序
局所麻酔を行うこと自体は,きわめて単純な作業である.針を体内に刺して麻酔液を注入すること,あるいは粘膜上に麻酔薬をおくことだけである.つまりしごく簡単なことである.
しかし,痛くなく,かならず効く麻酔かと自問してみれば,パーフェクトと自答できる方はまずいないのではないだろうか.だいたい効いているというのでは,効いていない患者本人にとっては恐怖である.
歯科診療で患者に全身的な異常が起きる時期は,約6割が局所麻酔をしている最中かその直後という.しかしその原因は,局所麻酔薬自身にある例はまれであり,ほとんどが痛みや恐怖である.
日本歯科麻酔学会が約10年にわたって全国の歯科医師会に行ったアンケートの調査結果の1,300例においても,痛くなく,よく効かせて患者を安心させることが,そのまま安全性につながることを示している.高齢者や有病者は,歯科治療のストレスに弱く危険性が高いが,その安全性を確保するための最も大きな要因となるのが上手な局所麻酔である.
単純な作業のなかに,麻酔の効果と安全性に関してとてつもなく広範で奥の深い事柄がびっしりとつまっているのが局所麻酔である.言い換えればどんな例でも効果と安全性の質を高めていこうとすると,局所麻酔は大変むずかしい.そう感じていられる方が多いはずである.
本書は,局所麻酔こそが日常臨床のなかで患者さんを安全に快適に治療するうえでの Keyになるという認識に立って著されたものである.どうやったらよく効く麻酔が安全にできるのだろうかという視点である.
詳細に過ぎる記述もあるが,どうもうまくいかなかったときの考える糧になるので,読みながら局所麻酔の腕を上げていただきたい.
著者として臨床,教育,研究の第一線で若手として脂が乗っている渋谷鑛教授,見崎徹助教授,嶋田淳助教授に参加をお願いできたので,時代に則した仕上がりになったと思われる.本書は大項目ごとにガイドラインとしてその内容の臨床的な意味を記し,さらに重要な事項をその項目の最後に挙げた.また理解とまとめの助けとなるよう図表を多用し,密度の濃い内容となっているので,臨床家にも学生にもその時々に合わせてご利用いただけると考えている.
不備不足の点はご叱責いただければ幸甚である.
1995年10月 金子 譲
局所麻酔を行うこと自体は,きわめて単純な作業である.針を体内に刺して麻酔液を注入すること,あるいは粘膜上に麻酔薬をおくことだけである.つまりしごく簡単なことである.
しかし,痛くなく,かならず効く麻酔かと自問してみれば,パーフェクトと自答できる方はまずいないのではないだろうか.だいたい効いているというのでは,効いていない患者本人にとっては恐怖である.
歯科診療で患者に全身的な異常が起きる時期は,約6割が局所麻酔をしている最中かその直後という.しかしその原因は,局所麻酔薬自身にある例はまれであり,ほとんどが痛みや恐怖である.
日本歯科麻酔学会が約10年にわたって全国の歯科医師会に行ったアンケートの調査結果の1,300例においても,痛くなく,よく効かせて患者を安心させることが,そのまま安全性につながることを示している.高齢者や有病者は,歯科治療のストレスに弱く危険性が高いが,その安全性を確保するための最も大きな要因となるのが上手な局所麻酔である.
単純な作業のなかに,麻酔の効果と安全性に関してとてつもなく広範で奥の深い事柄がびっしりとつまっているのが局所麻酔である.言い換えればどんな例でも効果と安全性の質を高めていこうとすると,局所麻酔は大変むずかしい.そう感じていられる方が多いはずである.
本書は,局所麻酔こそが日常臨床のなかで患者さんを安全に快適に治療するうえでの Keyになるという認識に立って著されたものである.どうやったらよく効く麻酔が安全にできるのだろうかという視点である.
詳細に過ぎる記述もあるが,どうもうまくいかなかったときの考える糧になるので,読みながら局所麻酔の腕を上げていただきたい.
著者として臨床,教育,研究の第一線で若手として脂が乗っている渋谷鑛教授,見崎徹助教授,嶋田淳助教授に参加をお願いできたので,時代に則した仕上がりになったと思われる.本書は大項目ごとにガイドラインとしてその内容の臨床的な意味を記し,さらに重要な事項をその項目の最後に挙げた.また理解とまとめの助けとなるよう図表を多用し,密度の濃い内容となっているので,臨床家にも学生にもその時々に合わせてご利用いただけると考えている.
不備不足の点はご叱責いただければ幸甚である.
1995年10月 金子 譲
序……iii
I 局所麻酔の歴史 金子 譲……2
A.ガイドライン……2
B.局所麻酔薬の発見……2
1.コカインによる表面麻酔……2
2.コカインによる注射麻酔……3
3.エピネフリンの添加……3
C.麻酔薬の発達……4
D.注射器の発達……4
〔要点〕……5
II 局所麻酔に必要な痛覚の神経生理 金子 譲……7
A.ガイドライン……7
B.末梢神経の構造……7
C.刺激と受容……7
1.痛覚刺激(侵害刺激)……7
2.痛覚受容器(侵害受容器)……8
3.口腔の感覚……8
4.痛覚刺激のエネルギー変換……10
D.神経伝導……11
1.活動電位(神経インパルス)の発生……11
2.興奮の伝導……11
3.神経線維と伝導速度……13
E.中枢への伝導と脊髄の中継点……13
1.脊髄の機能……13
2.痛みの中枢……14
F.痛みの抑制機構……15
1.ゲートコントロール説……15
2.下行性抑制……15
G.自律神経……15
1.交感神経と副交感神経……17
2.自律神経系の調節……18
3.自律神経系の化学的分類……18
4.自律神経系のインパルスに対する効果器の反応……18
〔重要事項〕……18
III 局所麻酔薬の薬理 金子 譲……21
A.ガイドライン……21
B.局所麻酔薬……21
1.分類……21
2.構造……21
3.作用機序……22
4.麻酔作用と pH……22
(1) 局所麻酔薬の pH……22
(2) 組織の pH……22
5.構造と薬理作用との関係……23
(1) 解離定数……23
(2) 脂溶性……25
(3) タンパク結合……25
(4) 分子量……25
6.局所麻酔の作用機序の諸説……25
(1) 受容体説……25
(2) 膜膨張説……25
(3) 界面電荷説……25
7.吸収・体内分布・代謝・排泄……25
(1) 吸収……25
(2) 体内分布……27
(3) 代謝……31
(4) 排泄……31
8.全身への作用……32
(1) 中枢への作用……32
(2) 心臓への作用……32
(3) 呼吸への作用……33
(4) 基準最高容量……33
C.血管収縮薬……33
1.使用目的……33
(1) 麻酔効果への影響……34
(2) 安全性への影響……34
(3) 手術への影響……36
2.種類……36
(1) カテコールアミン……36
(2) フェリプレシン……42
D.局所麻酔薬の種類……43
1.注射用局所麻酔薬……43
(1) リドカイン……43
(2) プリロカイン……43
(3) メピバカイン……45
(4) トリカイン……45
2.表面麻酔薬……45
(1) アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)……45
(2) 塩酸テトラカイン……45
(3) リドカイン……45
〔重要事項〕……46
1.局所麻酔薬……46
2.血管収縮薬……46
IV 患者の評価と局所麻酔薬の選択 金子 譲……49
A.ガイドライン……49
B.基礎疾患のある患者……49
1.循環器系疾患患者……49
(1) 患者の評価……49
(2) 循環の変動因子……51
(3) 術中管理……51
(4) 高血圧症……53
(5) 虚血性心疾患……55
(6) 心臓弁膜疾患……59
(7) 不整脈……59
(8) 心筋症……61
2.呼吸器系疾患患者……63
(1) 気管支喘息……63
(2) 過換気症候群……64
(3) 肺血管性疾患……65
(4) 慢性呼吸不全……65
3.脳神経系疾患患者……67
(1) 脳血管障害……67
(2) パーキンソン病……69
4.代謝,内分泌系疾患患者……69
(1) 糖尿病……69
(2) 甲状腺機能亢進症……71
(3) 甲状腺機能低下症……73
5.特殊な状態の患者……74
(1) 妊婦……74
(2) 障害者……74
(3) アレルギー患者……75
(4) ウイルス感染患者……75
(5) 老年者……79
〔重要事項〕……81
V 器具 渋谷 鑛……83
A.ガイドライン……83
B.注射器……83
1.注射器の構造と名称……83
2.歯科用ガラス注射器……83
3.カートリッジ注射器……83
(1) 非吸引式カートリッジ注射器……85
(2) 吸引式カートリッジ注射器……85
(3) 自動吸引式カートリッジ注射器……85
4.歯根膜内麻酔用注射器……85
5.歯科用電動注射器……87
C.針……87
1.注射針の形状……87
(1) 太さとおもな用法……87
(2) 刃先の形状……87
(3) 歯科用注射針……87
(4) 歯科局所麻酔用注射針(歯科局所麻酔用ディスポーザブル注射針)……89
2.カテラン針……89
D.カートリッジ……89
1.特徴……89
2.外観……89
3.カートリッジ消毒法,保存法……89
E.器具の用意……91
1.カートリッジの装填……91
2.注射針の装着……91
F.感染防止対策……91
1.ディスポーザブル製品の廃棄……91
(1) 感染性廃棄物の処理……91
2.注射針誤刺防止対策……93
(1) 針廃棄専用容器の使用……93
(2) リキャップの工夫(道具を使う場合と使わない場合)……93
G.消毒・滅菌法……93
1.一般的な器具の消毒・滅菌法……93
(1) 煮沸滅菌……93
(2) 乾熱滅菌……94
(3) 高圧蒸気滅菌……94
(4) ガス滅菌……94
(5) 薬物消毒……94
2.局所麻酔用器具の消毒法……95
3.感染症患者への対策……95
〔重要事項〕……95
VI 局所麻酔の手技 嶋田 淳・見崎 徹……97
A.局所麻酔に必要な解剖……嶋田 淳……97
1.ガイドライン……97
2.伝達麻酔に必要な神経解剖……97
(1) 上顎神経の走行,分布,神経孔……97
(2) 下顎神経の走行,分布,神経孔……101
3.浸潤麻酔に必要な解剖……103
(1) 口腔粘膜における痛点の分布と痛覚の特徴……103
(2) 歯槽突起部の骨構造……105
〔重要事項〕……105
B.局所麻酔の方法と選択……嶋田 淳……107
1.ガイドライン……107
2.表面麻酔……107
(1) 表面麻酔の一般的方法と注意事項……109
3.浸潤麻酔……111
(1) 粘膜下麻酔法……112
(2) 骨膜上麻酔法……113
(3) 歯根膜腔内麻酔法……115
(4) 歯髄腔内麻酔法……116
(5) その他の浸潤麻酔法……117
4.周囲麻酔……117
5.伝達麻酔……119
(1) 上顎の伝達麻酔……119
(2) 下顎の伝達麻酔……123
6.麻酔法の選択……127
(1) 部位による麻酔法の選択……127
(2) 処置内容による麻酔法の選択……128
〔重要事項〕……129
C.各科の麻酔……見崎 徹……130
1.口腔外科領域……130
(1) 口腔外科小手術時の局所麻酔……130
(2) 膿瘍切開時の局所麻酔……130
2.保存科領域……131
(1) 抜髄時における局所麻酔……131
(2) 盲嚢掻爬・歯周外科手術時における局所麻酔……132
3.小児歯科領域……133
(1) 小児に対する浸潤麻酔……133
(2) 小児に対する伝達麻酔……135
4.補綴科領域……136
(1) 無歯顎患者に対する局所麻酔……136
(2) 歯科インプラント手術時の局所麻酔……136
5.その他……138
(1) 局所麻酔が効きにくい場合の原因と対応……138
D.歯科領域のペインクリニックにおける局所麻酔……139
E.高齢者,小児への注意……141
1.高齢者への局所麻酔……141
(1) 治療前の合併疾患(循環器系,呼吸器系,中枢神経系,泌尿器系)に対する注意……141
(2) 前投薬と精神鎮静法の併用……144
(3) 治療中の患者モニター……145
2.小児への局所麻酔……146
(1) 治療前管理(解剖学・生理学・精神的特徴)……146
(2) 前投薬,表面麻酔や精神鎮静法の併用……147
〔重要事項〕……147
VII 偶発症(合併症) 見崎 徹・金子 譲……148
A.ガイドライン……金子 譲……148
B.局所的偶発症……見崎 徹……148
1.注射針の破折・迷入……148
2.注射針などの誤飲(消化管内)と誤嚥(気管内吸引)……149
3.注射針刺入部の感染(びらん・潰瘍形成・組織壊死)……151
4.三叉神経(下歯槽神経・舌神経・オトガイ神経)の麻痺(知覚麻痺)……151
5.顔面神経の麻痺・損傷……152
6.咬傷(口唇・舌・頬粘膜)……152
7.皮下気腫……153
8.血腫,内出血(皮下出血)……153
9.キューンの貧血帯……154
10.誤薬の注入(局所麻酔薬カートリッジの再使用)……155
11.視覚障害……155
12.開口障害……155
〔重要事項〕……見崎 徹……155
C.全身的偶発症(歯科診療時)……金子 譲……156
1.緊急状態の評価……156
2.バイタルサイン……156
(1) 意識……156
(2) 脈拍……157
(3) 血圧……157
(4) 呼吸……157
(5) 皮膚の冷たさ……158
3.原因……158
(1) ストレス……159
(2) 薬剤……161
(3) 神経反射……165
(4) 肺内吸引……165
(5) 誤飲……165
4.症状と処置……165
5.予防……168
(1) ストレス軽減の方策……168
(2) 薬剤に対する対策……169
(3) 迷走神経反射の予防対策……169
〔重要事項〕……169
VIII 救急蘇生法 見崎 徹……171
A.ガイドライン……171
B.目的……171
C.方法……171
1.心肺停止の治療の手順……171
2.一次救命処置……173
(1) 方法の概略……173
(2) 気道閉塞の原因と症状……173
(3) 気道確保の手技……175
(4) 人工呼吸法の種類……175
(5) 呼気吹込み人工呼吸法の利点と欠点……177
(6) 心停止の診断……178
(7) 胸骨圧迫心臓マッサージのポイント……179
(8) 心臓マッサージの理論(心臓ポンプ説と胸腔ポンプ説)……181
(9) 前胸部叩打法……183
(10) ハイムリック法……183
3.二次救命処置……183
(1) 方法の概略……183
(2) 気管内挿管のポイント……183
(3) 輪状甲状靭帯(膜)穿刺および切開の手技……185
(4) 気管切開の手技……185
(5) 直流徐細動の適応……187
(6) 救急薬品(適応,作用,用法,用量,使用上の注意)……187
(7) 死の判定(救急蘇生をやめてもよいとき)……187
4.救急体制・その他……187
〔重要事項〕……190
IX 精神鎮静法 金子 譲……193
A.ガイドライン……193
B.定義……193
1.定義……193
2.全身麻酔との相違……193
C.使用目的(全般的な目的)……193
D.種類と特徴……194
1.種類……194
2.特徴……194
(1) 笑気吸入鎮静法(inhalation sedation)……194
(2) 静脈内鎮静法(intravenous sedation)……194
E.笑気吸入鎮静法……195
1.適応……195
2.禁忌……195
3.笑気の薬理……196
(1) 物理化学的特徴……196
(2) 体内摂取と排泄……197
4.至適鎮静度……199
5.吸入鎮静器……203
(1) 持続流出型笑気吸入鎮静器……203
(2) 間欠的流出型笑気吸入鎮静器……203
(3) 安全装置……203
6.ボンベ……204
(1) 酸素ボンベ……204
(2) 笑気ボンベ……204
(3) premixed gas……204
7.実際……204
(1) 患者への注意と説明……204
(2) 実施……204
(3) 処置中の管理・注意事項……205
(4) 帰宅を許可するための条件……205
8.室内汚染と健康……205
F.静脈内鎮静法……205
1.適応……205
2.禁忌と要注意症例……206
(1) 禁忌……206
(2) 要注意症例……206
3.薬剤の種類と薬理……207
(1) ベンゾジアゼピン系薬剤……207
(2) バルビツレート(チオペンタール:ラボナール○R)……208
(3) スコポラミン(ベラドンナ薬)……208
〔投与方法〕
(1) 単独薬剤の投与……208
(2) 複数薬剤の投与……208
4.至適鎮静度……209
(1) 静脈内鎮静の条件……209
(2) 至適鎮静度……209
5.実際……210
(1) 患者への説明と指示……210
(2) 実施……211
(3) 注意事項……211
(4) 処置中の全身管理……211
(5) 回復,帰宅許可の評価……211
(6) その他……212
6.合併症と予防・対処……213
(1) 局所的合併症……213
(2) 全身的合併症……213
7.鎮静薬との併用……214
(1) 適応症……214
(2) 特徴……214
(3) 注意事項……214
G.笑気吸入鎮静法と静脈内鎮静法の比較……215
1.術者サイドからの比較……215
2.患者サイドからの比較……215
〔重要事項〕……215
索引……217
I 局所麻酔の歴史 金子 譲……2
A.ガイドライン……2
B.局所麻酔薬の発見……2
1.コカインによる表面麻酔……2
2.コカインによる注射麻酔……3
3.エピネフリンの添加……3
C.麻酔薬の発達……4
D.注射器の発達……4
〔要点〕……5
II 局所麻酔に必要な痛覚の神経生理 金子 譲……7
A.ガイドライン……7
B.末梢神経の構造……7
C.刺激と受容……7
1.痛覚刺激(侵害刺激)……7
2.痛覚受容器(侵害受容器)……8
3.口腔の感覚……8
4.痛覚刺激のエネルギー変換……10
D.神経伝導……11
1.活動電位(神経インパルス)の発生……11
2.興奮の伝導……11
3.神経線維と伝導速度……13
E.中枢への伝導と脊髄の中継点……13
1.脊髄の機能……13
2.痛みの中枢……14
F.痛みの抑制機構……15
1.ゲートコントロール説……15
2.下行性抑制……15
G.自律神経……15
1.交感神経と副交感神経……17
2.自律神経系の調節……18
3.自律神経系の化学的分類……18
4.自律神経系のインパルスに対する効果器の反応……18
〔重要事項〕……18
III 局所麻酔薬の薬理 金子 譲……21
A.ガイドライン……21
B.局所麻酔薬……21
1.分類……21
2.構造……21
3.作用機序……22
4.麻酔作用と pH……22
(1) 局所麻酔薬の pH……22
(2) 組織の pH……22
5.構造と薬理作用との関係……23
(1) 解離定数……23
(2) 脂溶性……25
(3) タンパク結合……25
(4) 分子量……25
6.局所麻酔の作用機序の諸説……25
(1) 受容体説……25
(2) 膜膨張説……25
(3) 界面電荷説……25
7.吸収・体内分布・代謝・排泄……25
(1) 吸収……25
(2) 体内分布……27
(3) 代謝……31
(4) 排泄……31
8.全身への作用……32
(1) 中枢への作用……32
(2) 心臓への作用……32
(3) 呼吸への作用……33
(4) 基準最高容量……33
C.血管収縮薬……33
1.使用目的……33
(1) 麻酔効果への影響……34
(2) 安全性への影響……34
(3) 手術への影響……36
2.種類……36
(1) カテコールアミン……36
(2) フェリプレシン……42
D.局所麻酔薬の種類……43
1.注射用局所麻酔薬……43
(1) リドカイン……43
(2) プリロカイン……43
(3) メピバカイン……45
(4) トリカイン……45
2.表面麻酔薬……45
(1) アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)……45
(2) 塩酸テトラカイン……45
(3) リドカイン……45
〔重要事項〕……46
1.局所麻酔薬……46
2.血管収縮薬……46
IV 患者の評価と局所麻酔薬の選択 金子 譲……49
A.ガイドライン……49
B.基礎疾患のある患者……49
1.循環器系疾患患者……49
(1) 患者の評価……49
(2) 循環の変動因子……51
(3) 術中管理……51
(4) 高血圧症……53
(5) 虚血性心疾患……55
(6) 心臓弁膜疾患……59
(7) 不整脈……59
(8) 心筋症……61
2.呼吸器系疾患患者……63
(1) 気管支喘息……63
(2) 過換気症候群……64
(3) 肺血管性疾患……65
(4) 慢性呼吸不全……65
3.脳神経系疾患患者……67
(1) 脳血管障害……67
(2) パーキンソン病……69
4.代謝,内分泌系疾患患者……69
(1) 糖尿病……69
(2) 甲状腺機能亢進症……71
(3) 甲状腺機能低下症……73
5.特殊な状態の患者……74
(1) 妊婦……74
(2) 障害者……74
(3) アレルギー患者……75
(4) ウイルス感染患者……75
(5) 老年者……79
〔重要事項〕……81
V 器具 渋谷 鑛……83
A.ガイドライン……83
B.注射器……83
1.注射器の構造と名称……83
2.歯科用ガラス注射器……83
3.カートリッジ注射器……83
(1) 非吸引式カートリッジ注射器……85
(2) 吸引式カートリッジ注射器……85
(3) 自動吸引式カートリッジ注射器……85
4.歯根膜内麻酔用注射器……85
5.歯科用電動注射器……87
C.針……87
1.注射針の形状……87
(1) 太さとおもな用法……87
(2) 刃先の形状……87
(3) 歯科用注射針……87
(4) 歯科局所麻酔用注射針(歯科局所麻酔用ディスポーザブル注射針)……89
2.カテラン針……89
D.カートリッジ……89
1.特徴……89
2.外観……89
3.カートリッジ消毒法,保存法……89
E.器具の用意……91
1.カートリッジの装填……91
2.注射針の装着……91
F.感染防止対策……91
1.ディスポーザブル製品の廃棄……91
(1) 感染性廃棄物の処理……91
2.注射針誤刺防止対策……93
(1) 針廃棄専用容器の使用……93
(2) リキャップの工夫(道具を使う場合と使わない場合)……93
G.消毒・滅菌法……93
1.一般的な器具の消毒・滅菌法……93
(1) 煮沸滅菌……93
(2) 乾熱滅菌……94
(3) 高圧蒸気滅菌……94
(4) ガス滅菌……94
(5) 薬物消毒……94
2.局所麻酔用器具の消毒法……95
3.感染症患者への対策……95
〔重要事項〕……95
VI 局所麻酔の手技 嶋田 淳・見崎 徹……97
A.局所麻酔に必要な解剖……嶋田 淳……97
1.ガイドライン……97
2.伝達麻酔に必要な神経解剖……97
(1) 上顎神経の走行,分布,神経孔……97
(2) 下顎神経の走行,分布,神経孔……101
3.浸潤麻酔に必要な解剖……103
(1) 口腔粘膜における痛点の分布と痛覚の特徴……103
(2) 歯槽突起部の骨構造……105
〔重要事項〕……105
B.局所麻酔の方法と選択……嶋田 淳……107
1.ガイドライン……107
2.表面麻酔……107
(1) 表面麻酔の一般的方法と注意事項……109
3.浸潤麻酔……111
(1) 粘膜下麻酔法……112
(2) 骨膜上麻酔法……113
(3) 歯根膜腔内麻酔法……115
(4) 歯髄腔内麻酔法……116
(5) その他の浸潤麻酔法……117
4.周囲麻酔……117
5.伝達麻酔……119
(1) 上顎の伝達麻酔……119
(2) 下顎の伝達麻酔……123
6.麻酔法の選択……127
(1) 部位による麻酔法の選択……127
(2) 処置内容による麻酔法の選択……128
〔重要事項〕……129
C.各科の麻酔……見崎 徹……130
1.口腔外科領域……130
(1) 口腔外科小手術時の局所麻酔……130
(2) 膿瘍切開時の局所麻酔……130
2.保存科領域……131
(1) 抜髄時における局所麻酔……131
(2) 盲嚢掻爬・歯周外科手術時における局所麻酔……132
3.小児歯科領域……133
(1) 小児に対する浸潤麻酔……133
(2) 小児に対する伝達麻酔……135
4.補綴科領域……136
(1) 無歯顎患者に対する局所麻酔……136
(2) 歯科インプラント手術時の局所麻酔……136
5.その他……138
(1) 局所麻酔が効きにくい場合の原因と対応……138
D.歯科領域のペインクリニックにおける局所麻酔……139
E.高齢者,小児への注意……141
1.高齢者への局所麻酔……141
(1) 治療前の合併疾患(循環器系,呼吸器系,中枢神経系,泌尿器系)に対する注意……141
(2) 前投薬と精神鎮静法の併用……144
(3) 治療中の患者モニター……145
2.小児への局所麻酔……146
(1) 治療前管理(解剖学・生理学・精神的特徴)……146
(2) 前投薬,表面麻酔や精神鎮静法の併用……147
〔重要事項〕……147
VII 偶発症(合併症) 見崎 徹・金子 譲……148
A.ガイドライン……金子 譲……148
B.局所的偶発症……見崎 徹……148
1.注射針の破折・迷入……148
2.注射針などの誤飲(消化管内)と誤嚥(気管内吸引)……149
3.注射針刺入部の感染(びらん・潰瘍形成・組織壊死)……151
4.三叉神経(下歯槽神経・舌神経・オトガイ神経)の麻痺(知覚麻痺)……151
5.顔面神経の麻痺・損傷……152
6.咬傷(口唇・舌・頬粘膜)……152
7.皮下気腫……153
8.血腫,内出血(皮下出血)……153
9.キューンの貧血帯……154
10.誤薬の注入(局所麻酔薬カートリッジの再使用)……155
11.視覚障害……155
12.開口障害……155
〔重要事項〕……見崎 徹……155
C.全身的偶発症(歯科診療時)……金子 譲……156
1.緊急状態の評価……156
2.バイタルサイン……156
(1) 意識……156
(2) 脈拍……157
(3) 血圧……157
(4) 呼吸……157
(5) 皮膚の冷たさ……158
3.原因……158
(1) ストレス……159
(2) 薬剤……161
(3) 神経反射……165
(4) 肺内吸引……165
(5) 誤飲……165
4.症状と処置……165
5.予防……168
(1) ストレス軽減の方策……168
(2) 薬剤に対する対策……169
(3) 迷走神経反射の予防対策……169
〔重要事項〕……169
VIII 救急蘇生法 見崎 徹……171
A.ガイドライン……171
B.目的……171
C.方法……171
1.心肺停止の治療の手順……171
2.一次救命処置……173
(1) 方法の概略……173
(2) 気道閉塞の原因と症状……173
(3) 気道確保の手技……175
(4) 人工呼吸法の種類……175
(5) 呼気吹込み人工呼吸法の利点と欠点……177
(6) 心停止の診断……178
(7) 胸骨圧迫心臓マッサージのポイント……179
(8) 心臓マッサージの理論(心臓ポンプ説と胸腔ポンプ説)……181
(9) 前胸部叩打法……183
(10) ハイムリック法……183
3.二次救命処置……183
(1) 方法の概略……183
(2) 気管内挿管のポイント……183
(3) 輪状甲状靭帯(膜)穿刺および切開の手技……185
(4) 気管切開の手技……185
(5) 直流徐細動の適応……187
(6) 救急薬品(適応,作用,用法,用量,使用上の注意)……187
(7) 死の判定(救急蘇生をやめてもよいとき)……187
4.救急体制・その他……187
〔重要事項〕……190
IX 精神鎮静法 金子 譲……193
A.ガイドライン……193
B.定義……193
1.定義……193
2.全身麻酔との相違……193
C.使用目的(全般的な目的)……193
D.種類と特徴……194
1.種類……194
2.特徴……194
(1) 笑気吸入鎮静法(inhalation sedation)……194
(2) 静脈内鎮静法(intravenous sedation)……194
E.笑気吸入鎮静法……195
1.適応……195
2.禁忌……195
3.笑気の薬理……196
(1) 物理化学的特徴……196
(2) 体内摂取と排泄……197
4.至適鎮静度……199
5.吸入鎮静器……203
(1) 持続流出型笑気吸入鎮静器……203
(2) 間欠的流出型笑気吸入鎮静器……203
(3) 安全装置……203
6.ボンベ……204
(1) 酸素ボンベ……204
(2) 笑気ボンベ……204
(3) premixed gas……204
7.実際……204
(1) 患者への注意と説明……204
(2) 実施……204
(3) 処置中の管理・注意事項……205
(4) 帰宅を許可するための条件……205
8.室内汚染と健康……205
F.静脈内鎮静法……205
1.適応……205
2.禁忌と要注意症例……206
(1) 禁忌……206
(2) 要注意症例……206
3.薬剤の種類と薬理……207
(1) ベンゾジアゼピン系薬剤……207
(2) バルビツレート(チオペンタール:ラボナール○R)……208
(3) スコポラミン(ベラドンナ薬)……208
〔投与方法〕
(1) 単独薬剤の投与……208
(2) 複数薬剤の投与……208
4.至適鎮静度……209
(1) 静脈内鎮静の条件……209
(2) 至適鎮静度……209
5.実際……210
(1) 患者への説明と指示……210
(2) 実施……211
(3) 注意事項……211
(4) 処置中の全身管理……211
(5) 回復,帰宅許可の評価……211
(6) その他……212
6.合併症と予防・対処……213
(1) 局所的合併症……213
(2) 全身的合併症……213
7.鎮静薬との併用……214
(1) 適応症……214
(2) 特徴……214
(3) 注意事項……214
G.笑気吸入鎮静法と静脈内鎮静法の比較……215
1.術者サイドからの比較……215
2.患者サイドからの比較……215
〔重要事項〕……215
索引……217