推薦のことば
今回,奈良嘉峰先生が満を持して書籍を出版されたことを心より嬉しく思います.
約15年前に私が講師をしていた歯周病治療の研修会に奈良先生が一受講生として参加されていて,凄く手先が器用な先生であったことを記憶している.研修会を終えて私の診療所に見学に来るようになり,今でも歯周病治療やインプラント治療を中心に,意見を交換できる良好な関係が続いている.この短期間に,これほど完成度の高い書籍を出版されたことに大きな驚きを感じるとともに,彼の努力に敬意を表したい.
歯周病治療は,この30年間で目覚ましく進歩している.とくに,「歯周再生療法」においては,1990年代前半からGTR法の臨床応用が始まり,1990年代後半になるとEnamel Matrix Derivative,PDGF,PRP,b-FGFなどの増殖因子が開発され,より適応範囲が広がってきた.また,それに伴い骨移植材や遮蔽膜との併用法,そして種々のフラップデザインの考案により,より予知性の高い治療法へと発展している.
私や奈良先生の恩師でもあるDr.Myron Nevins(元アメリカ歯周病学会会長)は,「歯周再生療法は,切除療法の延長線上にある」とおっしゃられた.この言葉に対する私自身の解釈は,2つの意味があると考えている.
1つは,臨床的な歯周外科治療のラーニングステージにおいて,まずは切除療法から始めるべきであり,そこをマスターしたうえで,再生療法に進むべきである.
もう1つは,歯周ポケットを減少するためには歯槽骨をある程度平坦に整えるために,まず切除療法の適応症を考え,その限度を超えた部位にのみ再生療法を応用すべきである,という考え方である.
奈良先生もDr.Myron Nevinsの講義をたくさん聞かれて,そのことを重々理解されているのだと思う.本書は,まず切除療法の解説から始まり,生物学的幅径,骨外科処置,付着歯肉の獲得,などの重要性を説明したうえで,症例によっては切除療法だけでは限界があることを明確にしている.切除療法の限界を診断したうえで,適応症を明確にして再生療法を行うことが予知性の高い治療結果へと繋がるということを明確に伝えている.
特筆すべきことは,どの症例を見ても「ほとんど出血のない綺麗な術野」が見られることである.これほど美しい歯周外科の術中写真を撮ることがどれほど難しいことか,ベテランの先生方にも理解できると思う.そこに至るまでに歯周基本治療を確実に行い,炎症や咬合のコントロールを行い,歯周外科の成功しやすい環境を作っているからこそ,このような美しい術中写真が撮れるのだと思う.
章が進むにつれ,最新のサージカルテクニックが提示されている.第2章「フラップデザイン別歯周組織再生療法の実例」では,骨欠損の形態や位置,歯の位置や歯間乳頭の幅,あるいは歯数などさまざまな状況を考慮して,最適なフラップデザインを応用している.SPPFを用いたExtended Flapの基本的な術式に始まり,徐々に歯間乳頭を保存する新たな手技へと展開していく.
この10年の間に,種々の歯間乳頭保存術が考案,報告されているが,奈良先生の手技は,そのオリジナルの論文で見るよりもはるかに綺麗で分かりやすいし,結果も良好である.EPPの症例においても,完璧なデブライドメントを行ったことが分かる術中写真を見ると,彼の類稀な才能が伺える.
第2章で紹介されている症例8のAICASTは,私も何回かチャレンジしたことがあるが,なかなか難しい術式である.症例9で提示されているFTTに関しては,私が知る限り,同様のテクニックを見たことがない.多分,世界で唯一の奈良先生のオリジナル・テクニックではないかと思っている.
このような,新しい革新的なテクニックや素晴らしい治療結果も,「切除療法から始まり,その延長線上の再生療法を一段ずつ確実に技術の鍛錬を続けてきた」結果ではないだろうか,と思っている.読者の皆さんも,いきなり最先端の治療法にチャレンジするよりも,歯周外科の基本技術から始めて,十分な経験を積んでから,本著の後半のテクニックにチャレンジしていただきたい.
2026年吉日
宮本泰和
今回,奈良嘉峰先生が満を持して書籍を出版されたことを心より嬉しく思います.
約15年前に私が講師をしていた歯周病治療の研修会に奈良先生が一受講生として参加されていて,凄く手先が器用な先生であったことを記憶している.研修会を終えて私の診療所に見学に来るようになり,今でも歯周病治療やインプラント治療を中心に,意見を交換できる良好な関係が続いている.この短期間に,これほど完成度の高い書籍を出版されたことに大きな驚きを感じるとともに,彼の努力に敬意を表したい.
歯周病治療は,この30年間で目覚ましく進歩している.とくに,「歯周再生療法」においては,1990年代前半からGTR法の臨床応用が始まり,1990年代後半になるとEnamel Matrix Derivative,PDGF,PRP,b-FGFなどの増殖因子が開発され,より適応範囲が広がってきた.また,それに伴い骨移植材や遮蔽膜との併用法,そして種々のフラップデザインの考案により,より予知性の高い治療法へと発展している.
私や奈良先生の恩師でもあるDr.Myron Nevins(元アメリカ歯周病学会会長)は,「歯周再生療法は,切除療法の延長線上にある」とおっしゃられた.この言葉に対する私自身の解釈は,2つの意味があると考えている.
1つは,臨床的な歯周外科治療のラーニングステージにおいて,まずは切除療法から始めるべきであり,そこをマスターしたうえで,再生療法に進むべきである.
もう1つは,歯周ポケットを減少するためには歯槽骨をある程度平坦に整えるために,まず切除療法の適応症を考え,その限度を超えた部位にのみ再生療法を応用すべきである,という考え方である.
奈良先生もDr.Myron Nevinsの講義をたくさん聞かれて,そのことを重々理解されているのだと思う.本書は,まず切除療法の解説から始まり,生物学的幅径,骨外科処置,付着歯肉の獲得,などの重要性を説明したうえで,症例によっては切除療法だけでは限界があることを明確にしている.切除療法の限界を診断したうえで,適応症を明確にして再生療法を行うことが予知性の高い治療結果へと繋がるということを明確に伝えている.
特筆すべきことは,どの症例を見ても「ほとんど出血のない綺麗な術野」が見られることである.これほど美しい歯周外科の術中写真を撮ることがどれほど難しいことか,ベテランの先生方にも理解できると思う.そこに至るまでに歯周基本治療を確実に行い,炎症や咬合のコントロールを行い,歯周外科の成功しやすい環境を作っているからこそ,このような美しい術中写真が撮れるのだと思う.
章が進むにつれ,最新のサージカルテクニックが提示されている.第2章「フラップデザイン別歯周組織再生療法の実例」では,骨欠損の形態や位置,歯の位置や歯間乳頭の幅,あるいは歯数などさまざまな状況を考慮して,最適なフラップデザインを応用している.SPPFを用いたExtended Flapの基本的な術式に始まり,徐々に歯間乳頭を保存する新たな手技へと展開していく.
この10年の間に,種々の歯間乳頭保存術が考案,報告されているが,奈良先生の手技は,そのオリジナルの論文で見るよりもはるかに綺麗で分かりやすいし,結果も良好である.EPPの症例においても,完璧なデブライドメントを行ったことが分かる術中写真を見ると,彼の類稀な才能が伺える.
第2章で紹介されている症例8のAICASTは,私も何回かチャレンジしたことがあるが,なかなか難しい術式である.症例9で提示されているFTTに関しては,私が知る限り,同様のテクニックを見たことがない.多分,世界で唯一の奈良先生のオリジナル・テクニックではないかと思っている.
このような,新しい革新的なテクニックや素晴らしい治療結果も,「切除療法から始まり,その延長線上の再生療法を一段ずつ確実に技術の鍛錬を続けてきた」結果ではないだろうか,と思っている.読者の皆さんも,いきなり最先端の治療法にチャレンジするよりも,歯周外科の基本技術から始めて,十分な経験を積んでから,本著の後半のテクニックにチャレンジしていただきたい.
2026年吉日
宮本泰和
推薦のことば
第1章 歯周外科を知ろう!
1 なぜ,歯周外科治療が必要か
1)歯周治療のなかでの歯周外科治療の位置付け
2)歯周外科治療の種類と特徴
2 深い歯周ポケットに対するアプローチの使い分け
1)なぜ深い歯周ポケットが悪いのか
2)垂直性骨欠損の解決方法
3)再生か,切除か
4)再生と切除の組み合わせ
5)組織付着療法について
3 歯周組織再生療法の結果を左右する因子
1)歯周組織再生のための原則
2)骨欠損形態
3)歯槽骨概形と歯の位置関係
4)患者因子
4 歯周組織再生療法に用いられる材料,薬剤の役割
1)歯周組織再生療法の変遷
2)再生とは
3)歯周組織再生療法に用いられる材料,薬剤
5 歯周外科手術のステップと基本事項
1)切開と剥離
Column ボーンサウンディング
2)歯周組織再生療法のためのフラップデザイン
3)デブライドメント
4)根面処理
5)再生材料・薬剤の適用
6)縫合
7)術後管理
8)暫間固定について
第2章 フラップデザイン別 歯周組織再生療法の実例
1 Extended flap
Column 浸潤麻酔のポイント
2 Minimally Invasive Surgical Technique(MIST)
3 Modified Minimally Invasive Surgical Technique(M-MIST)
4 Single Flap Approach(SFA)
5 Entire Papilla Preservation Technique(EPP)
6 Double-Sided Entire Papilla Preservation Technique(DEPP)
7 EPPによるクレーターの治療
8 Apically Incised Coronally Advanced Surgical Technique(AICAST)
9 Flexible Tunnel Technique(FTT)
10 まとめ
Appendix Instrument
おわりに
第1章 歯周外科を知ろう!
1 なぜ,歯周外科治療が必要か
1)歯周治療のなかでの歯周外科治療の位置付け
2)歯周外科治療の種類と特徴
2 深い歯周ポケットに対するアプローチの使い分け
1)なぜ深い歯周ポケットが悪いのか
2)垂直性骨欠損の解決方法
3)再生か,切除か
4)再生と切除の組み合わせ
5)組織付着療法について
3 歯周組織再生療法の結果を左右する因子
1)歯周組織再生のための原則
2)骨欠損形態
3)歯槽骨概形と歯の位置関係
4)患者因子
4 歯周組織再生療法に用いられる材料,薬剤の役割
1)歯周組織再生療法の変遷
2)再生とは
3)歯周組織再生療法に用いられる材料,薬剤
5 歯周外科手術のステップと基本事項
1)切開と剥離
Column ボーンサウンディング
2)歯周組織再生療法のためのフラップデザイン
3)デブライドメント
4)根面処理
5)再生材料・薬剤の適用
6)縫合
7)術後管理
8)暫間固定について
第2章 フラップデザイン別 歯周組織再生療法の実例
1 Extended flap
Column 浸潤麻酔のポイント
2 Minimally Invasive Surgical Technique(MIST)
3 Modified Minimally Invasive Surgical Technique(M-MIST)
4 Single Flap Approach(SFA)
5 Entire Papilla Preservation Technique(EPP)
6 Double-Sided Entire Papilla Preservation Technique(DEPP)
7 EPPによるクレーターの治療
8 Apically Incised Coronally Advanced Surgical Technique(AICAST)
9 Flexible Tunnel Technique(FTT)
10 まとめ
Appendix Instrument
おわりに















