巻頭言
急性期医療は,生命の危機に直面する患者に対し,迅速かつ高度な治療を提供する医療の最前線である.その中でリハビリテーション医療は,かつては病状安定後に本格化するものととらえられてきた.しかし現在,発症・受傷直後からの積極的なリハビリテーション治療開始こそが,患者の機能予後や転帰を大きく左右することが明らかとなり,急性期リハビリテーション医療は急性期治療の一部として不可欠な役割を担うようになっている.
令和8年度診療報酬改定では,この流れを明確に反映する制度改定が行われた.疾患別リハビリテーションにおいては,離床を伴わないリハビリテーション治療への評価が見直され,患者の活動性向上や早期自立を意識した実践が強く求められている.単位や実施時間といった“量“ではなく,「いつ開始され,どのような治療が行われ,どれだけ機能改善につながったのか」という“内容と質”が問われる時代へと,大きく舵が切られたといえる.
また,早期リハビリテーション加算は,発症・入院からより早期の治療を高く評価する体系へと整理され,急性期病棟において迅速かつ安全に離床を進める体制整備の重要性が一層明確になった.さらに,リハビリテーション・栄養・口腔の連携体制評価の見直し等を通じて,運動機能のみならず全身状態を踏まえた包括的リハビリテーション医療が,診療報酬上も正当に評価されている点は見逃せない.
これらの改定は,急性期リハビリテーション医療に対し,「実施しているか否か」ではなく,「どのような成果を生み出しているか」を説明できることを求めている.アウトカムを意識した目標設定,計画に基づく治療,定期的な評価と修正といった一連のプロセスを,急性期からいかに実装できるかが,今後の臨床と病棟運営の質を左右する.
急性期リハビリテーション医療に求められるのは,限られた時間と情報の中で,患者の全身状態と将来像を見据えた判断を行い,機能低下を防ぎ,次の医療・生活期につなげる力である.そこでは,個々の疾患特性に応じた専門的知識と同時に,病棟環境や治療経過に即した柔軟な対応が求められる.急性期リハビリテーション医療は,標準化されたマニュアルだけでは完結しない,高度な臨床判断の積み重ねによって成り立つ医療である.
本臨増号では,急性期リハビリテーション医療の現在地を多角的に掘り下げる.制度・体制の整理に加え,疾患別の最新知見,急性期からその先を見据えた連携の実践までを取り上げ,急性期リハビリテーション医療の本質と可能性を明らかにすることを目指した.リハビリテーション医療は今,形式的な実施から脱却し,成果を生み出す専門医療へとさらに進化している.本特集が,読者の皆様にとって,急性期リハビリテーション医療の本質と今後の方向性を再考する契機となれば幸いである.
(編者:三上幸夫)
急性期医療は,生命の危機に直面する患者に対し,迅速かつ高度な治療を提供する医療の最前線である.その中でリハビリテーション医療は,かつては病状安定後に本格化するものととらえられてきた.しかし現在,発症・受傷直後からの積極的なリハビリテーション治療開始こそが,患者の機能予後や転帰を大きく左右することが明らかとなり,急性期リハビリテーション医療は急性期治療の一部として不可欠な役割を担うようになっている.
令和8年度診療報酬改定では,この流れを明確に反映する制度改定が行われた.疾患別リハビリテーションにおいては,離床を伴わないリハビリテーション治療への評価が見直され,患者の活動性向上や早期自立を意識した実践が強く求められている.単位や実施時間といった“量“ではなく,「いつ開始され,どのような治療が行われ,どれだけ機能改善につながったのか」という“内容と質”が問われる時代へと,大きく舵が切られたといえる.
また,早期リハビリテーション加算は,発症・入院からより早期の治療を高く評価する体系へと整理され,急性期病棟において迅速かつ安全に離床を進める体制整備の重要性が一層明確になった.さらに,リハビリテーション・栄養・口腔の連携体制評価の見直し等を通じて,運動機能のみならず全身状態を踏まえた包括的リハビリテーション医療が,診療報酬上も正当に評価されている点は見逃せない.
これらの改定は,急性期リハビリテーション医療に対し,「実施しているか否か」ではなく,「どのような成果を生み出しているか」を説明できることを求めている.アウトカムを意識した目標設定,計画に基づく治療,定期的な評価と修正といった一連のプロセスを,急性期からいかに実装できるかが,今後の臨床と病棟運営の質を左右する.
急性期リハビリテーション医療に求められるのは,限られた時間と情報の中で,患者の全身状態と将来像を見据えた判断を行い,機能低下を防ぎ,次の医療・生活期につなげる力である.そこでは,個々の疾患特性に応じた専門的知識と同時に,病棟環境や治療経過に即した柔軟な対応が求められる.急性期リハビリテーション医療は,標準化されたマニュアルだけでは完結しない,高度な臨床判断の積み重ねによって成り立つ医療である.
本臨増号では,急性期リハビリテーション医療の現在地を多角的に掘り下げる.制度・体制の整理に加え,疾患別の最新知見,急性期からその先を見据えた連携の実践までを取り上げ,急性期リハビリテーション医療の本質と可能性を明らかにすることを目指した.リハビリテーション医療は今,形式的な実施から脱却し,成果を生み出す専門医療へとさらに進化している.本特集が,読者の皆様にとって,急性期リハビリテーション医療の本質と今後の方向性を再考する契機となれば幸いである.
(編者:三上幸夫)
巻頭言(三上幸夫)
巻頭カラー 急性期治療で使用される医療機器とリハビリテーション治療とのかかわり
(磯部貴之 蓮井 誠・他)
第1章 「急性期病院の基礎知識(診療報酬,制度等)」
診療報酬の変遷(内田健太 緒方直史)
急性期医療に求められるリハビリテーション治療(水谷公司 大高洋平)
「集約型リハビリテーション診療」と「病棟配属型リハビリテーション診療」(平田和彦 三上幸夫)
二次救急病院と三次救急病院で行われるリハビリテーション診療の特徴(幸田 剣 坂野元彦)
第2章 「疾患別の最新の急性期リハビリテーション治療」
心大血管疾患リハビリテーション(梅本安則 片野唆敏)
脳血管疾患における急性期リハビリテーションの現状(原木 望 中村 健)
廃用症候群リハビリテーション(西山一成 西村行秀)
運動器リハビリテーション(馬庭壯吉 齊藤 旭・他)
呼吸器リハビリテーション(佐々木信幸)
がんリハビリテーション(吉川 遼 鹿島遼河・他)
第3章 「急性期からその先へ~患者の未来を支える医療~」
同施設内での急性期病棟から回復期病棟へ転棟時の連携(大濵倫太郎 下堂薗 恵)
別施設間での急性期病院から回復期病院へ転院時の連携(荒川英樹)
急性期病院から施設へ─ミスマッチを防ぐ情報提供と「生きた連携」の実践─(松尾夏実 篠田裕介)
急性期病院から自宅退院する場合のフォロー方法(杉山みづき 川手信行)
Column
急性期病院のリハビリテーション科懐事情~リハビリテーション科の収益改善に向けた取り組み~(緒方 徹)
急性期リハビリテーション診療における栄養管理(清水昭雄 百崎 良)
リハビリテーション科と歯科との連携(尾川貴洋)
リハビリテーション科と救急科とのかかわり(新見昌央)
リハビリテーション科専門医とリハビリテーションスタッフのかかわり(山田尚基)
巻頭カラー 急性期治療で使用される医療機器とリハビリテーション治療とのかかわり
(磯部貴之 蓮井 誠・他)
第1章 「急性期病院の基礎知識(診療報酬,制度等)」
診療報酬の変遷(内田健太 緒方直史)
急性期医療に求められるリハビリテーション治療(水谷公司 大高洋平)
「集約型リハビリテーション診療」と「病棟配属型リハビリテーション診療」(平田和彦 三上幸夫)
二次救急病院と三次救急病院で行われるリハビリテーション診療の特徴(幸田 剣 坂野元彦)
第2章 「疾患別の最新の急性期リハビリテーション治療」
心大血管疾患リハビリテーション(梅本安則 片野唆敏)
脳血管疾患における急性期リハビリテーションの現状(原木 望 中村 健)
廃用症候群リハビリテーション(西山一成 西村行秀)
運動器リハビリテーション(馬庭壯吉 齊藤 旭・他)
呼吸器リハビリテーション(佐々木信幸)
がんリハビリテーション(吉川 遼 鹿島遼河・他)
第3章 「急性期からその先へ~患者の未来を支える医療~」
同施設内での急性期病棟から回復期病棟へ転棟時の連携(大濵倫太郎 下堂薗 恵)
別施設間での急性期病院から回復期病院へ転院時の連携(荒川英樹)
急性期病院から施設へ─ミスマッチを防ぐ情報提供と「生きた連携」の実践─(松尾夏実 篠田裕介)
急性期病院から自宅退院する場合のフォロー方法(杉山みづき 川手信行)
Column
急性期病院のリハビリテーション科懐事情~リハビリテーション科の収益改善に向けた取り組み~(緒方 徹)
急性期リハビリテーション診療における栄養管理(清水昭雄 百崎 良)
リハビリテーション科と歯科との連携(尾川貴洋)
リハビリテーション科と救急科とのかかわり(新見昌央)
リハビリテーション科専門医とリハビリテーションスタッフのかかわり(山田尚基)















