序文
「骨は生きている」の系譜:伝統の継承と新たなるフロンティア
1985年,わが国の骨代謝研究がまさに黎明期にあり,学術的な熱気が胎動し始めていた時代に,一冊の金字塔が打ち立てられた.須田立雄先生,小澤英浩先生,髙橋榮明先生の三氏による『骨の科学』である.
初版の序文には,かつて骨代謝の研究発表が学会の「その他」セッションに割り振られ,聴衆もまばらであり,決して主流の領域ではなかった黎明期の苦労が記されている.そのような中で『骨の科学』は,骨の形態学,生化学,そして臨床医学という異なる領域の知を糾合し,わが国初となる本格的な体系化に挑んだ画期的な教科書であった.当時,整形外科医としてのキャリアを歩み始めていた私にとって,同書は単なる専門書を超え,骨代謝という未知なる大海へと進む船の航路を示す灯台となったのである.
なかでも,第1章のタイトルとして掲げられた「骨は生きている」という言葉は,静的な支持組織と見られがちであった骨の概念を根底から覆すものであった.破骨細胞と骨芽細胞が織りなすダイナミックなリモデリングの様相を鮮烈に提示したこの思想は,私の研究生活における座右の銘となり,今日に至るまでの道しるべとなった.
あれから約40年の歳月が流れた.この間に骨代謝学が切り拓いてきた「フロンティア」は,須田先生をはじめとする先駆者の方々が当時想像したものを遥かに凌駕している.1990年代後半のRANKL/OPG系の発見は,骨代謝調節の根源的なメカニズムを詳らかにし,長らく未知であった生命の摂理を鮮やかに解き明かした.さらに近年の研究は,骨を単なる「体の支柱」や「カルシウムの貯蔵庫」としてだけでなく,全身の代謝,免疫系,神経系,さらには筋や血管,脂肪組織と密接にクロストークを行う「多機能な内分泌器官」として再定義するに至っている.
臨床においても,この40年はパラダイムシフトの連続であった.かつては加齢に伴う不可避な生理現象と諦められていた骨粗鬆症は,強力な骨吸収抑制薬や骨形成促進薬の登場により,現在では「克服可能な疾患」へと変貌を遂げた.骨折の連鎖を食い止め,健康寿命の延伸に寄与することは,現代の臨床医に課せられた極めて重要な社会的責務となっている.
しかし,知識が膨大かつ断片化される現代において,基礎から臨床までを一本の糸で繋ぎ,全体像を俯瞰できる体系的な羅針盤が切実に求められている.諸先輩たちが築き上げた歴史と精神を継承し,次世代へ繋ぐ知の集大成を編むこと.このような目的で企画されたのが,本書『骨の科学 フロンティア』である.
本書の構成は,骨の進化や発生といった基礎的な研究から,メカノバイオロジー,細胞外マトリックス,骨免疫学,さらにはAI診断やバイオマテリアルといった工学的視点まで,現在の骨代謝学が扱う広大な領域を網羅している.各論においても,原発性・続発性骨粗鬆症,副甲状腺機能亢進症,がん骨転移およびがん治療関連骨減少症(CTIBL),骨系統疾患,そして歯周病など,臨床の最前線における知見を網羅的に収載した.
特筆すべきは,基礎研究の成果をいかに臨床のベッドサイドへと還元するかという「トランスレーショナル」な視点を重視した点にある.骨代謝学は今や,整形外科のみならず,内分泌代謝学,老年医学,歯科・口腔外科,再生医療などを包含する,生命科学の最前線へと進化した.執筆陣には,各領域の第一線で活躍する諸先生方を迎え,最新の知見とともに,各々の学問的知見に基づいた考察を注ぎ込んでいただいた.本書が,若手医師や研究者にとって,かつての私にとっての前著がそうであったように,進むべき道を照らす一助となることを願ってやまない.
最後に,多忙な中で執筆の労を執られた諸先生方,ならびに本書の刊行を支えてくださった編集部の皆様に,深く感謝の意を表する.
骨の科学の探求に終わりはない.本書を手にした読者の中から,さらにその先の「未踏の地」へと歩を進める者が現れることを確信している.
令和8年3月
東京大学大学院医学系研究科整形外科学教授 田中 栄
『骨の科学 フロンティア』の刊行を祝う ―40年前の想い出―
『骨の科学 フロンティア』は,小澤英浩,須田立雄,高橋栄明の3名によって40年前に刊行された『骨の科学(医歯薬出版,1985年)』が原型になっている.このたび,田中 栄先生らが『骨の科学 フロンティア』を発刊されたことを喜ぶとともに,40年前のことを想い出して暫し感慨にふけった.
私(須田)が「骨の科学」の執筆を思い立ったのはWilliam Neuman夫妻が刊行したThe Chemical Dynmics of Bone Mineral(1958年,Chicago Press)を読んだことが発端になっている.当時,私は東京医科歯科大学歯学部生化学教室(荒谷 真平教授)の大学院生で,教室の先輩諸氏が2年の歳月をかけて翻訳・刊行した『骨の生化学』(医歯薬出版,1960年)を読んで,骨の石灰化現象を説明するために,血清リン濃度の上昇を重視するRobisonのALP学説に対して,血清リン濃度の上昇がなくてもヒドロキシアパタイトが直接沈着することを主張したNeuman夫妻のエピタキシー学説を学んだ.また,血清Ca濃度の恒常性を維持するために副甲状腺ホルモン(PTH)とビタミンDが重要な役割を果たしていることを知った.また,Reidar Sognnaes博士,Marshal Urist博士,Melvin Glimcher博士などの先人達が記した論文を読んで,生物進化と骨の起源に思いを馳せた.そして,当時我が国にも田熊 庄三郎先生(東京歯科大学),須賀 昭一先生(日本歯科大学)など世界に冠たる硬組織研究者がおられることを知った.
当時は我が国も米国も骨代謝研究の黎明期で,骨代謝研究の学会もなかった.米国では1979年に米国骨代謝学会(ASBMR)が,日本ではそれより4年後に日本骨代謝学会(JSBMR)が設立された.私はビタミンDの代謝研究に魅せられて,1968年から3年間Wisconsin大学に留学し,HF.DeLuca教授の下で活性型ビタミンDの単離と構造決定に従事した.また,英国のSF小説家HG.Wellsが描いた挿絵の火星人の姿に魅せられて,宇宙における生命の誕生に興味を馳せた.1979年日本宇宙開発事業団(NASDA)が米国のスペースシャトルを借用して我が国初の本格的な宇宙実験を計画していることを知り,無重力状態でも鶏胚の骨が育つかどうかを調べる宇宙実験のプランを思い立った.このプランは幸い応募にパスしたが,実際宇宙実験が実施されたのはチャレンジャー号の爆発事故があって,代替のエンデバー号に30個の鶏の受精卵を搭載して実施したのは1992年のことであった.今から思うと,これらの出来事が私に『骨の科学』を出版させる原動力になったと思う.
『骨の科学』を刊行することに賛同してくれた小澤英浩君の存在も大きかった.小澤君は東京医科歯科大学歯学部の同期生で,高名な電子顕微鏡学者の水平敏知先生に師事して形態学を学び,1983年に新潟大学歯学部で解剖学の教授となった.私は何回となく新潟に通い,『骨の科学』刊行の夢を話した.髙橋栄明先生(新潟大学医学部整形外科学教授)を紹介いただいたのも小澤君であった.3人で相談した「骨の科学」の編集方針は,膨大な知識が断片化されていた当時,それらの知を基礎から臨床まで一本の糸で繋ぎ,骨の全体像を俯瞰できる羅針盤を構築することであった.
1985年に刊行した「骨の科学」がその目的を達成できたかどうかはわからないが,刊行されてから数年,それまであまりお付き合いがなかった日本免疫学会,日本リウマチ学会,日本内分泌学会,日本薬学会,日本農芸化学会,日本ビタミン学会,日本腎臓学会などからも講演依頼が舞い込み,骨の研究が整形外科領域,歯科口腔外科学領域に限局した学問から解放されて,ライフサイエンスの一部門として認識されたことを実感した.
『骨の科学』はその後2回改訂が行われ,『新 骨の科学』(2007年),『新 骨の科学,第2版』(2016年)として刊行された.3年前,医歯薬出版から『新骨の科学』が刊行されていから20年近くが経過するので,新たな改訂版の企画をお願いしたいという話をいただいた.1985年版の『骨の科学』を執筆した3名の内,小澤英浩君はすでに他界し,高橋栄明先生も須田も卒寿を迎える頃であった.幸い,骨代謝研究に造詣が深く,1985年版の『骨の科学』を高く評価してくれていた田中 栄先生(東京大学医学部整形外科学教授)に新しい編集主幹をお願いしたところ,快諾の返事を得た.田中 栄先生は私が昭和大学で現役時代,大学院生として一緒に働き,骨芽細胞に破骨細胞誘導因子(ODF)の存在を予言した逸材である.今回,田中先生と一緒に改訂作業に当たってくれたのは下記の5名で,いずれも我が国の誇る骨代謝研究の現役リーダー達である.改訂・編集作業に当たってくれた諸氏の努力に心から敬意を表したい.
網塚憲生先生(北海道大学大学院大学院歯学研究院)
宇田川信之先生(松本歯科大学)
井上大輔先生(帝京大学ちば総合医療センター)
自見英治郎先生(九州大学大学院歯学研究院)
仲村一郎先生(国立障害者リハビリテーションセンター病院)
『骨の科学 フロンティア』と『骨の科学』の目次建てを比べてみると,両者は非常に類似していることに気付かされる.これは,『骨の科学 フロンティア』の編集者が『骨の科学』の出版ポリシーと精神を尊重しているからに他ならない.ところが,その内容を詳しくみると全編に亘り新しい内容が溢れていて,驚かされた.『骨の科学 フロンティア』が従来の読者だけでなく,新しい読者にも歓迎されることを願っている.
須田立雄(初版『骨の科学』編著者)
「骨は生きている」の系譜:伝統の継承と新たなるフロンティア
1985年,わが国の骨代謝研究がまさに黎明期にあり,学術的な熱気が胎動し始めていた時代に,一冊の金字塔が打ち立てられた.須田立雄先生,小澤英浩先生,髙橋榮明先生の三氏による『骨の科学』である.
初版の序文には,かつて骨代謝の研究発表が学会の「その他」セッションに割り振られ,聴衆もまばらであり,決して主流の領域ではなかった黎明期の苦労が記されている.そのような中で『骨の科学』は,骨の形態学,生化学,そして臨床医学という異なる領域の知を糾合し,わが国初となる本格的な体系化に挑んだ画期的な教科書であった.当時,整形外科医としてのキャリアを歩み始めていた私にとって,同書は単なる専門書を超え,骨代謝という未知なる大海へと進む船の航路を示す灯台となったのである.
なかでも,第1章のタイトルとして掲げられた「骨は生きている」という言葉は,静的な支持組織と見られがちであった骨の概念を根底から覆すものであった.破骨細胞と骨芽細胞が織りなすダイナミックなリモデリングの様相を鮮烈に提示したこの思想は,私の研究生活における座右の銘となり,今日に至るまでの道しるべとなった.
あれから約40年の歳月が流れた.この間に骨代謝学が切り拓いてきた「フロンティア」は,須田先生をはじめとする先駆者の方々が当時想像したものを遥かに凌駕している.1990年代後半のRANKL/OPG系の発見は,骨代謝調節の根源的なメカニズムを詳らかにし,長らく未知であった生命の摂理を鮮やかに解き明かした.さらに近年の研究は,骨を単なる「体の支柱」や「カルシウムの貯蔵庫」としてだけでなく,全身の代謝,免疫系,神経系,さらには筋や血管,脂肪組織と密接にクロストークを行う「多機能な内分泌器官」として再定義するに至っている.
臨床においても,この40年はパラダイムシフトの連続であった.かつては加齢に伴う不可避な生理現象と諦められていた骨粗鬆症は,強力な骨吸収抑制薬や骨形成促進薬の登場により,現在では「克服可能な疾患」へと変貌を遂げた.骨折の連鎖を食い止め,健康寿命の延伸に寄与することは,現代の臨床医に課せられた極めて重要な社会的責務となっている.
しかし,知識が膨大かつ断片化される現代において,基礎から臨床までを一本の糸で繋ぎ,全体像を俯瞰できる体系的な羅針盤が切実に求められている.諸先輩たちが築き上げた歴史と精神を継承し,次世代へ繋ぐ知の集大成を編むこと.このような目的で企画されたのが,本書『骨の科学 フロンティア』である.
本書の構成は,骨の進化や発生といった基礎的な研究から,メカノバイオロジー,細胞外マトリックス,骨免疫学,さらにはAI診断やバイオマテリアルといった工学的視点まで,現在の骨代謝学が扱う広大な領域を網羅している.各論においても,原発性・続発性骨粗鬆症,副甲状腺機能亢進症,がん骨転移およびがん治療関連骨減少症(CTIBL),骨系統疾患,そして歯周病など,臨床の最前線における知見を網羅的に収載した.
特筆すべきは,基礎研究の成果をいかに臨床のベッドサイドへと還元するかという「トランスレーショナル」な視点を重視した点にある.骨代謝学は今や,整形外科のみならず,内分泌代謝学,老年医学,歯科・口腔外科,再生医療などを包含する,生命科学の最前線へと進化した.執筆陣には,各領域の第一線で活躍する諸先生方を迎え,最新の知見とともに,各々の学問的知見に基づいた考察を注ぎ込んでいただいた.本書が,若手医師や研究者にとって,かつての私にとっての前著がそうであったように,進むべき道を照らす一助となることを願ってやまない.
最後に,多忙な中で執筆の労を執られた諸先生方,ならびに本書の刊行を支えてくださった編集部の皆様に,深く感謝の意を表する.
骨の科学の探求に終わりはない.本書を手にした読者の中から,さらにその先の「未踏の地」へと歩を進める者が現れることを確信している.
令和8年3月
東京大学大学院医学系研究科整形外科学教授 田中 栄
『骨の科学 フロンティア』の刊行を祝う ―40年前の想い出―
『骨の科学 フロンティア』は,小澤英浩,須田立雄,高橋栄明の3名によって40年前に刊行された『骨の科学(医歯薬出版,1985年)』が原型になっている.このたび,田中 栄先生らが『骨の科学 フロンティア』を発刊されたことを喜ぶとともに,40年前のことを想い出して暫し感慨にふけった.
私(須田)が「骨の科学」の執筆を思い立ったのはWilliam Neuman夫妻が刊行したThe Chemical Dynmics of Bone Mineral(1958年,Chicago Press)を読んだことが発端になっている.当時,私は東京医科歯科大学歯学部生化学教室(荒谷 真平教授)の大学院生で,教室の先輩諸氏が2年の歳月をかけて翻訳・刊行した『骨の生化学』(医歯薬出版,1960年)を読んで,骨の石灰化現象を説明するために,血清リン濃度の上昇を重視するRobisonのALP学説に対して,血清リン濃度の上昇がなくてもヒドロキシアパタイトが直接沈着することを主張したNeuman夫妻のエピタキシー学説を学んだ.また,血清Ca濃度の恒常性を維持するために副甲状腺ホルモン(PTH)とビタミンDが重要な役割を果たしていることを知った.また,Reidar Sognnaes博士,Marshal Urist博士,Melvin Glimcher博士などの先人達が記した論文を読んで,生物進化と骨の起源に思いを馳せた.そして,当時我が国にも田熊 庄三郎先生(東京歯科大学),須賀 昭一先生(日本歯科大学)など世界に冠たる硬組織研究者がおられることを知った.
当時は我が国も米国も骨代謝研究の黎明期で,骨代謝研究の学会もなかった.米国では1979年に米国骨代謝学会(ASBMR)が,日本ではそれより4年後に日本骨代謝学会(JSBMR)が設立された.私はビタミンDの代謝研究に魅せられて,1968年から3年間Wisconsin大学に留学し,HF.DeLuca教授の下で活性型ビタミンDの単離と構造決定に従事した.また,英国のSF小説家HG.Wellsが描いた挿絵の火星人の姿に魅せられて,宇宙における生命の誕生に興味を馳せた.1979年日本宇宙開発事業団(NASDA)が米国のスペースシャトルを借用して我が国初の本格的な宇宙実験を計画していることを知り,無重力状態でも鶏胚の骨が育つかどうかを調べる宇宙実験のプランを思い立った.このプランは幸い応募にパスしたが,実際宇宙実験が実施されたのはチャレンジャー号の爆発事故があって,代替のエンデバー号に30個の鶏の受精卵を搭載して実施したのは1992年のことであった.今から思うと,これらの出来事が私に『骨の科学』を出版させる原動力になったと思う.
『骨の科学』を刊行することに賛同してくれた小澤英浩君の存在も大きかった.小澤君は東京医科歯科大学歯学部の同期生で,高名な電子顕微鏡学者の水平敏知先生に師事して形態学を学び,1983年に新潟大学歯学部で解剖学の教授となった.私は何回となく新潟に通い,『骨の科学』刊行の夢を話した.髙橋栄明先生(新潟大学医学部整形外科学教授)を紹介いただいたのも小澤君であった.3人で相談した「骨の科学」の編集方針は,膨大な知識が断片化されていた当時,それらの知を基礎から臨床まで一本の糸で繋ぎ,骨の全体像を俯瞰できる羅針盤を構築することであった.
1985年に刊行した「骨の科学」がその目的を達成できたかどうかはわからないが,刊行されてから数年,それまであまりお付き合いがなかった日本免疫学会,日本リウマチ学会,日本内分泌学会,日本薬学会,日本農芸化学会,日本ビタミン学会,日本腎臓学会などからも講演依頼が舞い込み,骨の研究が整形外科領域,歯科口腔外科学領域に限局した学問から解放されて,ライフサイエンスの一部門として認識されたことを実感した.
『骨の科学』はその後2回改訂が行われ,『新 骨の科学』(2007年),『新 骨の科学,第2版』(2016年)として刊行された.3年前,医歯薬出版から『新骨の科学』が刊行されていから20年近くが経過するので,新たな改訂版の企画をお願いしたいという話をいただいた.1985年版の『骨の科学』を執筆した3名の内,小澤英浩君はすでに他界し,高橋栄明先生も須田も卒寿を迎える頃であった.幸い,骨代謝研究に造詣が深く,1985年版の『骨の科学』を高く評価してくれていた田中 栄先生(東京大学医学部整形外科学教授)に新しい編集主幹をお願いしたところ,快諾の返事を得た.田中 栄先生は私が昭和大学で現役時代,大学院生として一緒に働き,骨芽細胞に破骨細胞誘導因子(ODF)の存在を予言した逸材である.今回,田中先生と一緒に改訂作業に当たってくれたのは下記の5名で,いずれも我が国の誇る骨代謝研究の現役リーダー達である.改訂・編集作業に当たってくれた諸氏の努力に心から敬意を表したい.
網塚憲生先生(北海道大学大学院大学院歯学研究院)
宇田川信之先生(松本歯科大学)
井上大輔先生(帝京大学ちば総合医療センター)
自見英治郎先生(九州大学大学院歯学研究院)
仲村一郎先生(国立障害者リハビリテーションセンター病院)
『骨の科学 フロンティア』と『骨の科学』の目次建てを比べてみると,両者は非常に類似していることに気付かされる.これは,『骨の科学 フロンティア』の編集者が『骨の科学』の出版ポリシーと精神を尊重しているからに他ならない.ところが,その内容を詳しくみると全編に亘り新しい内容が溢れていて,驚かされた.『骨の科学 フロンティア』が従来の読者だけでなく,新しい読者にも歓迎されることを願っている.
須田立雄(初版『骨の科学』編著者)
序文
第1章 硬組織の起源とその進化―骨は生きている―
1 骨の進化―外骨格から内骨格へ―(宇田川信之)
(1)海水とヒトに含まれる十大元素の相違―生物は海で生まれた―
(2)生命を支える元素であるリンとカルシウム
(3)骨の起源
(4)無脊椎動物から脊椎動物へ
(5)脊椎動物における骨組織の進化―外骨格から内骨格へ―
(6)骨と軟骨の系統発生的進化
(7)哺乳類の頭蓋骨発生の進化
2 骨の発生(井関祥子)
(1)骨を形成する細胞の出現
(2)体幹部の骨を形成する中胚葉
(3)頭蓋顎顔面部硬組織を形成する神経堤細胞
(4)組織由来による骨芽細胞の性質
(5)骨原基の成長
(6)骨修復に関わる頭蓋縫合間葉系幹細胞
(7)進化研究における骨の有用性
第2章 硬組織の構造
1 骨の構造(長谷川智香,網塚憲生)
(1)骨の形による分類
(2)肉眼的構造
(3)骨の組織構造
(4)骨の血管系
2 軟骨の構造(小澤英浩,中村浩彰,波多賢二)
(1)軟骨組織の特徴と種類
(2)軟骨の組織発生と成長
(3)軟骨細胞の微細形態
(4)関節と滑膜
(5)関節軟骨
(6)関節軟骨の構造
3 歯の構造(長谷川智香,網塚憲生)
(1)歯の構造の概要
(2)エナメル質
(3)象牙質および歯髄
(4)歯周組織
4 骨の組織観察法とイメージング(菊池 菫,上中麻希,菊田順一,石井 優)
(1)骨の構造と構成要素
(2)骨全体像・骨量・骨密度の観察法
(3)骨を構成する細胞の観察法
(4)骨を構成するその他の要素(骨基質・細胞外小胞・細胞内小器官)の観察法
(5)骨の生体イメージング
第3章 骨と歯の形づくり・組織発生・成長
1 体軸の決定と四肢の形態形成(飯村忠浩)
(1)体軸の伸長と中胚葉の空間分布
(2)頭部中胚葉と頭頸部・口腔の初期形成
(3)胚子の折りたたみと頭部・体幹神経堤細胞
(4)分節時計と椎体原器の空間配置
(5)四肢の発生
(6)胚組織形成とHox遺伝子群発現の時・空間的共線性
(7)個々の骨の原器の位置を決定するメカニズム:反応拡散系(チューリングモデル)
2 軟骨の発生と調節因子(波多賢二)
(1)軟骨の起源
(2)軟骨の発生
(3)軟骨の調節因子
3 骨の発生と成長(松下祐樹)
(1)骨の発生と成長の概要
(2)骨格の形成
(3)骨格幹・前駆細胞を基軸とした骨の成長
4 歯の発生とその分子メカニズム(大峡 淳)
(1)歯冠形成;形態変化以前
(2)歯冠形成;上皮の肥厚期
(3)歯冠形成;蕾状期
(4)歯冠形成;帽状期
(5)歯冠形成;鐘状期
(6)歯の発生の順番と歯の交換
(7)歯根形成
第4章 硬組織の細胞とその分化
1 骨芽細胞の形態学(長谷川智香,網塚憲生)
(1)骨芽細胞の組織像
(2)活性型骨芽細胞と休止期骨芽細胞
(3)基質小胞性石灰化
(4)石灰化球とコラーゲン性石灰化
(5)骨芽細胞の前駆細胞
2 骨細胞の形態学(長谷川智香,網塚憲生)
(1)骨細胞の組織像
(2)骨細胞・骨細管系
(3)骨細胞・骨細管系の機能における微細構造
(4)骨細胞から産生される因子
3 破骨細胞の形態学(長谷川智香,網塚憲生)
(1)破骨細胞の組織像
(2)破骨細胞の前駆細胞
(3)破骨細胞の骨吸収における微細構造
(4)骨吸収における波状縁と明帯
4 歯の細胞(小澤英浩,中村浩彰)
(1)エナメル芽細胞
(2)象牙芽細胞
(3)セメント芽細胞
(4)歯根膜の細胞
5 骨芽細胞分化の分子メカニズム(片桐岳信)
(1)筋分化を制御するMyoDの発見
(2)骨芽細胞分化を制御するRunx2の発見
(3)Runx2の下流で働く転写因子Osterix/Sp7の発見
6 骨細胞分化および機能発現の分子メカニズム(林 幹人,中島友紀)
(1)骨細胞分化
(2)骨細胞による骨代謝制御
(3)骨細胞アポトーシス
(4)骨細胞性骨溶解
(5)骨細胞内分泌機能
7 破骨細胞分化の分子メカニズム(小林泰浩)
(1)RANKL-RANKシグナル
(2)破骨細胞前駆細胞
(3)Wntシグナルによる破骨細胞分化と活性化の制御
8 軟骨細胞分化の分子メカニズム(波多賢二)
(1)Sox9
(2)Runx2
第5章 骨・軟骨・歯に特有な有機成分
1 骨基質のタンパク質(田村正人)
(1)I型コラーゲン
(2)オステオカルシン
(3)マトリックスGlaタンパク質
(4)オステオポンチン
(5)骨シアロタンパク質
(6)象牙質マトリックスタンパク質1
(7)Matrix extracellular phosphoglycoprotein
(8)オステオネクチン
(9)トロンボスポンジン
(10)血清タンパク質
2 軟骨基質のタンパク質と多糖体(田村正人)
(1)II型コラーゲン
(2)X型コラーゲン
(3)軟骨に存在するその他のコラーゲン
(4)グリコサミノグリカンとプロテオグリカン
3 接着性タンパク質とインテグリン(田村正人)
(1)細胞接着タンパク質
(2)インテグリン
4 エナメル質と象牙質に特有なタンパク質(山越康雄)
(1)エナメルタンパク質
(2)象牙質に特有なタンパク質
(3)エナメル質および象牙質の遺伝性形成異常
第6章 石灰化の機構
1 ヒドロキシアパタイトの結晶学(宇田川信之)
(1)リン酸カルシウムとアパタイト前駆体
(2)単位胞
(3)CaとPの比
(4)血清中のカルシウムとリン酸の活動度積(溶解度積)
2 硬組織の石灰化分子機構
(1)ロビソンのアルカリホスファターゼ説(宇田川信之)
(2)Neumanのエピタキシー説
(3)基質小胞説
(4)ピロホスファターゼの石灰化における重要性
(5)骨の石灰化の分子機構(総括)
(6)エナメル質と象牙質の石灰化機構(山越康雄)
第7章 骨と成長因子
1 TGF-βとBMP(片桐岳信)
(1)骨基質に含まれる骨誘導因子の発見
(2)骨誘導因子BMPのクローニング
(3)TGF-βファミリーの基本構造
(4)TGF-βファミリーの膜貫通型キナーゼ受容体と転写因子
(5)筋芽細胞を用いたBMPの骨誘導活性の解析
2 スクレロスチンとWnt(片桐岳信)
(1)スクレロスチンの発見
(2)スクレロスチンとWntシグナル
(3)骨量が減少・増加する遺伝性疾患におけるLrp5,Lrp6の変異
(4)骨細胞におけるスクレロスチンの発現とその制御
(5)Wntの非古典的経路による骨代謝の調節
3 線維芽細胞増殖因子(自見英治郎)
4 エストロゲンとアンドロゲン(自見英治郎)
(1)エストロゲン
(2)アンドロゲン
第8章 血清カルシウムの恒常性とその調節機構
1 生体内におけるカルシウムの分布と恒常性(井上玲子,井上大輔)
(1)カルシウムの体内分布
(2)カルシウムの恒常性維持
(3)カルシウム調節に関わるホルモンと臓器作用
2 副甲状腺(上皮小体)ホルモンとその役割(今西康雄)
(1)PTHとPTH関連タンパク質
(2)副甲状腺ホルモン受容体(PTHR)
(3)PTHの作用
(4)PTHの分泌調節機構
(5)PTHの測定
3 カルシトニンとCGRP(関口俊男)
(1)カルシトニンとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の発見
(2)カルシトニン受容体とCGRP受容体
(3)カルシトニンとCGRPの生理機能
4 ビタミンDとその役割(井上大輔)
(1)ホルモンとしてのビタミンD
(2)ビタミンDの代謝
(3)カルシウム代謝調節機構とビタミンD作用
(4)血中25(OH)D濃度測定の意義
5 FGF-23とリン代謝(加藤創生,伊東伸朗)
(1)FGF-23の構造
(2)FGF-23の生理作用
(3)FGF-23の調節機構
(4)FGF-23測定の意義
(5)CKDにおけるFGF-23と死亡リスク
6 血清カルシウム濃度の異常(井上玲子,井上大輔)
(1)高カルシウム血症
(2)低カルシウム血症
第9章 骨と脳・神経・膵臓・筋肉の相互作用
(自見英治郎)
1 骨と脳・神経系
(1)レプチンによる骨代謝調節機構
(2)神経関連因子による骨代謝調節
2 骨と膵臓・筋肉
(1)オステオカルシンとエネルギー代謝
(2)インスリンとエネルギー代謝
(3)骨芽細胞由来リポカリン2(Lcn2)による糖質代謝調節
(4)骨細胞由来スクレロスチンによる脂質代謝調節
第10章 骨粗鬆症
1 骨粗鬆症の概念と定義(仲村一郎)
2 骨粗鬆症の病態生理(仲村一郎)
3 骨粗鬆症における骨折好発部位(仲村一郎)
4 骨粗鬆症の診断(仲村一郎)
5 骨粗鬆症の画像評価(千葉 恒)
(1)DXA
(2)TBS
(3)HSA
(4)DXA-based 3D modeling
(5)QCT
(6)HR-pQCT
6 血液・尿検査と骨代謝マーカー(仲村一郎)
7 骨粗鬆症の薬物治療ガイドライン(仲村一郎)
コラム FRAX(R):10年間の骨折確率が簡便にわかる(仲村一郎)
8 骨粗鬆症治療薬の種類とその特徴(仲村一郎)
(1)ビスホスホネート
(2)デノスマブ(プラリア(R))
(3)選択的エストロゲン受容体作動薬(SERM)
(4)活性型ビタミンD薬
(5)テリパラチド
(6)ロモソズマブ(イベニティ(R))
9 ガイドラインに基づく骨粗鬆症治療薬の選択(仲村一郎)
10 大腿骨近位部骨折(仲村一郎)
(1)わが国における大腿骨近位部骨折
(2)大腿骨近位部骨折の分類と手術法
コラム 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(SIFFH)(仲村一郎)
11 ロコモティブシンドロームと骨粗鬆症(仲村一郎)
第11章 骨リモデリングと骨モデリング
(山本智章)
1 骨リモデリングと骨モデリングの意義と概念
2 骨リモデリング
(1)組織レベルでのリモデリング
(2)リモデリングの形態と基本単位
(3)BMUにおけるリモデリング過程
(4)リモデリングのバランス
(5)リモデリングの微小損傷
3 骨モデリング
(1)マクロモデリング
(2)ミニモデリング
4 骨形態計測学
(1)骨形態計測の方法
(2)骨形態計測指標
(3)骨粗鬆症治療における骨形態計測学的評価の意義
(4)骨リモデリングにおける石灰化障害の問題
5 骨の力学的特性
(1)骨組織の力学的適応
(2)Wolffの応変則からメカノスタット理論
第12章 骨折と人工材料
1 骨折とは(仲村一郎)
2 骨折の種類(仲村一郎)
(1)病的骨折
(2)脆弱性骨折
(3)疲労骨折
3 骨折の治療(仲村一郎)
(1)骨折の治癒過程
(2)骨折治療の基本的な考え方
(3)骨折の固定方法
(4)骨折の保存療法と手術療法
コラム 脚延長術:骨折治癒機転を利用して骨を延長する(仲村一郎)
4 偽関節と遷延治癒(仲村一郎)
(1)偽関節とは
(2)偽関節・遷延治癒の原因
(3)偽関節の治療としての超音波骨折治療法
コラム BMPの臨床応用(仲村一郎)
5 骨移植(仲村一郎)
コラム 骨移植に関するオリジナル論文(仲村一郎)
6 人工材料(松垣あいら,中野貴由)
(1)骨再建のための医療デバイス
(2)骨質を考慮した人工材料設計・開発
7 小児の骨折―成人の骨折と何が異なるのか―(仲村一郎)
コラム 骨年齢:手首の骨を見れば年齢がわかる(仲村一郎)
第13章 歯周病
1 歯周病の病因と骨吸収(安藤雄太郎,塚崎雅之)
(1)歯周病の発症機序
(2)歯周病の進行と骨吸収
(3)炎症性骨破壊の起源
2 歯周病の治療(北村正博)
(1)歯周病の細菌感染症としての特徴と歯周治療の原則
(2)歯周病治療の流れ
(3)歯周病の検査
(4)歯周基本治療
(5)歯周外科治療
(6)口腔機能回復治療
(7)歯周病の維持療法
(8)歯周病に対する抗菌療法
(9)歯周病に影響を与える全身的因子への対応
3 骨粗鬆症と歯周病の関連性と顎骨壊死(田口 明)
(1)骨粗鬆症と歯周病
(2)骨粗鬆症治療薬と歯周病
(3)骨粗鬆症治療薬と顎骨壊死
4 歯科用インプラントのオッセオインテグレーション(竹澤保政,江本 元)
(1)オッセオインテグレーションの発見
(2)オッセオインテグレーションとは
(3)オッセオインテグレーションの獲得
(4)歯科用インプラントの維持安定―粘膜免疫・骨免疫・メカノバイオロジーの相互作用―
(5)インプラント研究の展望
第14章 代謝性骨疾患・続発性骨粗鬆症
1 性ホルモン欠乏(今井祐記)
(1)エストロゲン
(2)アンドロゲン
2 グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(宗圓 聰)
(1)GIOPの病因
(2)GIOPの臨床像
(3)GIOPのガイドラインに関する歴史
(4)わが国の2014年版ガイドライン
(5)わが国の2023年版ガイドライン
3 原発性副甲状腺機能亢進症と骨(槙田紀子)
(1)病態
(2)PHPTに伴う骨病変
(3)病型
(4)治療
4 甲状腺機能異常と骨粗鬆症(伴 良行,井上大輔)
(1)甲状腺と骨代謝
(2)甲状腺ホルモンと骨粗鬆症
5 その他のホルモンと骨粗鬆症(野津雅和,山内美香)
(1)成長ホルモン
(2)アルドステロン
(3)プロラクチン
(4)下垂体機能低下症
(5)その他のホルモン
6 生活習慣病と骨粗鬆症(井上大輔)
(1)骨粗鬆症と関連する生活習慣病
(2)糖尿病と骨粗鬆症
(3)慢性閉塞性肺疾患(COPD)と骨粗鬆症
(4)慢性腎臓病(CKD)と骨粗鬆症
第15章 骨粗鬆症以外の骨代謝疾患
1 くる病・骨軟化症(日髙尚子,伊東伸朗)
(1)病態・症候
(2)病因による分類
(3)検査・診断
(4)治療
2 悪性腫瘍と骨代謝異常(福本誠二)
(1)骨転移
(2)悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症
(3)癌治療関連骨減少症(CTIBL)
3 骨Paget病(大薗恵一)
(1)症状
(2)臨床診断
(3)責任遺伝子
(4)診療ガイドライン
(5)治療
(6)今後への期待
4 後縦靱帯骨化症(OPLL)(大島 寧)
(1)疫学
(2)病態
(3)診断・治療
5 骨形成不全症(窪田拓生)
(1)病態
(2)症状・検査・診断
(3)治療
6 大理石骨病(田中 栄)
(1)大理石骨病の分類
(2)大理石骨病の治療
7 進行性骨化性線維異形成症(FOP)(片桐岳信)
8 その他の骨系統疾患(小﨑慶介)
(1)骨系統疾患における骨・軟骨の異常
(2)骨形態変化の例
第16章 関節疾患
1 関節リウマチと骨代謝(蛯名耕介)
(1)RAに伴う局所性・全身性骨粗鬆症の病態
(2)RA患者における骨粗鬆症治療
2 変形性関節症(石島旨章)
(1)変形性関節症とは
(2)変形性膝関節症の疫学
(3)変形性膝関節症の臨床症状
(4)変形性膝関節症の画像所見
(5)変形性膝関節症の治療
3 その他の関節疾患(門野夕峰)
(1)乾癬性関節炎
(2)掌蹠膿疱症性骨関節炎
(3)感染性関節炎
(4)血友病性関節症
和文索引
欧文索引
原著者・編著者略歴
第1章 硬組織の起源とその進化―骨は生きている―
1 骨の進化―外骨格から内骨格へ―(宇田川信之)
(1)海水とヒトに含まれる十大元素の相違―生物は海で生まれた―
(2)生命を支える元素であるリンとカルシウム
(3)骨の起源
(4)無脊椎動物から脊椎動物へ
(5)脊椎動物における骨組織の進化―外骨格から内骨格へ―
(6)骨と軟骨の系統発生的進化
(7)哺乳類の頭蓋骨発生の進化
2 骨の発生(井関祥子)
(1)骨を形成する細胞の出現
(2)体幹部の骨を形成する中胚葉
(3)頭蓋顎顔面部硬組織を形成する神経堤細胞
(4)組織由来による骨芽細胞の性質
(5)骨原基の成長
(6)骨修復に関わる頭蓋縫合間葉系幹細胞
(7)進化研究における骨の有用性
第2章 硬組織の構造
1 骨の構造(長谷川智香,網塚憲生)
(1)骨の形による分類
(2)肉眼的構造
(3)骨の組織構造
(4)骨の血管系
2 軟骨の構造(小澤英浩,中村浩彰,波多賢二)
(1)軟骨組織の特徴と種類
(2)軟骨の組織発生と成長
(3)軟骨細胞の微細形態
(4)関節と滑膜
(5)関節軟骨
(6)関節軟骨の構造
3 歯の構造(長谷川智香,網塚憲生)
(1)歯の構造の概要
(2)エナメル質
(3)象牙質および歯髄
(4)歯周組織
4 骨の組織観察法とイメージング(菊池 菫,上中麻希,菊田順一,石井 優)
(1)骨の構造と構成要素
(2)骨全体像・骨量・骨密度の観察法
(3)骨を構成する細胞の観察法
(4)骨を構成するその他の要素(骨基質・細胞外小胞・細胞内小器官)の観察法
(5)骨の生体イメージング
第3章 骨と歯の形づくり・組織発生・成長
1 体軸の決定と四肢の形態形成(飯村忠浩)
(1)体軸の伸長と中胚葉の空間分布
(2)頭部中胚葉と頭頸部・口腔の初期形成
(3)胚子の折りたたみと頭部・体幹神経堤細胞
(4)分節時計と椎体原器の空間配置
(5)四肢の発生
(6)胚組織形成とHox遺伝子群発現の時・空間的共線性
(7)個々の骨の原器の位置を決定するメカニズム:反応拡散系(チューリングモデル)
2 軟骨の発生と調節因子(波多賢二)
(1)軟骨の起源
(2)軟骨の発生
(3)軟骨の調節因子
3 骨の発生と成長(松下祐樹)
(1)骨の発生と成長の概要
(2)骨格の形成
(3)骨格幹・前駆細胞を基軸とした骨の成長
4 歯の発生とその分子メカニズム(大峡 淳)
(1)歯冠形成;形態変化以前
(2)歯冠形成;上皮の肥厚期
(3)歯冠形成;蕾状期
(4)歯冠形成;帽状期
(5)歯冠形成;鐘状期
(6)歯の発生の順番と歯の交換
(7)歯根形成
第4章 硬組織の細胞とその分化
1 骨芽細胞の形態学(長谷川智香,網塚憲生)
(1)骨芽細胞の組織像
(2)活性型骨芽細胞と休止期骨芽細胞
(3)基質小胞性石灰化
(4)石灰化球とコラーゲン性石灰化
(5)骨芽細胞の前駆細胞
2 骨細胞の形態学(長谷川智香,網塚憲生)
(1)骨細胞の組織像
(2)骨細胞・骨細管系
(3)骨細胞・骨細管系の機能における微細構造
(4)骨細胞から産生される因子
3 破骨細胞の形態学(長谷川智香,網塚憲生)
(1)破骨細胞の組織像
(2)破骨細胞の前駆細胞
(3)破骨細胞の骨吸収における微細構造
(4)骨吸収における波状縁と明帯
4 歯の細胞(小澤英浩,中村浩彰)
(1)エナメル芽細胞
(2)象牙芽細胞
(3)セメント芽細胞
(4)歯根膜の細胞
5 骨芽細胞分化の分子メカニズム(片桐岳信)
(1)筋分化を制御するMyoDの発見
(2)骨芽細胞分化を制御するRunx2の発見
(3)Runx2の下流で働く転写因子Osterix/Sp7の発見
6 骨細胞分化および機能発現の分子メカニズム(林 幹人,中島友紀)
(1)骨細胞分化
(2)骨細胞による骨代謝制御
(3)骨細胞アポトーシス
(4)骨細胞性骨溶解
(5)骨細胞内分泌機能
7 破骨細胞分化の分子メカニズム(小林泰浩)
(1)RANKL-RANKシグナル
(2)破骨細胞前駆細胞
(3)Wntシグナルによる破骨細胞分化と活性化の制御
8 軟骨細胞分化の分子メカニズム(波多賢二)
(1)Sox9
(2)Runx2
第5章 骨・軟骨・歯に特有な有機成分
1 骨基質のタンパク質(田村正人)
(1)I型コラーゲン
(2)オステオカルシン
(3)マトリックスGlaタンパク質
(4)オステオポンチン
(5)骨シアロタンパク質
(6)象牙質マトリックスタンパク質1
(7)Matrix extracellular phosphoglycoprotein
(8)オステオネクチン
(9)トロンボスポンジン
(10)血清タンパク質
2 軟骨基質のタンパク質と多糖体(田村正人)
(1)II型コラーゲン
(2)X型コラーゲン
(3)軟骨に存在するその他のコラーゲン
(4)グリコサミノグリカンとプロテオグリカン
3 接着性タンパク質とインテグリン(田村正人)
(1)細胞接着タンパク質
(2)インテグリン
4 エナメル質と象牙質に特有なタンパク質(山越康雄)
(1)エナメルタンパク質
(2)象牙質に特有なタンパク質
(3)エナメル質および象牙質の遺伝性形成異常
第6章 石灰化の機構
1 ヒドロキシアパタイトの結晶学(宇田川信之)
(1)リン酸カルシウムとアパタイト前駆体
(2)単位胞
(3)CaとPの比
(4)血清中のカルシウムとリン酸の活動度積(溶解度積)
2 硬組織の石灰化分子機構
(1)ロビソンのアルカリホスファターゼ説(宇田川信之)
(2)Neumanのエピタキシー説
(3)基質小胞説
(4)ピロホスファターゼの石灰化における重要性
(5)骨の石灰化の分子機構(総括)
(6)エナメル質と象牙質の石灰化機構(山越康雄)
第7章 骨と成長因子
1 TGF-βとBMP(片桐岳信)
(1)骨基質に含まれる骨誘導因子の発見
(2)骨誘導因子BMPのクローニング
(3)TGF-βファミリーの基本構造
(4)TGF-βファミリーの膜貫通型キナーゼ受容体と転写因子
(5)筋芽細胞を用いたBMPの骨誘導活性の解析
2 スクレロスチンとWnt(片桐岳信)
(1)スクレロスチンの発見
(2)スクレロスチンとWntシグナル
(3)骨量が減少・増加する遺伝性疾患におけるLrp5,Lrp6の変異
(4)骨細胞におけるスクレロスチンの発現とその制御
(5)Wntの非古典的経路による骨代謝の調節
3 線維芽細胞増殖因子(自見英治郎)
4 エストロゲンとアンドロゲン(自見英治郎)
(1)エストロゲン
(2)アンドロゲン
第8章 血清カルシウムの恒常性とその調節機構
1 生体内におけるカルシウムの分布と恒常性(井上玲子,井上大輔)
(1)カルシウムの体内分布
(2)カルシウムの恒常性維持
(3)カルシウム調節に関わるホルモンと臓器作用
2 副甲状腺(上皮小体)ホルモンとその役割(今西康雄)
(1)PTHとPTH関連タンパク質
(2)副甲状腺ホルモン受容体(PTHR)
(3)PTHの作用
(4)PTHの分泌調節機構
(5)PTHの測定
3 カルシトニンとCGRP(関口俊男)
(1)カルシトニンとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の発見
(2)カルシトニン受容体とCGRP受容体
(3)カルシトニンとCGRPの生理機能
4 ビタミンDとその役割(井上大輔)
(1)ホルモンとしてのビタミンD
(2)ビタミンDの代謝
(3)カルシウム代謝調節機構とビタミンD作用
(4)血中25(OH)D濃度測定の意義
5 FGF-23とリン代謝(加藤創生,伊東伸朗)
(1)FGF-23の構造
(2)FGF-23の生理作用
(3)FGF-23の調節機構
(4)FGF-23測定の意義
(5)CKDにおけるFGF-23と死亡リスク
6 血清カルシウム濃度の異常(井上玲子,井上大輔)
(1)高カルシウム血症
(2)低カルシウム血症
第9章 骨と脳・神経・膵臓・筋肉の相互作用
(自見英治郎)
1 骨と脳・神経系
(1)レプチンによる骨代謝調節機構
(2)神経関連因子による骨代謝調節
2 骨と膵臓・筋肉
(1)オステオカルシンとエネルギー代謝
(2)インスリンとエネルギー代謝
(3)骨芽細胞由来リポカリン2(Lcn2)による糖質代謝調節
(4)骨細胞由来スクレロスチンによる脂質代謝調節
第10章 骨粗鬆症
1 骨粗鬆症の概念と定義(仲村一郎)
2 骨粗鬆症の病態生理(仲村一郎)
3 骨粗鬆症における骨折好発部位(仲村一郎)
4 骨粗鬆症の診断(仲村一郎)
5 骨粗鬆症の画像評価(千葉 恒)
(1)DXA
(2)TBS
(3)HSA
(4)DXA-based 3D modeling
(5)QCT
(6)HR-pQCT
6 血液・尿検査と骨代謝マーカー(仲村一郎)
7 骨粗鬆症の薬物治療ガイドライン(仲村一郎)
コラム FRAX(R):10年間の骨折確率が簡便にわかる(仲村一郎)
8 骨粗鬆症治療薬の種類とその特徴(仲村一郎)
(1)ビスホスホネート
(2)デノスマブ(プラリア(R))
(3)選択的エストロゲン受容体作動薬(SERM)
(4)活性型ビタミンD薬
(5)テリパラチド
(6)ロモソズマブ(イベニティ(R))
9 ガイドラインに基づく骨粗鬆症治療薬の選択(仲村一郎)
10 大腿骨近位部骨折(仲村一郎)
(1)わが国における大腿骨近位部骨折
(2)大腿骨近位部骨折の分類と手術法
コラム 大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(SIFFH)(仲村一郎)
11 ロコモティブシンドロームと骨粗鬆症(仲村一郎)
第11章 骨リモデリングと骨モデリング
(山本智章)
1 骨リモデリングと骨モデリングの意義と概念
2 骨リモデリング
(1)組織レベルでのリモデリング
(2)リモデリングの形態と基本単位
(3)BMUにおけるリモデリング過程
(4)リモデリングのバランス
(5)リモデリングの微小損傷
3 骨モデリング
(1)マクロモデリング
(2)ミニモデリング
4 骨形態計測学
(1)骨形態計測の方法
(2)骨形態計測指標
(3)骨粗鬆症治療における骨形態計測学的評価の意義
(4)骨リモデリングにおける石灰化障害の問題
5 骨の力学的特性
(1)骨組織の力学的適応
(2)Wolffの応変則からメカノスタット理論
第12章 骨折と人工材料
1 骨折とは(仲村一郎)
2 骨折の種類(仲村一郎)
(1)病的骨折
(2)脆弱性骨折
(3)疲労骨折
3 骨折の治療(仲村一郎)
(1)骨折の治癒過程
(2)骨折治療の基本的な考え方
(3)骨折の固定方法
(4)骨折の保存療法と手術療法
コラム 脚延長術:骨折治癒機転を利用して骨を延長する(仲村一郎)
4 偽関節と遷延治癒(仲村一郎)
(1)偽関節とは
(2)偽関節・遷延治癒の原因
(3)偽関節の治療としての超音波骨折治療法
コラム BMPの臨床応用(仲村一郎)
5 骨移植(仲村一郎)
コラム 骨移植に関するオリジナル論文(仲村一郎)
6 人工材料(松垣あいら,中野貴由)
(1)骨再建のための医療デバイス
(2)骨質を考慮した人工材料設計・開発
7 小児の骨折―成人の骨折と何が異なるのか―(仲村一郎)
コラム 骨年齢:手首の骨を見れば年齢がわかる(仲村一郎)
第13章 歯周病
1 歯周病の病因と骨吸収(安藤雄太郎,塚崎雅之)
(1)歯周病の発症機序
(2)歯周病の進行と骨吸収
(3)炎症性骨破壊の起源
2 歯周病の治療(北村正博)
(1)歯周病の細菌感染症としての特徴と歯周治療の原則
(2)歯周病治療の流れ
(3)歯周病の検査
(4)歯周基本治療
(5)歯周外科治療
(6)口腔機能回復治療
(7)歯周病の維持療法
(8)歯周病に対する抗菌療法
(9)歯周病に影響を与える全身的因子への対応
3 骨粗鬆症と歯周病の関連性と顎骨壊死(田口 明)
(1)骨粗鬆症と歯周病
(2)骨粗鬆症治療薬と歯周病
(3)骨粗鬆症治療薬と顎骨壊死
4 歯科用インプラントのオッセオインテグレーション(竹澤保政,江本 元)
(1)オッセオインテグレーションの発見
(2)オッセオインテグレーションとは
(3)オッセオインテグレーションの獲得
(4)歯科用インプラントの維持安定―粘膜免疫・骨免疫・メカノバイオロジーの相互作用―
(5)インプラント研究の展望
第14章 代謝性骨疾患・続発性骨粗鬆症
1 性ホルモン欠乏(今井祐記)
(1)エストロゲン
(2)アンドロゲン
2 グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(宗圓 聰)
(1)GIOPの病因
(2)GIOPの臨床像
(3)GIOPのガイドラインに関する歴史
(4)わが国の2014年版ガイドライン
(5)わが国の2023年版ガイドライン
3 原発性副甲状腺機能亢進症と骨(槙田紀子)
(1)病態
(2)PHPTに伴う骨病変
(3)病型
(4)治療
4 甲状腺機能異常と骨粗鬆症(伴 良行,井上大輔)
(1)甲状腺と骨代謝
(2)甲状腺ホルモンと骨粗鬆症
5 その他のホルモンと骨粗鬆症(野津雅和,山内美香)
(1)成長ホルモン
(2)アルドステロン
(3)プロラクチン
(4)下垂体機能低下症
(5)その他のホルモン
6 生活習慣病と骨粗鬆症(井上大輔)
(1)骨粗鬆症と関連する生活習慣病
(2)糖尿病と骨粗鬆症
(3)慢性閉塞性肺疾患(COPD)と骨粗鬆症
(4)慢性腎臓病(CKD)と骨粗鬆症
第15章 骨粗鬆症以外の骨代謝疾患
1 くる病・骨軟化症(日髙尚子,伊東伸朗)
(1)病態・症候
(2)病因による分類
(3)検査・診断
(4)治療
2 悪性腫瘍と骨代謝異常(福本誠二)
(1)骨転移
(2)悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症
(3)癌治療関連骨減少症(CTIBL)
3 骨Paget病(大薗恵一)
(1)症状
(2)臨床診断
(3)責任遺伝子
(4)診療ガイドライン
(5)治療
(6)今後への期待
4 後縦靱帯骨化症(OPLL)(大島 寧)
(1)疫学
(2)病態
(3)診断・治療
5 骨形成不全症(窪田拓生)
(1)病態
(2)症状・検査・診断
(3)治療
6 大理石骨病(田中 栄)
(1)大理石骨病の分類
(2)大理石骨病の治療
7 進行性骨化性線維異形成症(FOP)(片桐岳信)
8 その他の骨系統疾患(小﨑慶介)
(1)骨系統疾患における骨・軟骨の異常
(2)骨形態変化の例
第16章 関節疾患
1 関節リウマチと骨代謝(蛯名耕介)
(1)RAに伴う局所性・全身性骨粗鬆症の病態
(2)RA患者における骨粗鬆症治療
2 変形性関節症(石島旨章)
(1)変形性関節症とは
(2)変形性膝関節症の疫学
(3)変形性膝関節症の臨床症状
(4)変形性膝関節症の画像所見
(5)変形性膝関節症の治療
3 その他の関節疾患(門野夕峰)
(1)乾癬性関節炎
(2)掌蹠膿疱症性骨関節炎
(3)感染性関節炎
(4)血友病性関節症
和文索引
欧文索引
原著者・編著者略歴















