はじめに
ねぇねぇ,絶対にナイショだよ! 〇〇さん,□□□なんだって!
えーーっ! 本当に!? それ,ヤバいって!
なんて,秘めごとが,気づかぬうちに周囲にだだ漏れになってはいないでしょうか.家族や友人,同僚,患者さん,そしていま本別冊をお読みになっているあなた自身も,人は誰しも心に悩みを抱えているものです.
心理学者であるエリクソンは,「人生には何度か壁が出現する.人間はそれを越えることで心理的に成長していく」と説いています.そして,「40歳くらいまでは新しい感覚や知識を得ながら発達するが,おおむね40歳で成長のピークを迎え,以降は発達の流れが人生の終着点へと方向転換する」とも述べています.
この潮目が変わる40歳くらいから,約80%の人が大きな心理的壁に直面し,これまでとは違う感覚に戸惑いはじめます.「モヤモヤする」「イライラする」といった心の不安定や,「たくさん寝たはずなのに何だかしんどい」といった身体の不調.この正体は,中年期特有の心理的危機といわれる「ミッドライフ・クライシス」なのです.ミッドライフ・クライシスは,30代後半~50代にかけて陥りやすく,深刻になるとうつ病や不安障害に発展することもあります.
長きにわたり多くの患者さんと接してきたベテラン歯科医師や歯科衛生士は,「口を見れば,その人の生活習慣がイメージできる」と言います.年を重ねるなかで,口腔環境はいわずもがな,さまざまに変化します.特に,中年期では生活習慣を反映しやすく,ブラッシングや食生活,全身疾患,薬剤,ストレスの影響を受け,個人差が大きくなります.普段は意識しにくいミッドライフ・クライシスも,歯や歯肉,舌,口腔粘膜,顎関節などに些細な変化として現れます.つまり,齲蝕や歯周病,口臭,口腔乾燥,くいしばりや歯ぎしりといった症状には,心身の不調が潜んでいることがあるのです.
大切なことは,歯科でミッドライフ・クライシスを“治す“のではなく,歯科的対応によって患者さんの身体(口腔内)の不調を解決し,精神的な健康へと導くことで,大半の中年が抱えている“しんどさ”に共感し,患者さんに寄り添うことです.「たかが歯科で?」と思う方もいるかもしれませんが,「たかが歯科,されど歯科!」なのです.本別冊では,こうした中年患者さんへの身体面・精神面へのアプローチについて解説していきます.
超高齢社会を迎えたいまだからこそ,まだ変わることができる中年期から介入することが大切です.それができるのは,患者さんの生活習慣や心身面にアプローチできる,まさに歯科衛生士の皆さんなのです.
ねぇねぇ,絶対にナイショだよ! 〇〇さん,□□□なんだって!
えーーっ! 本当に!? それ,ヤバいって!
なんて,秘めごとが,気づかぬうちに周囲にだだ漏れになってはいないでしょうか.家族や友人,同僚,患者さん,そしていま本別冊をお読みになっているあなた自身も,人は誰しも心に悩みを抱えているものです.
心理学者であるエリクソンは,「人生には何度か壁が出現する.人間はそれを越えることで心理的に成長していく」と説いています.そして,「40歳くらいまでは新しい感覚や知識を得ながら発達するが,おおむね40歳で成長のピークを迎え,以降は発達の流れが人生の終着点へと方向転換する」とも述べています.
この潮目が変わる40歳くらいから,約80%の人が大きな心理的壁に直面し,これまでとは違う感覚に戸惑いはじめます.「モヤモヤする」「イライラする」といった心の不安定や,「たくさん寝たはずなのに何だかしんどい」といった身体の不調.この正体は,中年期特有の心理的危機といわれる「ミッドライフ・クライシス」なのです.ミッドライフ・クライシスは,30代後半~50代にかけて陥りやすく,深刻になるとうつ病や不安障害に発展することもあります.
長きにわたり多くの患者さんと接してきたベテラン歯科医師や歯科衛生士は,「口を見れば,その人の生活習慣がイメージできる」と言います.年を重ねるなかで,口腔環境はいわずもがな,さまざまに変化します.特に,中年期では生活習慣を反映しやすく,ブラッシングや食生活,全身疾患,薬剤,ストレスの影響を受け,個人差が大きくなります.普段は意識しにくいミッドライフ・クライシスも,歯や歯肉,舌,口腔粘膜,顎関節などに些細な変化として現れます.つまり,齲蝕や歯周病,口臭,口腔乾燥,くいしばりや歯ぎしりといった症状には,心身の不調が潜んでいることがあるのです.
大切なことは,歯科でミッドライフ・クライシスを“治す“のではなく,歯科的対応によって患者さんの身体(口腔内)の不調を解決し,精神的な健康へと導くことで,大半の中年が抱えている“しんどさ”に共感し,患者さんに寄り添うことです.「たかが歯科で?」と思う方もいるかもしれませんが,「たかが歯科,されど歯科!」なのです.本別冊では,こうした中年患者さんへの身体面・精神面へのアプローチについて解説していきます.
超高齢社会を迎えたいまだからこそ,まだ変わることができる中年期から介入することが大切です.それができるのは,患者さんの生活習慣や心身面にアプローチできる,まさに歯科衛生士の皆さんなのです.
はじめに
[コラム]宇宙人は未来人!?~口腔が語る人類のストーリー~
Chapter 1 中年期に必要な「食べる力」
1 人生の分岐点,中年期とは
1-1 生きづらさを感じる中年期
1-2 中年期が抱える複雑性~ミッドライフ・クライシス~
2 中年期から始まる口腔の変化
2-1 歯数・口腔粘膜湿潤度・最大舌圧の変化
2-2 侮れないオーラルフレイル
2-3 中年期に見られる食べる力の変化
[コラム]閉店間際のスーパーに群がる人々
3 プレ高齢期の中年患者さんに歯科ができること
3-1 咀嚼良好者を増やそう!
3-2 歯科医院における食事相談の役割
3-3 中年患者さんに「歯科衛生士だからこそ」できること
[コラム]人生はウルトラマラソン時代へ!?
Chapter 2 中年期に必要な「気づく力」
1 かにやしろえび
2 「食」の変化チェックシート
3 かむかむチェックシート
4 もぐもぐ日記(R)
[コラム]食を彩るオノマトペ
5 キシリトール咀嚼チェックガム
Chapter 3 指導で守る! 中年患者さんの口腔の変化
1 食事と栄養指導
1-1 忙しくても朝食は摂るべし
1-2 栄養指導
1-3 口腔機能を維持する食品選択
1-4 歯科衛生士だからこそできる! ちょっと一言「食事相談」
1-5 長年の食習慣を変えるために効果的なアプローチ
[コラム]和食はミッドライフ・クライシスを予防する
2 よく噛むこと
2-1 咀嚼の効能
[コラム]口中調味でリラックス
3 中年期から意識したい口腔機能のポイント
3-1 歯の喪失
3-2 唾液分泌量の低下
3-3 筋力の低下
[コラム]「厄払い」を信じる? 信じない?
4 中年期から始める口腔周囲筋のトレーニング
4-1 表情筋の運動
4-2 舌の運動
4-3 口唇や頬の運動
4-4 嚥下の意識
4-5 ガムを噛む
[コラム]責任世代の「ココロのスキマ」
5 中年患者さんに伝えたい口腔ケア用品
5-1 中年期の口腔ケア
5-2 口腔保湿剤の活用
[コラム]爪楊枝,使う? 使わない?
中年患者さんにオススメの口腔ケア用品リスト
Chapter 4 症例から学ぶ! 中年患者さんへの対応
1 歯科恐怖症の41歳男性
[コラム]いつか別れのときは訪れる
2 不規則な生活を変えられない63歳女性
3 オラオラ系の50歳男性
4 育児と介護のストレスに悩む46歳女性
5 噛まずに飲み込んでしまう61歳女性
6 グルメで肥満傾向の61歳男性
[コラム]「依存」と「依存症(アディクション)」の境界
7 将来を悲観する42歳女性
8 慢性的な口腔内トラブルに悩む56歳女性
[コラム]筋トレでミッドライフ・クライシスを回避!?
9 顎がだるくてうまく噛めない57歳女性
[コラム]人生で一番不幸と感じる年齢「平均47.2歳」
10 笑い方を忘れた49歳女性
[コラム]更年期障害とミッドライフ・クライシスの違いは?
おわりに
[付録]
(1)かにやしろえび評価シート
(2)「食」の変化チェックシート
(3)かむかむチェックシート
[コラム]宇宙人は未来人!?~口腔が語る人類のストーリー~
Chapter 1 中年期に必要な「食べる力」
1 人生の分岐点,中年期とは
1-1 生きづらさを感じる中年期
1-2 中年期が抱える複雑性~ミッドライフ・クライシス~
2 中年期から始まる口腔の変化
2-1 歯数・口腔粘膜湿潤度・最大舌圧の変化
2-2 侮れないオーラルフレイル
2-3 中年期に見られる食べる力の変化
[コラム]閉店間際のスーパーに群がる人々
3 プレ高齢期の中年患者さんに歯科ができること
3-1 咀嚼良好者を増やそう!
3-2 歯科医院における食事相談の役割
3-3 中年患者さんに「歯科衛生士だからこそ」できること
[コラム]人生はウルトラマラソン時代へ!?
Chapter 2 中年期に必要な「気づく力」
1 かにやしろえび
2 「食」の変化チェックシート
3 かむかむチェックシート
4 もぐもぐ日記(R)
[コラム]食を彩るオノマトペ
5 キシリトール咀嚼チェックガム
Chapter 3 指導で守る! 中年患者さんの口腔の変化
1 食事と栄養指導
1-1 忙しくても朝食は摂るべし
1-2 栄養指導
1-3 口腔機能を維持する食品選択
1-4 歯科衛生士だからこそできる! ちょっと一言「食事相談」
1-5 長年の食習慣を変えるために効果的なアプローチ
[コラム]和食はミッドライフ・クライシスを予防する
2 よく噛むこと
2-1 咀嚼の効能
[コラム]口中調味でリラックス
3 中年期から意識したい口腔機能のポイント
3-1 歯の喪失
3-2 唾液分泌量の低下
3-3 筋力の低下
[コラム]「厄払い」を信じる? 信じない?
4 中年期から始める口腔周囲筋のトレーニング
4-1 表情筋の運動
4-2 舌の運動
4-3 口唇や頬の運動
4-4 嚥下の意識
4-5 ガムを噛む
[コラム]責任世代の「ココロのスキマ」
5 中年患者さんに伝えたい口腔ケア用品
5-1 中年期の口腔ケア
5-2 口腔保湿剤の活用
[コラム]爪楊枝,使う? 使わない?
中年患者さんにオススメの口腔ケア用品リスト
Chapter 4 症例から学ぶ! 中年患者さんへの対応
1 歯科恐怖症の41歳男性
[コラム]いつか別れのときは訪れる
2 不規則な生活を変えられない63歳女性
3 オラオラ系の50歳男性
4 育児と介護のストレスに悩む46歳女性
5 噛まずに飲み込んでしまう61歳女性
6 グルメで肥満傾向の61歳男性
[コラム]「依存」と「依存症(アディクション)」の境界
7 将来を悲観する42歳女性
8 慢性的な口腔内トラブルに悩む56歳女性
[コラム]筋トレでミッドライフ・クライシスを回避!?
9 顎がだるくてうまく噛めない57歳女性
[コラム]人生で一番不幸と感じる年齢「平均47.2歳」
10 笑い方を忘れた49歳女性
[コラム]更年期障害とミッドライフ・クライシスの違いは?
おわりに
[付録]
(1)かにやしろえび評価シート
(2)「食」の変化チェックシート
(3)かむかむチェックシート















