第3版の序文
本書は,21世紀の幕が開いた2001年に,日本超音波検査学会の機関誌第26巻第3号で産声を上げ,同時に医歯薬出版から「心臓超音波テキスト」として発刊された.ちょうどティシュ・ハーモニック・イメージング機能を装備した超音波診断装置が普及した時代である.今では基本設定画像として定着しているが,ノイズが軽減され心内構造物の輪郭が鮮明に描出された画像を初めて見た時の感動は今も忘れられない.その後も超音波診断装置の開発・研究は日進月歩で,新しい機能が続々と登場した.なかでもスペックルトラッキング法や3次元エコー法が臨床に活用され,日常臨床の場で必須の技法となったことを受け,本書も2009年に第2版を発刊し,さらに多くの方々に役立てていただくことになった.
今年(2021年)は,第2版発刊から12年,第1版発刊から数えると20年の節目にあたる.この10年ほどは,心エコー検査に関する新技法はあまり開発されていないが,標準化された精度の高い検査技術が求められるようになってきたことから,前版の編集を担当された増田喜一先生,遠田栄一先生からバトンを引き継ぎ,歴史ある本書を伝承するために我々2人が第3版の編集をさせていただき発刊することになった.
心エコー検査は,1954年のEdlerとHertzの発表後,Feigenbaumらによって発展した.1980年に入り,断層心エコー法,各種ドプラ法が加わり診断能力が著しく向上すると,臨床の場で多く実施されるようになった.当初,心エコー検査は一部の医師とごく少数の技師によってのみ施行されていたが,普及に伴って医師から技師へと引き継がれた.現在心エコー検査は,救急外来などで要点を診るPoint-of-care ultrasound(POCUS)的な検査から,カテーテルデバイス治療を含む術前検査のための精密検査まで広範囲に利用されている.記録された心エコー検査の画像や計測値はレポートとして依頼医の元へ届き,医師は各種ガイドラインを活用しつつ手術適応や治療介入のタイミングを決定している.判断材料となる心エコーデータが不適切な画像から計測されたものであったり,計測方法が間違っていたりすると,誤った診断や重症度評価をすることになる.最近の新技法は,検査担当者の技術が十分に担保されていることが必要であり,定量評価が中心となっているので,心エコー検査に携わる者の責務は非常に大きい.
第3版は,既刊の「心臓超音波テキスト」を片手に持ち立派に育った新進気鋭のソノグラファーにも執筆をお願いした.今までの多数の経験から,正確な評価をするための記録・計測に関するコツを実際の症例を提示し解説していただいている.これから心エコー検査を学ぼうとする方はもちろんのこと,すでに心エコー検査を実施しておられる方々に,本書が少しでもお役に立てることがあれば,筆者一同,望外の喜びである.
2021年5月
監修 日本超音波検査学会
編集 種村 正・髙橋秀一
第2版の序文
心臓超音波テキストが2001年に誕生してから8年が経過した.日本超音波検査学会の講習会などで使用してきた簡易テキストを参考にしてまとめられたのが本書である.当時,著名な先生方が執筆された心臓超音波検査(心エコー検査)の参考書は主として診断学が中心であり,技師が学ばなければならない検査技術を中心に記載された参考書は皆無であった.我々技師が日常検査を行っていくうえで必要な心臓超音波検査の技術的なノウハウをテキストにしてほしいとの要望が多く寄せられ,当時日本超音波検査学会会長であった遠田栄一,同副会長の増田喜一(書籍編集委員長)の両名が中心となり本書が誕生した.あれから改訂版発刊までに6回の増刷が行われてきたことを考えると,読者の皆様方の強い支持があったお陰と感謝の念に堪えない.
さて,心臓超音波検査は,Mモード法から始まり,2D断層法,ドプラ法とほぼ10年単位の間隔で発展し,現在ではリアルタイム3D断層法が現実のものとなった.われわれが心臓超音波検査を始めた頃には考えもつかなかったことである.さらに最近では新たにスペックルトラッキング法が開発され,ドプラ法ではなしえなかった解析が可能となり,日常臨床の場で必須の技法となりつつある.
今から30年前,リアルタイム断層法の登場により,超音波検査法が心臓の分野のみならずあらゆる領域で急速に発展してきたのは周知のことであり,現在の心臓超音波検査年齢はまさに壮年期に相当する.特に最近の新手法は,検査担当者の技術が十分に担保されていることが前提条件になっているため,ソノグラファーの果たす役割は大きく,今後さらなる精進と研鑽が望まれる.
本書は第1版に引き続き,筆者の先生方には日常行っている心臓超音波検査から得られた技術的なノウハウを記載していただくことを継承していただいている.これから心臓超音波検査を学んでいかれる方,あるいはすでに実際に検査を実施しておられる方たちに少しでも役立ててもらえるように,撮り方,考え方を中心とした事柄をできるだけ平易にわかりやすく執筆していただくようにお願いした.心臓超音波検査の基本から最近の新しい検査法まで,技師として最低限知っていなければいけない事柄は洩らさず網羅したつもりである.
本書が,心臓超音波検査の技術テキストとして皆様方に少しでもお役に立てば幸いである.また,心臓超音波検査が今後さらに発展・普及していくことを執筆者一同,心から願うものである.
2009年1月
増田喜一・遠田栄一
第1版の序文
心臓超音波検査(心エコー検査)が盛んに行われるようになって20数年経つだろうか,1978年のことである.当時はMモード心エコー図が主流であり,リアルタイム断層心エコーが世の中に出始めた頃であった.新天地である国立循環器病センターに赴任して,断層心エコー検査を行った時のことを今でも鮮烈な記憶としてよみがえる.リアルタイム電子セクタスキャン,バリアン社製V-3000,本邦に1台しかない超音波装置を使用して最初に検査したのが左房粘液腫症例であった.左房-左室間を往来する腫瘍像をみてこれはとてつもない検査法だなと感激したのを覚えている.それからこの超音波検査法が心臓の分野のみならずあらゆる領域で急速に発展してきたのは周知のことである.
筆者などは恵まれた施設で著名な先生方の指導を受けて学んできたせいか,心エコーの教科書をあまり必要と感じたことがなかった.それは,日常行っている心エコー検査から得られる事柄が教科書そのものであったためと思われる.しかしながら,その当時から本学会で実施している講習会等を通じてあらゆる施設の熱心な同胞から,心エコーの技術的なノウハウを中心としたテキストの必要性を求められていた.しかし,いつも一時しのぎの簡単なテキストでお茶を濁してきたのが事実であった.最近では,著名な先生方が執筆された参考書は数多く見受けられるようになってきたが,それらの大多数が心エコー診断学を中心とした教科書であり,我々技師が日常検査を行っていく上での技術を中心としたテキストは見あたらない.そこで本学会遠田栄一会長の指導により,本会の先人たちが試行錯誤のうえに得た手法や,講習会等で披露してきたテクニックをまとめることができないかとの進言があり本書が企画されるに至った.
本書では,これから心エコーを学んで行かれる会員,あるいはすでに実際に検査を実施しておられる会員の人たちに少しでも役立ってもらえるように,撮 り方,考え方を中心とした事柄をできるだけ平易にわかりやすく執筆していただくよう各執筆者に依頼した.新進気鋭の先生方からこの道のオーソリティの先生方まで幅広く選択し,日頃から意見交換しあっている心エコー検査技術の極意を記述していただいたつもりである.
本書が,心臓超音波検査の技術テキストとして会員の皆様方に少しでもお役に立てば幸いである.また,心エコー検査が本会とともに,今後さらに発展・普及していくことを執筆者一同,心から願うものである.
2001年4月
書籍編集委員長 増田喜一
本書は,21世紀の幕が開いた2001年に,日本超音波検査学会の機関誌第26巻第3号で産声を上げ,同時に医歯薬出版から「心臓超音波テキスト」として発刊された.ちょうどティシュ・ハーモニック・イメージング機能を装備した超音波診断装置が普及した時代である.今では基本設定画像として定着しているが,ノイズが軽減され心内構造物の輪郭が鮮明に描出された画像を初めて見た時の感動は今も忘れられない.その後も超音波診断装置の開発・研究は日進月歩で,新しい機能が続々と登場した.なかでもスペックルトラッキング法や3次元エコー法が臨床に活用され,日常臨床の場で必須の技法となったことを受け,本書も2009年に第2版を発刊し,さらに多くの方々に役立てていただくことになった.
今年(2021年)は,第2版発刊から12年,第1版発刊から数えると20年の節目にあたる.この10年ほどは,心エコー検査に関する新技法はあまり開発されていないが,標準化された精度の高い検査技術が求められるようになってきたことから,前版の編集を担当された増田喜一先生,遠田栄一先生からバトンを引き継ぎ,歴史ある本書を伝承するために我々2人が第3版の編集をさせていただき発刊することになった.
心エコー検査は,1954年のEdlerとHertzの発表後,Feigenbaumらによって発展した.1980年に入り,断層心エコー法,各種ドプラ法が加わり診断能力が著しく向上すると,臨床の場で多く実施されるようになった.当初,心エコー検査は一部の医師とごく少数の技師によってのみ施行されていたが,普及に伴って医師から技師へと引き継がれた.現在心エコー検査は,救急外来などで要点を診るPoint-of-care ultrasound(POCUS)的な検査から,カテーテルデバイス治療を含む術前検査のための精密検査まで広範囲に利用されている.記録された心エコー検査の画像や計測値はレポートとして依頼医の元へ届き,医師は各種ガイドラインを活用しつつ手術適応や治療介入のタイミングを決定している.判断材料となる心エコーデータが不適切な画像から計測されたものであったり,計測方法が間違っていたりすると,誤った診断や重症度評価をすることになる.最近の新技法は,検査担当者の技術が十分に担保されていることが必要であり,定量評価が中心となっているので,心エコー検査に携わる者の責務は非常に大きい.
第3版は,既刊の「心臓超音波テキスト」を片手に持ち立派に育った新進気鋭のソノグラファーにも執筆をお願いした.今までの多数の経験から,正確な評価をするための記録・計測に関するコツを実際の症例を提示し解説していただいている.これから心エコー検査を学ぼうとする方はもちろんのこと,すでに心エコー検査を実施しておられる方々に,本書が少しでもお役に立てることがあれば,筆者一同,望外の喜びである.
2021年5月
監修 日本超音波検査学会
編集 種村 正・髙橋秀一
第2版の序文
心臓超音波テキストが2001年に誕生してから8年が経過した.日本超音波検査学会の講習会などで使用してきた簡易テキストを参考にしてまとめられたのが本書である.当時,著名な先生方が執筆された心臓超音波検査(心エコー検査)の参考書は主として診断学が中心であり,技師が学ばなければならない検査技術を中心に記載された参考書は皆無であった.我々技師が日常検査を行っていくうえで必要な心臓超音波検査の技術的なノウハウをテキストにしてほしいとの要望が多く寄せられ,当時日本超音波検査学会会長であった遠田栄一,同副会長の増田喜一(書籍編集委員長)の両名が中心となり本書が誕生した.あれから改訂版発刊までに6回の増刷が行われてきたことを考えると,読者の皆様方の強い支持があったお陰と感謝の念に堪えない.
さて,心臓超音波検査は,Mモード法から始まり,2D断層法,ドプラ法とほぼ10年単位の間隔で発展し,現在ではリアルタイム3D断層法が現実のものとなった.われわれが心臓超音波検査を始めた頃には考えもつかなかったことである.さらに最近では新たにスペックルトラッキング法が開発され,ドプラ法ではなしえなかった解析が可能となり,日常臨床の場で必須の技法となりつつある.
今から30年前,リアルタイム断層法の登場により,超音波検査法が心臓の分野のみならずあらゆる領域で急速に発展してきたのは周知のことであり,現在の心臓超音波検査年齢はまさに壮年期に相当する.特に最近の新手法は,検査担当者の技術が十分に担保されていることが前提条件になっているため,ソノグラファーの果たす役割は大きく,今後さらなる精進と研鑽が望まれる.
本書は第1版に引き続き,筆者の先生方には日常行っている心臓超音波検査から得られた技術的なノウハウを記載していただくことを継承していただいている.これから心臓超音波検査を学んでいかれる方,あるいはすでに実際に検査を実施しておられる方たちに少しでも役立ててもらえるように,撮り方,考え方を中心とした事柄をできるだけ平易にわかりやすく執筆していただくようにお願いした.心臓超音波検査の基本から最近の新しい検査法まで,技師として最低限知っていなければいけない事柄は洩らさず網羅したつもりである.
本書が,心臓超音波検査の技術テキストとして皆様方に少しでもお役に立てば幸いである.また,心臓超音波検査が今後さらに発展・普及していくことを執筆者一同,心から願うものである.
2009年1月
増田喜一・遠田栄一
第1版の序文
心臓超音波検査(心エコー検査)が盛んに行われるようになって20数年経つだろうか,1978年のことである.当時はMモード心エコー図が主流であり,リアルタイム断層心エコーが世の中に出始めた頃であった.新天地である国立循環器病センターに赴任して,断層心エコー検査を行った時のことを今でも鮮烈な記憶としてよみがえる.リアルタイム電子セクタスキャン,バリアン社製V-3000,本邦に1台しかない超音波装置を使用して最初に検査したのが左房粘液腫症例であった.左房-左室間を往来する腫瘍像をみてこれはとてつもない検査法だなと感激したのを覚えている.それからこの超音波検査法が心臓の分野のみならずあらゆる領域で急速に発展してきたのは周知のことである.
筆者などは恵まれた施設で著名な先生方の指導を受けて学んできたせいか,心エコーの教科書をあまり必要と感じたことがなかった.それは,日常行っている心エコー検査から得られる事柄が教科書そのものであったためと思われる.しかしながら,その当時から本学会で実施している講習会等を通じてあらゆる施設の熱心な同胞から,心エコーの技術的なノウハウを中心としたテキストの必要性を求められていた.しかし,いつも一時しのぎの簡単なテキストでお茶を濁してきたのが事実であった.最近では,著名な先生方が執筆された参考書は数多く見受けられるようになってきたが,それらの大多数が心エコー診断学を中心とした教科書であり,我々技師が日常検査を行っていく上での技術を中心としたテキストは見あたらない.そこで本学会遠田栄一会長の指導により,本会の先人たちが試行錯誤のうえに得た手法や,講習会等で披露してきたテクニックをまとめることができないかとの進言があり本書が企画されるに至った.
本書では,これから心エコーを学んで行かれる会員,あるいはすでに実際に検査を実施しておられる会員の人たちに少しでも役立ってもらえるように,撮 り方,考え方を中心とした事柄をできるだけ平易にわかりやすく執筆していただくよう各執筆者に依頼した.新進気鋭の先生方からこの道のオーソリティの先生方まで幅広く選択し,日頃から意見交換しあっている心エコー検査技術の極意を記述していただいたつもりである.
本書が,心臓超音波検査の技術テキストとして会員の皆様方に少しでもお役に立てば幸いである.また,心エコー検査が本会とともに,今後さらに発展・普及していくことを執筆者一同,心から願うものである.
2001年4月
書籍編集委員長 増田喜一
第3版の序文(種村 正・髙橋秀一)
第2版の序文(増田喜一・遠田栄一)
第1版の序文(増田喜一)
執筆者一覧
1 基本設定
A 患者への接し方
1.患者を呼び出す前の準備
2.患者の誘導とコミュニケーション
3.検査手順
4.検査後の患者誘導
B 自覚症状を知る
1.胸痛
2.息切れ
3.動悸
4.発熱
5.浮腫
6.失神,麻痺
C 心エコー検査に必要な臨床所見の把握
1.心電図
1)ST-T波の変化
2)心房細動
3)その他
2.胸部X線写真
3.心雑音
D 超音波診断装置の設定法
1.超音波診断装置の検査方式の理解
2.超音波診断装置を扱ううえでの基本的事項
1)超音波検査の内部精度管理
3.正しい超音波診断装置の設定法
1)診断装置の初期設定(プリセット)
2)特に重要な装置の設定
E 心エコー検査の実際
1.経胸壁心エコー検査のアプローチ法
1)代表的な胸壁上のエコーウインドウ(音響窓)
2)プローブと周波数の選択
2.基本断面によるスクリーニング検査
3.疾患に特徴的な記録断面
F 心エコー検査レポートの作り方
1.心エコー検査レポートの基本構成
2.心エコー検査レポートの書き方
1)より良いレポートとは
2)依頼目的に応じたレポートの書き方
3.心エコー検査レポートの実例
2 基本計測
A 断層法による計測
1.計測のための基礎的事項
1)左室内腔計測は断層法が推奨される
2)断層法の計測は内側から内側(trailing edge to leading edge)
2.計測は画質,画像サイズに影響される
3.断層法による計測の実際
1)左室計測
2)左房計測(左房径,左房容積)
3)大動脈計測(バルサルバ洞径,STJ径,上行大動脈径)
4)右室計測(右室径,右室流出路径,右室壁厚)
5)右房計測(右房径,右房容積)
6)左室流出路径,大動脈弁輪径,僧帽弁輪径計測
4.断層法による各計測値の正常値(基準値)
B ドプラ法による計測
1.計測のための基礎的事項
1)ドプラビームの入射角
2)サンプルボリュームの位置とサイズ
3)ローカットフィルタ
4)流速レンジとベースラインシフト
5)スイープ速度
6)ゲイン
2.ドプラ法による計測の実際
1)左室流入血流速波形
2)肺静脈血流速波形
3)僧帽弁輪部運動速波形
4)1回拍出量と心拍出量
3.圧較差・心内圧の計測
1)圧較差の推定
2)右室収縮期圧(肺動脈圧)の推定
3)左室拡張末期圧の推定
4.弁口面積の計測
1)圧半減時間
2)連続の式
3)PISA法
C スペックルトラッキング法による計測
1.計測における基礎的事項
1)原理
2)ストレインの定義
3)特徴
2.スペックルトラッキング法による計測の実際
1)左室ストレイン解析
2)global longitudinal strain(GLS)
3)左房ストレイン解析
3 心機能評価
A 左室収縮機能評価
1.左室内径から算出する左室内径短縮率,左室容積,1回拍出量,左室駆出率
1)Mモード法による計測
2)Mモード法の問題点と限界
3)断層法による計測
4)断層法の問題点と限界
2.断層法による左室容積,1回拍出量,左室駆出率
1)biplane disk summation法
2)問題点と限界
3.左室心筋重量
1)リニア法
2)断層法(area-length法,truncatedellipsoid法)
3)心筋重量を計測する意義と基準値
4)問題点と限界
4.3D心エコー法による左室容積,1回拍出量,左室駆出率
1)左室容積計測法
2)左室容積の自動計測
3)問題点と限界
5.global longitudinal strain(GLS)による左室収縮機能評価
1)左室肥大
2)がん関連疾患心筋症
3)正常値(基準値)
4)パターン評価
5)HFpEFのGLS評価
B 左室拡張機能評価
1.左室拡張機能の重要性
1)左室拡張機能とは
2)左室拡張機能を規定する因子
2.左室拡張機能評価に有用な代表的指標
1)左室流入血流速波形(left ventricular inflow velocity pattern:LVIF)
2)拡張早期僧帽弁輪運動速度:e'(peak early diastolic velocity of the mitral annulus)
3)肺静脈血流速波形(PVF)
4)左房容積
5)最大三尖弁逆流速度
3.左室拡張機能評価の流れ
4.左室駆出率が保たれた症例における拡張不全の存在診断
5.左室駆出率が低下・心血管リスクが存在する症例における拡張機能の評価
6.ガイドラインを使用するうえでの注意事項
7.特定の疾患での左室充満圧評価
8.左室拡張機能評価に用いられる補足的指標
1)IVRT(等容弛緩時間)の計測法
2)Ar-A durationの計測法
3)TE-e',IVRT/TE-e'の計測法
4)E波最大加速度
5)肺静脈血流拡張期減速時間(DcT of PVD)の計測法
6)左室内血流伝播速度(Vp),E/Vpの計測法
C 右室収縮機能評価
1.三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)
2.右室面積変化率(RV FAC)
3.三尖弁輪収縮期運動速度(TAM-s')
4.右室駆出率(RVEF)
4 壁運動評価
A 虚血性心疾患の病態
1.虚血性心疾患とは
1)労作性狭心症
2)不安定狭心症
3)心筋梗塞
4)虚血性心疾患の病態とエコー所見
2.冠動脈の解剖とエコー所見
1)左室の各部位の名称
2)冠動脈の走行と名称
3)左室短軸断面と心尖部断面の関係
4)冠動脈の分布と心エコー断面
5)冠動脈血流の記録法
B 壁運動異常の検出と重症度評価
1.壁運動異常評価
1)虚血カスケード
2)壁運動低下を認める心筋の状態
3)壁運動の重症度評価
4)壁運動評価の実際
2.虚血性心疾患と間違いやすい壁運動異常
C 心筋梗塞の合併症
1.急性期の合併症
1)心室中隔穿孔
2)左室自由壁破裂
3)乳頭筋断裂
2.慢性期の合併症
1)心室瘤
2)左室内血栓
3)左室リモデリング
4)機能性僧帽弁逆流
5 逆流性弁膜疾患の評価
A 僧帽弁逆流
1.僧帽弁逆流の病態生理
2.僧帽弁逆流の観察ポイント
3.僧帽弁の解剖(僧帽弁複合体を含む)
1)超音波検査でみた僧帽弁の解剖
2)Carpentier分類による僧帽弁の名称
3)僧帽弁観察の実際
4)弁逸脱部位と逆流方向の関係
4.僧帽弁逆流の成因
5.Carpentier分類によるMRの機序
1)Type I
2)Type II
3)Type III a,b
6.僧帽弁逆流の重症度評価(ASEガイドライン:慢性MRの重症度評価アルゴリズム)
1)vena contracta幅
2)逆流ジェット面積(左房面積比)
3)定量評価
7.左室機能の評価
8.肺高血圧の評価
B 大動脈弁逆流
1.大動脈弁逆流の病態生理
2.大動脈弁逆流観察のポイント
3.大動脈弁の解剖
1)超音波検査でみた大動脈弁の解剖
2)大動脈弁観察の実際
4.大動脈弁逆流の成因
1)先天性
2)結合織疾患
3)感染性心内膜炎
5.大動脈弁逆流の機序による分類
1)Type I
2)Type II
3)Type III
6.大動脈弁逆流の重症度評価
1)vena contracta幅
2)左室流出路における逆流ジェットの幅と面積
3)大動脈弁逆流の圧半減時間
4)下行・腹部大動脈の逆行性血流波形
5)定量評価
7.心機能評価
C 三尖弁逆流
1.三尖弁の解剖
2.器質的病変による三尖弁逆流
3.機能性三尖弁逆流
4.重症度評価
5.右室収縮期圧の推定
6.肺血管抵抗の推定
6 狭窄性弁膜疾患の評価
A 僧帽弁狭窄症
1.僧帽弁狭窄症の病態生理
2.僧帽弁狭窄症の観察ポイント
3.僧帽弁狭窄の成因
1)リウマチ性
2)退行性変化
3)先天性
4.僧帽弁狭窄の重症度評価
1)僧帽弁口面積
2)平均左房-左室間圧較差(mPG)
3)重症度評価
5.肺高血圧
6.合併症
B 大動脈弁狭窄症
1.大動脈弁狭窄症の病態生理
2.大動脈弁狭窄症の観察ポイント
3.大動脈弁狭窄の成因
1)退行性変化
2)大動脈二尖弁
3)リウマチ性変性
4)まれな先天性異常
4.大動脈弁狭窄の重症度評価
1)大動脈弁最大血流速度と平均圧較差
2)弁口面積計測
5.ドブタミン負荷エコーによる低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄の鑑別診断
6.大動脈弁狭窄重症度評価の統合的アプローチ
7.左室の形態と機能の評価
8.経カテーテル的大動脈弁置換術に必要な評価
7 人工弁機能不全診断のポイント
A 人工弁の種類と使われ方
1.人工弁開発の歴史的背景
1)機械弁
2)生体弁
2.人工弁の構造
1)ATS弁
2)St.Jude Medical弁(SJM弁)
3)On-X弁
4)Carpentier-Edwards PERIMOUNT弁(CEP弁)
5)Trifecta弁
6)Epic弁
3.人工弁の使われ方
1)機械弁と生体弁の特徴
2)機械弁と生体弁の使用頻度
3)経カテーテル弁(transcatheter heart valve)
4)Sutureless and rapid deployment valves
B 人工弁機能不全などのチェックポイント
1.人工弁機能不全の定義と病態
2.検査する前に行うこと
1)手術時期,人工弁の位置,種類,サイズを調べる
2)前回のエコー所見を調べる
3)臨床症状や血液・生化学データを調べる
4)聴診する
3.人工弁症例のチェックポイント
1)弁尖に石灰化や損傷はないか(生体弁)
2)弁葉の開閉は正常か(機械弁)
3)弁や弁周囲に異常構造はないか
4)弁座の動揺はないか
5)異常逆流はないか
6)人工弁狭窄はないか
4.ドプラ指標の基準値
8 心筋・心膜疾患の評価
A 心筋症の分類
B 肥大心
1.肥大心の原因と肥大様式の特徴
1)左室圧負荷疾患
2)肥大型心筋症
3)二次性心筋症(特定心筋症)
2.心エコー検査による肥大心の診断
1)肥大部位の正確な壁厚計測
2)肥大様式の形態評価
3)心室内閉塞の評価
4)左室拡張機能の評価
5)経過観察中に拡張相肥大型心筋症への移行
6)二次性心筋症(特定心筋症)の診断
C 拡大心
1.左室拡大
1)左室拡大例における心エコー検査の進め方
2)左室拡大をきたす各種疾患の特徴と心エコー検査のポイント
3)合併症の診断
2.右室拡大
1)右室拡大における心エコー検査の進め方
D 心膜疾患
1.心膜の構造と役割
2.心膜液貯留
1)貯留量の推定
2)エコー性状
3)心タンポナーデの有無
4)心膜液と鑑別すべきもの
3.収縮性心膜炎
1)2つの血行動態的特徴
2)心エコー検査での特徴的所見
3)類似の所見を示す疾患との鑑別
4.心膜欠損症
9 先天性心疾患の評価
A 乳幼児・小児に対する検査の進め方
1.知っておきたい胎児期の血行動態と胎児心エコー検査
1)胎児循環の特徴
2)胎児循環での短絡:動脈管,卵円孔,静脈管
3)胎児肺循環から新生児肺循環
4)胎児心エコー検査
2.先天性心疾患診断のための記録断面とチェックポイント
3.区分診断法
4.欠損孔の評価と短絡量(肺体血流比)の計測
1)心房中隔二次孔欠損(atrial septal defect:ASD(II))
2)心室中隔欠損(ventricular septal defect:VSD)
3)動脈管開存(patent ductus arteriosus:PDA)
5.短絡疾患における肺高血圧の評価
B 乳幼児・小児期にみられる先天性心疾患
1.完全大血管転位(d-transposition of the great arteries:d-TGA)
2.総肺静脈還流異常(total anomalous pulmonary venous connection/drainage:TAPVC/TAPVD)
3.房室中隔欠損(atrioventricular septal defect:AVSD)
1)完全型房室中隔欠損(cAVSD)
2)不完全型房室中隔欠損(iAVSD)
4.ファロー四徴症(tetralogy of Fallot:TOF)
5.単心室(single ventricle,左心性単心室:SLV,右心性単心室:SRV)
6.左心低形成症候群(hypoplastic left heart syndrome:HLHS)
7.両大血管右室起始症(double outlet right ventricle:DORV)
8.単純型大動脈縮窄症(simple coarctation of aorta:simple CoA)
C 成人にみられる先天性心疾患
1.心室中隔欠損症(vetricular septal defect:VSD)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント:未治療症例
3)超音波診断のためのチェックポイント:心内修復後
2.心房中隔欠損症(atrial septal defect:ASD)
1)病態
2)心房中隔欠損の分類,エコー断面上でのASD
3)超音波診断のためのチェックポイント:未治療(カテーテル治療)症例
4)超音波診断のためのチェックポイント:心内修復後
3.動脈管開存症(patent ductus arteriosus:PDA)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント
4.修正大血管転位(congenital corrected transposition of great arteries:cc TGA)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント:未修復症例
3)超音波診断のためのチェックポイント:心内修復後
5.Ebstein病(Ebstein's anomaly)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント:未治療症例
6.右室二腔症(double chambered right ventricle:DCRV)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント
7.冠動脈異常(先天性)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント
8.Fontan術後
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント
10 心・血管内に出現する異常エコーの評価
A 心・血管内腔に出現する異常エコー
1.心臓腫瘍
1)粘液腫(myxoma)
2)乳頭状線維弾性腫(papillary fibroelastoma)
3)その他の良性腫瘍
4)悪性腫瘍
2.血栓
1)左房内
2)左室内
3)肺動脈内
3.異常エコーと間違えやすい正常構造物
1)下大静脈弁,冠静脈洞弁,他
2)クマジン稜
3)その他
B アーチファクトの種類とその見分け方
1.サイドローブ
2.グレーティングローブ
3.多重反射
4.鏡面反射
5.カラードプラ法のアーチファクト
11 危急の心疾患に対するアプローチ法
A 検査手順
1.状況判断
2.検査の進め方
1)循環血液量と中心静脈圧を確認する
2)心嚢液貯留の有無を確認する
3)心腔の大きさと壁厚,異常構造物の有無を評価する
4)心室の収縮性と弁の可動性をドプラ法により評価する
3.POCUS(point-of-care ultrasound)とは
1)心臓領域のPOCUS
B 危急の疾患とその鑑別法
1.強い胸痛
1)急性心筋梗塞
2)急性心筋梗塞の機械的合併症
3)たこつぼ症候群
4)急性大動脈解離
5)急性肺血栓塞栓症
6)急性心筋炎
2.呼吸困難・起坐呼吸
3.意識障害(脳梗塞など)
1)心内血栓
2)疣腫:感染性心内膜炎
3)心臓腫瘍
4.その他
1)急性心タンポナーデ
2)人工弁機能不全
3)循環器以外の可能性
12 経食道心エコー検査の進め方
1.経食道心エコー法の適応と禁忌
2.超音波プローブ
3.検査方法
1)検査前までに実施すべきこと
2)検査実施
3)検査後
4.経食道心エコー検査における技師の役割
1)プローブや装置の確認
2)超音波診断装置の操作
5.経食道心エコー検査の適応疾患
1)心原性塞栓症
2)弁膜症
3)感染性心内膜炎
4)人工弁機能不全
5)心房中隔欠損症
6)術中経食道心エコー検査
13 負荷心エコー検査の進め方
1.負荷心エコー検査の適応
1)虚血性心疾患の評価
2)弁膜症の重症度,手術適応の決定,術後の評価
3)その他
2.運動負荷心エコー検査
1)トレッドミル負荷心エコー検査
2)エルゴメータ負荷心エコー検査
3)ハンドグリップ負荷心エコー検査
3.運動負荷心エコー検査の実際
1)準備
2)検査の開始
3)負荷の終了
4.薬物負荷心エコー検査
1)ドブタミン
2)ジピリダモール
3)アデノシン/ATP(アデノシン三リン酸)
5.薬物負荷心エコー検査の実際
1)準備
2)プロトコール
3)検査の開始
4)負荷の終了
6.その他の負荷
1)下肢挙上/下肢陽圧負荷
2)バルサルバ負荷
索引
ひとくちメモ
妥当性確認と標準物質
超音波装置の管理・点検について
前回レポートを鵜呑みにしない
肺静脈血流速波形記録の成り立ちと左房機能
簡易ベルヌーイ式の注意点
時間速度積分値と平均流速
不安定プラークとは?
心尖部3断面と左室短軸断面の関係
心筋梗塞後の心膜炎
大動脈弁-僧帽弁間線維性結合部瘤
大動脈弁形成術
projected AVA
スタックバルブ(stuck valve)
抗凝固療法とPT-INR
人工弁患者不適合(patient-prosthesis mismatch:PPM)
僧帽弁弁尖の収縮期前方運動(SAM)の主たる機序
肥大心における心腔機能と心筋機能
sphericity index
前毛細管性肺高血圧(pre-capillary PH)と後毛細管性肺高血圧(post-capillary PH)
eccentricity index
心外膜下脂肪と冠動脈疾患
E波呼吸性変動のピットフォール
計測値の比較はZ-valueで
肺体血流比(Qp/Qs)
乳頭状線維弾性腫の形態
脂肪腫性肥大
ステロイド治療による血栓
静動脈体外膜型人工肺(veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation:VA-ECMO)または経皮的心肺補助装置(perctaneous cardiopulmonary support:PCPS)
大動脈内バルーンポンプ(intra-aortic balloon pump:IABP)
PSSやdiastolic stunningの検出による虚血診断
ワンポイントアドバイス
検査時の体位と呼吸タイミング
プローブの当て方と持ち方のコツ
よりきれいな撮像を試みる方法
Mモード法の利用
真の心尖部
RV-focused apical four-chamber view
肺静脈血流速波形記録のコツ
三尖弁逆流速波形の計測
下大静脈の観察法
左房ストレインの開始時相
左室の正中をとらえた適切な長軸断面で計測する
斜め長軸断面しか描出できない場合やS字状中隔の計測法
心室再同期療法への応用
LVIF
拡張早期僧帽弁輪運動速度
肺静脈血流速波形
左房容積計測断面の描出方法
Tei index
心房細動における左室拡張機能評価
右室拡大例での右室収縮機能評価
冠動脈バイパス術後の血流評価
壁運動の評価に迷った時は
心尖部血栓を見逃さないためには
川崎病について
心房性機能性僧帽弁逆流(atrial functional MR)
定量評価の困難さ
MitraClip(R)
3Dエコーの弁評価
弁逸脱と逆流方向の関係
ST junctionと大動脈弁のtethering
急性の大動脈弁逆流におけるPHTの短縮
三尖弁観察のアプローチ
三尖弁離開症例でのTRPG
交連部の観察方法
適正僧帽弁口短軸断面の設定方法
左室流出路血流速度が速い時
心臓カテーテル検査結果との乖離
弁口面積の補正(ELCo)
多方向アプローチが重要
機械弁のアーチファクト
機械弁の連続波ドプラ法は最高流速をとらえる
心筋と心室内構造物とを区別する
閉塞性肥大型心筋症における僧帽弁収縮期前方運動と大動脈弁収縮中期半閉鎖
左室流出路駆出血流速波形と僧帽弁逆流血流速波形の鑑別
心尖部肥大型心筋症では心尖部壁運動異常の有無を確認する
前回画像の確認を行う
原因不明の右室拡大に遭遇した時は?
下大静脈径計測
収縮性心膜炎では左室充満圧推定にE/ e'を用いてはいけない
先天性心疾患検査のヒント
右室圧推定の注意点
成人ASDに対する経カテーテル治療
悪性腫瘍の特徴
血栓経過観察のための共有
心膜のサイドローブによるアーチファクトの対処法
心臓サイズの直感的判断法
僧帽弁の観察
第2版の序文(増田喜一・遠田栄一)
第1版の序文(増田喜一)
執筆者一覧
1 基本設定
A 患者への接し方
1.患者を呼び出す前の準備
2.患者の誘導とコミュニケーション
3.検査手順
4.検査後の患者誘導
B 自覚症状を知る
1.胸痛
2.息切れ
3.動悸
4.発熱
5.浮腫
6.失神,麻痺
C 心エコー検査に必要な臨床所見の把握
1.心電図
1)ST-T波の変化
2)心房細動
3)その他
2.胸部X線写真
3.心雑音
D 超音波診断装置の設定法
1.超音波診断装置の検査方式の理解
2.超音波診断装置を扱ううえでの基本的事項
1)超音波検査の内部精度管理
3.正しい超音波診断装置の設定法
1)診断装置の初期設定(プリセット)
2)特に重要な装置の設定
E 心エコー検査の実際
1.経胸壁心エコー検査のアプローチ法
1)代表的な胸壁上のエコーウインドウ(音響窓)
2)プローブと周波数の選択
2.基本断面によるスクリーニング検査
3.疾患に特徴的な記録断面
F 心エコー検査レポートの作り方
1.心エコー検査レポートの基本構成
2.心エコー検査レポートの書き方
1)より良いレポートとは
2)依頼目的に応じたレポートの書き方
3.心エコー検査レポートの実例
2 基本計測
A 断層法による計測
1.計測のための基礎的事項
1)左室内腔計測は断層法が推奨される
2)断層法の計測は内側から内側(trailing edge to leading edge)
2.計測は画質,画像サイズに影響される
3.断層法による計測の実際
1)左室計測
2)左房計測(左房径,左房容積)
3)大動脈計測(バルサルバ洞径,STJ径,上行大動脈径)
4)右室計測(右室径,右室流出路径,右室壁厚)
5)右房計測(右房径,右房容積)
6)左室流出路径,大動脈弁輪径,僧帽弁輪径計測
4.断層法による各計測値の正常値(基準値)
B ドプラ法による計測
1.計測のための基礎的事項
1)ドプラビームの入射角
2)サンプルボリュームの位置とサイズ
3)ローカットフィルタ
4)流速レンジとベースラインシフト
5)スイープ速度
6)ゲイン
2.ドプラ法による計測の実際
1)左室流入血流速波形
2)肺静脈血流速波形
3)僧帽弁輪部運動速波形
4)1回拍出量と心拍出量
3.圧較差・心内圧の計測
1)圧較差の推定
2)右室収縮期圧(肺動脈圧)の推定
3)左室拡張末期圧の推定
4.弁口面積の計測
1)圧半減時間
2)連続の式
3)PISA法
C スペックルトラッキング法による計測
1.計測における基礎的事項
1)原理
2)ストレインの定義
3)特徴
2.スペックルトラッキング法による計測の実際
1)左室ストレイン解析
2)global longitudinal strain(GLS)
3)左房ストレイン解析
3 心機能評価
A 左室収縮機能評価
1.左室内径から算出する左室内径短縮率,左室容積,1回拍出量,左室駆出率
1)Mモード法による計測
2)Mモード法の問題点と限界
3)断層法による計測
4)断層法の問題点と限界
2.断層法による左室容積,1回拍出量,左室駆出率
1)biplane disk summation法
2)問題点と限界
3.左室心筋重量
1)リニア法
2)断層法(area-length法,truncatedellipsoid法)
3)心筋重量を計測する意義と基準値
4)問題点と限界
4.3D心エコー法による左室容積,1回拍出量,左室駆出率
1)左室容積計測法
2)左室容積の自動計測
3)問題点と限界
5.global longitudinal strain(GLS)による左室収縮機能評価
1)左室肥大
2)がん関連疾患心筋症
3)正常値(基準値)
4)パターン評価
5)HFpEFのGLS評価
B 左室拡張機能評価
1.左室拡張機能の重要性
1)左室拡張機能とは
2)左室拡張機能を規定する因子
2.左室拡張機能評価に有用な代表的指標
1)左室流入血流速波形(left ventricular inflow velocity pattern:LVIF)
2)拡張早期僧帽弁輪運動速度:e'(peak early diastolic velocity of the mitral annulus)
3)肺静脈血流速波形(PVF)
4)左房容積
5)最大三尖弁逆流速度
3.左室拡張機能評価の流れ
4.左室駆出率が保たれた症例における拡張不全の存在診断
5.左室駆出率が低下・心血管リスクが存在する症例における拡張機能の評価
6.ガイドラインを使用するうえでの注意事項
7.特定の疾患での左室充満圧評価
8.左室拡張機能評価に用いられる補足的指標
1)IVRT(等容弛緩時間)の計測法
2)Ar-A durationの計測法
3)TE-e',IVRT/TE-e'の計測法
4)E波最大加速度
5)肺静脈血流拡張期減速時間(DcT of PVD)の計測法
6)左室内血流伝播速度(Vp),E/Vpの計測法
C 右室収縮機能評価
1.三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE)
2.右室面積変化率(RV FAC)
3.三尖弁輪収縮期運動速度(TAM-s')
4.右室駆出率(RVEF)
4 壁運動評価
A 虚血性心疾患の病態
1.虚血性心疾患とは
1)労作性狭心症
2)不安定狭心症
3)心筋梗塞
4)虚血性心疾患の病態とエコー所見
2.冠動脈の解剖とエコー所見
1)左室の各部位の名称
2)冠動脈の走行と名称
3)左室短軸断面と心尖部断面の関係
4)冠動脈の分布と心エコー断面
5)冠動脈血流の記録法
B 壁運動異常の検出と重症度評価
1.壁運動異常評価
1)虚血カスケード
2)壁運動低下を認める心筋の状態
3)壁運動の重症度評価
4)壁運動評価の実際
2.虚血性心疾患と間違いやすい壁運動異常
C 心筋梗塞の合併症
1.急性期の合併症
1)心室中隔穿孔
2)左室自由壁破裂
3)乳頭筋断裂
2.慢性期の合併症
1)心室瘤
2)左室内血栓
3)左室リモデリング
4)機能性僧帽弁逆流
5 逆流性弁膜疾患の評価
A 僧帽弁逆流
1.僧帽弁逆流の病態生理
2.僧帽弁逆流の観察ポイント
3.僧帽弁の解剖(僧帽弁複合体を含む)
1)超音波検査でみた僧帽弁の解剖
2)Carpentier分類による僧帽弁の名称
3)僧帽弁観察の実際
4)弁逸脱部位と逆流方向の関係
4.僧帽弁逆流の成因
5.Carpentier分類によるMRの機序
1)Type I
2)Type II
3)Type III a,b
6.僧帽弁逆流の重症度評価(ASEガイドライン:慢性MRの重症度評価アルゴリズム)
1)vena contracta幅
2)逆流ジェット面積(左房面積比)
3)定量評価
7.左室機能の評価
8.肺高血圧の評価
B 大動脈弁逆流
1.大動脈弁逆流の病態生理
2.大動脈弁逆流観察のポイント
3.大動脈弁の解剖
1)超音波検査でみた大動脈弁の解剖
2)大動脈弁観察の実際
4.大動脈弁逆流の成因
1)先天性
2)結合織疾患
3)感染性心内膜炎
5.大動脈弁逆流の機序による分類
1)Type I
2)Type II
3)Type III
6.大動脈弁逆流の重症度評価
1)vena contracta幅
2)左室流出路における逆流ジェットの幅と面積
3)大動脈弁逆流の圧半減時間
4)下行・腹部大動脈の逆行性血流波形
5)定量評価
7.心機能評価
C 三尖弁逆流
1.三尖弁の解剖
2.器質的病変による三尖弁逆流
3.機能性三尖弁逆流
4.重症度評価
5.右室収縮期圧の推定
6.肺血管抵抗の推定
6 狭窄性弁膜疾患の評価
A 僧帽弁狭窄症
1.僧帽弁狭窄症の病態生理
2.僧帽弁狭窄症の観察ポイント
3.僧帽弁狭窄の成因
1)リウマチ性
2)退行性変化
3)先天性
4.僧帽弁狭窄の重症度評価
1)僧帽弁口面積
2)平均左房-左室間圧較差(mPG)
3)重症度評価
5.肺高血圧
6.合併症
B 大動脈弁狭窄症
1.大動脈弁狭窄症の病態生理
2.大動脈弁狭窄症の観察ポイント
3.大動脈弁狭窄の成因
1)退行性変化
2)大動脈二尖弁
3)リウマチ性変性
4)まれな先天性異常
4.大動脈弁狭窄の重症度評価
1)大動脈弁最大血流速度と平均圧較差
2)弁口面積計測
5.ドブタミン負荷エコーによる低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄の鑑別診断
6.大動脈弁狭窄重症度評価の統合的アプローチ
7.左室の形態と機能の評価
8.経カテーテル的大動脈弁置換術に必要な評価
7 人工弁機能不全診断のポイント
A 人工弁の種類と使われ方
1.人工弁開発の歴史的背景
1)機械弁
2)生体弁
2.人工弁の構造
1)ATS弁
2)St.Jude Medical弁(SJM弁)
3)On-X弁
4)Carpentier-Edwards PERIMOUNT弁(CEP弁)
5)Trifecta弁
6)Epic弁
3.人工弁の使われ方
1)機械弁と生体弁の特徴
2)機械弁と生体弁の使用頻度
3)経カテーテル弁(transcatheter heart valve)
4)Sutureless and rapid deployment valves
B 人工弁機能不全などのチェックポイント
1.人工弁機能不全の定義と病態
2.検査する前に行うこと
1)手術時期,人工弁の位置,種類,サイズを調べる
2)前回のエコー所見を調べる
3)臨床症状や血液・生化学データを調べる
4)聴診する
3.人工弁症例のチェックポイント
1)弁尖に石灰化や損傷はないか(生体弁)
2)弁葉の開閉は正常か(機械弁)
3)弁や弁周囲に異常構造はないか
4)弁座の動揺はないか
5)異常逆流はないか
6)人工弁狭窄はないか
4.ドプラ指標の基準値
8 心筋・心膜疾患の評価
A 心筋症の分類
B 肥大心
1.肥大心の原因と肥大様式の特徴
1)左室圧負荷疾患
2)肥大型心筋症
3)二次性心筋症(特定心筋症)
2.心エコー検査による肥大心の診断
1)肥大部位の正確な壁厚計測
2)肥大様式の形態評価
3)心室内閉塞の評価
4)左室拡張機能の評価
5)経過観察中に拡張相肥大型心筋症への移行
6)二次性心筋症(特定心筋症)の診断
C 拡大心
1.左室拡大
1)左室拡大例における心エコー検査の進め方
2)左室拡大をきたす各種疾患の特徴と心エコー検査のポイント
3)合併症の診断
2.右室拡大
1)右室拡大における心エコー検査の進め方
D 心膜疾患
1.心膜の構造と役割
2.心膜液貯留
1)貯留量の推定
2)エコー性状
3)心タンポナーデの有無
4)心膜液と鑑別すべきもの
3.収縮性心膜炎
1)2つの血行動態的特徴
2)心エコー検査での特徴的所見
3)類似の所見を示す疾患との鑑別
4.心膜欠損症
9 先天性心疾患の評価
A 乳幼児・小児に対する検査の進め方
1.知っておきたい胎児期の血行動態と胎児心エコー検査
1)胎児循環の特徴
2)胎児循環での短絡:動脈管,卵円孔,静脈管
3)胎児肺循環から新生児肺循環
4)胎児心エコー検査
2.先天性心疾患診断のための記録断面とチェックポイント
3.区分診断法
4.欠損孔の評価と短絡量(肺体血流比)の計測
1)心房中隔二次孔欠損(atrial septal defect:ASD(II))
2)心室中隔欠損(ventricular septal defect:VSD)
3)動脈管開存(patent ductus arteriosus:PDA)
5.短絡疾患における肺高血圧の評価
B 乳幼児・小児期にみられる先天性心疾患
1.完全大血管転位(d-transposition of the great arteries:d-TGA)
2.総肺静脈還流異常(total anomalous pulmonary venous connection/drainage:TAPVC/TAPVD)
3.房室中隔欠損(atrioventricular septal defect:AVSD)
1)完全型房室中隔欠損(cAVSD)
2)不完全型房室中隔欠損(iAVSD)
4.ファロー四徴症(tetralogy of Fallot:TOF)
5.単心室(single ventricle,左心性単心室:SLV,右心性単心室:SRV)
6.左心低形成症候群(hypoplastic left heart syndrome:HLHS)
7.両大血管右室起始症(double outlet right ventricle:DORV)
8.単純型大動脈縮窄症(simple coarctation of aorta:simple CoA)
C 成人にみられる先天性心疾患
1.心室中隔欠損症(vetricular septal defect:VSD)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント:未治療症例
3)超音波診断のためのチェックポイント:心内修復後
2.心房中隔欠損症(atrial septal defect:ASD)
1)病態
2)心房中隔欠損の分類,エコー断面上でのASD
3)超音波診断のためのチェックポイント:未治療(カテーテル治療)症例
4)超音波診断のためのチェックポイント:心内修復後
3.動脈管開存症(patent ductus arteriosus:PDA)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント
4.修正大血管転位(congenital corrected transposition of great arteries:cc TGA)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント:未修復症例
3)超音波診断のためのチェックポイント:心内修復後
5.Ebstein病(Ebstein's anomaly)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント:未治療症例
6.右室二腔症(double chambered right ventricle:DCRV)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント
7.冠動脈異常(先天性)
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント
8.Fontan術後
1)病態
2)超音波診断のためのチェックポイント
10 心・血管内に出現する異常エコーの評価
A 心・血管内腔に出現する異常エコー
1.心臓腫瘍
1)粘液腫(myxoma)
2)乳頭状線維弾性腫(papillary fibroelastoma)
3)その他の良性腫瘍
4)悪性腫瘍
2.血栓
1)左房内
2)左室内
3)肺動脈内
3.異常エコーと間違えやすい正常構造物
1)下大静脈弁,冠静脈洞弁,他
2)クマジン稜
3)その他
B アーチファクトの種類とその見分け方
1.サイドローブ
2.グレーティングローブ
3.多重反射
4.鏡面反射
5.カラードプラ法のアーチファクト
11 危急の心疾患に対するアプローチ法
A 検査手順
1.状況判断
2.検査の進め方
1)循環血液量と中心静脈圧を確認する
2)心嚢液貯留の有無を確認する
3)心腔の大きさと壁厚,異常構造物の有無を評価する
4)心室の収縮性と弁の可動性をドプラ法により評価する
3.POCUS(point-of-care ultrasound)とは
1)心臓領域のPOCUS
B 危急の疾患とその鑑別法
1.強い胸痛
1)急性心筋梗塞
2)急性心筋梗塞の機械的合併症
3)たこつぼ症候群
4)急性大動脈解離
5)急性肺血栓塞栓症
6)急性心筋炎
2.呼吸困難・起坐呼吸
3.意識障害(脳梗塞など)
1)心内血栓
2)疣腫:感染性心内膜炎
3)心臓腫瘍
4.その他
1)急性心タンポナーデ
2)人工弁機能不全
3)循環器以外の可能性
12 経食道心エコー検査の進め方
1.経食道心エコー法の適応と禁忌
2.超音波プローブ
3.検査方法
1)検査前までに実施すべきこと
2)検査実施
3)検査後
4.経食道心エコー検査における技師の役割
1)プローブや装置の確認
2)超音波診断装置の操作
5.経食道心エコー検査の適応疾患
1)心原性塞栓症
2)弁膜症
3)感染性心内膜炎
4)人工弁機能不全
5)心房中隔欠損症
6)術中経食道心エコー検査
13 負荷心エコー検査の進め方
1.負荷心エコー検査の適応
1)虚血性心疾患の評価
2)弁膜症の重症度,手術適応の決定,術後の評価
3)その他
2.運動負荷心エコー検査
1)トレッドミル負荷心エコー検査
2)エルゴメータ負荷心エコー検査
3)ハンドグリップ負荷心エコー検査
3.運動負荷心エコー検査の実際
1)準備
2)検査の開始
3)負荷の終了
4.薬物負荷心エコー検査
1)ドブタミン
2)ジピリダモール
3)アデノシン/ATP(アデノシン三リン酸)
5.薬物負荷心エコー検査の実際
1)準備
2)プロトコール
3)検査の開始
4)負荷の終了
6.その他の負荷
1)下肢挙上/下肢陽圧負荷
2)バルサルバ負荷
索引
ひとくちメモ
妥当性確認と標準物質
超音波装置の管理・点検について
前回レポートを鵜呑みにしない
肺静脈血流速波形記録の成り立ちと左房機能
簡易ベルヌーイ式の注意点
時間速度積分値と平均流速
不安定プラークとは?
心尖部3断面と左室短軸断面の関係
心筋梗塞後の心膜炎
大動脈弁-僧帽弁間線維性結合部瘤
大動脈弁形成術
projected AVA
スタックバルブ(stuck valve)
抗凝固療法とPT-INR
人工弁患者不適合(patient-prosthesis mismatch:PPM)
僧帽弁弁尖の収縮期前方運動(SAM)の主たる機序
肥大心における心腔機能と心筋機能
sphericity index
前毛細管性肺高血圧(pre-capillary PH)と後毛細管性肺高血圧(post-capillary PH)
eccentricity index
心外膜下脂肪と冠動脈疾患
E波呼吸性変動のピットフォール
計測値の比較はZ-valueで
肺体血流比(Qp/Qs)
乳頭状線維弾性腫の形態
脂肪腫性肥大
ステロイド治療による血栓
静動脈体外膜型人工肺(veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation:VA-ECMO)または経皮的心肺補助装置(perctaneous cardiopulmonary support:PCPS)
大動脈内バルーンポンプ(intra-aortic balloon pump:IABP)
PSSやdiastolic stunningの検出による虚血診断
ワンポイントアドバイス
検査時の体位と呼吸タイミング
プローブの当て方と持ち方のコツ
よりきれいな撮像を試みる方法
Mモード法の利用
真の心尖部
RV-focused apical four-chamber view
肺静脈血流速波形記録のコツ
三尖弁逆流速波形の計測
下大静脈の観察法
左房ストレインの開始時相
左室の正中をとらえた適切な長軸断面で計測する
斜め長軸断面しか描出できない場合やS字状中隔の計測法
心室再同期療法への応用
LVIF
拡張早期僧帽弁輪運動速度
肺静脈血流速波形
左房容積計測断面の描出方法
Tei index
心房細動における左室拡張機能評価
右室拡大例での右室収縮機能評価
冠動脈バイパス術後の血流評価
壁運動の評価に迷った時は
心尖部血栓を見逃さないためには
川崎病について
心房性機能性僧帽弁逆流(atrial functional MR)
定量評価の困難さ
MitraClip(R)
3Dエコーの弁評価
弁逸脱と逆流方向の関係
ST junctionと大動脈弁のtethering
急性の大動脈弁逆流におけるPHTの短縮
三尖弁観察のアプローチ
三尖弁離開症例でのTRPG
交連部の観察方法
適正僧帽弁口短軸断面の設定方法
左室流出路血流速度が速い時
心臓カテーテル検査結果との乖離
弁口面積の補正(ELCo)
多方向アプローチが重要
機械弁のアーチファクト
機械弁の連続波ドプラ法は最高流速をとらえる
心筋と心室内構造物とを区別する
閉塞性肥大型心筋症における僧帽弁収縮期前方運動と大動脈弁収縮中期半閉鎖
左室流出路駆出血流速波形と僧帽弁逆流血流速波形の鑑別
心尖部肥大型心筋症では心尖部壁運動異常の有無を確認する
前回画像の確認を行う
原因不明の右室拡大に遭遇した時は?
下大静脈径計測
収縮性心膜炎では左室充満圧推定にE/ e'を用いてはいけない
先天性心疾患検査のヒント
右室圧推定の注意点
成人ASDに対する経カテーテル治療
悪性腫瘍の特徴
血栓経過観察のための共有
心膜のサイドローブによるアーチファクトの対処法
心臓サイズの直感的判断法
僧帽弁の観察














