やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集にあたって
 腸管不全に対する診療は,この10年で大きく変化している.従来,短腸症候群をはじめとする重症腸管不全は,長期静脈栄養へ依存し,重篤な合併症を避けることが困難であり,「救命」が主たる治療目標であった.しかし近年では,栄養療法,薬物療法,外科的治療,さらには多職種連携による包括的支援の進歩により,「生活の質の向上」や「静脈栄養離脱」を見据えた“腸管リハビリテーション”という新たな診療概念が広がりつつある.腸管リハビリテーションは,単一の治療ではなく,栄養評価に基づいた適切な経腸・静脈栄養管理,脂質投与の工夫,感染や肝障害への対応,GLP-2製剤に代表される新規治療,さらには腸管延長術や小腸移植を含む外科的介入を,患者ごとに統合して実践する包括医療である.その実現には,医師のみならず,管理栄養士,看護師,薬剤師,医療ソーシャルワーカー,食品・製薬関連企業,基礎研究者など,多様な専門職の協働が不可欠である.
 本特集では,栄養アセスメント,経腸栄養,静脈栄養の管理,脂質投与のポイント,内科的治療・新薬,外科的治療の役割,腸管リハビリテーションセンターの7項目を通じて,最新の知見と実践を体系的に整理することをめざした.日常診療に直結する工夫から今後の展望まで,腸管不全の治療にかかわる多職種の方々が,共通理解を深める契機となれば幸いである.
 鳥取大学医学部附属病院 小児外科
 奥山宏臣
特集 腸管リハビリテーション最前線─栄養・薬物・外科的治療による包括的支援
 特集にあたって(奥山宏臣)
 腸管リハビリテーションにおける栄養アセスメント(森田隆介)
 腸管不全小児における経腸栄養戦略(木村武司)
 小児短腸症における静脈栄養の管理(田附裕子)
 腸管不全患者における脂質投与のポイント(中村恵美・和田 基)
 グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)アナログ製剤(加治 建)
 腸管リハビリテーションにおける外科的治療(山田洋平)
 腸管リハビリテーションプログラムによる多職種チーム医療の展開(武藤 充・家入里志)

管理栄養士のための デジタルヘルス最前線(1)
 変わる医療―管理栄養士が知っておきたいデジタルヘルスの現在地(池田香織)

スポット
 肝臓が支えるエネルギー供給の仕組み―運動に活かす糖新生の視点(金子慶三 ほか)
 AIで「食の好み」を読み解く―視覚と言葉を同時に理解するモデルが映し出す個人差(小島大樹・山下祐一)

Column
○×例でわかる! 説明スキルアップ講座(9)
 説明スキル(8)3つにまとめる(松本千明)

未知なる発酵食を訪ねて―フィールドワークからみる食と文化(9)
 魚醤はいつから東南アジアの味になったのか(横山 智)

病棟のプロフェッショナルたち
 国家公務員共済組合連合会 大手前病院循環器内科病棟(上江洲恵梨)

連載
サーカディアンリズムに基づく健康タイムライン―保健指導のニューアプローチ(3)
 “脳パフォーマンス”に効果的な昼食に関するアドバイス(増田由美・久保 明)

脂質栄養学を盛り上げる 最新研究トピックス(6)
 脂肪酸代謝創生学が切り開く 脂質代謝多様性とその生理学的意義(津川裕司 ほか)

栄養支援に活かす! 行動医学・メンタルヘルス実践アプローチ(15)〈最終回〉
 患者さんとの対話に困ったとき―背景理解からはじめるコミュニケーションの工夫(野崎剛弘)

臨床栄養をめぐるアルファベットストーリー(11)
 K's Story~病気の因果関係―The Relationship Between Koch and Kitasato(雨海照祥)

これだけは知っておこう 臨床栄養学ビギナー道場(28)
 管理栄養士は栄養評価の専門家!
 栄養スクリーニングと栄養アセスメントの違いは?(井上善文)

こんだてじまん
 じまんの一品鶏ももレモン風味焼き ラタトゥイユソース(社会福祉法人聖隷福祉事業団 総合病院 聖隷浜松病院/宮司 守 ほか)

News and Information
 日本栄養士会医療職域
 自治体病院
 精神科病院
 関連省庁
 おしらせ
 REMARKS
 JCNパズル