はじめに
藤城光弘
東京大学大学院医学系研究科消化器内科学
近年の消化器内視鏡技術の進歩はめざましく,照射光を変える,超拡大視するなどの工夫で今まで見えなかったものが見えるようになり,またカプセル内視鏡やバルーン内視鏡などの登場で,今まで到達できなかった深部小腸や術後再建腸管を有する患者の肝門部にまで内視鏡が到達できるようになった.さらに人工知能(AI)の内視鏡分野への導入により,医師の技量を補う,あるいはそれを凌駕する診断が可能となっている.これらを受けて,外科手術にのみ頼っていた多くの消化器疾患の治療が,内視鏡を用いた低侵襲・臓器温存治療として内視鏡医のもとで行われるようになり,患者のQOL(quality of life)改善に寄与している.
戦後の復興期に多くの命を奪っていた“胃がん”を何とか克服したいという強い思いが,世界的な大発明である胃カメラを産学連携(オリンパス,東京大学)で誕生させたように,消化器内視鏡の開発・改良は,消化器に発生するがん対策を中心に展開してきたといっても過言ではない.しかし,消化管内腔側から消化管各所にアプローチし,直に消化管内外の観察を行うのみならず,内容液や組織の採取,医療機器・材料の留置・交換,物質投与などができる内視鏡には,まだまだ無限の可能性が秘められている.消化器は生命維持に欠くことのできない消化・吸収・代謝を行うとともに人体最大の免疫器官でもあり,腸脳相関をはじめ多臓器連関の中心に位置する.消化器内視鏡の主な役割は,現時点では消化器疾患に対する診断と治療であるが,消化器で繰り広げられる未知の現象を一つひとつ解明することで,将来的には消化器疾患にとどまらず,あらゆる疾患,ひいては未病,老化などの予防・治療へ進化してほしいと願っている.
本特集では,消化器内視鏡技術の現在の到達点と将来展望をその道のエキスパートの先生方に解説していただいた.本特集が消化器内視鏡に対する理解を深め,消化器内視鏡の将来像に思いを馳せる機会になれば幸いである.
藤城光弘
東京大学大学院医学系研究科消化器内科学
近年の消化器内視鏡技術の進歩はめざましく,照射光を変える,超拡大視するなどの工夫で今まで見えなかったものが見えるようになり,またカプセル内視鏡やバルーン内視鏡などの登場で,今まで到達できなかった深部小腸や術後再建腸管を有する患者の肝門部にまで内視鏡が到達できるようになった.さらに人工知能(AI)の内視鏡分野への導入により,医師の技量を補う,あるいはそれを凌駕する診断が可能となっている.これらを受けて,外科手術にのみ頼っていた多くの消化器疾患の治療が,内視鏡を用いた低侵襲・臓器温存治療として内視鏡医のもとで行われるようになり,患者のQOL(quality of life)改善に寄与している.
戦後の復興期に多くの命を奪っていた“胃がん”を何とか克服したいという強い思いが,世界的な大発明である胃カメラを産学連携(オリンパス,東京大学)で誕生させたように,消化器内視鏡の開発・改良は,消化器に発生するがん対策を中心に展開してきたといっても過言ではない.しかし,消化管内腔側から消化管各所にアプローチし,直に消化管内外の観察を行うのみならず,内容液や組織の採取,医療機器・材料の留置・交換,物質投与などができる内視鏡には,まだまだ無限の可能性が秘められている.消化器は生命維持に欠くことのできない消化・吸収・代謝を行うとともに人体最大の免疫器官でもあり,腸脳相関をはじめ多臓器連関の中心に位置する.消化器内視鏡の主な役割は,現時点では消化器疾患に対する診断と治療であるが,消化器で繰り広げられる未知の現象を一つひとつ解明することで,将来的には消化器疾患にとどまらず,あらゆる疾患,ひいては未病,老化などの予防・治療へ進化してほしいと願っている.
本特集では,消化器内視鏡技術の現在の到達点と将来展望をその道のエキスパートの先生方に解説していただいた.本特集が消化器内視鏡に対する理解を深め,消化器内視鏡の将来像に思いを馳せる機会になれば幸いである.
特集 消化器内視鏡技術の進歩と展望
はじめに
藤城光弘
画像強調内視鏡-正確な内視鏡診断を目指して
小野尚子
顕微内視鏡観察-病理に迫る内視鏡診断を目指して
樺 俊介・炭山和毅
人工知能による内視鏡診断支援の現状
三澤将史・工藤進英
小腸内視鏡-カプセル内視鏡からバルーン,スパイラル内視鏡まで
大塚和朗・他
超音波内視鏡-診断・治療の最前線
入澤篤志
経乳頭的内視鏡診療-診断・治療の最前線
川嶋啓揮
消化管腫瘍に対する内視鏡的切除-咽頭から肛門まで
辻 陽介
消化管悪性狭窄に対する内視鏡治療
佐々木 隆
腹腔鏡内視鏡合同手術-内科と外科の融合
中馬基博・他
消化管出血に対する内視鏡的止血法の進歩-静脈瘤を除く
田中寛人・他
連載
バイオインフォマティクスの世界(10)
機械学習による薬物応答トランスクリプトームの解析と疾患治療薬の探索
岩田通夫・山西芳裕
TOPICS
生化学・分子生物学 塩味受容におけるクロライドチャネルの関与
笠原洋一・他
再生医学 筋肉には胎児期の位置記憶が存在する-骨格筋の部位特異性に新たな視座
小野悠介
病理学 人工知能(AI)を利用した筋病理標本判読アルゴリズム
大久保真理子・他
FORUM
中毒にご用心-身近にある危険植物・動物(14) フグ(テトロドトキシン)-美味だけど,本当に食べて大丈夫?
清水弘毅
オンライン診療の二元論(5)(最終回) 利得と道徳-オンライン診療に何点をつけるか
横山優二
次号の特集予告
はじめに
藤城光弘
画像強調内視鏡-正確な内視鏡診断を目指して
小野尚子
顕微内視鏡観察-病理に迫る内視鏡診断を目指して
樺 俊介・炭山和毅
人工知能による内視鏡診断支援の現状
三澤将史・工藤進英
小腸内視鏡-カプセル内視鏡からバルーン,スパイラル内視鏡まで
大塚和朗・他
超音波内視鏡-診断・治療の最前線
入澤篤志
経乳頭的内視鏡診療-診断・治療の最前線
川嶋啓揮
消化管腫瘍に対する内視鏡的切除-咽頭から肛門まで
辻 陽介
消化管悪性狭窄に対する内視鏡治療
佐々木 隆
腹腔鏡内視鏡合同手術-内科と外科の融合
中馬基博・他
消化管出血に対する内視鏡的止血法の進歩-静脈瘤を除く
田中寛人・他
連載
バイオインフォマティクスの世界(10)
機械学習による薬物応答トランスクリプトームの解析と疾患治療薬の探索
岩田通夫・山西芳裕
TOPICS
生化学・分子生物学 塩味受容におけるクロライドチャネルの関与
笠原洋一・他
再生医学 筋肉には胎児期の位置記憶が存在する-骨格筋の部位特異性に新たな視座
小野悠介
病理学 人工知能(AI)を利用した筋病理標本判読アルゴリズム
大久保真理子・他
FORUM
中毒にご用心-身近にある危険植物・動物(14) フグ(テトロドトキシン)-美味だけど,本当に食べて大丈夫?
清水弘毅
オンライン診療の二元論(5)(最終回) 利得と道徳-オンライン診療に何点をつけるか
横山優二
次号の特集予告
