やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

推薦の言葉
 本書はスタディグループCOKI(Comprehensive Occlusal Knowledge of Interests)の現在のリーダーたちによるケースプレゼンテーションの形をとっています.COKI(旧名:古希の会)の始まりは,2000年代初頭に遡ります.当時,本多歯科勤務の髙井基普先生と大阪S.J.C.D.レギュラーコースの受講生であった米澤大地先生との本多歯科での出会いがきっかけです.その後,若手の先生たちが,私のメンターである本多正明先生と私の臨床のコンセプトや技術に対する理解を深めたい,と自然発生的に始まったグループです.発足当初は,初代会長川里邦夫先生をはじめ数名でしたが,咬合・補綴・インプラントへの理解を深めたい,という情熱をもった先生たちが集まり,今では会員数は約75名となっています.
 今では大阪S.J.C.D.の下部組織という位置付けになり,COKIの過去,および現在のリーダーたちが大阪S.J.C.D.の要職に就いて,会を引っ張っていってくれていることは嬉しい限りです.
 当初より,COKIは補綴,特に咬合に重きを置いたグループであり,現在もそのコンセプトが脈々と受け継がれているのが,本書からも見て取れます.本多正明先生は近年,『Restorative Design & Practical Occlusion』(Part 1:補綴設計&設計集,Part 2:実践的咬合)という2冊の書籍を上梓されました.本書はこれらの書籍の補綴に対するコンセプトや咬合理論を継承した,現在のCOKIのリーダーたちによる臨床実践編として位置づけられると考えます.
 また,単なるケースプレゼンテーション集にとどまらず,診査診断,治療計画時のポイントなども体系的に学べる書となっています.デジタルデンティストリーが隆盛を誇る現在こそ,このような咬合を出発点としたコンセプトは重要であり,多くの若い先生方の学びとなることを確信しています.
 伊藤雄策


はじめに
 本書はスタディグループCOKI(comprehensive Occlusal Knowledge of Interests)の現在のリーダーたちにより,“Longevity”を予知できる症例を提示してもらったものです.
 内容的には,1974年に南カリフォルニア大学の先生方から学んだコンテンツが原点となり,COKIのメンバーが症例を通してS.J.C.D.(日本臨床歯科学会)をはじめ次世代の先生たちに継承してもらうことを願ったものになっています.
 歯界展望連載をまとめるにあたり,最初に長期症例を提示し,次に本編へいく前に全顎的修復症例を成功させるためのKeyPointを9つに分けて整理しています.本編では6人の筆者各々が,自分に与えられたテーマについて,わかりやすく丁寧に説明しています.
 われわれ自然科学の歯科医療人として,知識・技術の「飽くなき探求心(向上心)」と同時に「直向きな謙虚さ(直向きの意味合いは続ける気力である)」を心がけることが大切だと思います.人は,一人で仕事を全うしていくことは難しく,先輩・同僚・後輩に敬意(Respect)をはらい,優しさとあたたかさをもって感謝する気持ちが,仲間とともに成功することにつながります.
 近年,スポーツの分野で,世界中で結果を残している日本は,個人スポーツでも団体スポーツでも互いに敬意をはらい,感謝の気持ちをもって,仲間とともに頑張っています.その姿が本当に輝かしいのです.
 最後にS.J.C.D.の後輩から学んだ言葉を紹介します.
 「Thank You,Sorry,Tender Smile」
 これらを自然に使いこなすことで,人との和を乱すことなく,仲間とともに歩いて行けるでしょう.
 日本では,「和をもって尊しとなす」という名言もあります.
 本多正明
古き良きことを守り続けることの必要性
 (本多正明)
本編を読む前に 全顎的修復(咬合再構成)症例を成功させるための「診査・診断・治療計画」
 (井上 謙)
CANTを伴う審美障害に対し,歯周形成外科 および修復補綴治療のコンビネーションで対応した症例
 (井上 謙)
咬合再構成症例の10年経過を考察する
 (谷尾和正)
補綴的対処により咬合の安定を図った症例の経過報告
 (松本慎也)
天然歯支台とインプラント支台を組み合わせたオーバーデンチャー症例
 (岩田 淳)
下顎両側遊離端欠損症例に矯正治療前にインプラント治療を先行し,咬合再構成を行った症例
 (津田 祐)
重度歯周病への対応を伴う咬合再構成症例
 (深野秀明)
特別対談 各症例をインタビュー形式で振り返り診断・治療のキーポイントを考察する
 (本多正明・井上 謙)