やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 衛生学・公衆衛生学は,医療従事者にとって基盤となる知識体系であり,歯科医療における共通言語ともいえる学問です.近年の歯科医師国家試験では,必修問題の正答率は高い一方で,総論的・応用的な問題では十分な得点に至らない傾向がみられます.この背景には,個別知識の暗記にとどまり,各項目の相互関係や臨床・社会制度とのつながりを十分に理解できていないことが一因として考えられます.
 令和9年版歯科医師国家試験出題基準では,近年の歯科医療を取り巻く環境の変化を踏まえ,出題範囲の包括化・簡素化の流れがいっそう明確になるとともに,診療参加型臨床実習および共用試験(CBT・OSCE)との接続を意識した出題の整理が進められています.さらに,臨床現場における実践性を重視した評価の方向性が示されており,高齢化に伴う疾病構造の変化,地域包括ケア,多職種連携,医療安全,職業倫理,国際保健など,歯科医療を取り巻く横断的課題への対応がより重視される流れにあります.
 近年の出題傾向としても,単一領域にとどまらず,複数の分野にまたがる横断的な問題が増加しており,知識の「点」の理解だけではなく,それらを「線」や「面」として結びつける理解が求められていると感じられます.
 本書では,重要事項を簡潔に整理し,相互の関連性を意識しながら学習できる構成としました.繰り返しの学習を通じて全体像を体系的に理解し,国家試験対策のみならず,臨床現場においても活用できる知識の定着につながることを期待しています.
 2026年7月
 野村義明
 谷口奈央
Chapter 1 医療倫理
Chapter 2 健康,予防の概念と社会環境
Chapter 3 疫学とその応用
Chapter 4 スクリーニング検査
Chapter 5 統計解析
Chapter 6 人口統計
Chapter 7 保健統計
Chapter 8 社会保障
Chapter 9 地域医療
Chapter 10 地域保健
Chapter 11 母子保健
Chapter 12 学校保健
Chapter 13 成人保健
Chapter 14 産業保健
Chapter 15 高齢者保健
Chapter 16 障害者・障害児の保健・福祉
Chapter 17 国際保健
Chapter 18 感染症の予防
Chapter 19 食品保健
Chapter 20 国民栄養の現状
Chapter 21 環境保健
付録 関連法規一覧

 参考文献
 索引