序
乳房超音波検査において日常的に遭遇する疾患の多くは,実は悪性疾患ではなく良性疾患です.乳腺症や線維腺腫など,検査の現場ではこれらの病変を繰り返し観察することになります.しかし,乳癌に関する学習や教育の機会が充実している一方で,良性疾患に焦点を当てて体系的に学ぶ機会や書籍は決して多くありません.日常検査で最も多く目にする病変であるにもかかわらず,その理解を深めるための教材が限られているという現状を,私自身も日々の検査のなかで実感してきました.
乳房超音波検査1では「正常乳房」の内容を盛り込み,正常乳腺とその多様なバリエーションを理解することの重要性をまとめました.正常を理解することは,異常をみつけるための第一歩です.そして,その次の段階として重要になるのが,日常検査で頻繁に遭遇する良性疾患の理解です.正常像や良性病変を正しく理解し,多くの画像を経験として蓄積することは,結果として悪性疾患の鑑別能力を高めることにもつながります.すなわち,良性疾患を深く理解することは,悪性疾患の診断につなげるための確かな基盤となります.本書は,そうした思いから企画した「良性乳腺疾患」に焦点を当てた一冊です.
本書では,「乳腺症」「線維腺腫」「葉状腫瘍」「乳管内乳頭腫」といった日常検査で遭遇する機会や鑑別に挙がることの多い代表的な疾患を中心に解説しました.さらに,第5章では,書籍では取り上げられることの少ない希少な良性疾患についても症例形式で紹介しています.顆粒細胞腫,腺筋上皮腫など,頻度は高くないものの実際の検査で遭遇した際に判断に迷いやすい疾患も取り上げ,症例を通して理解を深められる構成としました.
本書のもう1つの特徴は,乳房超音波検査1同様,執筆者がそれぞれの施設で経験した症例を持ち寄り,共有することで構成されている点です.1人の検者が経験できる症例には限界がありますが,複数の施設・複数の検者の経験を集約することで,より幅広い症例を提示することが可能となりました.各症例は執筆者間で共有したうえで整理され,各章の担当者がそれぞれの知識と経験を加えて執筆しています.
本書に収載した症例が,日常の検査のなかで「この所見を見たことがある」と思い出していただくきっかけとなり,良性疾患の理解を深める一助となれば幸いです.そして,良性疾患を深く理解することが悪性疾患の診断へとつなぐ確かな力となる─本書がその基盤を築く一冊となることを願っています.
2026年4月
編者を代表して 前田奈緒子
乳房超音波検査において日常的に遭遇する疾患の多くは,実は悪性疾患ではなく良性疾患です.乳腺症や線維腺腫など,検査の現場ではこれらの病変を繰り返し観察することになります.しかし,乳癌に関する学習や教育の機会が充実している一方で,良性疾患に焦点を当てて体系的に学ぶ機会や書籍は決して多くありません.日常検査で最も多く目にする病変であるにもかかわらず,その理解を深めるための教材が限られているという現状を,私自身も日々の検査のなかで実感してきました.
乳房超音波検査1では「正常乳房」の内容を盛り込み,正常乳腺とその多様なバリエーションを理解することの重要性をまとめました.正常を理解することは,異常をみつけるための第一歩です.そして,その次の段階として重要になるのが,日常検査で頻繁に遭遇する良性疾患の理解です.正常像や良性病変を正しく理解し,多くの画像を経験として蓄積することは,結果として悪性疾患の鑑別能力を高めることにもつながります.すなわち,良性疾患を深く理解することは,悪性疾患の診断につなげるための確かな基盤となります.本書は,そうした思いから企画した「良性乳腺疾患」に焦点を当てた一冊です.
本書では,「乳腺症」「線維腺腫」「葉状腫瘍」「乳管内乳頭腫」といった日常検査で遭遇する機会や鑑別に挙がることの多い代表的な疾患を中心に解説しました.さらに,第5章では,書籍では取り上げられることの少ない希少な良性疾患についても症例形式で紹介しています.顆粒細胞腫,腺筋上皮腫など,頻度は高くないものの実際の検査で遭遇した際に判断に迷いやすい疾患も取り上げ,症例を通して理解を深められる構成としました.
本書のもう1つの特徴は,乳房超音波検査1同様,執筆者がそれぞれの施設で経験した症例を持ち寄り,共有することで構成されている点です.1人の検者が経験できる症例には限界がありますが,複数の施設・複数の検者の経験を集約することで,より幅広い症例を提示することが可能となりました.各症例は執筆者間で共有したうえで整理され,各章の担当者がそれぞれの知識と経験を加えて執筆しています.
本書に収載した症例が,日常の検査のなかで「この所見を見たことがある」と思い出していただくきっかけとなり,良性疾患の理解を深める一助となれば幸いです.そして,良性疾患を深く理解することが悪性疾患の診断へとつなぐ確かな力となる─本書がその基盤を築く一冊となることを願っています.
2026年4月
編者を代表して 前田奈緒子
序
本書に付属する動画のご利用について
第1章 いわゆる乳腺症
I 概論・病理
1.臨床的事項
2.組織学的所見
1)小葉増生症
2)腺症
3)アポクリン化生
4)嚢胞
5)乳管過形成
6)線維腺腫症
II 超音波検査
1.単純性嚢胞
2.濃縮嚢胞
3.乳管拡張
4.低エコー域
5.構築の乱れ
6.腫瘤
ちょこっとコラム 「乳腺症」って,けっこうあいまい?
第2章 線維腺腫
I 概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
5)特殊な線維腺腫
II 超音波検査
1.さまざまな線維腺腫
1)いわゆる典型像
2)葉状腫瘍との鑑別を要する症例
3)いわゆる乳腺症との鑑別を要する症例
4)乳癌との鑑別を要する症例
5)脂肪との鑑別を要する症例
2.特殊な線維腺腫
1)若年性線維腺腫
2)陳旧性線維腺腫
3.妊娠・授乳期の線維腺腫
ちょこっとコラム 針生検検体や細胞診検体での線維腺腫の診断は難しい
第3章 葉状腫瘍
I 概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
II 超音波検査
1.良性葉状腫瘍
2.境界悪性葉状腫瘍
ちょこっとコラム 急速増大って・・・?
3.悪性葉状腫瘍
ちょこっとコラム スリット伝説─それ,本当に葉状腫瘍ですか?
第4章 乳管内乳頭腫
I 概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
ちょこっとコラム 乳管内乳頭腫と乳管乳頭腫症
II 超音波検査
1.拡張乳管内にみられるもの
2.嚢胞性腫瘤を呈するもの
3.充実性腫瘤を呈するもの
4.乳管内乳頭腫の経過観察中に増大傾向を示した症例
第5章 その他の良性疾患
I 過誤腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
II 乳腺線維症
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
III 乳頭部腺腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
IV 乳管腺腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
V 管状腺腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
VI 顆粒細胞腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
VII 腺筋上皮腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
1)良性腺筋上皮腫
2)悪性腺筋上皮腫
VIII モンドール病
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
IX 外傷性脂肪壊死
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
ちょこっとコラム 線維腺腫の「陰」に潜む,その他の良性腫瘤
索引
本書に付属する動画のご利用について
第1章 いわゆる乳腺症
I 概論・病理
1.臨床的事項
2.組織学的所見
1)小葉増生症
2)腺症
3)アポクリン化生
4)嚢胞
5)乳管過形成
6)線維腺腫症
II 超音波検査
1.単純性嚢胞
2.濃縮嚢胞
3.乳管拡張
4.低エコー域
5.構築の乱れ
6.腫瘤
ちょこっとコラム 「乳腺症」って,けっこうあいまい?
第2章 線維腺腫
I 概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
5)特殊な線維腺腫
II 超音波検査
1.さまざまな線維腺腫
1)いわゆる典型像
2)葉状腫瘍との鑑別を要する症例
3)いわゆる乳腺症との鑑別を要する症例
4)乳癌との鑑別を要する症例
5)脂肪との鑑別を要する症例
2.特殊な線維腺腫
1)若年性線維腺腫
2)陳旧性線維腺腫
3.妊娠・授乳期の線維腺腫
ちょこっとコラム 針生検検体や細胞診検体での線維腺腫の診断は難しい
第3章 葉状腫瘍
I 概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
II 超音波検査
1.良性葉状腫瘍
2.境界悪性葉状腫瘍
ちょこっとコラム 急速増大って・・・?
3.悪性葉状腫瘍
ちょこっとコラム スリット伝説─それ,本当に葉状腫瘍ですか?
第4章 乳管内乳頭腫
I 概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
ちょこっとコラム 乳管内乳頭腫と乳管乳頭腫症
II 超音波検査
1.拡張乳管内にみられるもの
2.嚢胞性腫瘤を呈するもの
3.充実性腫瘤を呈するもの
4.乳管内乳頭腫の経過観察中に増大傾向を示した症例
第5章 その他の良性疾患
I 過誤腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
II 乳腺線維症
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
III 乳頭部腺腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
IV 乳管腺腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
V 管状腺腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
VI 顆粒細胞腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
VII 腺筋上皮腫
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
1)良性腺筋上皮腫
2)悪性腺筋上皮腫
VIII モンドール病
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
IX 外傷性脂肪壊死
1.概論・病理
1)定義・概念
2)臨床的事項
3)肉眼所見
4)組織学的所見
2.超音波検査
ちょこっとコラム 線維腺腫の「陰」に潜む,その他の良性腫瘤
索引
