やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

推薦の辞
 近年,歯周外科治療は大きく進歩し,新しい術式や再生材料の登場によって,臨床の現場も治療結果も大きく変わってきました.これまで難しいと考えられていた症例にも治療の可能性が広がり,患者さんにより良い結果を届けられる時代になっています.ただし,新しい術式や材料を使えば必ず成功するわけではありません.それをしっかり活かすためには,まず歯周外科の基本を正確に身につけ,生物学的な仕組みを理解したうえで治療に臨むことが欠かせません.
 本書『ゼロから見直す歯周外科治療』は,まさにそのための一冊です.さまざまな術式が,豊富なシェーマと美しい臨床写真を使って整理されており,知識をわかりやすく再確認することができます.数多くある術式の特徴や歴史的な流れも整理されているので,「なぜこの方法を選ぶのか」がよく理解でき,日常臨床に直結する学びが得られます.
 さらに,治療を成功に導くためのポイントや,失敗しやすい注意点が手順ごとに明快にまとめられているのも大きな魅力です.経験豊富な先生でも「あ,ここは気をつけよう」と再認識でき,これから学び始める若手の先生にとっては「ここを押さえればうまくいく」という安心感につながります.加えて,日本歯周病学会指導医である松延允資先生による動画が付いていることも大変価値があります.実際の手技を映像で確認できるので,学んだことをそのまま臨床で活かせる実践的な教材になっています.
 これから歯周外科を学ぶ若手歯科医師にとって,本書は確実にスキルアップにつながり,毎日の診療を支える心強い味方になるでしょう.また,すでに外科治療を日常的に行っている先生にとっても,自分のやり方を振り返り,新しい気づきを得る良いきっかけとなります.
 総じて,本書は「歯周外科を基礎から臨床へ導く頼れるパートナー」です.写真やシェーマ,動画を通じて,学んだ知識をすぐに臨床で活かすことができます.迷ったときに立ち返れる教科書として,ぜひ多くの先生方に手に取っていただきたい一冊です.
 2025年9月
 船越歯科歯周病研究所
 船越栄次
 推薦の辞
第1章 歯周外科治療の適応症を見直す
 はじめに
 歯周基本治療の標準的な進め方
 歯周外科治療の適応
 歯周基本治療の重要性
 歯周外科治療のラーニングステージ
第2章 歯周外科治療の基本手技を見直す
 はじめに
 歯周外科治療を行ううえでの基本知識
 浸潤麻酔
 ボーンサウンディング
 替え刃メスによる切開
 ペリオナイフによる切開
 歯肉弁剥離
 デブライドメント
 縫合
 歯周パック
 術後管理
第3章 歯周外科治療の術式を見直す
 はじめに
 従来の歯周外科治療の分類と歯周外科後の治癒
 組織付着療法の術式について考える
 筆者の考える歯周外科の分類と術式

 おわりに