序文
歯周病は,齲蝕と並んで歯科の二大疾患であり,歯を失う最も大きな原因とされています.また,近年では糖尿病や誤嚥性肺炎などの全身疾患との関連も明らかになってきており,生活習慣病の一つとして対応するようにもなりました.国民の約7割は歯周病に罹っているとされており,そのことから歯周病は「国民病」とよばれることもあります.それだけに歯周病学の発展や歯周病に関する確かな知識や技術をもった歯科医師が増えることは,人々の健康に大きく貢献することになるわけです.したがって,本書を手にした皆さんには,歯周病学を学ぶにあたって,歯周病学を修めることで人々の健康に大きく貢献することが可能であり,また社会からもそうした期待を寄せられているのだということを念頭においていただきたいと思います.
近年,歯周病学はめざましい進歩を遂げており,分子生物学的原因論,細菌・免疫・遺伝学的診断,全身疾患との関連(ペリオドンタルメディシン),ティッシュエンジニアリング(組織工学)などについても学ぶ必要が生じており,このことは歯周病学の学問としての拡がりと深まりを意味しています.実際に,数十年前では夢物語でしかなかった遺伝子診断や失われた歯周組織をもと通りに再生する方法が実現可能な治療方法として活発に研究されており,本書でもその一端を紹介しています.
本書では,上述したような歯周病の臨床の社会的意義や学問的な興味を感じてもらえるような編集を心がけました.通常,教科書というものは冒頭から読み進めていくような構成となっていますが,本書は「序編歯周病と歯周治療体系」,「スタンダード編基本的な歯周治療」,「ベーシック編基礎知識」,「アドバンス編専門的周治療」の4部構成とし,章ごとに内容がある程度完結するような構成になっています.歯周病学を初めて学ぶ方には,まずは序編を読んで,歯周病学の輪郭を頭で整理したうえで興味のある章を読んでいくことをすすめたいと思います.基礎的なことがわかっている方は,関連性の強いいくつかの章を読んで理解を深めていただきたいと思います.
各章には「到達目標」,「チェック項目」,「推薦図書・論文」を設けました.まずは,章の本文を読み始めるまえに「到達目標」を一読し,その章で学ぶことを意識して本文を読み,そののちに「チェック項目」でみずからの理解度を確認してもらいたいと思います.また,その分野についての興味が生じたならば,「推薦図書・論文」にあたって,ぜひともその興味を育んでほしいと思います.
歯周病学は今後も大きな進歩が期待できる領域です.歯科医学を専門に学ぶ皆さんのなかから,本書を契機に歯周病学について関心を深め,職業的な喜びを感じながら歯周病の研究や治療に携わっていくような歯科医師が現れてくれれば,本書を編集した者にとって,これに勝る喜びはありません.
最後になりますが,ご多忙中にもかかわらず充実したお原稿のご執筆ならびに度重なる編集にご協力いただきました全国29大学の先生方には,心から感謝の意を表したいと存じます.また,本書の発案から発刊までのすべての過程で,ご尽力いただきました医歯薬出版の編集部諸氏に御礼申し上げます.
平成19年3月
吉江弘正 伊藤公一 村上伸也 申 基喆
歯周病は,齲蝕と並んで歯科の二大疾患であり,歯を失う最も大きな原因とされています.また,近年では糖尿病や誤嚥性肺炎などの全身疾患との関連も明らかになってきており,生活習慣病の一つとして対応するようにもなりました.国民の約7割は歯周病に罹っているとされており,そのことから歯周病は「国民病」とよばれることもあります.それだけに歯周病学の発展や歯周病に関する確かな知識や技術をもった歯科医師が増えることは,人々の健康に大きく貢献することになるわけです.したがって,本書を手にした皆さんには,歯周病学を学ぶにあたって,歯周病学を修めることで人々の健康に大きく貢献することが可能であり,また社会からもそうした期待を寄せられているのだということを念頭においていただきたいと思います.
近年,歯周病学はめざましい進歩を遂げており,分子生物学的原因論,細菌・免疫・遺伝学的診断,全身疾患との関連(ペリオドンタルメディシン),ティッシュエンジニアリング(組織工学)などについても学ぶ必要が生じており,このことは歯周病学の学問としての拡がりと深まりを意味しています.実際に,数十年前では夢物語でしかなかった遺伝子診断や失われた歯周組織をもと通りに再生する方法が実現可能な治療方法として活発に研究されており,本書でもその一端を紹介しています.
本書では,上述したような歯周病の臨床の社会的意義や学問的な興味を感じてもらえるような編集を心がけました.通常,教科書というものは冒頭から読み進めていくような構成となっていますが,本書は「序編歯周病と歯周治療体系」,「スタンダード編基本的な歯周治療」,「ベーシック編基礎知識」,「アドバンス編専門的周治療」の4部構成とし,章ごとに内容がある程度完結するような構成になっています.歯周病学を初めて学ぶ方には,まずは序編を読んで,歯周病学の輪郭を頭で整理したうえで興味のある章を読んでいくことをすすめたいと思います.基礎的なことがわかっている方は,関連性の強いいくつかの章を読んで理解を深めていただきたいと思います.
各章には「到達目標」,「チェック項目」,「推薦図書・論文」を設けました.まずは,章の本文を読み始めるまえに「到達目標」を一読し,その章で学ぶことを意識して本文を読み,そののちに「チェック項目」でみずからの理解度を確認してもらいたいと思います.また,その分野についての興味が生じたならば,「推薦図書・論文」にあたって,ぜひともその興味を育んでほしいと思います.
歯周病学は今後も大きな進歩が期待できる領域です.歯科医学を専門に学ぶ皆さんのなかから,本書を契機に歯周病学について関心を深め,職業的な喜びを感じながら歯周病の研究や治療に携わっていくような歯科医師が現れてくれれば,本書を編集した者にとって,これに勝る喜びはありません.
最後になりますが,ご多忙中にもかかわらず充実したお原稿のご執筆ならびに度重なる編集にご協力いただきました全国29大学の先生方には,心から感謝の意を表したいと存じます.また,本書の発案から発刊までのすべての過程で,ご尽力いただきました医歯薬出版の編集部諸氏に御礼申し上げます.
平成19年3月
吉江弘正 伊藤公一 村上伸也 申 基喆
序編 歯周病と歯周治療体系
第1編 スタンダード編-基本的な歯周治療-
第1章 歯周病の原因と症状
第2章 医療面接と基本的な歯周検査
第3章 歯周病の診断と治療計画
第4章 プラークコントロール
第5章 薬物療法
第6章 スケーリング・ルートプレーニング
第7章 咬合治療
第8章 歯周外科治療
第9章 根分岐部病変の治療
第10章 固定,修復・補綴治療
第11章 メインテナンス・SPT
第12章 応急処置・疼痛への対応
第2編 ベーシック編-基礎知識-
第1章 歯周組織の病理変化
第2章 歯周病の分類
第3章 歯周病の疫学・予防
第4章 プラーク
第5章 炎症反応・免疫応答
第6章 遺伝的素因
第7章 歯周病のリスクファクター
第8章 ペリオドンタルメディシン
第9章 咬合性外傷
第10章 創傷治癒
第11章 先進的な歯周検査
第12章 ティッシュエンジニアリング
第3編 アドバンス編-専門的な歯周治療-
第1章 骨移植術
第2章 GTR法
第3章 エナメルマトリックスタンパク質の応用
第4章 歯周形成手術
第5章 ティッシュエンジニアリングの応用
第6章 レーザー治療
第7章 歯周-歯内病変の治療
第8章 歯周-矯正治療
第9章 歯周補綴
第10章 インプラント治療
第11章 口臭と口呼吸の治療
第12章 高齢者と有病者の治療
第13章 特殊な歯周病の治療
第14章 包括的歯周治療
第1編 スタンダード編-基本的な歯周治療-
第1章 歯周病の原因と症状
第2章 医療面接と基本的な歯周検査
第3章 歯周病の診断と治療計画
第4章 プラークコントロール
第5章 薬物療法
第6章 スケーリング・ルートプレーニング
第7章 咬合治療
第8章 歯周外科治療
第9章 根分岐部病変の治療
第10章 固定,修復・補綴治療
第11章 メインテナンス・SPT
第12章 応急処置・疼痛への対応
第2編 ベーシック編-基礎知識-
第1章 歯周組織の病理変化
第2章 歯周病の分類
第3章 歯周病の疫学・予防
第4章 プラーク
第5章 炎症反応・免疫応答
第6章 遺伝的素因
第7章 歯周病のリスクファクター
第8章 ペリオドンタルメディシン
第9章 咬合性外傷
第10章 創傷治癒
第11章 先進的な歯周検査
第12章 ティッシュエンジニアリング
第3編 アドバンス編-専門的な歯周治療-
第1章 骨移植術
第2章 GTR法
第3章 エナメルマトリックスタンパク質の応用
第4章 歯周形成手術
第5章 ティッシュエンジニアリングの応用
第6章 レーザー治療
第7章 歯周-歯内病変の治療
第8章 歯周-矯正治療
第9章 歯周補綴
第10章 インプラント治療
第11章 口臭と口呼吸の治療
第12章 高齢者と有病者の治療
第13章 特殊な歯周病の治療
第14章 包括的歯周治療








