やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集にあたって
 リハビリテーション医療は,疾病や障害によって生じた生活機能の低下に対して介入し,その回復や維持を支援する医療として発展してきた.しかし,その本質は単に失われた機能を回復することにとどまらない.人々が健康的で自分らしい生活を送ることができるよう,健康を支え,生活の質を高め,社会参加を促進することもまた,リハビリテーション医療の重要な使命である.
 近年,わが国では高齢化の進行とともに,フレイルやサルコペニア,生活習慣病,多疾患併存等,複雑な健康課題を有する人々が増加している.また,デジタル技術の急速な進歩により,人々を取り巻く健康情報や健康行動のあり方も大きく変化している.このような時代においては,疾患や障害に対する個別の治療だけでは十分ではなく,患者自身が健康を理解し,自ら健康を管理し,周囲と協働しながら望ましい行動変容を実現していくことを支援する視点がこれまで以上に求められている.
 ヘルスプロモーションは,人々が自らの健康をコントロールし,改善することができるようにするプロセスとして提唱されてきた概念である.その理念は,患者中心の医療,多職種連携,地域包括ケア,社会参加の促進を重視するリハビリテーション医療と極めて親和性が高い.リハビリテーション専門職には,運動機能や活動能力への介入だけではなく,患者の健康に関する知識や意思決定を支援し,行動変容を促進する役割が期待されている.
 本特集では,リハビリテーション診療の実践に直結するヘルスプロモーションの主要概念として,ヘルスプロモーション,ヘルスリテラシー,フィジカルリテラシー,デジタルヘルスリテラシー,ヘルスコミュニケーション,そして実装科学を取り上げた.それぞれの領域について,第一線で活躍されている専門家の先生方に,概念の整理に加え,評価方法や改善のための具体的なアプローチについてご解説いただく.
 本特集を通じて,読者の皆様が日常診療における「健康づくり」の介入ポイントを再認識し,患者・家族・地域住民と協働しながら,より効果的な行動変容支援を実践するための一助となれば幸いである.そして,ヘルスプロモーションの視点を取り入れたリハビリテーション診療が,これからの社会において一層その価値を発揮する契機となることを期待したい.
 (編集委員会 企画担当:百崎 良)
特集 リハビリテーション診療に活かすヘルスプロモーション
 特集にあたって(百崎 良)
 ヘルスプロモーション(川又寛徳)
 ヘルスリテラシー(中山和弘)
 生涯にわたって身体活動を支えるフィジカルリテラシーの概念と実践(乾 順紀)
 デジタルヘルスリテラシー(福田 洋)
 ヘルスコミュニケーション(石川ひろの)
 ヘルスプロモーションにおける実装科学(齋藤順子)

TOPICS リハビリテーション患者における熱中症対策
 (西尾久英 柿花宏信・他)

新連載 腸-筋-脳連関の臨床応用:マイクロバイオーム介入で拓くサルコペニア治療
 1.総論:Gut-Muscle-Brain Axis(吉村芳弘)

連載
巻頭カラー 多領域から読み解くパラスポーツ支援の最前線
 3.車いすラグビーの支援(蘓武倫絵)

医療機関における運転指導
 8.地域における運転・移動支援の取り組み(那須識徳)

ニューカマー リハ科専門医
 (間口太公)

神経・筋疾患治療の最前線
 9.先天性ミオパチー(馬場悠輔 斎藤良彦・他)

リハビリテーション医療に必要な画像診断の基本
 3.脳腫瘍(平野秀一郎 田中將太)

Muscle Health―多職種連携で拓く包括的介入の最前線
 11.腎機能低下とMuscle Health:たんぱく質制限はどこまで必要か?(西本英史)

呼吸リハビリテーションの最新知見と実践
 3.間質性肺疾患(岩波裕治 大国生幸)

AIと医療DX
 8.AIおよび医療DXの四肢不自由者への応用―リハビリテーションのパラダイムシフト―(髙尾洋之)

リハビリテーション室にある用具・器具
 6.トレーニングボール(原 毅)

臨床研究
 入院時FIMの逆数変換と4群層別化が重回帰分析の予測精度に与える影響の比較(徳永 誠 三宮克彦)

 開催案内
 NEWS速報(加賀谷 斉)
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