やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集 リハビリテーション栄養のポピュレーションアプローチ
企画主旨
 編集委員 岸本 浩
 超高齢社会となっているわが国にとって,健康寿命の延伸は喫緊の課題である.本誌の読者や日本リハビリテーション栄養学会会員の皆様の中にもこの課題を身近に感じている方が多いと思う.私は,リハビリテーション栄養の考え方を,患者への個別アプローチにとどまらず,地域全体を対象としたポピュレーションアプローチへと拡げていくことがこの課題を解決する糸口にならないかと常々考えてきた.
 「予防医学的な市民へのアプローチはその道の専門家や行政に任せるべき」という考えももちろんあると思うが,「既に障害を抱えた方と常に向き合っている多職種の読者からはそれぞれの職種の視点から多様性をもったアプローチができるのではないか」とも考えられる.本特集では,総論として,リハビリテーション栄養の実践者に向けたフレイル予防についての基本的な考え方とその将来像についてご執筆いただいた.さらにフレイル高齢者へのリハビリテーション栄養の手法を用いた介入,デジタルテクノロジーを活用した新たなアプローチ手法の可能性についてまとめていただいた.これまでに国際誌に発表されたフレイル予防とリハビリテーション栄養に関連するエビデンスも取り上げられている.各論では,行政管理栄養士が実際に行っているポピュレーションアプローチの報告とリハビリテーション栄養実践者への提言,理学療法士および作業療法士がそれぞれのリハビリテーション的な立場から栄養的な要素を取り入れたアプローチの実践報告,リハビリテーション・栄養・口腔の三位一体アプローチを地域で実現していく摂食嚥下障害看護認定看護師からの実践報告とレビュー,回復期リハビリテーション病棟管理栄養士によるリハビリテーション栄養を地域に発信する実践報告,と本特集が可能な限り多面的になるようにご執筆いただいた.
 本特集が,リハビリテーション栄養の考え方をフレイル予防のポピュレーションアプローチに展開できないかを探る際の一助となり,さらに各専門職が地域における活動を考え,実践していく際の指針となれば幸いである.
特集 リハビリテーション栄養のポピュレーションアプローチ
 企画主旨
 〈総論〉
 リハビリテーション栄養とフレイル予防(飯島勝矢)
 フレイル予防の将来像~健康長寿と幸福長寿の両立へ~(飯島勝矢)
 フレイル高齢者へのリハビリテーション栄養(宮原周三)
 デジタルデバイスによるアプローチ(牧迫飛雄馬)
 フレイル予防とリハビリテーション栄養;Narrative Review(岸本 浩)
 〈実践報告〉
 自然に健康になれる食環境づくり(髙野佑子)
 理学療法士のかかわりからオーラルフレイルへの取り組みへの発展(松田智行)
 作業療法士からのアプローチ(若山修一 藤田好彦・他)
 摂食嚥下障害看護認定看護師からのアプローチ(那須真弓)
 回復期病棟からのアプローチ(本田憲一 西岡絵美)

連載
【ススメ!リハビリテーション栄養指導士(2)】
 リハ栄養アセスメント・診断推論およびリハ栄養診断(阿部沙耶香)

リハビリテーション栄養論文紹介(16)
 (松本彩加)

原著 「リハビリテーション薬剤」の認知度に関するアンケート調査
 (島本一志 田中絵里子・他)

ポジションペーパー リハビリテーション栄養におけるスピリチュアル面への配慮:日本リハビリテーション栄養学会によるポジションペーパー
 (若林秀隆 前田圭介・他)

 日本リハビリテーション栄養学会 入会のすすめ
 Corrigendum
 日本リハビリテーション栄養学会誌投稿規定
 次号予告