はじめに
―障害のある人があなたの歯科医院を受診されたとき,対応に困ったことはありませんか?
障害のある子をもつ親御さんは,「家から近い歯科医院でみてもらいたい」「障害について理解があってほしい」という思いや期待をもち,かかりつけ歯科を選択しています.実際に皆さんが勤務されている歯科医院にも障害のある患者さんが多く来院されていることと思います.障害のある患者さんを担当し,「障害があるがゆえに通常の歯科治療が行えない」「ブラッシング指導がうまくいかない」「保護者や施設職員への保健指導が難しい」「そもそも歯科医療に関連する障害特性がわからない」などの困りごとを感じたことはないでしょうか?
本別冊は,障害者歯科の基本的なスキル,各障害の特性と歯科診療を行ううえでのポイントが,最新の情報に基づいて記載されていることはもちろん,特に歯科衛生士の皆さんが,日常診療で疑問に思っていること,困りごとなどの臨床的疑問を中心に書き上げたものです.また,保護者や施設職員へ保健指導する際には,患者さんの生活を知り,保護者の視点を把握することが保健指導を成功へと導きます.これらはとても大事なことなので,Part1に障害がある人の発達と生活環境,保護者の視点からみた障害児の生活についても記載しています.
読者である皆さんが臨床で疑問に思ったとき,本別冊を開いて確認するといった使い方が有用です.本別冊は,これから障害のある方の歯科臨床に携わる方には理解しやすく,ベテランの方には最新の情報から臨床的疑問や疾患特性を確認できるものとなっています.歯科衛生士向けではありますが,歯科医師にとっても最新の情報が満載で,自身の勉強のために,そしてスタッフ教育の際にも利用できます.
本別冊は,歯科衛生士の石井里加子氏を中心に,同じく歯科衛生士である梶 美奈子氏,寺田ハルカ氏が編集委員として企画し,項目立てして,歯科衛生士の方が中心となり執筆されたものです.私も歯科医師の視点から参画・サポートしましたが,多くの部分は歯科衛生士により企画・執筆されているところに本別冊の特徴があり,歯科衛生士が日々感じる悩みや疑問に応じてくれる内容になっています.臨床的疑問を解決できれば,患者さんと保護者の成長と喜びにつながります.本別冊が障害のある患者さんの歯科医療のガイドとなり,患者さん,保護者,そして皆さんの一助となれば,これに勝る喜びはありません.
2023年5月
よこすな歯科・松本歯科大学
小笠原 正
―障害のある人があなたの歯科医院を受診されたとき,対応に困ったことはありませんか?
障害のある子をもつ親御さんは,「家から近い歯科医院でみてもらいたい」「障害について理解があってほしい」という思いや期待をもち,かかりつけ歯科を選択しています.実際に皆さんが勤務されている歯科医院にも障害のある患者さんが多く来院されていることと思います.障害のある患者さんを担当し,「障害があるがゆえに通常の歯科治療が行えない」「ブラッシング指導がうまくいかない」「保護者や施設職員への保健指導が難しい」「そもそも歯科医療に関連する障害特性がわからない」などの困りごとを感じたことはないでしょうか?
本別冊は,障害者歯科の基本的なスキル,各障害の特性と歯科診療を行ううえでのポイントが,最新の情報に基づいて記載されていることはもちろん,特に歯科衛生士の皆さんが,日常診療で疑問に思っていること,困りごとなどの臨床的疑問を中心に書き上げたものです.また,保護者や施設職員へ保健指導する際には,患者さんの生活を知り,保護者の視点を把握することが保健指導を成功へと導きます.これらはとても大事なことなので,Part1に障害がある人の発達と生活環境,保護者の視点からみた障害児の生活についても記載しています.
読者である皆さんが臨床で疑問に思ったとき,本別冊を開いて確認するといった使い方が有用です.本別冊は,これから障害のある方の歯科臨床に携わる方には理解しやすく,ベテランの方には最新の情報から臨床的疑問や疾患特性を確認できるものとなっています.歯科衛生士向けではありますが,歯科医師にとっても最新の情報が満載で,自身の勉強のために,そしてスタッフ教育の際にも利用できます.
本別冊は,歯科衛生士の石井里加子氏を中心に,同じく歯科衛生士である梶 美奈子氏,寺田ハルカ氏が編集委員として企画し,項目立てして,歯科衛生士の方が中心となり執筆されたものです.私も歯科医師の視点から参画・サポートしましたが,多くの部分は歯科衛生士により企画・執筆されているところに本別冊の特徴があり,歯科衛生士が日々感じる悩みや疑問に応じてくれる内容になっています.臨床的疑問を解決できれば,患者さんと保護者の成長と喜びにつながります.本別冊が障害のある患者さんの歯科医療のガイドとなり,患者さん,保護者,そして皆さんの一助となれば,これに勝る喜びはありません.
2023年5月
よこすな歯科・松本歯科大学
小笠原 正
Part 1 障害者歯科って何だろう?
(1)求められる障害者歯科(石井里加子)
(2)障害のある人は,どのような生活を送っているの?~発達と生活環境~(緒方克也)
(3)障害児の生活を保護者の視点から考える~ダウン症児のわが子~(西田まさ子)
Part 2 障害のある患者さんとどう接すればいいの?~押さえておきたい基本的なスキル~
(1)コミュニケーション方法(梶 美奈子)
(2)トレーニング方法(行動療法)(鈴木香保利)
(3)体動コントロール(由利啓子)
(4)薬物的行動調整法(小笠原 正)
Part 3 障害・疾患を知ろう!~疾患特性と診療上の注意点・ポイント~
代表的な知的障害
(1)神経発達症(1)知的能力障害(石倉行男・寺田ハルカ)
(2)神経発達症(2)自閉スペクトラム症(八若保孝・梶 美奈子)
(3)神経発達症(3)ADHD(注意欠如・多動症)(小笠原 正)
(4)Down症候群(小松知子・宮本晴美)
代表的な身体障害
(5)脳性麻痺(加藤 篤・田中 恵)
(6)脳卒中の後遺症(入江暢幸・二宮静香)
(7)視覚の障害(村上旬平・笠井昌樹子)
(8)聴覚の障害(村上旬平・木田 恵)
代表的な精神障害
(9)統合失調症(岡田芳幸)
(10)認知症(羽村 章・有友たかね)
Part 4 どうする? どう考える? 障害者歯科の困りごと
(1)介助磨きを嫌がる(石井里加子)
(2)介助磨きを嫌がる 原因(1)発達年齢の問題(森田寛子)
(3)介助磨きを嫌がる 原因(2)触覚過敏(石井里加子)
(4)介助磨きを嫌がる 原因(3)原始反射の残存~脳性麻痺~(小暮弘子)
(5)介助磨きを嫌がる 原因(4)生理的な問題(岩佐美里)
(6)介助磨きを嫌がる 原因(5)口腔内の問題(前田知美)
(7)介助磨きを嫌がる 原因(6)テクニカルな問題(上野桃子)
(8)うがいができない・歯磨剤を飲んでしまう(小笠原 正・梶 美奈子)
(9)指導してもセルフケアがうまくならない(寺田ハルカ・小笠原 正)
(10)ジュースや甘味に混ぜないと薬が飲めない(井上治子)
(11)特定のジュースやお菓子を与えないとパニックやかんしゃくを起こす(寺田ハルカ)
(12)歯科治療が必要なのに,トレーニングをしても効果がみられない(鈴木香保利)
(13)コミュニケーションが図れない・指示が通じない(松岡陽子)
(14)質問ばかりする・落ち着きがない(田井ひとみ)
(15)てんかんへの対応(谷地美貴)
(16)噛まずに丸呑みをする(作田妙子・水上美樹)
(17)食欲がない・食事に時間がかかる(田中祐子・水上美樹)
(18)むせ・嘔吐反射(異常絞扼反射)がある(水上美樹)
(19)障害があっても,矯正歯科治療はできる?(梶 美奈子)
(1)求められる障害者歯科(石井里加子)
(2)障害のある人は,どのような生活を送っているの?~発達と生活環境~(緒方克也)
(3)障害児の生活を保護者の視点から考える~ダウン症児のわが子~(西田まさ子)
Part 2 障害のある患者さんとどう接すればいいの?~押さえておきたい基本的なスキル~
(1)コミュニケーション方法(梶 美奈子)
(2)トレーニング方法(行動療法)(鈴木香保利)
(3)体動コントロール(由利啓子)
(4)薬物的行動調整法(小笠原 正)
Part 3 障害・疾患を知ろう!~疾患特性と診療上の注意点・ポイント~
代表的な知的障害
(1)神経発達症(1)知的能力障害(石倉行男・寺田ハルカ)
(2)神経発達症(2)自閉スペクトラム症(八若保孝・梶 美奈子)
(3)神経発達症(3)ADHD(注意欠如・多動症)(小笠原 正)
(4)Down症候群(小松知子・宮本晴美)
代表的な身体障害
(5)脳性麻痺(加藤 篤・田中 恵)
(6)脳卒中の後遺症(入江暢幸・二宮静香)
(7)視覚の障害(村上旬平・笠井昌樹子)
(8)聴覚の障害(村上旬平・木田 恵)
代表的な精神障害
(9)統合失調症(岡田芳幸)
(10)認知症(羽村 章・有友たかね)
Part 4 どうする? どう考える? 障害者歯科の困りごと
(1)介助磨きを嫌がる(石井里加子)
(2)介助磨きを嫌がる 原因(1)発達年齢の問題(森田寛子)
(3)介助磨きを嫌がる 原因(2)触覚過敏(石井里加子)
(4)介助磨きを嫌がる 原因(3)原始反射の残存~脳性麻痺~(小暮弘子)
(5)介助磨きを嫌がる 原因(4)生理的な問題(岩佐美里)
(6)介助磨きを嫌がる 原因(5)口腔内の問題(前田知美)
(7)介助磨きを嫌がる 原因(6)テクニカルな問題(上野桃子)
(8)うがいができない・歯磨剤を飲んでしまう(小笠原 正・梶 美奈子)
(9)指導してもセルフケアがうまくならない(寺田ハルカ・小笠原 正)
(10)ジュースや甘味に混ぜないと薬が飲めない(井上治子)
(11)特定のジュースやお菓子を与えないとパニックやかんしゃくを起こす(寺田ハルカ)
(12)歯科治療が必要なのに,トレーニングをしても効果がみられない(鈴木香保利)
(13)コミュニケーションが図れない・指示が通じない(松岡陽子)
(14)質問ばかりする・落ち着きがない(田井ひとみ)
(15)てんかんへの対応(谷地美貴)
(16)噛まずに丸呑みをする(作田妙子・水上美樹)
(17)食欲がない・食事に時間がかかる(田中祐子・水上美樹)
(18)むせ・嘔吐反射(異常絞扼反射)がある(水上美樹)
(19)障害があっても,矯正歯科治療はできる?(梶 美奈子)














