立ち位置”“専門性”に対する社会的な理解と認知を得ることが不可欠である.
 しかし現状,NPの資格は一般社団法人日本NP教育大学院協議会による認定にとどまっている.また,資格取得者数はまだ限られており,勤務場所も比較的大規模な病院に集中していることから,その活動実態は国民や医療関係者に十分浸透しているとは言い難い.
 そこで本特集では,多様な職域で活躍するNPの実践活動と,それぞれが抱く使命感や思いを紹介する.本特集が,医療関係者のみならず広く国民各層に対してNPの存在や役割を知っていただく契機となり,その社会的認知の向上につながることを期待している.
特集 患者中心のチーム医療の要としての診療看護師(NP)の役割と実践活動
 はじめに─医師と連携・協働し,タイムリーな症状マネジメントを担う診療看護師(NP)(草間朋子)
 Competency-based educationを目指した診療看護師(NP)教育の展開(小野美喜)
 大規模病院における診療看護師(NP)の院内横断的ネットワーク活動─患者中心のチーム医療を支えるその実態(渡部弥生)
 医師と連携・協働した診療体制のもとでの診療看護師(NP)の活動─安全性の確保と経済的効果に関する実績(森 寛泰・中島 伸)
 地方中核病院における診療看護師(NP)の実践と役割─診療の連続性の視点から(長谷部 亮・他)
 地域を診るNP─診療所を拠点とした包括的実践(筑井菜々子)
 在宅領域における診療看護師の役割─地域での実践を通して(光根美保)
 診療看護師と一緒に働く医師からのエール(加藤庸子)
 世界のNPの今─診療看護師(NP)の国際的な標準化を目指して(酒井博崇)

TOPICS
 糖尿病・内分泌代謝学 食生活と腸内細菌の相互作用(井岡奈音・他)
 輸血学 「大改革」から10年─輸血機能評価認定制度(I&A制度)の現状と課題・展望(飛田 規)

連載
医療にいかす行動経済学(28)
 心理学と行動経済学─意思決定への学際的アプローチ(竹村和久)

知っておくと役に立つ!臨床医のための臨床検査医学講座(16)
 性感染症の検査(髙橋 聡)

ネオ免疫学 生命進化に学ぶ免疫学のパラダイムシフト(5)
 抗体産生の場の進化─魚類の胚中心様構造からみる脊椎動物免疫のかたち(柴﨑康宏)

FORUM
 分子生物学の臨床応用 “分子“から“疾患・患者”へ(15) AI技術を活用したペプチド・タンパク質のデザインと創薬(季高駿士・新井宗仁)
 日々と医療のインターフェース─オンライン診療最新動向(1) 自由な医療は,平等な医療か(横山優二)

 次号の特集予告