はじめに
松本直通
横浜市立大学大学院医学研究科遺伝学
これまで「診断できない」「治療法がない」とされてきた希少遺伝性疾患の分野は,いま大きな変化の時期を迎えている.ゲノム解析技術の進歩,医療のデジタル化やAIの活用,そして患者・家族を含む社会全体の関心の高まりによって,希少遺伝性疾患はもはや孤立した存在ではなく,医療の新しい可能性を切り開く先端的な領域となりつつある.国際的な研究連携や市民参加型の取り組みも進み,希少遺伝性疾患と社会との関わり方は大きく変わってきている.いま求められているのは,個々の疾患そのものだけでなく,その背景にある制度や倫理,患者の生活との関係にまで目を向けることである.
今回の「医学のあゆみ」特集号では,希少遺伝性疾患について基礎研究から臨床,制度,社会まで幅広い視点から整理した.疾患の定義や疫学にはじまり,新生児スクリーニング,ゲノムやオミクス解析,AIによる診断支援といった技術的な進歩に加え,精密医療や機能解析,個別化治療の取り組みも紹介している.また,倫理的課題や支援体制の整備,小児から成人への移行医療(トランジション)や包括的ケア,ピアサポートに至るまで,多角的に取り上げた.
この特集の中心にあるのは,“疾患“だけを見ることではなく,その背景にいる“人”と向き合う視点である.希少遺伝性疾患の本質は“一人ひとりの違い”にあり,それぞれに合わせた診療や支援が求められる.そのためには,医療,研究,支援,制度が連携し,柔軟に対応できる仕組みが必要である.また,研究や政策を進めるうえでも,当事者の声を取り入れた共創的なアプローチがますます重要になっている.
本特集には,臨床,研究,制度,社会の最前線で活躍される専門家の方々による16本の論考を収めた.それぞれが現在の希少遺伝性疾患医療の姿を描き,今後の展望を示している.本特集が,多様な立場の読者にとって知識と実践を結びつける手がかりとなり,よりよい医療の未来に向けた一歩となることを願っている.
松本直通
横浜市立大学大学院医学研究科遺伝学
これまで「診断できない」「治療法がない」とされてきた希少遺伝性疾患の分野は,いま大きな変化の時期を迎えている.ゲノム解析技術の進歩,医療のデジタル化やAIの活用,そして患者・家族を含む社会全体の関心の高まりによって,希少遺伝性疾患はもはや孤立した存在ではなく,医療の新しい可能性を切り開く先端的な領域となりつつある.国際的な研究連携や市民参加型の取り組みも進み,希少遺伝性疾患と社会との関わり方は大きく変わってきている.いま求められているのは,個々の疾患そのものだけでなく,その背景にある制度や倫理,患者の生活との関係にまで目を向けることである.
今回の「医学のあゆみ」特集号では,希少遺伝性疾患について基礎研究から臨床,制度,社会まで幅広い視点から整理した.疾患の定義や疫学にはじまり,新生児スクリーニング,ゲノムやオミクス解析,AIによる診断支援といった技術的な進歩に加え,精密医療や機能解析,個別化治療の取り組みも紹介している.また,倫理的課題や支援体制の整備,小児から成人への移行医療(トランジション)や包括的ケア,ピアサポートに至るまで,多角的に取り上げた.
この特集の中心にあるのは,“疾患“だけを見ることではなく,その背景にいる“人”と向き合う視点である.希少遺伝性疾患の本質は“一人ひとりの違い”にあり,それぞれに合わせた診療や支援が求められる.そのためには,医療,研究,支援,制度が連携し,柔軟に対応できる仕組みが必要である.また,研究や政策を進めるうえでも,当事者の声を取り入れた共創的なアプローチがますます重要になっている.
本特集には,臨床,研究,制度,社会の最前線で活躍される専門家の方々による16本の論考を収めた.それぞれが現在の希少遺伝性疾患医療の姿を描き,今後の展望を示している.本特集が,多様な立場の読者にとって知識と実践を結びつける手がかりとなり,よりよい医療の未来に向けた一歩となることを願っている.
はじめに(松本直通)
希少遺伝性疾患とは何か─定義・概念と国際的基準の変遷
(黒澤健司)
希少疾患における診断手法の変遷
(鈴木寿人)
新生児マススクリーニングの現在地とこれから
(和田陽一・呉 繁夫)
希少遺伝性疾患の最前線─ゲノム・オミクス解析による診断革命
(才津浩智)
シンプルなモデル生物を利用した疾患モデルと機能解析─創薬と理解の架け橋
(杉江 淳)
AIとビッグデータが拓く希少疾患の新たな診断支援
(要 匡)
希少遺伝性疾患に対するN-of-1+核酸医薬創薬
(保浦明日香・桑原宏哉)
神経・代謝疾患における最新治療と治験
(小坂 仁・中村幸恵)
遺伝性難聴への遺伝子治療とゲノム編集治療
(神谷和作)
希少遺伝性疾患における遺伝カウンセリング─科学と暮らしをつなぐゲノム医療
(吉橋博史)
子どもから大人への架け橋を目指して─移行期医療・成人移行支援
(位田 忍)
包括的ケアとQOL支援─多職種連携の可能性
(余谷暢之)
希少・難治性疾患関係者へのエンパワメント─診断ラグ・診断ロスを例とした患者団体との協働および中間機関の役割
(西村由希子・江本 駿)
人口減少およびインフレ下での薬価制度改革─マクロとミクロの統合的アプローチ
(小黒一正)
希少疾患のゲノム情報の利活用とELSI(倫理的・法的・社会的課題)
(渡部沙織・武藤香織)
国際連携と市民参画─希少疾患政策の未来へ
(河野 結)
次号の特集予告
希少遺伝性疾患とは何か─定義・概念と国際的基準の変遷
(黒澤健司)
希少疾患における診断手法の変遷
(鈴木寿人)
新生児マススクリーニングの現在地とこれから
(和田陽一・呉 繁夫)
希少遺伝性疾患の最前線─ゲノム・オミクス解析による診断革命
(才津浩智)
シンプルなモデル生物を利用した疾患モデルと機能解析─創薬と理解の架け橋
(杉江 淳)
AIとビッグデータが拓く希少疾患の新たな診断支援
(要 匡)
希少遺伝性疾患に対するN-of-1+核酸医薬創薬
(保浦明日香・桑原宏哉)
神経・代謝疾患における最新治療と治験
(小坂 仁・中村幸恵)
遺伝性難聴への遺伝子治療とゲノム編集治療
(神谷和作)
希少遺伝性疾患における遺伝カウンセリング─科学と暮らしをつなぐゲノム医療
(吉橋博史)
子どもから大人への架け橋を目指して─移行期医療・成人移行支援
(位田 忍)
包括的ケアとQOL支援─多職種連携の可能性
(余谷暢之)
希少・難治性疾患関係者へのエンパワメント─診断ラグ・診断ロスを例とした患者団体との協働および中間機関の役割
(西村由希子・江本 駿)
人口減少およびインフレ下での薬価制度改革─マクロとミクロの統合的アプローチ
(小黒一正)
希少疾患のゲノム情報の利活用とELSI(倫理的・法的・社会的課題)
(渡部沙織・武藤香織)
国際連携と市民参画─希少疾患政策の未来へ
(河野 結)
次号の特集予告















