はじめに
左合治彦
山王バースセンター院長,国際医療福祉大学教授,国立成育医療研究センターシニアアドバイザー
出生前診断の進歩とともに,子宮内の胎児を治療対象とする考え方“Fetus as a patient“および“The unborn patient”が生まれ,胎児に医療行為を加える胎児治療が行われるようになった.
1982年に米国で第1回IFMSS(International Fetal Medicine & Surgical Society)が開かれ,“A position statement on invasive fetal therapy”として胎児治療に関する基本的な考え方や取り組み方が提示された.これに沿う形で,経胎盤,超音波ガイド下,胎児鏡下,子宮切開直視下で種々の胎児治療が行われるようになった.
日本においては2003年に第1回胎児治療研究会(後に学会)が九州大学で開催された.その頃から双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下レーザー手術が積極的に行われるようになり,その後,胎児胸水に対する胸腔シャント術の臨床試験など,胎児治療の臨床研究が活発に行われるようになった.日本の治療成績を基にして,2012年には胎児鏡下レーザー手術と胸腔シャント術が保険収載され,2019年には無心体双胎に対するラジオ波凝固術,2020年には胎児輸血が保険収載された.これらの胎児治療は,日本の周産期医療において標準治療法として認識されるようになった.また,先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児鏡下気管閉塞術や脊髄髄膜瘤に対する直視下修復術も,臨床研究として日本でも施行されるようになった.
本誌においては,2013年に「胎児治療の最前線」と題して“新しい胎児治療の試み“を,2017年には「胎児治療の最先端」として“新しい胎児治療の成績や日本における取り組み”を特集した.今回のテーマは「進化する胎児治療―研究と臨床の最新情報」とし,臨床や臨床研究で行われている胎児治療や将来的に臨床応用が期待される先駆的な胎児治療の研究に関して9つのテーマを取り上げ,これからの胎児治療を考察する貴重な資料として最新の知見をわかりやすく解説していただいた.
左合治彦
山王バースセンター院長,国際医療福祉大学教授,国立成育医療研究センターシニアアドバイザー
出生前診断の進歩とともに,子宮内の胎児を治療対象とする考え方“Fetus as a patient“および“The unborn patient”が生まれ,胎児に医療行為を加える胎児治療が行われるようになった.
1982年に米国で第1回IFMSS(International Fetal Medicine & Surgical Society)が開かれ,“A position statement on invasive fetal therapy”として胎児治療に関する基本的な考え方や取り組み方が提示された.これに沿う形で,経胎盤,超音波ガイド下,胎児鏡下,子宮切開直視下で種々の胎児治療が行われるようになった.
日本においては2003年に第1回胎児治療研究会(後に学会)が九州大学で開催された.その頃から双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下レーザー手術が積極的に行われるようになり,その後,胎児胸水に対する胸腔シャント術の臨床試験など,胎児治療の臨床研究が活発に行われるようになった.日本の治療成績を基にして,2012年には胎児鏡下レーザー手術と胸腔シャント術が保険収載され,2019年には無心体双胎に対するラジオ波凝固術,2020年には胎児輸血が保険収載された.これらの胎児治療は,日本の周産期医療において標準治療法として認識されるようになった.また,先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児鏡下気管閉塞術や脊髄髄膜瘤に対する直視下修復術も,臨床研究として日本でも施行されるようになった.
本誌においては,2013年に「胎児治療の最前線」と題して“新しい胎児治療の試み“を,2017年には「胎児治療の最先端」として“新しい胎児治療の成績や日本における取り組み”を特集した.今回のテーマは「進化する胎児治療―研究と臨床の最新情報」とし,臨床や臨床研究で行われている胎児治療や将来的に臨床応用が期待される先駆的な胎児治療の研究に関して9つのテーマを取り上げ,これからの胎児治療を考察する貴重な資料として最新の知見をわかりやすく解説していただいた.
特集 進化する胎児治療─研究と臨床の最新情報
はじめに(左合治彦)
一絨毛膜双胎のレーザー手術─どこまで適応が広がったか(山本 亮)
先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児鏡下気管閉塞術─TOTAL trial後の現状(小澤克典)
胎児心臓疾患に対するインターベンション─日本と欧米の現況(金 基成)
日本でついにはじまった脊髄髄膜瘤の直視下胎児手術─日本に導入するためのこれまでの取り組み(遠藤誠之)
脊髄髄膜瘤の内視鏡下胎児手術─将来の導入を見据えて手術法を比較すると(渡邊美穂)
先天性代謝異常症に対する胎児治療─胎児への酵素補充療法(北村直也・他)
新しい胎児治療をつくる─腹壁破裂の動物モデル(荒井智大)
再生医療の胎児治療への応用─今後期待される治療法は(梶原一紘)
ここまできた人工子宮・人工胎盤(齋藤昌利)
TOPICS
脳神経外科学 脳動静脈奇形塞栓術の現状と近未来(胡谷侑貴・他)
産科学・婦人科学 ヒト胚着床現象のin vitroでの再現(柴田 峻・有馬隆博)
連載
自己指向性免疫学の新展開─生体防御における自己認識の功罪(17)
自己免疫性皮膚炎における病原性Th17細胞の生存機構(竹馬俊介)
細胞を用いた再生医療の現状と今後の展望─臨床への展開(3)
前立腺癌術後腹圧性尿失禁に対する自己脂肪組織由来幹細胞投与による再生医療の取り組み(増田 均)
FORUM
戦争と医学・医療(6) 植民地の生活科学─「満洲」の環境適応に関する研究を中心に(末永恵子)
次号の特集予告
はじめに(左合治彦)
一絨毛膜双胎のレーザー手術─どこまで適応が広がったか(山本 亮)
先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児鏡下気管閉塞術─TOTAL trial後の現状(小澤克典)
胎児心臓疾患に対するインターベンション─日本と欧米の現況(金 基成)
日本でついにはじまった脊髄髄膜瘤の直視下胎児手術─日本に導入するためのこれまでの取り組み(遠藤誠之)
脊髄髄膜瘤の内視鏡下胎児手術─将来の導入を見据えて手術法を比較すると(渡邊美穂)
先天性代謝異常症に対する胎児治療─胎児への酵素補充療法(北村直也・他)
新しい胎児治療をつくる─腹壁破裂の動物モデル(荒井智大)
再生医療の胎児治療への応用─今後期待される治療法は(梶原一紘)
ここまできた人工子宮・人工胎盤(齋藤昌利)
TOPICS
脳神経外科学 脳動静脈奇形塞栓術の現状と近未来(胡谷侑貴・他)
産科学・婦人科学 ヒト胚着床現象のin vitroでの再現(柴田 峻・有馬隆博)
連載
自己指向性免疫学の新展開─生体防御における自己認識の功罪(17)
自己免疫性皮膚炎における病原性Th17細胞の生存機構(竹馬俊介)
細胞を用いた再生医療の現状と今後の展望─臨床への展開(3)
前立腺癌術後腹圧性尿失禁に対する自己脂肪組織由来幹細胞投与による再生医療の取り組み(増田 均)
FORUM
戦争と医学・医療(6) 植民地の生活科学─「満洲」の環境適応に関する研究を中心に(末永恵子)
次号の特集予告















