特集にあたって
超高齢社会の到来が報じられ,「2025年問題」から「2040年問題」へと,医療・介護を取り巻く社会的課題が叫ばれて久しい.健康寿命の延伸は,これらの課題を解決するための重要な方策の1つである.
ロコモティブシンドロームは,2007年に日本整形外科学会によって提唱されて以来,多くのエビデンスが蓄積されるとともに,ロコモチャレンジ!推進協議会を通じて社会への啓発活動が行われてきた.2022年には,日本医学会連合を中心として「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」が採択され,国民1人ひとりが自らの目標として実感し,実践できる活動目標として,80歳でも活動性を維持することを目指す「80GO(ハチマルゴー)」運動が展開されている.
社会におけるロコモティブシンドロームの認知度は一定程度向上しているものの,いまだ目標とする水準には達していない.創立100周年を迎える日本整形外科学会とロコモチャレンジ!推進協議会は,その重要性について,さらなる啓発を進めている.近年では,ロコモティブシンドロームに関する大規模疫学調査に加え,内部障害との関連,子どもや勤労者におけるロコモティブシンドローム等にも対象が広がっている.疾患の予防や予後の改善において運動器管理が重要であること,さらに,高齢期を迎える前から運動器を適切に管理することの重要性についても,啓発活動が進められている.
リハビリテーション医学の領域において,運動器管理は,整形外科医のみならず,リハビリテーション科医,理学療法士,作業療法士にとっても極めて重要である.ロコモティブシンドロームを適切に評価・診断し,必要な治療へとつなげることは,リハビリテーション診療に携わる者にとって必須の役割であると考える.
また,多様な診断・評価基準が存在するフレイルとは異なり,ロコモティブシンドロームには統一された評価・判定基準が設けられている.そのため,今後は疾患の予防や予後予測に加え,治療前後の変化を評価する指標としても有用性が期待される.
今後,健康寿命の延伸に向けてロコモティブシンドロームがさらに重要な役割を果たすためには,整形外科やリハビリテーション科のみならず,内科,外科をはじめとする各診療科に対して,その重要性を広く啓発する必要がある.そして,運動器管理およびリハビリテーション治療の必要性について,診療科横断的な理解を深めていくことが求められる.
今回,提唱から20年を迎えようとしているロコモティブシンドロームについて,その歴史とエビデンス,各種疾患との関連,さらには「子どもロコモ」および「勤労者ロコモ」に至るまで,それぞれの分野の第一人者に解説していただく機会を得た.本特集を通じて,ロコモティブシンドロームの新たな可能性について,改めて考察したい.
(編集委員会 企画担当:酒井良忠)
超高齢社会の到来が報じられ,「2025年問題」から「2040年問題」へと,医療・介護を取り巻く社会的課題が叫ばれて久しい.健康寿命の延伸は,これらの課題を解決するための重要な方策の1つである.
ロコモティブシンドロームは,2007年に日本整形外科学会によって提唱されて以来,多くのエビデンスが蓄積されるとともに,ロコモチャレンジ!推進協議会を通じて社会への啓発活動が行われてきた.2022年には,日本医学会連合を中心として「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」が採択され,国民1人ひとりが自らの目標として実感し,実践できる活動目標として,80歳でも活動性を維持することを目指す「80GO(ハチマルゴー)」運動が展開されている.
社会におけるロコモティブシンドロームの認知度は一定程度向上しているものの,いまだ目標とする水準には達していない.創立100周年を迎える日本整形外科学会とロコモチャレンジ!推進協議会は,その重要性について,さらなる啓発を進めている.近年では,ロコモティブシンドロームに関する大規模疫学調査に加え,内部障害との関連,子どもや勤労者におけるロコモティブシンドローム等にも対象が広がっている.疾患の予防や予後の改善において運動器管理が重要であること,さらに,高齢期を迎える前から運動器を適切に管理することの重要性についても,啓発活動が進められている.
リハビリテーション医学の領域において,運動器管理は,整形外科医のみならず,リハビリテーション科医,理学療法士,作業療法士にとっても極めて重要である.ロコモティブシンドロームを適切に評価・診断し,必要な治療へとつなげることは,リハビリテーション診療に携わる者にとって必須の役割であると考える.
また,多様な診断・評価基準が存在するフレイルとは異なり,ロコモティブシンドロームには統一された評価・判定基準が設けられている.そのため,今後は疾患の予防や予後予測に加え,治療前後の変化を評価する指標としても有用性が期待される.
今後,健康寿命の延伸に向けてロコモティブシンドロームがさらに重要な役割を果たすためには,整形外科やリハビリテーション科のみならず,内科,外科をはじめとする各診療科に対して,その重要性を広く啓発する必要がある.そして,運動器管理およびリハビリテーション治療の必要性について,診療科横断的な理解を深めていくことが求められる.
今回,提唱から20年を迎えようとしているロコモティブシンドロームについて,その歴史とエビデンス,各種疾患との関連,さらには「子どもロコモ」および「勤労者ロコモ」に至るまで,それぞれの分野の第一人者に解説していただく機会を得た.本特集を通じて,ロコモティブシンドロームの新たな可能性について,改めて考察したい.
(編集委員会 企画担当:酒井良忠)
特集 ロコモティブシンドローム再考
特集にあたって(酒井良忠)
ロコモティブシンドロームの歴史,概念と今後の展開(大江隆史)
ロコモ25の調査から見えること―ロコモサインとロコモの早期発見―(村上玲子)
がんロコモ―最近のエビデンス(吉川 遼 鹿島遼河・他)
循環器疾患とロコモ(篠田裕介)
消化器疾患とロコモ(鹿島遼河 吉川 遼・他)
コラム:子どもロコモ―なぜ,子どもの頃からロコモ予防が必要か―(帖佐悦男)
コラム:勤労者ロコモ(山田恵子)
TOPICS 食欲不振時の臨床推論―「食べられない」を低栄養だけで終わらせない―
(松本朋弘)
新連載 回復期リハビリテーション病棟―最新の治療
1.回復期リハビリテーション病棟における痙縮治療の実際(平部顕子 菅原英和)
連載
巻頭カラー 多領域から読み解くパラスポーツ支援の最前線
4.パラカヌーの競技特性とクラス分け―国内クラス分けの活動を通して―(川崎真嗣 幸田 剣)
ニューカマー リハ科専門医
(笠松優衣)
リハビリテーション医療に必要な画像診断の基本
4.頭部外傷(酒向正春)
Muscle Health―多職種連携で拓く包括的介入の最前線
12.薬剤とMuscle Health(松本彩加)
AIと医療DX
9.小児リハビリテーションにおけるメタバース活用の意義と展望(長谷川陽子 百崎 良)
腸-筋-脳連関の臨床応用:マイクロバイオーム介入で拓くサルコペニア治療
2.臨床で使う腸―筋スクリーニング(永野彩乃)
神経・筋疾患治療の最前線
10.慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(三澤園子 天野永一朗・他)
リハビリテーション室にある用具・器具
7.キャスターチェア~臨床現場におけるキャスターチェアの再考~(安孫子 洋)
呼吸リハビリテーションの最新知見と実践
4.誤嚥性肺炎(海老原 覚 岡田瑞花・他)
医療機関における運転指導
9.移動の自由と安全を守るための和歌山県の取り組み―医療機関における運転指導と地域移動支援の接点―(鍵野将平)
学会報告
第63回日本リハビリテーション医学会学術集会(大橋美穂 豊田紫央李・他)
開催案内
バックナンバー
投稿規定
特集にあたって(酒井良忠)
ロコモティブシンドロームの歴史,概念と今後の展開(大江隆史)
ロコモ25の調査から見えること―ロコモサインとロコモの早期発見―(村上玲子)
がんロコモ―最近のエビデンス(吉川 遼 鹿島遼河・他)
循環器疾患とロコモ(篠田裕介)
消化器疾患とロコモ(鹿島遼河 吉川 遼・他)
コラム:子どもロコモ―なぜ,子どもの頃からロコモ予防が必要か―(帖佐悦男)
コラム:勤労者ロコモ(山田恵子)
TOPICS 食欲不振時の臨床推論―「食べられない」を低栄養だけで終わらせない―
(松本朋弘)
新連載 回復期リハビリテーション病棟―最新の治療
1.回復期リハビリテーション病棟における痙縮治療の実際(平部顕子 菅原英和)
連載
巻頭カラー 多領域から読み解くパラスポーツ支援の最前線
4.パラカヌーの競技特性とクラス分け―国内クラス分けの活動を通して―(川崎真嗣 幸田 剣)
ニューカマー リハ科専門医
(笠松優衣)
リハビリテーション医療に必要な画像診断の基本
4.頭部外傷(酒向正春)
Muscle Health―多職種連携で拓く包括的介入の最前線
12.薬剤とMuscle Health(松本彩加)
AIと医療DX
9.小児リハビリテーションにおけるメタバース活用の意義と展望(長谷川陽子 百崎 良)
腸-筋-脳連関の臨床応用:マイクロバイオーム介入で拓くサルコペニア治療
2.臨床で使う腸―筋スクリーニング(永野彩乃)
神経・筋疾患治療の最前線
10.慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(三澤園子 天野永一朗・他)
リハビリテーション室にある用具・器具
7.キャスターチェア~臨床現場におけるキャスターチェアの再考~(安孫子 洋)
呼吸リハビリテーションの最新知見と実践
4.誤嚥性肺炎(海老原 覚 岡田瑞花・他)
医療機関における運転指導
9.移動の自由と安全を守るための和歌山県の取り組み―医療機関における運転指導と地域移動支援の接点―(鍵野将平)
学会報告
第63回日本リハビリテーション医学会学術集会(大橋美穂 豊田紫央李・他)
開催案内
バックナンバー
投稿規定















