発行によせて
本書「義肢装具便覧」は,単なる用語集ではなく「便覧」です.「便覧」を和英辞典で引くとhandbookあるいはmanualと英訳されますが,本書はハンドブックというイメージで手元に置いて使っていただけると思います.義肢装具に関連する用語は,日本義肢装具学会,日本リハビリテーション医学会,日本整形外科学会等が編纂している用語集にも多く含まれていますが,これらには個々の用語に関する説明がありません.用語に解説を加えたものとしてISO(国際標準化機構)が発行するいくつかの国際規格がありますが,英語をはじめとする外国語で記述されています.JIS(日本産業規格,旧日本工業規格)にも「福祉関連機器用語-義肢装具部門(JIS T 0101)」をはじめ義肢装具や福祉用具に関する規格がありますが,用語の定義が簡単に記述されているのみで,一部の用語に関係した図も収載されているとはいえ,用語の解説としては十分とは言えません.つまり本書は,日本で入手でき日本語で書かれた,近年では唯一の義肢装具に関する用語解説集になります.
本書は義肢装具士をはじめとするリハビリテーション関連職種や,それらを目指して勉強している学生たち,さらに義肢装具や福祉機器に関係する研究者などを対象に書かれています.これらの方々が義肢装具に関する文章を読んだり議論をしたりする際に,初めて読み聞きする言葉,読み聞きしたことがあっても意味を十分に理解していない言葉に遭遇することがあります.このような場合,私もそうですがインターネットの検索サイトに用語を入力することが多いと思います.しかし多くのサイトが検索リストに示される上に,どの情報が正しいのかを判断するのが難しい場合も多いです.近年は生成AIが作成した説明文がトップに表示されることも多いですが,生成AIはインターネット空間に存在する情報を収集して説明文を作っていると考えられますので,その信頼性は十分に確保されているとは言えません.
義肢装具を適切に患者・利用者に提供するのみならず,学問としてさらに発展させるためには,用語の意味や使い方を正しく理解することが前提条件になります.本書は義肢装具の分野で豊富な診療・教育経験を持つ執筆陣が,長い時間をかけて作り上げました.図の分かりやすさにも配慮されており,義肢装具のみならず関連する分野の読者に役立つものと信じています.
2026年4月
芳賀信彦
序
本書は,義肢装具とそれに関連する用語の解説集です.解説文は読みやすい箇条書きを原則とし,イラストを多用して理解しやすい事を目標としました.
10年ほど前のことですが,次の日の授業を準備していたところ,ある専門用語がどうしても出てこないのです.いわゆる「ド忘れ」というやつです.こんな事が多くなり,自分なりの対策として,義肢装具に関連するキーワードのデータベースを作成しました.これを活用して,現在も同様の事態を乗り切っています.これが本書の基盤となりました.
もう一つの気付きは,国家試験の勉強に取り組む学生さんたちの苦労を垣間見たことでした.解らない問題を多くの本を開いて調べているのですが,どの本に記述があるのか,なかなか辿り着けていないのです.関連する全てのキーワードが解説された本があれば,学習時間は短縮できます.
筆者は福祉工学系およびバイオメカニクス系の先生方と共同して研究に携わった経験があります.その際に,分野ごとの義肢装具関連の用語の差異を認識しました.また,義肢装具以外の分野の先生方は義肢装具の知見を得るためにご苦労されており,そこでも本書は役に立つと考えられます.
本書では義肢装具に関連する用語として約2,600語を収載しました.分野の内訳は,義肢,装具,支援機器,工学関連,解剖・運動(歩行を含む),疾患,治療(リハビリテーションを含む),法・制度です.読者対象として義肢装具士(学生)をはじめとする義肢装具に関わる医療従事者を主体としたので,義肢装具の用語は十分な解説を施したつもりですが,その他の工学や医学関連の用語については,義肢装具に関与する上での必要最小限の収載・記述に留めました.
末尾になりましたが,本書の作成にあたってご協力戴いた共同編者の芳賀信彦先生をはじめ,巻頭の執筆者一覧に掲載させていただいた共同執筆者の先生方,および編集協力をいただいた先生方に感謝を申し上げます.さらに,巻末付録では,歩行に関する資料,義足の構成要素,義手の構成要素と適合をまとめました.このうち,義足の構成要素の作成にあたっては下記の義肢部品メーカー・製作所の方々に多大なるご協力をいただきました.
ご協力いただいたメーカー各社(50音順)
株式会社今仙技研研究所,オズールジャパン,オットーボックジャパン株式会社,株式会社啓愛義肢材料販売所,高崎義肢,株式会社田沢製作所,ナブテスコ株式会社,株式会社プロテオールジャパン,株式会社松本義肢製作所
本書が義肢装具に関与する多くの方々のお役に立つ事ができ,ひいては義肢装具を利用されるユーザーの方々に寄与することを願います.
2026年4月
高嶋孝倫
本書「義肢装具便覧」は,単なる用語集ではなく「便覧」です.「便覧」を和英辞典で引くとhandbookあるいはmanualと英訳されますが,本書はハンドブックというイメージで手元に置いて使っていただけると思います.義肢装具に関連する用語は,日本義肢装具学会,日本リハビリテーション医学会,日本整形外科学会等が編纂している用語集にも多く含まれていますが,これらには個々の用語に関する説明がありません.用語に解説を加えたものとしてISO(国際標準化機構)が発行するいくつかの国際規格がありますが,英語をはじめとする外国語で記述されています.JIS(日本産業規格,旧日本工業規格)にも「福祉関連機器用語-義肢装具部門(JIS T 0101)」をはじめ義肢装具や福祉用具に関する規格がありますが,用語の定義が簡単に記述されているのみで,一部の用語に関係した図も収載されているとはいえ,用語の解説としては十分とは言えません.つまり本書は,日本で入手でき日本語で書かれた,近年では唯一の義肢装具に関する用語解説集になります.
本書は義肢装具士をはじめとするリハビリテーション関連職種や,それらを目指して勉強している学生たち,さらに義肢装具や福祉機器に関係する研究者などを対象に書かれています.これらの方々が義肢装具に関する文章を読んだり議論をしたりする際に,初めて読み聞きする言葉,読み聞きしたことがあっても意味を十分に理解していない言葉に遭遇することがあります.このような場合,私もそうですがインターネットの検索サイトに用語を入力することが多いと思います.しかし多くのサイトが検索リストに示される上に,どの情報が正しいのかを判断するのが難しい場合も多いです.近年は生成AIが作成した説明文がトップに表示されることも多いですが,生成AIはインターネット空間に存在する情報を収集して説明文を作っていると考えられますので,その信頼性は十分に確保されているとは言えません.
義肢装具を適切に患者・利用者に提供するのみならず,学問としてさらに発展させるためには,用語の意味や使い方を正しく理解することが前提条件になります.本書は義肢装具の分野で豊富な診療・教育経験を持つ執筆陣が,長い時間をかけて作り上げました.図の分かりやすさにも配慮されており,義肢装具のみならず関連する分野の読者に役立つものと信じています.
2026年4月
芳賀信彦
序
本書は,義肢装具とそれに関連する用語の解説集です.解説文は読みやすい箇条書きを原則とし,イラストを多用して理解しやすい事を目標としました.
10年ほど前のことですが,次の日の授業を準備していたところ,ある専門用語がどうしても出てこないのです.いわゆる「ド忘れ」というやつです.こんな事が多くなり,自分なりの対策として,義肢装具に関連するキーワードのデータベースを作成しました.これを活用して,現在も同様の事態を乗り切っています.これが本書の基盤となりました.
もう一つの気付きは,国家試験の勉強に取り組む学生さんたちの苦労を垣間見たことでした.解らない問題を多くの本を開いて調べているのですが,どの本に記述があるのか,なかなか辿り着けていないのです.関連する全てのキーワードが解説された本があれば,学習時間は短縮できます.
筆者は福祉工学系およびバイオメカニクス系の先生方と共同して研究に携わった経験があります.その際に,分野ごとの義肢装具関連の用語の差異を認識しました.また,義肢装具以外の分野の先生方は義肢装具の知見を得るためにご苦労されており,そこでも本書は役に立つと考えられます.
本書では義肢装具に関連する用語として約2,600語を収載しました.分野の内訳は,義肢,装具,支援機器,工学関連,解剖・運動(歩行を含む),疾患,治療(リハビリテーションを含む),法・制度です.読者対象として義肢装具士(学生)をはじめとする義肢装具に関わる医療従事者を主体としたので,義肢装具の用語は十分な解説を施したつもりですが,その他の工学や医学関連の用語については,義肢装具に関与する上での必要最小限の収載・記述に留めました.
末尾になりましたが,本書の作成にあたってご協力戴いた共同編者の芳賀信彦先生をはじめ,巻頭の執筆者一覧に掲載させていただいた共同執筆者の先生方,および編集協力をいただいた先生方に感謝を申し上げます.さらに,巻末付録では,歩行に関する資料,義足の構成要素,義手の構成要素と適合をまとめました.このうち,義足の構成要素の作成にあたっては下記の義肢部品メーカー・製作所の方々に多大なるご協力をいただきました.
ご協力いただいたメーカー各社(50音順)
株式会社今仙技研研究所,オズールジャパン,オットーボックジャパン株式会社,株式会社啓愛義肢材料販売所,高崎義肢,株式会社田沢製作所,ナブテスコ株式会社,株式会社プロテオールジャパン,株式会社松本義肢製作所
本書が義肢装具に関与する多くの方々のお役に立つ事ができ,ひいては義肢装具を利用されるユーザーの方々に寄与することを願います.
2026年4月
高嶋孝倫
