序文
摂食嚥下障害の臨床は,この十数年で大きく変化した.脳卒中や神経筋疾患に加え,フレイル,サルコペニア,低栄養を背景とする高齢者の摂食嚥下障害が増加し,対象となる患者像は,より多様で複雑になっている.一方,スクリーニング検査の有用性やカットオフ値は再検証され,嚥下造影検査,嚥下内視鏡検査に加えて,高解像度マノメトリー,嚥下CT,超音波,筋電図など,嚥下機能を客観的かつ定量的にとらえる方法も進歩している.舌圧,嚥下関連筋の筋量・筋力,栄養状態を含め,摂食嚥下機能を多面的に評価する時代を迎えたといえる.
しかし,検査法を知っていることと,臨床で適切に使えることは同じではない.どの患者に,いつ,どの評価を行い,得られた所見をどう解釈し,治療方針につなげるのか.評価には,手順の正確さだけでなく,各検査の意義と限界,ピットフォール,リスク管理を理解し,複数の情報を統合する力が求められる.まさに「No Evaluation,No Therapy!」であり,質の高い治療は,質の高い評価から始まる.
本書『動画とフローチャートで学ぶ摂食嚥下機能評価 GOLD STANDARD』では,国際的に標準的な評価法に加え,わが国で開発され,臨床現場に広く浸透している有用な評価法も取り上げた.スクリーニング検査から,機器を用いた先進的評価,さらに栄養,筋力,サルコペニア,疾患別の臨床応用までを体系的に網羅している.摂食嚥下機能評価について知りたいとき,まず本書を開けば,必要な知識と実践的な指針にたどり着ける.そのような一冊を目指した.
本書は2024年6月から2026年7月にわたり『Journal of CLINICAL REHABILITATION』で連載された「最新版! 摂食嚥下機能評価─スクリーニングから臨床研究まで」をもとにアップデートを行い,新規動画,新規図表などを追加し,新たな章を加えて,書籍化した.文章や静止画だけでは伝わりにくい検査手技,観察の視点,評価・判定の流れを,視覚的かつ直感的に理解できるよう構成した.摂食嚥下障害の臨床と研究を牽引する第一線のエキスパートに執筆を依頼し,それぞれの領域の科学的根拠に加え,長年の経験から培った判断の要点や実践上の工夫を惜しみなく提示している.これだけの専門家が一冊に集い,各評価法を体系的に解説すること自体が,本書の大きな価値である.
本書は,これから摂食嚥下障害に携わる医療者には実践への道標となり,経験を積んだ読者には知識と手技を整理し,日常診療を見直す機会となるだろう.医師,歯科医師,言語聴覚士,看護師,管理栄養士,歯科衛生士,理学療法士,作業療法士をはじめ,摂食嚥下にかかわるすべての方々に広く活用され,より安全で質の高い診療と新たな臨床研究につながることを願っている.
最後に,ご多忙のなか貴重な知識と経験をご執筆いただいた先生方,ならびに本書の刊行にご尽力いただいた関係各位に,心より感謝申し上げる.
青柳陽一郎
日本医科大学大学院医学研究科リハビリテーション学分野
摂食嚥下障害の臨床は,この十数年で大きく変化した.脳卒中や神経筋疾患に加え,フレイル,サルコペニア,低栄養を背景とする高齢者の摂食嚥下障害が増加し,対象となる患者像は,より多様で複雑になっている.一方,スクリーニング検査の有用性やカットオフ値は再検証され,嚥下造影検査,嚥下内視鏡検査に加えて,高解像度マノメトリー,嚥下CT,超音波,筋電図など,嚥下機能を客観的かつ定量的にとらえる方法も進歩している.舌圧,嚥下関連筋の筋量・筋力,栄養状態を含め,摂食嚥下機能を多面的に評価する時代を迎えたといえる.
しかし,検査法を知っていることと,臨床で適切に使えることは同じではない.どの患者に,いつ,どの評価を行い,得られた所見をどう解釈し,治療方針につなげるのか.評価には,手順の正確さだけでなく,各検査の意義と限界,ピットフォール,リスク管理を理解し,複数の情報を統合する力が求められる.まさに「No Evaluation,No Therapy!」であり,質の高い治療は,質の高い評価から始まる.
本書『動画とフローチャートで学ぶ摂食嚥下機能評価 GOLD STANDARD』では,国際的に標準的な評価法に加え,わが国で開発され,臨床現場に広く浸透している有用な評価法も取り上げた.スクリーニング検査から,機器を用いた先進的評価,さらに栄養,筋力,サルコペニア,疾患別の臨床応用までを体系的に網羅している.摂食嚥下機能評価について知りたいとき,まず本書を開けば,必要な知識と実践的な指針にたどり着ける.そのような一冊を目指した.
本書は2024年6月から2026年7月にわたり『Journal of CLINICAL REHABILITATION』で連載された「最新版! 摂食嚥下機能評価─スクリーニングから臨床研究まで」をもとにアップデートを行い,新規動画,新規図表などを追加し,新たな章を加えて,書籍化した.文章や静止画だけでは伝わりにくい検査手技,観察の視点,評価・判定の流れを,視覚的かつ直感的に理解できるよう構成した.摂食嚥下障害の臨床と研究を牽引する第一線のエキスパートに執筆を依頼し,それぞれの領域の科学的根拠に加え,長年の経験から培った判断の要点や実践上の工夫を惜しみなく提示している.これだけの専門家が一冊に集い,各評価法を体系的に解説すること自体が,本書の大きな価値である.
本書は,これから摂食嚥下障害に携わる医療者には実践への道標となり,経験を積んだ読者には知識と手技を整理し,日常診療を見直す機会となるだろう.医師,歯科医師,言語聴覚士,看護師,管理栄養士,歯科衛生士,理学療法士,作業療法士をはじめ,摂食嚥下にかかわるすべての方々に広く活用され,より安全で質の高い診療と新たな臨床研究につながることを願っている.
最後に,ご多忙のなか貴重な知識と経験をご執筆いただいた先生方,ならびに本書の刊行にご尽力いただいた関係各位に,心より感謝申し上げる.
青柳陽一郎
日本医科大学大学院医学研究科リハビリテーション学分野
序文
総論
No Evaluation,No Therapy! 問診,診察,スクリーニング,検査の流れ(青柳陽一郎)
基礎編
1 EAT-10(Eating Assessment Tool)(青柳陽一郎)
2 GLIM基準(前田圭介)
3 筋力(舌圧,握力)(大橋美穂 青柳陽一郎)
4 改訂水飲みテスト(MWST)(大橋美穂 坂口紅美子 青柳陽一郎)
5 その他の水飲みテスト(30ml,3oz,100ml)(坂口紅美子 大橋美穂 青柳陽一郎)
6 反復唾液嚥下テスト(RSST)(保田祥代 小口和代)
7 TOR-BSST(C)(Toronto Bedside Swallowing Screening Test)(兼岡麻子)
8 臨床的重症度分類(DSS)(加賀谷 斉 尾崎健一 永坂元臣)
9 摂食嚥下能力のグレード,摂食状況のレベル(國枝顕二郎 藤島一郎)
10 VE:手順と食物を用いない評価(柴田斉子)
11 VE:食物を用いた評価(青柳陽一郎 小川真央)
12 VFの手順と評価(武原 格)
13 PAS(Penetration-Aspiration Scale)(谷口裕重)
応用編
1 MBSImP(Modified Barium Swallow Impairment Profile)(粟飯原けい子)
2 VFの定量解析(中尾雄太)
3 表面筋電図(井上 誠)
4 針筋電図(青柳陽一郎)
5 超音波検査(嚥下エコー)(山口浩平)
6 咽頭高解像度マノメトリー(P-HRM)(青柳陽一郎)
7 嚥下CT(稲本陽子)
8 脳画像(米山 琢 土屋麻代 青柳陽一郎)
症例編
1 サルコペニアにおける摂食嚥下機能評価(藤谷順子)
2 頭頸部がんにおける嚥下障害マネジメント(上羽瑠美)
3 脳卒中における摂食嚥下機能評価(青柳陽一郎 大橋美穂)
4 小児疾患における摂食嚥下機能評価(和田勇治)
5 膠原病における摂食嚥下機能評価(大橋美穂 青柳陽一郎)
索引
動画
1 改訂水飲みテスト(MWST)
2 30ml水飲みテスト
3 3oz水飲みテスト
4 反復唾液嚥下テスト(RSST)
5 スプーン誘発嚥下テスト(SEST)
6 VE:食物を用いない観察
7 VE:唾液貯留のある患者の食物負荷所見
8 VE:食物を用いた評価
9 VF:食物を用いた評価
10 PAS1~8の所見
11 Pharyngeal Stripping Wave(咽頭収縮波)の判定方法
12 Pharyngeal Contraction(咽頭収縮)の判定方法
13 VF定量解析の事前処理
14 VF時相解析データの評価
15 VF空間的解析の手順
16 針筋電図の測定
17 Bモード舌・舌骨挙上筋群エコー
18 咽頭高解像度マノメトリー(P-HRM)の1例
19 嚥下CT:健常者とろみ10mlの嚥下
20 術前VF:舌がん症例
21 術後VF:舌がん症例
22 VE:脳卒中症例
23 VF:脳卒中症例
24 VF:小児症例
25 VF:膠原病症例(入院8日目)
26 VF:膠原病症例(入院44日目)
Column
EAT-10以外の質問紙(青柳陽一郎)
GLIM基準以外の低栄養診断(前田圭介)
頸部筋力(大橋美穂 青柳陽一郎)
老嚥とサルコペニアの摂食嚥下障害(大橋美穂 青柳陽一郎)
Volume-Viscosity Swallow Test(V-VST)(坂口紅美子 大橋美穂 青柳陽一郎)
Functional Oral Intake Scale(FOIS)とEating Status Scale(ESS)(加賀谷 斉)
兵藤スコア(青柳陽一郎)
筋電図計の構造・原理と,筋電針(青柳陽一郎)
運動単位(MU)(青柳陽一郎)
逆行性輪状咽頭筋機能不全(R-CPD)(青柳陽一郎)
総論
No Evaluation,No Therapy! 問診,診察,スクリーニング,検査の流れ(青柳陽一郎)
基礎編
1 EAT-10(Eating Assessment Tool)(青柳陽一郎)
2 GLIM基準(前田圭介)
3 筋力(舌圧,握力)(大橋美穂 青柳陽一郎)
4 改訂水飲みテスト(MWST)(大橋美穂 坂口紅美子 青柳陽一郎)
5 その他の水飲みテスト(30ml,3oz,100ml)(坂口紅美子 大橋美穂 青柳陽一郎)
6 反復唾液嚥下テスト(RSST)(保田祥代 小口和代)
7 TOR-BSST(C)(Toronto Bedside Swallowing Screening Test)(兼岡麻子)
8 臨床的重症度分類(DSS)(加賀谷 斉 尾崎健一 永坂元臣)
9 摂食嚥下能力のグレード,摂食状況のレベル(國枝顕二郎 藤島一郎)
10 VE:手順と食物を用いない評価(柴田斉子)
11 VE:食物を用いた評価(青柳陽一郎 小川真央)
12 VFの手順と評価(武原 格)
13 PAS(Penetration-Aspiration Scale)(谷口裕重)
応用編
1 MBSImP(Modified Barium Swallow Impairment Profile)(粟飯原けい子)
2 VFの定量解析(中尾雄太)
3 表面筋電図(井上 誠)
4 針筋電図(青柳陽一郎)
5 超音波検査(嚥下エコー)(山口浩平)
6 咽頭高解像度マノメトリー(P-HRM)(青柳陽一郎)
7 嚥下CT(稲本陽子)
8 脳画像(米山 琢 土屋麻代 青柳陽一郎)
症例編
1 サルコペニアにおける摂食嚥下機能評価(藤谷順子)
2 頭頸部がんにおける嚥下障害マネジメント(上羽瑠美)
3 脳卒中における摂食嚥下機能評価(青柳陽一郎 大橋美穂)
4 小児疾患における摂食嚥下機能評価(和田勇治)
5 膠原病における摂食嚥下機能評価(大橋美穂 青柳陽一郎)
索引
動画
1 改訂水飲みテスト(MWST)
2 30ml水飲みテスト
3 3oz水飲みテスト
4 反復唾液嚥下テスト(RSST)
5 スプーン誘発嚥下テスト(SEST)
6 VE:食物を用いない観察
7 VE:唾液貯留のある患者の食物負荷所見
8 VE:食物を用いた評価
9 VF:食物を用いた評価
10 PAS1~8の所見
11 Pharyngeal Stripping Wave(咽頭収縮波)の判定方法
12 Pharyngeal Contraction(咽頭収縮)の判定方法
13 VF定量解析の事前処理
14 VF時相解析データの評価
15 VF空間的解析の手順
16 針筋電図の測定
17 Bモード舌・舌骨挙上筋群エコー
18 咽頭高解像度マノメトリー(P-HRM)の1例
19 嚥下CT:健常者とろみ10mlの嚥下
20 術前VF:舌がん症例
21 術後VF:舌がん症例
22 VE:脳卒中症例
23 VF:脳卒中症例
24 VF:小児症例
25 VF:膠原病症例(入院8日目)
26 VF:膠原病症例(入院44日目)
Column
EAT-10以外の質問紙(青柳陽一郎)
GLIM基準以外の低栄養診断(前田圭介)
頸部筋力(大橋美穂 青柳陽一郎)
老嚥とサルコペニアの摂食嚥下障害(大橋美穂 青柳陽一郎)
Volume-Viscosity Swallow Test(V-VST)(坂口紅美子 大橋美穂 青柳陽一郎)
Functional Oral Intake Scale(FOIS)とEating Status Scale(ESS)(加賀谷 斉)
兵藤スコア(青柳陽一郎)
筋電図計の構造・原理と,筋電針(青柳陽一郎)
運動単位(MU)(青柳陽一郎)
逆行性輪状咽頭筋機能不全(R-CPD)(青柳陽一郎)















