やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 杉浦久敏
 東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野
 閉塞性肺疾患は呼吸機能上,閉塞性換気障害を呈し,息切れや咳,痰,喘鳴などを主症状とする呼吸器疾患です.日常診療において最も遭遇する頻度の高い呼吸器疾患で,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)や気管支喘息が代表的疾患です.
 今回の特集では閉塞性肺疾患として,日常診療で遭遇する頻度の高いCOPDや気管支喘息,気管支拡張症,びまん性汎細気管支炎を取り上げました.また今回の特集では,疾患の定義や概要,病態,診断,治療などの基礎的事項や関連するトピックスなどの最新情報を盛り込みました.
 本特集で取り上げた各疾患の項目について概説します.COPDでは,2026年に「COPD診断と治療のためのガイドライン2026(第7版)」が刊行されました.本特集では最新のガイドラインの内容をふまえて,疾患の定義や疫学,注目されているエビデンス,診断,治療,肺の合併症や全身併存症について取り上げています.気管支喘息では,2024年に改訂された「喘息予防・管理ガイドライン2024」の内容を中心に,疾患の概要や診断,安定期および増悪時の治療,生物学的製剤について,また注意すべき喘息や合併症について取り上げました.また,気管支拡張症は多くの呼吸器疾患と合併する気道疾患です.本特集では,疾患の概要や治療について,さらに今後,上市が見込まれる新規治療薬について解説いただきました.新規治療薬の登場によって,今後の治療の発展が期待されます.びまん性汎細気管支炎は難治性の呼吸器疾患ですが,疾患の概要や診断,治療についてわかりやすくご解説いただきました.
 今回,本特集を組むにあたり,ガイドラインをご執筆されている先生方や当該疾患診療においてわが国を代表する先生方にご執筆を依頼しました.読者の皆さまにもきっとご満足いただける内容と思います.
 最後に,本特集が本書の読者の先生方の診療の一助となることを祈念いたします.
 はじめに(杉浦久敏)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 COPDの疾患概念の変遷と定義・疫学(柴田陽光)
 COPDの危険因子と病因・病理(藤野直也)
 COPDの診断と病態評価(谷村和哉・室 繁郎)
 ガイドラインに基づくCOPDの最新治療(川山智隆)
 COPDによる肺の合併症─ACO・肺癌・CPFEを中心に(平野綱彦・松永和人)
 COPDの全身への併存症(田辺直也)
気管支喘息(成人)
 気管支喘息の定義・疫学・病態・病型(飯倉元保・權 寧博)
 気管支喘息における発症予防と増悪予防(関谷潔史)
 気管支喘息の診断(成人)(福居嘉信・今野 哲)
 成人気管支喘息の安定期および発作時における治療(渡邊素子・他)
 重症喘息における生物学的製剤の選択指針と最新知見(井本早穂子・長瀬洋之)
 注意すべき喘息(多賀谷悦子)
 気管支喘息に関連する2型炎症性の合併症(松本久子)
気管支拡張症
 気管支拡張症の疾患概念,疫学,病態─“忘れられた疾患”から治療可能な慢性気道疾患へ(山田充啓)
 気管支拡張症の診断と治療(森本耕三)
びまん性汎細気管支炎
 びまん性汎細気管支炎の診断と治療(神尾孝一郎)

 次号の特集予告