はじめに
康永秀生
東京大学大学院医学系研究科臨床疫学・経済学
本特集「持続可能な医療制度に向けて―医療経済・政策学によるアプローチ」は,本誌の読者である基礎・臨床の医師,生命科学研究者の皆さまに向けて,現今の医療制度の課題やその解決に向けた方策について,わかりやすく解説するものである.執筆陣に気鋭の医療経済学者,医療政策学者たちを揃え,“医療の持続可能性”をキーワードに,さまざまなテーマの各論を,経済学の理論や実証分析に基づいて解説いただいた.
冒頭に,「医療経済学の基礎」と題して,医療サービスの経済的特性や医療サービス市場の特殊性についての基礎的な理論を解説した.
経済学は,希少な資源の最適配分を通じて社会的厚生の最大化を目指す.医療経済学では,医療職という人的資源の最適配分がとりわけ重要なテーマとなる.そこで,「医師の診療科選択と金銭的インセンティブ」,「医師の働き方改革をジェンダーの視点から考える」,「医師の働き方が医師のパフォーマンス,患者の健康に与える影響」という3つのトピックを取り上げた.
公的医療保険制度では,自己負担の増減によって患者の行動が変化することはよく知られている.本特集では,「自己負担が医療利用と健康に及ぼす影響」というトピックも取り上げた.
さらに「医療技術評価(health technology assessment)と医療の経済評価」や「価値に基づく医療のためのリアルワールドデータ」という近年の最重要トピックについての論説も配した.国民医療費高騰の最大の原因は,医療技術の進歩である.“医療技術評価“は,各医療技術が高額な医療費に見合う効果があるかどうかを定量的に分析する.さらに,価値が低いまたはほぼないと判断された“低価値医療・無価値医療”は,公的医療保険制度の枠組みから退場してもらう必要がある.
最後に,「データに基づく地域医療構想」という近年注目されているトピックも加えた.
本特集が,読者の皆さまの“医療経済マインド”を喚起し,今後の臨床や研究活動に直接的・間接的に役に立つことができれば幸いである.
康永秀生
東京大学大学院医学系研究科臨床疫学・経済学
本特集「持続可能な医療制度に向けて―医療経済・政策学によるアプローチ」は,本誌の読者である基礎・臨床の医師,生命科学研究者の皆さまに向けて,現今の医療制度の課題やその解決に向けた方策について,わかりやすく解説するものである.執筆陣に気鋭の医療経済学者,医療政策学者たちを揃え,“医療の持続可能性”をキーワードに,さまざまなテーマの各論を,経済学の理論や実証分析に基づいて解説いただいた.
冒頭に,「医療経済学の基礎」と題して,医療サービスの経済的特性や医療サービス市場の特殊性についての基礎的な理論を解説した.
経済学は,希少な資源の最適配分を通じて社会的厚生の最大化を目指す.医療経済学では,医療職という人的資源の最適配分がとりわけ重要なテーマとなる.そこで,「医師の診療科選択と金銭的インセンティブ」,「医師の働き方改革をジェンダーの視点から考える」,「医師の働き方が医師のパフォーマンス,患者の健康に与える影響」という3つのトピックを取り上げた.
公的医療保険制度では,自己負担の増減によって患者の行動が変化することはよく知られている.本特集では,「自己負担が医療利用と健康に及ぼす影響」というトピックも取り上げた.
さらに「医療技術評価(health technology assessment)と医療の経済評価」や「価値に基づく医療のためのリアルワールドデータ」という近年の最重要トピックについての論説も配した.国民医療費高騰の最大の原因は,医療技術の進歩である.“医療技術評価“は,各医療技術が高額な医療費に見合う効果があるかどうかを定量的に分析する.さらに,価値が低いまたはほぼないと判断された“低価値医療・無価値医療”は,公的医療保険制度の枠組みから退場してもらう必要がある.
最後に,「データに基づく地域医療構想」という近年注目されているトピックも加えた.
本特集が,読者の皆さまの“医療経済マインド”を喚起し,今後の臨床や研究活動に直接的・間接的に役に立つことができれば幸いである.
特集 持続可能な医療制度に向けて─医療経済・政策学によるアプローチ
はじめに(康永秀生)
医療経済学の基礎(康永秀生)
医師の診療科選択と金銭的インセンティブ─学費との関係性に関する予備的解析(高久玲音)
医師の働き方改革をジェンダーの視点から考える(井深陽子)
医師の働き方が医師のパフォーマンス,患者の健康に与える影響(加藤弘陸)
自己負担が医療利用と健康に及ぼす影響─近年の経済学研究(湯田道生)
医療技術評価と医療経済評価(後藤 励)
価値に基づく医療のためのリアルワールドデータ(佐藤 壮・宮脇敦士)
データに基づく地域医療構想(山名隼人)
TOPICS
糖尿病・内分泌代謝学 妊娠母体概日リズム障害が胎児に与える影響(木内謙一郎・伊藤 裕)
神経精神医学 がん医療におけるスマートフォン心理療法アプリの開発(明智龍男)
連載
医療にいかす行動経済学(22)
意思決定バイアスを越えてSDMを実装する─「選び方」を支えるディシジョンエイドと「お・ち・た・か」(中山和弘)
知っておくと役に立つ!臨床医のための臨床検査医学講座(10)
造血器腫瘍遺伝子パネル検査の活用:結果解釈のポイント(松井啓隆)
FORUM
高トリグリセリド血症治療における「レムナント低下」の再考─PROMINENT試験を踏まえた概念的整理(中嶋克行・他)
分子生物学の臨床応用 “分子“から“疾患・患者”へ(9) 研究者が発見した創薬標的の制御化合物の探索支援(小島宏建)
次号の特集予告
はじめに(康永秀生)
医療経済学の基礎(康永秀生)
医師の診療科選択と金銭的インセンティブ─学費との関係性に関する予備的解析(高久玲音)
医師の働き方改革をジェンダーの視点から考える(井深陽子)
医師の働き方が医師のパフォーマンス,患者の健康に与える影響(加藤弘陸)
自己負担が医療利用と健康に及ぼす影響─近年の経済学研究(湯田道生)
医療技術評価と医療経済評価(後藤 励)
価値に基づく医療のためのリアルワールドデータ(佐藤 壮・宮脇敦士)
データに基づく地域医療構想(山名隼人)
TOPICS
糖尿病・内分泌代謝学 妊娠母体概日リズム障害が胎児に与える影響(木内謙一郎・伊藤 裕)
神経精神医学 がん医療におけるスマートフォン心理療法アプリの開発(明智龍男)
連載
医療にいかす行動経済学(22)
意思決定バイアスを越えてSDMを実装する─「選び方」を支えるディシジョンエイドと「お・ち・た・か」(中山和弘)
知っておくと役に立つ!臨床医のための臨床検査医学講座(10)
造血器腫瘍遺伝子パネル検査の活用:結果解釈のポイント(松井啓隆)
FORUM
高トリグリセリド血症治療における「レムナント低下」の再考─PROMINENT試験を踏まえた概念的整理(中嶋克行・他)
分子生物学の臨床応用 “分子“から“疾患・患者”へ(9) 研究者が発見した創薬標的の制御化合物の探索支援(小島宏建)
次号の特集予告















