はじめに
志賀太郎
がん研究会有明病院総合診療部,同腫瘍循環器・循環器内科
がん医療の進歩により,一昔前に比べがんの予後は格段に改善した.がん治療の長期化とともに多くの患者が社会生活を維持しながら治療を続けられるようにもなってきた.しかし,その一方で化学療法や放射線療法,外科的治療に伴う副作用や代謝性変化,後遺症,さらに高齢化や心血管疾患などの併存疾患の影響により,低栄養や栄養状態の低下を呈する患者も少なくない.食欲不振,味覚障害,下痢,口腔粘膜障害,摂食嚥下障害,腸管吸収障害などの病態は,摂取不足や代謝異常などが関与して体組成や身体機能を低下させ,結果的にがん治療の継続や回復を妨げる要因となる.これらの病態はがん関連性低栄養(cancer-associated malnutrition)とされ,進行すると悪液質(cancer cachexia)へ移行することもある.
特に高齢がん患者では,サルコペニアや摂食嚥下障害の進行,認知機能障害なども悪影響し,栄養管理が一層複雑化する.また,心不全などの心血管疾患の併存症例では,水分,電解質,貧血管理など,より高度な専門的管理が求められる.こうした多様な病態に対して栄養療法と栄養指導は,治療の補助のみならず,がん医療の根幹を支える重要な支持療法としての役割を担う.
本特集では,がん薬物療法,手術的治療,高齢がん患者,摂食嚥下障害,がんサバイバーといった特徴に関連した栄養管理の要点をはじめ,心血管疾患を併存する患者への栄養管理,薬剤師の視点からの栄養管理,リハビリテーション,栄養関連加算の最新情報,さらには栄養補助食品の活用まで,臨床現場で直面する課題を包括的に取り上げる.医師,看護師,栄養管理士,薬剤師,リハビリテーションスタッフなど,多職種が連携し,科学的根拠に基づいた最適な栄養管理の介入を実現するための実践知を共有したい.
本特集を通じて,がん患者の一人ひとりの病態と生活背景に応じた個別化栄養管理の重要性を再確認し,がん医療における“栄養療法と栄養指導”の新たな価値を臨床の現場へ結びつけていくことを目指す.
志賀太郎
がん研究会有明病院総合診療部,同腫瘍循環器・循環器内科
がん医療の進歩により,一昔前に比べがんの予後は格段に改善した.がん治療の長期化とともに多くの患者が社会生活を維持しながら治療を続けられるようにもなってきた.しかし,その一方で化学療法や放射線療法,外科的治療に伴う副作用や代謝性変化,後遺症,さらに高齢化や心血管疾患などの併存疾患の影響により,低栄養や栄養状態の低下を呈する患者も少なくない.食欲不振,味覚障害,下痢,口腔粘膜障害,摂食嚥下障害,腸管吸収障害などの病態は,摂取不足や代謝異常などが関与して体組成や身体機能を低下させ,結果的にがん治療の継続や回復を妨げる要因となる.これらの病態はがん関連性低栄養(cancer-associated malnutrition)とされ,進行すると悪液質(cancer cachexia)へ移行することもある.
特に高齢がん患者では,サルコペニアや摂食嚥下障害の進行,認知機能障害なども悪影響し,栄養管理が一層複雑化する.また,心不全などの心血管疾患の併存症例では,水分,電解質,貧血管理など,より高度な専門的管理が求められる.こうした多様な病態に対して栄養療法と栄養指導は,治療の補助のみならず,がん医療の根幹を支える重要な支持療法としての役割を担う.
本特集では,がん薬物療法,手術的治療,高齢がん患者,摂食嚥下障害,がんサバイバーといった特徴に関連した栄養管理の要点をはじめ,心血管疾患を併存する患者への栄養管理,薬剤師の視点からの栄養管理,リハビリテーション,栄養関連加算の最新情報,さらには栄養補助食品の活用まで,臨床現場で直面する課題を包括的に取り上げる.医師,看護師,栄養管理士,薬剤師,リハビリテーションスタッフなど,多職種が連携し,科学的根拠に基づいた最適な栄養管理の介入を実現するための実践知を共有したい.
本特集を通じて,がん患者の一人ひとりの病態と生活背景に応じた個別化栄養管理の重要性を再確認し,がん医療における“栄養療法と栄養指導”の新たな価値を臨床の現場へ結びつけていくことを目指す.
特集 がん患者への栄養療法と栄養指導
はじめに(志賀太郎)
がん薬物療法中の患者に対する栄養療法と栄養指導(下村昭彦)
消化器がん手術患者における栄養障害と栄養治療(岡村明彦)
高齢がん患者の栄養管理と栄養指導(高木久美)
がんサバイバーへの栄養療法と栄養指導(稲野利美)
循環器病を合併するがん患者への栄養療法と栄養指導(富田康弘)
薬剤師からみたがん患者への栄養療法と栄養指導(東 敬一朗)
摂食嚥下障害を呈したがん患者への栄養療法と栄養指導―食形態を制限しない栄養指導のススメ(小島一宏)
管理栄養士が算定できるがん関連診療報酬(上島順子)
栄養補助食品の活用法(山口貞子)
TOPICS
薬理学・毒性学 二重特異性抗体の開発状況と今後の展望(生駒龍興・清水俊雄)
神経精神医学 現代の森田療法(舘野 歩)
連載
医師の働き方改革―取り組みの現状と課題(15)
労働時間数の把握と時間外労働規制区分の管理体制(眞庭謙昌)
医療における生成AIとDX(7)
生成AIによるクリニック運営のDX:集患と業務効率化の最前線―生成AIが切り開くクリニック週間の新しいカタチ(ちはる)
医療にいかす行動経済学(4)
公衆衛生におけるナッジの活用(福田吉治・杉本九実)
FORUM
人間社会の未来―専門家が予見する人類の行方(11) データサイエンスが切り拓く医療(松山 裕)
次号の特集予告
はじめに(志賀太郎)
がん薬物療法中の患者に対する栄養療法と栄養指導(下村昭彦)
消化器がん手術患者における栄養障害と栄養治療(岡村明彦)
高齢がん患者の栄養管理と栄養指導(高木久美)
がんサバイバーへの栄養療法と栄養指導(稲野利美)
循環器病を合併するがん患者への栄養療法と栄養指導(富田康弘)
薬剤師からみたがん患者への栄養療法と栄養指導(東 敬一朗)
摂食嚥下障害を呈したがん患者への栄養療法と栄養指導―食形態を制限しない栄養指導のススメ(小島一宏)
管理栄養士が算定できるがん関連診療報酬(上島順子)
栄養補助食品の活用法(山口貞子)
TOPICS
薬理学・毒性学 二重特異性抗体の開発状況と今後の展望(生駒龍興・清水俊雄)
神経精神医学 現代の森田療法(舘野 歩)
連載
医師の働き方改革―取り組みの現状と課題(15)
労働時間数の把握と時間外労働規制区分の管理体制(眞庭謙昌)
医療における生成AIとDX(7)
生成AIによるクリニック運営のDX:集患と業務効率化の最前線―生成AIが切り開くクリニック週間の新しいカタチ(ちはる)
医療にいかす行動経済学(4)
公衆衛生におけるナッジの活用(福田吉治・杉本九実)
FORUM
人間社会の未来―専門家が予見する人類の行方(11) データサイエンスが切り拓く医療(松山 裕)
次号の特集予告















