やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集にあたって
 リハビリテーション医療の目的は,患者の日常生活動作(ADL)ならびに生活の質(QOL)の向上にある.その対象は運動器や神経系の疾患にとどまらず,身体や精神機能に影響を及ぼすさまざまな病態や疾患へと広がっており,日常診療においてリハビリテーション医療が対応する疾患は極めて多岐にわたる.個々の患者に応じた安全で質の高いリハビリテーション治療計画を立て実践するためには,各疾患がどのような機能障害をもたらし,機能障害を起こす病態について理解することが重要となる.
 この機能障害の評価と病態理解において,画像検査から得られる情報が大変有益な役割を果たすことはいうまでもない.単純X線やCT,MRIをはじめ,超音波や核医学検査等,今日,利用可能なモダリティが多く存在する.しかし,それらをリハビリテーション医療に生かすためには,単に疾患の診断に利用できる知識だけではなく,画像所見から得られる機能障害を起こす解剖学的・生理学的な機序を正確に読み解くことができる知識と技術が求められる.さらに,近年の画像診断技術の進歩は目覚ましく,画像検査から得られる情報量が飛躍的に増大しており,それらの所見を有効に活用するために新たな知識の習得も必要となっている.
 そこで本特集では,「リハビリテーション科医が知っておきたい疾患別画像検査」をテーマとし,リハビリテーション医療において日常診療で対応する頻度が高く,画像による機能障害の評価と病態理解が治療成果に大きく影響すると考えられる5つの疾患領域を取り上げることとした.本特集で取り上げた5つの疾患領域は「脳外傷」「脊髄損傷と脊髄疾患」「骨転移」「関節リウマチ」「慢性閉塞性肺疾患と間質性肺炎」であり,各領域の第一線で活躍されている専門家に解説していただいた.各疾患領域において,診断に必要な画像所見に留まらず,疾患による機能障害の評価や病態理解に必要となる画像検査や画像所見を解説いただき,各疾患領域における最新の画像解析技術や進歩についても解説いただいた.さらに,「画像検査をリハビリテーション医療にどう役立てるか?」という視点から,より実臨床につなげやすい実践的な画像検査の利用についても解説いただいた.
 各患者の機能障害とその病態を適切に評価しリハビリテーション治療の効果を向上させるためには,多岐にわたる画像検査を適切に利用でき,画像所見を正確に読み解く力がリハビリテーション科医には必要となる.本特集が,より多くの患者のリハビリテーション治療に貢献し,広く読者の皆様の日常臨床に寄与できることを願いたい.
 (編集委員会 企画担当:中村 健)
特集 リハビリテーション科医が知っておきたい疾患別画像検査
 特集にあたって(中村 健)
 脳外傷の診断と病態理解に役立つ画像検査(渡邉 修)
 脊髄損傷と脊髄疾患の診断と病態理解に役立つ画像検査(林 哲生)
 骨転移の診断と病態理解に役立つ画像検査(篠田裕介)
 関節リウマチの診断と病態理解に役立つ画像検査(松下 功)
 慢性閉塞性肺疾患と間質性肺炎の診断と病態理解に役立つ画像検査(海老原 覚 岡田瑞花・他)

連載
巻頭カラー 多領域から読み解くパラスポーツ支援の最前線
 6.陸上競技の知的障害クラス―学習・判断特性を踏まえ,選手の可能性を引き出す競技支援―(奥松美恵子)

腸-筋-脳連関の臨床応用:マイクロバイオーム介入で拓くサルコペニア治療
 4.サルコペニアに関する腸内細菌研究―観察研究・系統的レビューからプロバイオティクス介入へ―(浅岡大介)

ニューカマー リハ科専門医
 (洞口 哲)

神経・筋疾患治療の最前線
 12.脊髄空洞症(柳田晴久)

入院関連能力障害の評価と対応
 2.心不全患者における入院関連能力障害(小山真吾 高木 泰)

呼吸リハビリテーションの最新知見と実践
 6.肺非結核性抗酸菌症に対する呼吸リハビリテーションの最近の知見とその実際(千住秀明 山根主信・他)

AIと医療DX
 11.医療行政におけるAIと医療DX―情報基盤整備から考えるリハビリテーション医療の標準化と可視化―(木下翔司)

回復期リハビリテーション病棟―最新の治療
 3.歩行ロボット(冨田 憲 平野 哲)

リハビリテーション室にある用具・器具
 9.温故知新のリハビリテーション:サンディングボードを臨床で使いこなす(宮坂裕之)

医療機関における運転指導
 11.脳損傷者の運転再開可否に関する院内評価と実車評価の比較(諏訪部亮太 石川 篤・他)

リハビリテーション医療に必要な画像診断の基本
 6.脊髄小脳変性症(服部憲明 宮井一郎)

臨床研究
 人工股関節全置換術後6カ月における運動習慣獲得に関連する術前因子の検討(仲山 勉 塚田幸行・他)

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