はじめに
一般に,病院歯科は口腔外科的業務を担い,二次・三次医療機関としての役割を果たすものと認識されている.実際に,多くの病院歯科が地域の患者や歯科医療圏のニーズに応えている.しかし近年,病院歯科に求められる役割は多様化している.従来の役割に加え,周術期・回復期等口腔機能管理や摂食嚥下リハビリテーションなど,チーム医療および医科歯科連携を基盤とした取り組みが重要視されている.これらの変化は,高齢社会の進展と密接に関連していると考えられる.また,地域の特性や医療資源の状況により,病院ごとに求められる役割は大きく異なる.病院歯科の活動,あるいは歯科を有しない病院における歯科訪問診療の役割は,それぞれの施設の特徴に強く影響を受ける.そして,歯科を有しない病院も非常に多いのが現状である.
近年の診療報酬改定においては,このような病院歯科の多様な活動を後押しする制度が整備されてきた.例えば,地域歯科診療支援病院初再診料の要件拡大,周術期等口腔機能管理の対象疾患の拡大や回復期等口腔機能管理料の新設,さらには歯科のない病院が歯科訪問診療を依頼した場合に医科歯科双方で算定可能な評価の導入などが挙げられる.これらは,国が病院における医科歯科連携の発展を強く期待していることの表れであろう.
しかし,その期待に対する具体的な対応は未だ試行錯誤の段階にあり,歯科がどのように活動すべきかについての明確な指針は十分に整備されていない.口腔外科領域には長い歴史があり参考となるこれまでの知見も多いが,病院内における医科歯科連携や口腔健康・機能管理の分野においては,実践の指針となる情報は限られているのが現状である.そのため,先駆的な取り組みを行っている施設を直接訪問して見学する,あるいは学会活動などを通じて情報を収集し,自施設に応用することが主な手段となっている.すなわち,こうした先進的な施設とのつながりがなければ,他施設の工夫や実践を知る機会は限られてしまう可能性がある.
このような背景を踏まえ,本書を企画した.本書では,高齢者歯科医療を基盤として病院歯科に勤務する,あるいは歯科訪問診療で病院に関わる歯科医師・歯科衛生士の中から,先駆的な取り組みを実践している専門家に執筆を依頼し,それぞれの活動内容や工夫を紹介していただいた.また,実践に必要な医学的基礎知識についてもあわせて収載した.さらに,これらの取り組みを臨床の現場で支えてくれている医師からもご寄稿をいただいており,医師の視点からの示唆も大変参考になるであろう.
本書が,現在病院で活動している歯科医療従事者はもとより,これから病院歯科の立ち上げを目指す歯科医師にとって,実践の方向性を考えるための一助となることを期待している.
一般に,病院歯科は口腔外科的業務を担い,二次・三次医療機関としての役割を果たすものと認識されている.実際に,多くの病院歯科が地域の患者や歯科医療圏のニーズに応えている.しかし近年,病院歯科に求められる役割は多様化している.従来の役割に加え,周術期・回復期等口腔機能管理や摂食嚥下リハビリテーションなど,チーム医療および医科歯科連携を基盤とした取り組みが重要視されている.これらの変化は,高齢社会の進展と密接に関連していると考えられる.また,地域の特性や医療資源の状況により,病院ごとに求められる役割は大きく異なる.病院歯科の活動,あるいは歯科を有しない病院における歯科訪問診療の役割は,それぞれの施設の特徴に強く影響を受ける.そして,歯科を有しない病院も非常に多いのが現状である.
近年の診療報酬改定においては,このような病院歯科の多様な活動を後押しする制度が整備されてきた.例えば,地域歯科診療支援病院初再診料の要件拡大,周術期等口腔機能管理の対象疾患の拡大や回復期等口腔機能管理料の新設,さらには歯科のない病院が歯科訪問診療を依頼した場合に医科歯科双方で算定可能な評価の導入などが挙げられる.これらは,国が病院における医科歯科連携の発展を強く期待していることの表れであろう.
しかし,その期待に対する具体的な対応は未だ試行錯誤の段階にあり,歯科がどのように活動すべきかについての明確な指針は十分に整備されていない.口腔外科領域には長い歴史があり参考となるこれまでの知見も多いが,病院内における医科歯科連携や口腔健康・機能管理の分野においては,実践の指針となる情報は限られているのが現状である.そのため,先駆的な取り組みを行っている施設を直接訪問して見学する,あるいは学会活動などを通じて情報を収集し,自施設に応用することが主な手段となっている.すなわち,こうした先進的な施設とのつながりがなければ,他施設の工夫や実践を知る機会は限られてしまう可能性がある.
このような背景を踏まえ,本書を企画した.本書では,高齢者歯科医療を基盤として病院歯科に勤務する,あるいは歯科訪問診療で病院に関わる歯科医師・歯科衛生士の中から,先駆的な取り組みを実践している専門家に執筆を依頼し,それぞれの活動内容や工夫を紹介していただいた.また,実践に必要な医学的基礎知識についてもあわせて収載した.さらに,これらの取り組みを臨床の現場で支えてくれている医師からもご寄稿をいただいており,医師の視点からの示唆も大変参考になるであろう.
本書が,現在病院で活動している歯科医療従事者はもとより,これから病院歯科の立ち上げを目指す歯科医師にとって,実践の方向性を考えるための一助となることを期待している.
I章 高齢者と病院歯科
なぜ病院で高齢者歯科診療なのか(大野友久)
II章 病院という場所
(1)病院・病棟の種類(阪口英夫)
(2)病院で働く医療従事者(岩佐康行)
〔COLUMN A〕病院歯科は口腔外科か高齢者歯科か(大野友久)
III章 歯科が病院で関わる疾患・概念
(1)がん(治療期)(曽我賢彦・松﨑久美子)
(2)心疾患(尾﨑研一郎)
(3)脳卒中(松永一幸)
(4)サルコペニア/フレイル(中村純也)
(5)認知症(枝広あや子)
(6)呼吸器疾患・誤嚥性肺炎(井関史子)
(7)嚥下障害(長澤祐季,戸原 玄)
(8)がん/非がん終末期(大野友久)
(9)オーラルフレイル・口腔機能低下症(松尾浩一郎)
〔COLUMN B〕チーム医療と歯科のプレゼンス(大野友久)
IV章 歯科が病院でできること(院内)
(1)入院患者の口腔健康管理(大野友久)
(2)周術期口腔機能管理(鈴木啓之)
(3)介助での口腔衛生管理(口腔ケア)(守谷恵未)
(4)回復期口腔機能管理(元橋靖友)
(5)回復期における口腔衛生管理の支援(波多野真智子)
(6)歯科が病院で行う摂食嚥下リハビリテーション(中根綾子)
(7)食支援・ミールラウンド(田畑友寛,鈴木鵬生,畑中幸子,古屋純一)
(8)慢性期での口腔機能管理(原田真澄)
(9)緩和ケアとしての口腔管理(金森大輔)
(10)院内教育(橋詰桃代)
〔COLUMN C〕病院における摂食嚥下リハビリテーションと歯科(大野友久)
V章 歯科が病院からできること(外来~院外)
(1)外来での有病高齢者対応(松村香織)
(2)認知症(枝広あや子)
(3)病院からの歯科訪問診療(長谷剛志)
(4)地域への患者紹介(野本亜希子)
(5)院外教育・学術活動(大野友久)
〔COLUMN D〕医科歯科連携と三つの条件(大野友久)
VI章 歯科がない病院での口腔健康管理
(1)急性期病院の歯科衛生士事例(藤原千尋)
(2)回復期病院の歯科衛生士事例(古川由美子)
(3)病院への歯科訪問診療(回復期)(田中公美)
(4)病院への歯科訪問診療事例(維持期・慢性期)(坂井謙介)
〔COLUMN E〕歯科のない病院での歯科衛生士単独勤務(大野友久)
VII章 病院責任者からみた歯科導入の工夫と成果
(1)歯科のある急性期病院(小松本 悟)
(2)歯科のある回復期病院(藤島一郎)
(3)回復期リハビリテーション専門病院(歯科標榜なし)における医科歯科連携(栗原正紀)
〔COLUMN F〕病院歯科の採算(大野友久)
〔COLUMN G〕病院歯科か歯科訪問診療か(大野友久)
なぜ病院で高齢者歯科診療なのか(大野友久)
II章 病院という場所
(1)病院・病棟の種類(阪口英夫)
(2)病院で働く医療従事者(岩佐康行)
〔COLUMN A〕病院歯科は口腔外科か高齢者歯科か(大野友久)
III章 歯科が病院で関わる疾患・概念
(1)がん(治療期)(曽我賢彦・松﨑久美子)
(2)心疾患(尾﨑研一郎)
(3)脳卒中(松永一幸)
(4)サルコペニア/フレイル(中村純也)
(5)認知症(枝広あや子)
(6)呼吸器疾患・誤嚥性肺炎(井関史子)
(7)嚥下障害(長澤祐季,戸原 玄)
(8)がん/非がん終末期(大野友久)
(9)オーラルフレイル・口腔機能低下症(松尾浩一郎)
〔COLUMN B〕チーム医療と歯科のプレゼンス(大野友久)
IV章 歯科が病院でできること(院内)
(1)入院患者の口腔健康管理(大野友久)
(2)周術期口腔機能管理(鈴木啓之)
(3)介助での口腔衛生管理(口腔ケア)(守谷恵未)
(4)回復期口腔機能管理(元橋靖友)
(5)回復期における口腔衛生管理の支援(波多野真智子)
(6)歯科が病院で行う摂食嚥下リハビリテーション(中根綾子)
(7)食支援・ミールラウンド(田畑友寛,鈴木鵬生,畑中幸子,古屋純一)
(8)慢性期での口腔機能管理(原田真澄)
(9)緩和ケアとしての口腔管理(金森大輔)
(10)院内教育(橋詰桃代)
〔COLUMN C〕病院における摂食嚥下リハビリテーションと歯科(大野友久)
V章 歯科が病院からできること(外来~院外)
(1)外来での有病高齢者対応(松村香織)
(2)認知症(枝広あや子)
(3)病院からの歯科訪問診療(長谷剛志)
(4)地域への患者紹介(野本亜希子)
(5)院外教育・学術活動(大野友久)
〔COLUMN D〕医科歯科連携と三つの条件(大野友久)
VI章 歯科がない病院での口腔健康管理
(1)急性期病院の歯科衛生士事例(藤原千尋)
(2)回復期病院の歯科衛生士事例(古川由美子)
(3)病院への歯科訪問診療(回復期)(田中公美)
(4)病院への歯科訪問診療事例(維持期・慢性期)(坂井謙介)
〔COLUMN E〕歯科のない病院での歯科衛生士単独勤務(大野友久)
VII章 病院責任者からみた歯科導入の工夫と成果
(1)歯科のある急性期病院(小松本 悟)
(2)歯科のある回復期病院(藤島一郎)
(3)回復期リハビリテーション専門病院(歯科標榜なし)における医科歯科連携(栗原正紀)
〔COLUMN F〕病院歯科の採算(大野友久)
〔COLUMN G〕病院歯科か歯科訪問診療か(大野友久)















