第2版の序
本書の初版が発行されてから9年が経過しました.この間,わが国では人口の高齢化が進み,超高齢社会となっています.それにともない,生活習慣病予防の重要性がより高まると同時に,虚弱高齢者の潜在的低栄養予防など臨床栄養学の実践が必要な新たな対象集団も確認されてきています.
このような臨床栄養学の今日的なニーズに応え,今回の改訂では新たに高齢者低栄養の項目を設け,既存の疾患も含め15項目について内容を一新しました.脂質異常症は高トリグリセライド血症,高LDL血症に分け,慢性腎不全はCKDとして3つの病期に分け,肝疾患ではNAFLD,NASHを追加しました.各項目の執筆者の先生方には,あらためて感謝申し上げます.
さらにテキストの内容は,疾患を有している症例のイメージづくり,栄養ケアの具現化,具現化した栄養ケアの実践がどのように行われるか,実践による栄養食事療法の効果はあるのか,また治療効果をなにで,どのように評価するのかを解説し,疾患ごとの栄養ケアの特徴を浮き彫りにしするよう心がけました.
今後も定期的に見直し,内容を時代に即したものとし,臨床栄養教育の信頼できるテキストとしていきたいと思います.本書により,臨床栄養教育の学習を進めることにより,その実践がかなうものと確信しています.
2015年3月
編者を代表して
本田佳子
序文
管理栄養士養成において,「なにをどこまで教えるか」を統制する管理栄養士養成カリキュラムが平成14年に改正されました.このカリキュラムは,臨床栄養学を中心とした専門分野の教育内容の充実,演習や実習の充実強化を図ることを,その基本視点においています.
臨床栄養学は,「社会・環境と健康」「人体の構造と機能,疾病の成り立ち」「食べ物と健康」等の「専門基礎分野」のすべての知識のうえに,臨床での栄養のありかたを問う学問領域であり,平成17年度から新しいカリキュラムによって実施された管理栄養士国家試験の出題内容からも臨床栄養学に求められるものが理解できます.さらに,平成12年栄養士法の改正により管理栄養士の業務に特記する“栄養教育”は,「傷病者に対する療養のため必要な栄養指導」,「個人の身体状況,栄養状態等に応じた栄養指導」と明文化されています.
本書は,この栄養教育を臨床現場での実践に対応した学生向けの演習書としてまとめたものです.臨床での栄養教育をイメージし,実践演習に向けて,症例を解説し栄養指導の展開を示したものです.呈示した症例は,栄養食事療法が必要である主要な疾患を網羅し,執筆に当たっては臨床経験が豊かな管理栄養士の諸先生に依頼し,臨床現場を知らない学生にも少しでも現場の息吹が伝わるよう記述を心がけていただきました.また,学生のみならず現在病院で活動している管理栄養士諸氏にとっても,本書は日常の栄養教育に役立つものと確信しています.
臨床栄養学は,知識のみにとどまることなく実践する学問であり,症例と真摯に向き合い,理論と実践のたゆまぬ循環のなかで症例に問い症例から学ぶことが基本的な姿勢と考えます.本書により,症例と向き合う一歩を踏み出し,ひたすら歩み出す臨床栄養学の実践者が誕生することを強く願っています.
最後に,ご執筆いただいた諸先生に改めて御礼申し上げます.また,ご多忙ななかご監修を賜りました川崎英二先生,中西幸二先生,松田正道先生に心から感謝申し上げます.そして,医歯薬出版編集部のご尽力に御礼申し上げます.
2006年11月
増刷にあたり,疾患概念が変わった症例等を見直すとともに,日常臨床で頻度の高いメタボリックシンドローム,貧血,嚥下障害,褥瘡の症例を追加した.
2010年4月
編者を代表して
本田佳子
監修のことば
近年における生活習慣病患者数の著しい増加や,栄養サポートチーム(NST)による栄養管理体制の強化に伴い,医療の現場における栄養管理が今までにも増して重要視されるようになってきています.その中で医療チームの一員としての管理栄養士の仕事内容は急速に多様化してきており,臨床の場において医師や看護師とともに患者の食事療養管理や栄養食事指導を通して患者の栄養管理を的確におこなうことができる,より高度な専門的な知識及び技術をもった質の高い管理栄養士が求められています.
平成14年4月,「栄養士法の一部を改正する法律」により管理栄養士制度の改正が行われ,患者の病態や栄養状態の特徴に応じた栄養管理能力が求められるようになりました.管理栄養士養成の卒前教育もカリキュラムが見直され,新しいカリキュラムに基づいた管理栄養士国家試験も平成17年度から開始されています.さらに平成17年4月の「個人情報保護法」の実施に伴い,食事提供業務や栄養指導・栄養管理における個人情報の取り扱いについてもこれまで以上に注意を払うことが求められています.
本書はそのような時代の流れに対応するため,カルテを読むことができ,栄養状態の評価,栄養補給,栄養教育などの栄養管理能力を有する管理栄養士になるための実践的演習テキストとして執筆されました.本書は臨床栄養教育の演習用のテキストとして企画されましたが,同時に,ベッドサイドにおいて活動している,あるいはこれから活動する管理栄養士が,実際の症例を通して栄養食事療法および栄養指導の具体的な展開を学べるようになっています.本書が,栄養学履修学生,管理栄養士をはじめ,医療チームの一員である医師,看護師,薬剤師などに役立つものと確信しています.
最後に,本書のとりまとめにあたられました本田佳子先生,松崎政三先生をはじめ,ご執筆いただきました先生方のご苦労に対し,監修担当者を代表して深く感謝申し上げます.
2006年11月
監修者を代表して
川﨑英二
本書の初版が発行されてから9年が経過しました.この間,わが国では人口の高齢化が進み,超高齢社会となっています.それにともない,生活習慣病予防の重要性がより高まると同時に,虚弱高齢者の潜在的低栄養予防など臨床栄養学の実践が必要な新たな対象集団も確認されてきています.
このような臨床栄養学の今日的なニーズに応え,今回の改訂では新たに高齢者低栄養の項目を設け,既存の疾患も含め15項目について内容を一新しました.脂質異常症は高トリグリセライド血症,高LDL血症に分け,慢性腎不全はCKDとして3つの病期に分け,肝疾患ではNAFLD,NASHを追加しました.各項目の執筆者の先生方には,あらためて感謝申し上げます.
さらにテキストの内容は,疾患を有している症例のイメージづくり,栄養ケアの具現化,具現化した栄養ケアの実践がどのように行われるか,実践による栄養食事療法の効果はあるのか,また治療効果をなにで,どのように評価するのかを解説し,疾患ごとの栄養ケアの特徴を浮き彫りにしするよう心がけました.
今後も定期的に見直し,内容を時代に即したものとし,臨床栄養教育の信頼できるテキストとしていきたいと思います.本書により,臨床栄養教育の学習を進めることにより,その実践がかなうものと確信しています.
2015年3月
編者を代表して
本田佳子
序文
管理栄養士養成において,「なにをどこまで教えるか」を統制する管理栄養士養成カリキュラムが平成14年に改正されました.このカリキュラムは,臨床栄養学を中心とした専門分野の教育内容の充実,演習や実習の充実強化を図ることを,その基本視点においています.
臨床栄養学は,「社会・環境と健康」「人体の構造と機能,疾病の成り立ち」「食べ物と健康」等の「専門基礎分野」のすべての知識のうえに,臨床での栄養のありかたを問う学問領域であり,平成17年度から新しいカリキュラムによって実施された管理栄養士国家試験の出題内容からも臨床栄養学に求められるものが理解できます.さらに,平成12年栄養士法の改正により管理栄養士の業務に特記する“栄養教育”は,「傷病者に対する療養のため必要な栄養指導」,「個人の身体状況,栄養状態等に応じた栄養指導」と明文化されています.
本書は,この栄養教育を臨床現場での実践に対応した学生向けの演習書としてまとめたものです.臨床での栄養教育をイメージし,実践演習に向けて,症例を解説し栄養指導の展開を示したものです.呈示した症例は,栄養食事療法が必要である主要な疾患を網羅し,執筆に当たっては臨床経験が豊かな管理栄養士の諸先生に依頼し,臨床現場を知らない学生にも少しでも現場の息吹が伝わるよう記述を心がけていただきました.また,学生のみならず現在病院で活動している管理栄養士諸氏にとっても,本書は日常の栄養教育に役立つものと確信しています.
臨床栄養学は,知識のみにとどまることなく実践する学問であり,症例と真摯に向き合い,理論と実践のたゆまぬ循環のなかで症例に問い症例から学ぶことが基本的な姿勢と考えます.本書により,症例と向き合う一歩を踏み出し,ひたすら歩み出す臨床栄養学の実践者が誕生することを強く願っています.
最後に,ご執筆いただいた諸先生に改めて御礼申し上げます.また,ご多忙ななかご監修を賜りました川崎英二先生,中西幸二先生,松田正道先生に心から感謝申し上げます.そして,医歯薬出版編集部のご尽力に御礼申し上げます.
2006年11月
増刷にあたり,疾患概念が変わった症例等を見直すとともに,日常臨床で頻度の高いメタボリックシンドローム,貧血,嚥下障害,褥瘡の症例を追加した.
2010年4月
編者を代表して
本田佳子
監修のことば
近年における生活習慣病患者数の著しい増加や,栄養サポートチーム(NST)による栄養管理体制の強化に伴い,医療の現場における栄養管理が今までにも増して重要視されるようになってきています.その中で医療チームの一員としての管理栄養士の仕事内容は急速に多様化してきており,臨床の場において医師や看護師とともに患者の食事療養管理や栄養食事指導を通して患者の栄養管理を的確におこなうことができる,より高度な専門的な知識及び技術をもった質の高い管理栄養士が求められています.
平成14年4月,「栄養士法の一部を改正する法律」により管理栄養士制度の改正が行われ,患者の病態や栄養状態の特徴に応じた栄養管理能力が求められるようになりました.管理栄養士養成の卒前教育もカリキュラムが見直され,新しいカリキュラムに基づいた管理栄養士国家試験も平成17年度から開始されています.さらに平成17年4月の「個人情報保護法」の実施に伴い,食事提供業務や栄養指導・栄養管理における個人情報の取り扱いについてもこれまで以上に注意を払うことが求められています.
本書はそのような時代の流れに対応するため,カルテを読むことができ,栄養状態の評価,栄養補給,栄養教育などの栄養管理能力を有する管理栄養士になるための実践的演習テキストとして執筆されました.本書は臨床栄養教育の演習用のテキストとして企画されましたが,同時に,ベッドサイドにおいて活動している,あるいはこれから活動する管理栄養士が,実際の症例を通して栄養食事療法および栄養指導の具体的な展開を学べるようになっています.本書が,栄養学履修学生,管理栄養士をはじめ,医療チームの一員である医師,看護師,薬剤師などに役立つものと確信しています.
最後に,本書のとりまとめにあたられました本田佳子先生,松崎政三先生をはじめ,ご執筆いただきました先生方のご苦労に対し,監修担当者を代表して深く感謝申し上げます.
2006年11月
監修者を代表して
川﨑英二
第2版の序(本田佳子)
監修のことば
執筆者一覧
Part I 医療人として
患者とは(本田佳子)
医療におけるプライバシーの保護-守秘義務と個人情報保護法(松崎政三)
診療記録の見方・書き方(松崎政三)
栄養・食事教育(指導)とは(本田佳子)
栄養管理加算と必要な帳票(本田佳子)
Part II 症例と向かい合う
小児肥満症★(杉浦令子)
成人肥満症(大部正代)
メタボリックシンドローム★(坂本八千代)
高血圧症★(金胎芳子・細川 学)
高尿酸血症(尿酸産生過剰型)★(荒川直江)
糖尿病:インスリン療法(土江節子)
糖尿病:非薬物療法(石川紀子)
糖尿病:薬物療法(村上文代)
脂質異常症(高LDL血症)★(林 明日香)
脂質異常症(高中性脂肪血症)★(本田佳子)
虚血性心疾患★(大野加代子)
うっ血性心疾患(慢性心不全)(宮本佳代子)
CKD(ステージ1,2)★(戸田和正)
CKD(ステージ3,4)★(長浜幸子)
CKD(透析)★(清野由美子)
慢性肝炎(片山一男)
NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)★(佐藤敏子・古沢里絵)
NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)★(今 寿賀子)
肝硬変:代償期★(岩田加壽子・原 なぎさ)
肝硬変:非代償期(市川和子・西 玉枝)
クローン病(野口球子)
潰瘍性大腸炎(野口球子)
消化器疾患術後:食道癌(松崎政三)
消化器疾患術後:胃切除(河原和枝)
消化器疾患術後:膵癌(遠藤陽子)
消化器疾患術後:大腸癌★(川口美喜子)
鉄欠乏性貧血(小林君枝)
嚥下障害(田中弥生)
高齢者低栄養★(西村一弘)
褥瘡(今 寿賀子)
付録
臨床検査基準値)
栄養評価に必要な公式・計算式(本田佳子)
医療,栄養管理に関連する主な用語・略語(武部久美子)
★は今回,改訂項目
監修のことば
執筆者一覧
Part I 医療人として
患者とは(本田佳子)
医療におけるプライバシーの保護-守秘義務と個人情報保護法(松崎政三)
診療記録の見方・書き方(松崎政三)
栄養・食事教育(指導)とは(本田佳子)
栄養管理加算と必要な帳票(本田佳子)
Part II 症例と向かい合う
小児肥満症★(杉浦令子)
成人肥満症(大部正代)
メタボリックシンドローム★(坂本八千代)
高血圧症★(金胎芳子・細川 学)
高尿酸血症(尿酸産生過剰型)★(荒川直江)
糖尿病:インスリン療法(土江節子)
糖尿病:非薬物療法(石川紀子)
糖尿病:薬物療法(村上文代)
脂質異常症(高LDL血症)★(林 明日香)
脂質異常症(高中性脂肪血症)★(本田佳子)
虚血性心疾患★(大野加代子)
うっ血性心疾患(慢性心不全)(宮本佳代子)
CKD(ステージ1,2)★(戸田和正)
CKD(ステージ3,4)★(長浜幸子)
CKD(透析)★(清野由美子)
慢性肝炎(片山一男)
NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)★(佐藤敏子・古沢里絵)
NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)★(今 寿賀子)
肝硬変:代償期★(岩田加壽子・原 なぎさ)
肝硬変:非代償期(市川和子・西 玉枝)
クローン病(野口球子)
潰瘍性大腸炎(野口球子)
消化器疾患術後:食道癌(松崎政三)
消化器疾患術後:胃切除(河原和枝)
消化器疾患術後:膵癌(遠藤陽子)
消化器疾患術後:大腸癌★(川口美喜子)
鉄欠乏性貧血(小林君枝)
嚥下障害(田中弥生)
高齢者低栄養★(西村一弘)
褥瘡(今 寿賀子)
付録
臨床検査基準値)
栄養評価に必要な公式・計算式(本田佳子)
医療,栄養管理に関連する主な用語・略語(武部久美子)
★は今回,改訂項目








