発刊にあたって
周術期において安全で良好な管理を行うためには,術前検査,術中サポートならびに術後検査をより効果的に手術・治療に即した内容で行う必要があります.また,手術の多様化により,手術内容によって求められる検査内容も異なってきており,術前検査ではより詳細な観察や特殊な計測が求められる場合があります.術後検査では術後評価に加え,術後合併症や術後感染症などのチェックなどが求められます.このように周術期の検査は手術手技やデバイスの選択,治療方針などに重要な情報となるため,スクリーニング検査の内容では不十分であり,手術内容,目的に合わせた検査結果を報告する必要があります.このため,生理検査に携わる臨床検査技師は,術前・術中・術後検査に求められる検査内容を十分に理解し対応できる知識と技術の習得が求められます.
そこで本書では,周術期の生理検査について概略から疾患ごとに具体的な解説を盛り込んだ実践的な教本となるように構成しました.第1章では,周術期管理に関して,その概要と周術期における生理検査の役割について,第2章では,心電図検査,呼吸機能検査,下肢静脈エコー検査に関して,各検査の意義と重要性についてご解説いただきました.そして第3章では,腹部超音波検査,心臓超音波検査,血管超音波検査,頭頸部がんや乳がんの超音波検査,カテーテルアブレーション,肺がんの生理検査,てんかん手術の脳波検査,頭蓋内腫瘍のMRI検査,術中神経モニタリングに関して代表的な疾患をあげて,検査者に必要な周術期検査の具体的なポイントや注意点,検査時の工夫など実践的な内容についてご解説いただきました.また,コラムとして基礎知識やワンポイントアドバイスの項目を加えており,概略から実践的な内容まで幅広く盛り込まれた内容になっております.今回のご執筆は第一線で指導者としてもご活躍されており,技師教育にも大変ご理解のある先生方にお願いさせていただきました.
医師や看護師,薬剤師に向けた周術期管理の書籍は存在しますが,臨床検査技師に向けて体系的に書かれた書籍はありません.臨床検査技師が自信をもって周術期の生理検査に臨めるよう,必要な知識と実践手技を網羅した1冊です.実践的な実用書として,また知識の確認書として,さらには先輩技師が若手技師を指導する際の参考書として,幅広くご活用いただければ幸いです.
最後に,ご多忙のなか,本書の執筆に快くご協力くださり,多大なるご尽力をいただいたご執筆者の先生方に,深く感謝の意を表します.
2019年12月
月刊『Medical Technology』編集委員会
東海大学医学部付属大磯病院 中央臨床検査科 髙梨 昇
周術期において安全で良好な管理を行うためには,術前検査,術中サポートならびに術後検査をより効果的に手術・治療に即した内容で行う必要があります.また,手術の多様化により,手術内容によって求められる検査内容も異なってきており,術前検査ではより詳細な観察や特殊な計測が求められる場合があります.術後検査では術後評価に加え,術後合併症や術後感染症などのチェックなどが求められます.このように周術期の検査は手術手技やデバイスの選択,治療方針などに重要な情報となるため,スクリーニング検査の内容では不十分であり,手術内容,目的に合わせた検査結果を報告する必要があります.このため,生理検査に携わる臨床検査技師は,術前・術中・術後検査に求められる検査内容を十分に理解し対応できる知識と技術の習得が求められます.
そこで本書では,周術期の生理検査について概略から疾患ごとに具体的な解説を盛り込んだ実践的な教本となるように構成しました.第1章では,周術期管理に関して,その概要と周術期における生理検査の役割について,第2章では,心電図検査,呼吸機能検査,下肢静脈エコー検査に関して,各検査の意義と重要性についてご解説いただきました.そして第3章では,腹部超音波検査,心臓超音波検査,血管超音波検査,頭頸部がんや乳がんの超音波検査,カテーテルアブレーション,肺がんの生理検査,てんかん手術の脳波検査,頭蓋内腫瘍のMRI検査,術中神経モニタリングに関して代表的な疾患をあげて,検査者に必要な周術期検査の具体的なポイントや注意点,検査時の工夫など実践的な内容についてご解説いただきました.また,コラムとして基礎知識やワンポイントアドバイスの項目を加えており,概略から実践的な内容まで幅広く盛り込まれた内容になっております.今回のご執筆は第一線で指導者としてもご活躍されており,技師教育にも大変ご理解のある先生方にお願いさせていただきました.
医師や看護師,薬剤師に向けた周術期管理の書籍は存在しますが,臨床検査技師に向けて体系的に書かれた書籍はありません.臨床検査技師が自信をもって周術期の生理検査に臨めるよう,必要な知識と実践手技を網羅した1冊です.実践的な実用書として,また知識の確認書として,さらには先輩技師が若手技師を指導する際の参考書として,幅広くご活用いただければ幸いです.
最後に,ご多忙のなか,本書の執筆に快くご協力くださり,多大なるご尽力をいただいたご執筆者の先生方に,深く感謝の意を表します.
2019年12月
月刊『Medical Technology』編集委員会
東海大学医学部付属大磯病院 中央臨床検査科 髙梨 昇
発刊にあたって 髙梨 昇
1.周術期管理とは
原 哲也
2.周術期に必要な生理検査
1)心電図検査 森山久美
2)呼吸機能検査 桑平一郎
3)下肢静脈エコー検査 松尾 汎
3.周術期における生理検査の実際
1)腹部領域の周術期超音波検査
(1)肝がん 白川博文・岡野宏美・枝 明日美・天野恵理子・上田香織・渡邉マリア・栗原浩子
(2)膵がん 水口安則
(3)胆嚢がん・肝外胆管がん 岡庭信司・堀米直人
(4)腎臓がん 皆川倫範
(5)腎移植 堀見孔星
(6)肝移植 眞田幸弘・佐久間康成・佐田尚宏
(7)胃がん・大腸がん 竹之内陽子・畠 二郎
2)心臓の周術期超音波検査
(1)弁膜症
(1) 僧帽弁 西川はる香・出雲昌樹
(2) 大動脈弁 鶴田ひかる
(2)急性冠症候群 髙木 竜
(3)心房中隔欠損症 小板橋俊美
(4)心室中隔欠損 安河内 聰
3)血管の周術期超音波検査
(1)腹部大動脈瘤 上村 尚
(2)頸動脈狭窄・閉塞 濱口浩敏
(3)下肢静脈瘤 広川雅之
(4)バスキュラーアクセス 春口洋昭
4)頭頸部がんの周術期超音波検査 古川まどか
5)乳がんの周術期超音波検査 中島一毅
6)カテーテルアブレーションの周術期生理検査 松本万夫・田中沙綾香
7)肺がんの周術期生理検査 澤端章好
8)てんかん手術時の周術期脳波検査 福地聡子・久保田有一
9)頭蓋内腫瘍の周術期MRI検査 本村和也
10)術中神経モニタリング
(1)術中脳波のモニタリング 林 浩伸・川口昌彦
(2)運動誘発電位モニタリング(MEP) 重松英樹
(3)聴性脳幹反応(ABR) 藤井正美
(4)顔面神経誘発筋電図 福多真史
(5)視覚誘発電位モニタリング(VEP) 佐々木達也
(6)脊髄誘発電位 安藤宗治
(7)球海綿体反射 杉山邦男
COLUMN
1.臨床検査技師がかかわる生理検査のチーム医療 髙久田美江・山寺幸雄
2.ペースメーカの心電図波形のワンポイントアドバイス 中井俊子
3.救急エコーFASTとRUSHとは 入江 仁
4.肝腫瘤の造影超音波検査のワンポイントアドバイス 山本幸治
5.急性虫垂炎の超音波検査のワンポイントアドバイス 山本真一
6.ラジオ波焼灼療法の基礎知識 南 康範
7.TAVIの基礎知識 大野洋平
8.MitraClipの基礎知識 長谷川拓也
9.頸動脈内膜剥離術と頸動脈ステント留置術の基礎知識 加治正知
10.下肢静脈瘤超音波検査のワンポイントアドバイス 山本哲也
11.乳房造影超音波検査のワンポイントアドバイス 三塚幸夫
12.電気生理学的検査(EPS)の基礎知識 間瀬 浩
13.肺腫瘍の超音波検査のワンポイントアドバイス 山口 学
1.周術期管理とは
原 哲也
2.周術期に必要な生理検査
1)心電図検査 森山久美
2)呼吸機能検査 桑平一郎
3)下肢静脈エコー検査 松尾 汎
3.周術期における生理検査の実際
1)腹部領域の周術期超音波検査
(1)肝がん 白川博文・岡野宏美・枝 明日美・天野恵理子・上田香織・渡邉マリア・栗原浩子
(2)膵がん 水口安則
(3)胆嚢がん・肝外胆管がん 岡庭信司・堀米直人
(4)腎臓がん 皆川倫範
(5)腎移植 堀見孔星
(6)肝移植 眞田幸弘・佐久間康成・佐田尚宏
(7)胃がん・大腸がん 竹之内陽子・畠 二郎
2)心臓の周術期超音波検査
(1)弁膜症
(1) 僧帽弁 西川はる香・出雲昌樹
(2) 大動脈弁 鶴田ひかる
(2)急性冠症候群 髙木 竜
(3)心房中隔欠損症 小板橋俊美
(4)心室中隔欠損 安河内 聰
3)血管の周術期超音波検査
(1)腹部大動脈瘤 上村 尚
(2)頸動脈狭窄・閉塞 濱口浩敏
(3)下肢静脈瘤 広川雅之
(4)バスキュラーアクセス 春口洋昭
4)頭頸部がんの周術期超音波検査 古川まどか
5)乳がんの周術期超音波検査 中島一毅
6)カテーテルアブレーションの周術期生理検査 松本万夫・田中沙綾香
7)肺がんの周術期生理検査 澤端章好
8)てんかん手術時の周術期脳波検査 福地聡子・久保田有一
9)頭蓋内腫瘍の周術期MRI検査 本村和也
10)術中神経モニタリング
(1)術中脳波のモニタリング 林 浩伸・川口昌彦
(2)運動誘発電位モニタリング(MEP) 重松英樹
(3)聴性脳幹反応(ABR) 藤井正美
(4)顔面神経誘発筋電図 福多真史
(5)視覚誘発電位モニタリング(VEP) 佐々木達也
(6)脊髄誘発電位 安藤宗治
(7)球海綿体反射 杉山邦男
COLUMN
1.臨床検査技師がかかわる生理検査のチーム医療 髙久田美江・山寺幸雄
2.ペースメーカの心電図波形のワンポイントアドバイス 中井俊子
3.救急エコーFASTとRUSHとは 入江 仁
4.肝腫瘤の造影超音波検査のワンポイントアドバイス 山本幸治
5.急性虫垂炎の超音波検査のワンポイントアドバイス 山本真一
6.ラジオ波焼灼療法の基礎知識 南 康範
7.TAVIの基礎知識 大野洋平
8.MitraClipの基礎知識 長谷川拓也
9.頸動脈内膜剥離術と頸動脈ステント留置術の基礎知識 加治正知
10.下肢静脈瘤超音波検査のワンポイントアドバイス 山本哲也
11.乳房造影超音波検査のワンポイントアドバイス 三塚幸夫
12.電気生理学的検査(EPS)の基礎知識 間瀬 浩
13.肺腫瘍の超音波検査のワンポイントアドバイス 山口 学