序文
2005年にジルコニアが歯科医療用材料として日本で薬事承認を受けてから,20年が経過しました.かつては特別な修復材料と見なされていたジルコニアも,現在では一般的な修復治療の選択肢として広く受け入れられ,成熟した技術として確立されたと言えるでしょう.
初期のジルコニア修復は,金属に代わるフレームとしての使用が主流であり,十分な審美性を得るためには陶材の前装が不可欠でした.しかしその後,日本のジルコニア粉末原料メーカーによる技術的革新により材料特性が大きく進歩し,陶材前装を必要とせずに高い審美性を実現できるモノリシックジルコニア冠が登場しました.現在では,これが世界的な主流となっています.
今日,ジルコニアは前歯部・臼歯部を問わず,単冠やブリッジだけでなく,フルマウスブリッジ,オーバーデンチャー,さらにはインレー,アンレー,ラミネートベニアなど,多様な修復物に応用されています.この適応範囲の拡大は,ジルコニア材料自体そのものの進化に加え,CAD/CAMシステム全体の発展に支えられたものです.特に,口腔内スキャナーに代表される歯科医療のデジタル化は,ジルコニア修復の普及をいっそう後押ししており,今後もさらに加速することが予想されます.このデジタルワークフローにおいて,ジルコニアはまさに中核をなす修復材料の一つとして位置づけられています.
本書は,このような潮流を踏まえ,チェアサイドおよびラボサイドにおいてデジタル技術を駆使して設計・製作する次世代のデジタルセラミック(=ジルコニア)レストレーションについて,概念から補綴装置の設計・製作の実際にいたるまで,最新の知見を体系的に整理・アップデートすることを目的としています.そこで「この一冊があれば,ジルコニア修復のワークフローを網羅できる」という意味と,「今後,審美修復治療のファーストチョイスはジルコニアになる」という思いを込めて,書名を『ジルコニア the ONE─デジタルセラミックレストレーションにおけるワークフロー』としました.本書では,ジルコニア材料の最新情報,材料選択の指針,支台歯形成の要点,CAD/CAMを活用した製作プロセス,さらには臨床応用の具体例まで,各分野の専門家が解説を担当しています.そして,本書は以下の4部から成ります.
・Part 1:知っておくべきジルコニアの材料学的基礎と最新情報
・Part 2:ジルコニア修復の適応と,安定した経過を可能にするデジタル活用型ワークフローの臨床的要点
・Part 3:歯科技工士による高精度かつ審美的なジルコニア修復物の設計・製作の実際
・Part 4:部位および修復物の種類ごとの臨床応用例.
さらに各パートにはQ&A形式を含めいくつかのコラムを設け,読者が興味や疑問に応じて効率的に情報を得られるよう工夫しました.
本書が,日々の臨床と技工の現場において有益な指針となり,ジルコニアレストレーションのさらなる発展と普及に寄与することを願っております.
2025年12月
編集委員(順不同)
伴 清治(愛知学院大学歯学部歯科理工学講座)
北原信也(TEAM東京ノブレストラティブデンタルオフィス)
遠山敏成(マイスター春日歯科クリニック)
2005年にジルコニアが歯科医療用材料として日本で薬事承認を受けてから,20年が経過しました.かつては特別な修復材料と見なされていたジルコニアも,現在では一般的な修復治療の選択肢として広く受け入れられ,成熟した技術として確立されたと言えるでしょう.
初期のジルコニア修復は,金属に代わるフレームとしての使用が主流であり,十分な審美性を得るためには陶材の前装が不可欠でした.しかしその後,日本のジルコニア粉末原料メーカーによる技術的革新により材料特性が大きく進歩し,陶材前装を必要とせずに高い審美性を実現できるモノリシックジルコニア冠が登場しました.現在では,これが世界的な主流となっています.
今日,ジルコニアは前歯部・臼歯部を問わず,単冠やブリッジだけでなく,フルマウスブリッジ,オーバーデンチャー,さらにはインレー,アンレー,ラミネートベニアなど,多様な修復物に応用されています.この適応範囲の拡大は,ジルコニア材料自体そのものの進化に加え,CAD/CAMシステム全体の発展に支えられたものです.特に,口腔内スキャナーに代表される歯科医療のデジタル化は,ジルコニア修復の普及をいっそう後押ししており,今後もさらに加速することが予想されます.このデジタルワークフローにおいて,ジルコニアはまさに中核をなす修復材料の一つとして位置づけられています.
本書は,このような潮流を踏まえ,チェアサイドおよびラボサイドにおいてデジタル技術を駆使して設計・製作する次世代のデジタルセラミック(=ジルコニア)レストレーションについて,概念から補綴装置の設計・製作の実際にいたるまで,最新の知見を体系的に整理・アップデートすることを目的としています.そこで「この一冊があれば,ジルコニア修復のワークフローを網羅できる」という意味と,「今後,審美修復治療のファーストチョイスはジルコニアになる」という思いを込めて,書名を『ジルコニア the ONE─デジタルセラミックレストレーションにおけるワークフロー』としました.本書では,ジルコニア材料の最新情報,材料選択の指針,支台歯形成の要点,CAD/CAMを活用した製作プロセス,さらには臨床応用の具体例まで,各分野の専門家が解説を担当しています.そして,本書は以下の4部から成ります.
・Part 1:知っておくべきジルコニアの材料学的基礎と最新情報
・Part 2:ジルコニア修復の適応と,安定した経過を可能にするデジタル活用型ワークフローの臨床的要点
・Part 3:歯科技工士による高精度かつ審美的なジルコニア修復物の設計・製作の実際
・Part 4:部位および修復物の種類ごとの臨床応用例.
さらに各パートにはQ&A形式を含めいくつかのコラムを設け,読者が興味や疑問に応じて効率的に情報を得られるよう工夫しました.
本書が,日々の臨床と技工の現場において有益な指針となり,ジルコニアレストレーションのさらなる発展と普及に寄与することを願っております.
2025年12月
編集委員(順不同)
伴 清治(愛知学院大学歯学部歯科理工学講座)
北原信也(TEAM東京ノブレストラティブデンタルオフィス)
遠山敏成(マイスター春日歯科クリニック)
Prologue(総論) 今日のデジタルデンティストリーとジルコニアレストレーション
(北原信也)
Part 1 What'sジルコニア?―ジルコニアレストレーション製作のための材料学的Must-Knows
1.ジルコニアとは(伴 清治)
2.ジルコニアの微細構造と分類(伴 清治)
3.歯科用ジルコニアの進化と特徴(伴 清治)
4.歯科用ジルコニアの性質(伴 清治)
5.歯科用ジルコニアのマーケット情報(伴 清治)
Part 2 ジルコニアレストレーション成立のための臨床要件
1.ジルコニアレストレーション製作のためのワークフロー(北原信也・實利一輝)
2.ジルコニアレストレーション製作のための支台歯形成(北原信也)
3.ジルコニアレストレーションの接着(北原信也・遠山敏成)
4.Nd:YAGレーザーを用いた簡便・安全なジルコニア補綴装置撤去方法(奥田祐司)
Part 3 ジルコニアレストレーションの設計・製作のポイント
1.デジタルシェードテイキングのポイント(清水良介)
2.対合歯を考慮したジルコニアクラウン製作のポイント(長谷川篤史)
3.前歯CADデザインのポイント―前歯のデザインに活かす山本 眞先生の「教え」(難羽康博)
4.ジルコニアディスク選択のポイント(伴 清治)
5.CAMデータ作成のポイント―切削加工を考える(平澤龍一・瓜生博伺)
6.焼成のポイント(伴 清治)
7.3Dプリント模型の製作・活用のポイント(滝沢琢也・中西恵美・陸 誠)
8.研磨のポイント(伴 清治)
9.ステイニングのポイント―(1)浸透ステイン(インフィルトレーション)(北薗里佐)
10.ステイニングのポイント―(2)表面ステイン&グレーズ(高橋 健・小竹脩介・佐々木一樹・松本捷吾・田川日向・齋藤龍司)
11.ジルコニアレストレーション製作における効率的なラボワークフロー(高橋 健・小竹脩介・佐々木一樹・松本捷吾・田川日向・齋藤龍司)
Part 4 ジルコニアレストレーションの臨床 Nowadays
1.ジルコニアによる前歯部修復(北原信也)
2.ジルコニアによる臼歯部修復―(1)インレー(北原信也・實利一輝)
3.ジルコニアによる臼歯部修復―(2)クラウン(遠山敏成)
4.ジルコニアによる臼歯部修復―(3)オーバーレイ(遠山敏成)
5.ジルコニアによるロングスパン修復―ロングスパンジルコニアレストレーションを成功に導くための留意点と考察(Kite SAITO)
6.ジルコニアによる無歯顎スクリュー固定性インプラント補綴装置の製作(中村孝博)
Cafe Zr ジルコニア技工をめぐるQ&A(伴 清治〈Q;遠山敏成〉)
Question (1) ジルコニア冠を鏡面研磨すると真珠のような光沢になるのはなぜ?
Question (2) ジルコニアの曲げ強度評価において,従来の3点曲げ試験や4点曲げ試験に加え,近年2軸曲げ試験の利用が増えているのはなぜ?
Question (3) ジルコニア表面への付着を避けたい,臨床上の汚染物質は何?
Question (4) ジルコニアを高速焼成するときの注意事項は?
Question (5) 3Dプリンターで製作されたジルコニア冠は臨床応用可能?
Question (6) 焼成前にジルコニア表面についた傷は焼成後に消える?
Question (7) 内部ステインを行うと焼成後のジルコニアの強度は下がる?
(北原信也)
Part 1 What'sジルコニア?―ジルコニアレストレーション製作のための材料学的Must-Knows
1.ジルコニアとは(伴 清治)
2.ジルコニアの微細構造と分類(伴 清治)
3.歯科用ジルコニアの進化と特徴(伴 清治)
4.歯科用ジルコニアの性質(伴 清治)
5.歯科用ジルコニアのマーケット情報(伴 清治)
Part 2 ジルコニアレストレーション成立のための臨床要件
1.ジルコニアレストレーション製作のためのワークフロー(北原信也・實利一輝)
2.ジルコニアレストレーション製作のための支台歯形成(北原信也)
3.ジルコニアレストレーションの接着(北原信也・遠山敏成)
4.Nd:YAGレーザーを用いた簡便・安全なジルコニア補綴装置撤去方法(奥田祐司)
Part 3 ジルコニアレストレーションの設計・製作のポイント
1.デジタルシェードテイキングのポイント(清水良介)
2.対合歯を考慮したジルコニアクラウン製作のポイント(長谷川篤史)
3.前歯CADデザインのポイント―前歯のデザインに活かす山本 眞先生の「教え」(難羽康博)
4.ジルコニアディスク選択のポイント(伴 清治)
5.CAMデータ作成のポイント―切削加工を考える(平澤龍一・瓜生博伺)
6.焼成のポイント(伴 清治)
7.3Dプリント模型の製作・活用のポイント(滝沢琢也・中西恵美・陸 誠)
8.研磨のポイント(伴 清治)
9.ステイニングのポイント―(1)浸透ステイン(インフィルトレーション)(北薗里佐)
10.ステイニングのポイント―(2)表面ステイン&グレーズ(高橋 健・小竹脩介・佐々木一樹・松本捷吾・田川日向・齋藤龍司)
11.ジルコニアレストレーション製作における効率的なラボワークフロー(高橋 健・小竹脩介・佐々木一樹・松本捷吾・田川日向・齋藤龍司)
Part 4 ジルコニアレストレーションの臨床 Nowadays
1.ジルコニアによる前歯部修復(北原信也)
2.ジルコニアによる臼歯部修復―(1)インレー(北原信也・實利一輝)
3.ジルコニアによる臼歯部修復―(2)クラウン(遠山敏成)
4.ジルコニアによる臼歯部修復―(3)オーバーレイ(遠山敏成)
5.ジルコニアによるロングスパン修復―ロングスパンジルコニアレストレーションを成功に導くための留意点と考察(Kite SAITO)
6.ジルコニアによる無歯顎スクリュー固定性インプラント補綴装置の製作(中村孝博)
Cafe Zr ジルコニア技工をめぐるQ&A(伴 清治〈Q;遠山敏成〉)
Question (1) ジルコニア冠を鏡面研磨すると真珠のような光沢になるのはなぜ?
Question (2) ジルコニアの曲げ強度評価において,従来の3点曲げ試験や4点曲げ試験に加え,近年2軸曲げ試験の利用が増えているのはなぜ?
Question (3) ジルコニア表面への付着を避けたい,臨床上の汚染物質は何?
Question (4) ジルコニアを高速焼成するときの注意事項は?
Question (5) 3Dプリンターで製作されたジルコニア冠は臨床応用可能?
Question (6) 焼成前にジルコニア表面についた傷は焼成後に消える?
Question (7) 内部ステインを行うと焼成後のジルコニアの強度は下がる?















