序文
看護師として「患者さんにもっといいケアを提供したい」と思うとき,「これってなんだろう」「何をすれば患者さんの痛みを軽くしていけるのだろう」「新しいケアを導入してみたいけれど効果はどうなのだろう」などと,いろいろな考えをめぐらせることでしょう.そこで直面しているのは,実践現場で「どのように探究するか」という課題です.看護の実践現場での探究(研究),これがこの本のテーマです.
この書籍は,研究をやり始めようとするときに,「これって何?」「どうやるの?」に答えるために書き下ろしました.研究は,いろいろ知識としてわかっていたとしても,やってみて始めて「わかる」ことが少なくありません.一応学習をしてみても「なんとなくわかったような」ところまではいきますが,探究を始めてみると,「やっぱりわからない」という経験をします.これは,自分の実践的な課題を探究するときの最初の難関です.研究としてのやり方がわかれば,自分自身の探究したい疑問【研究疑問】を表現し,目的は何かを明確に絞り込み【目的の明確化】,どんな方法がいいのか【研究方法】がすんなりと頭の中に浮かんできます.
著者である私たち二人は,これまで臨床の現場からの要望にこたえる形で,それぞれが医療機関での研究指導を20 代からずっと続けてきています.私たちの喜びは,現場での研究の面接指導のたびに,「あー,そうなんだ」「そうやってやるのか」「そういう方法もあるのですね」とすっきりした顔で面接を終え,次の研究ステップに進んでいく姿を見ることです.それでもまた次の面接では「今度はこれがわからない」「ここまですすめてみたけれどこの先はどうしましょう?」と新たな疑問を抱えて面接に来ることが繰り返されるのですが,最後までがんばって成果が産生できたときには,それぞれが「やったあ」という喜びに満ちています.「研究って楽しい!」の声が聞こえるようで,そんな表情をみることが私たちの励みにもなっています.
研究に取り組むことにおいては,何よりも,研究を「やってみてよかったと思えた」と言えること,それこそが大事なのではないでしょうか.
この書籍は,臨床現場で研究に取り組んでいる,あるいは取り組んでいきたいと考えている看護職が,研究過程で直面する疑問を取り上げ,それに答える形で解説しています.現場の看護職が,「今回の研究でこれがわかった」と自信を持って言えるようにすることをめざしています.研究方法に苦しんで立ち止まってしまうのではなく,研究を前に進めていけるように構成しています.的確な方法を選定して企画された研究は,使えるエビデンスにたどり着きます.高いエビデンスにたどり着ければ,結果【研究結果】を現場のケアに取り入れていくことができます.患者さんたちに今よりよいケアが提供できるのです.
研究課題の絞込みから研究結果の発表まで,「ああそうだったのか」とわかる体験をしていただくことを大切に,研究過程での疑問を取り出しましたが,現実にはもっともっとたくさんの立ち止まりを経験することでしょう.それでも,一歩一歩「がんばれ」と伝えたいと思います.
また,こんな疑問にも答えてほしいということがあったら,お寄せいただければ嬉しいです.
2018 年秋 著者
看護師として「患者さんにもっといいケアを提供したい」と思うとき,「これってなんだろう」「何をすれば患者さんの痛みを軽くしていけるのだろう」「新しいケアを導入してみたいけれど効果はどうなのだろう」などと,いろいろな考えをめぐらせることでしょう.そこで直面しているのは,実践現場で「どのように探究するか」という課題です.看護の実践現場での探究(研究),これがこの本のテーマです.
この書籍は,研究をやり始めようとするときに,「これって何?」「どうやるの?」に答えるために書き下ろしました.研究は,いろいろ知識としてわかっていたとしても,やってみて始めて「わかる」ことが少なくありません.一応学習をしてみても「なんとなくわかったような」ところまではいきますが,探究を始めてみると,「やっぱりわからない」という経験をします.これは,自分の実践的な課題を探究するときの最初の難関です.研究としてのやり方がわかれば,自分自身の探究したい疑問【研究疑問】を表現し,目的は何かを明確に絞り込み【目的の明確化】,どんな方法がいいのか【研究方法】がすんなりと頭の中に浮かんできます.
著者である私たち二人は,これまで臨床の現場からの要望にこたえる形で,それぞれが医療機関での研究指導を20 代からずっと続けてきています.私たちの喜びは,現場での研究の面接指導のたびに,「あー,そうなんだ」「そうやってやるのか」「そういう方法もあるのですね」とすっきりした顔で面接を終え,次の研究ステップに進んでいく姿を見ることです.それでもまた次の面接では「今度はこれがわからない」「ここまですすめてみたけれどこの先はどうしましょう?」と新たな疑問を抱えて面接に来ることが繰り返されるのですが,最後までがんばって成果が産生できたときには,それぞれが「やったあ」という喜びに満ちています.「研究って楽しい!」の声が聞こえるようで,そんな表情をみることが私たちの励みにもなっています.
研究に取り組むことにおいては,何よりも,研究を「やってみてよかったと思えた」と言えること,それこそが大事なのではないでしょうか.
この書籍は,臨床現場で研究に取り組んでいる,あるいは取り組んでいきたいと考えている看護職が,研究過程で直面する疑問を取り上げ,それに答える形で解説しています.現場の看護職が,「今回の研究でこれがわかった」と自信を持って言えるようにすることをめざしています.研究方法に苦しんで立ち止まってしまうのではなく,研究を前に進めていけるように構成しています.的確な方法を選定して企画された研究は,使えるエビデンスにたどり着きます.高いエビデンスにたどり着ければ,結果【研究結果】を現場のケアに取り入れていくことができます.患者さんたちに今よりよいケアが提供できるのです.
研究課題の絞込みから研究結果の発表まで,「ああそうだったのか」とわかる体験をしていただくことを大切に,研究過程での疑問を取り出しましたが,現実にはもっともっとたくさんの立ち止まりを経験することでしょう.それでも,一歩一歩「がんばれ」と伝えたいと思います.
また,こんな疑問にも答えてほしいということがあったら,お寄せいただければ嬉しいです.
2018 年秋 著者
I 看護研究のアウトライン
これだけは知っておこう! 看護研究の流れ
II 研究での困りごとと解決方法
1.テーマ
1)テーマ設定
(1)何を研究すればいいの? 誰か教えて!
(2)これ(それ)って看護研究でしょうか?
(3)これってマイブーム?
(4)すでに明らかになっていませんか?~文献検索の仕方
(5)文献を批判的に読むってどういうこと?~文献クリティーク
2)テーマの表現
(6)何をする研究なの?
(7)サブテーマって,必要でしょうか?
1のまとめ
2.研究の背景・目的
(8)なぜその研究をするのでしょうか?
(9)研究すべき疑問は何ですか?
(10)研究するとどんなご利益が?
(11)何を明らかにしたいのですか?
2のまとめ
3.研究方法
量的研究と質的研究とは何がちがうのか?
1)研究デザイン
(12)この(その)研究デザインはどれ?
(13)概念枠組み,理論的枠組み,仮説はありますか?
2)研究対象
(14)誰(何)を対象にしますか?
(15)標本の抽出方法と標本数は適切ですか?(量的研究)
(16)標本の抽出方法は適切ですか?(質的研究)
3)調査方法
(17)この(その)調査方法であっていますか?
(18)アンケートってどうやってつくるの?
(19)面接ってどうやるの?
(20)観察ってどうやるの?
3のまとめ
4.分析
(21)量的研究の場合~統計って何だ?
(22)質的研究の場合~質の分析ってどうやるの?
4のまとめ
5.事例研究
(23)事例を研究することってできるの?
(24)実践報告と活動報告ってなに?
5のまとめ
6.倫理的配慮
(25)「倫理的配慮」は大丈夫?
(26)研究するうえでの倫理観とは?
6のまとめ
7.結果・考察・結論
(27)分析結果の読み取り,できていますか?
(28)結果から結論に至るまでの道のりは?
7のまとめ
8.論述・発表
(29)論じる力をつけましょう!(書く,述べる)
(30)プレゼンテーション
8のまとめ
索引
これだけは知っておこう! 看護研究の流れ
II 研究での困りごとと解決方法
1.テーマ
1)テーマ設定
(1)何を研究すればいいの? 誰か教えて!
(2)これ(それ)って看護研究でしょうか?
(3)これってマイブーム?
(4)すでに明らかになっていませんか?~文献検索の仕方
(5)文献を批判的に読むってどういうこと?~文献クリティーク
2)テーマの表現
(6)何をする研究なの?
(7)サブテーマって,必要でしょうか?
1のまとめ
2.研究の背景・目的
(8)なぜその研究をするのでしょうか?
(9)研究すべき疑問は何ですか?
(10)研究するとどんなご利益が?
(11)何を明らかにしたいのですか?
2のまとめ
3.研究方法
量的研究と質的研究とは何がちがうのか?
1)研究デザイン
(12)この(その)研究デザインはどれ?
(13)概念枠組み,理論的枠組み,仮説はありますか?
2)研究対象
(14)誰(何)を対象にしますか?
(15)標本の抽出方法と標本数は適切ですか?(量的研究)
(16)標本の抽出方法は適切ですか?(質的研究)
3)調査方法
(17)この(その)調査方法であっていますか?
(18)アンケートってどうやってつくるの?
(19)面接ってどうやるの?
(20)観察ってどうやるの?
3のまとめ
4.分析
(21)量的研究の場合~統計って何だ?
(22)質的研究の場合~質の分析ってどうやるの?
4のまとめ
5.事例研究
(23)事例を研究することってできるの?
(24)実践報告と活動報告ってなに?
5のまとめ
6.倫理的配慮
(25)「倫理的配慮」は大丈夫?
(26)研究するうえでの倫理観とは?
6のまとめ
7.結果・考察・結論
(27)分析結果の読み取り,できていますか?
(28)結果から結論に至るまでの道のりは?
7のまとめ
8.論述・発表
(29)論じる力をつけましょう!(書く,述べる)
(30)プレゼンテーション
8のまとめ
索引














