やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
管理栄養士国家試験合格までをナビゲート
 本書は管理栄養士養成施設に学ぶ学生のみなさんや社会の現場で栄養士として働くみなさんを管理栄養士国家試験合格にナビゲートするために企画されたものです.限られた時間の中で効率的に学習を進め,合格を確実にするための工夫を随所に設けました.
 過去5年間の出題をガイドラインに基づいて分類し,重要な分野を指摘
 問題を解くために必要な知識をマトリクス方式で情報ブロック化
 情報ブロックのつながりを知識のリンクで明示
 本書の構成を理解して活用し,合格をより確実なものとしていきましょう.

国家試験はガイドラインが明確に示された資格試験
 管理栄養士国家試験の出題内容はガイドラインで知ることができます.合格基準は明示されていませんが,過去の例では60%以上の得点で合格が与えられています.管理栄養士国家試験は,一定の人数に合格が与えられる競争試験ではなく,一定の基準を超えた人すべてに合格が与えられる資格試験です.過去問も公開されていますから,適切な戦略を立てることによって国家試験合格への道が開けます.

つながりの発見こそ記憶への第一歩
 試験対策は出題内容の分析から始まります.本書では,過去5年間の出題を分析しています.その上で,問題を解くために必要な知識をマトリクス方式で表にまとめたり,イメージによる理解と記憶を助けるための図を多く掲載しました.
 過去問は勉強しなければならないところを教えてくれる重要な指標です.しかし,解答の丸暗記では次回の出題に対応できません.出題の意図を理解し,基本となる知識を整理するとともに,情報のつながりを意識して学習しましょう.頭の中で知識のネットワークを作るように心がけると,記憶すべきことを減らせるだけではなく,記憶をより確かなものとし,合格へとつながります.
 本書では,随所にLinkを示しました.学習者のみなさんはページを繰ってリンクが張られている先をご覧ください.自分の持っている知識とリンクを張ってくださっても結構です.こうした学習方法によって,記憶を呼び覚まし,神経細胞間の結合強度が変化してネットワークが形成されますので,記憶を長期的でより確実なものにしていくことができます.

繰り返しこそ合格ライン突破の鍵
 本書には国家試験合格を勝ち取るために必要にして十分な情報を掲載しています.情報のつながりを意識し,本書を繰り返し利用することによって,神経ネットワークはより太くなり,知識はより確実なものとなって合格の可能性が高まっていきます.繰り返しは合格への秘策の一つです.

夢を実現したいという意志こそ合格への原動力
 管理栄養士には,その免許を生かした業務の場が提供されています.管理栄養士として活躍したいという夢の実現のためには国家試験合格が必要条件です.夢の実現への意志を強く持ち続け,本書を有効に活用して,管理栄養士国家試験に合格されることを期待しております.

 2011年5月 後藤 潔 恩田理恵
 執筆者一覧
 はじめに
 合格のための学習テクニック
 本書のページ構成

I 人体の構造と機能および疾病の成り立ち
 1.人体の構造
  細胞・細胞内小器官の構造と機能(1)
  細胞・細胞内小器官の構造と機能(2)
  生体膜の構造と機能(1)
  生体膜の構造と機能(2)
  組織の種類と特徴
  人体構成成分の特徴
 2.たんぱく質・酵素の構造と機能
  アミノ酸の構造と機能
  たんぱく質の構造と機能(1)
  たんぱく質の構造と機能(2)
  酵素の構造と機能
 3.糖質と脂質
  糖質の構造と機能
  脂質の構造と機能
 4.生体エネルギーと代謝
  ATP生成のメカニズムとその役割
 5.中間代謝の概要
  中間代謝の経路と調節の仕組み
 6.糖質の代謝
  糖質の代謝経路(1)(解糖系・クエン酸回路)
  糖質の代謝経路(2)(糖新生・糖質合成)
 7.脂質の代謝
  脂肪酸の生合成と酸化
  脂質の輸送と蓄積
  コレステロールの合成と輸送
 8.たんぱく質・アミノ酸の代謝
  たんぱく質の代謝
  アミノ酸の代謝
 9.情報高分子の構造と機能
  核酸の構造と機能
 10.個体の調節機能と恒常性(ホメオスタシス)
  情報伝達の種類と機能
  恒常性(ホメオスタシス)
 11.疾患による細胞・組織の変化
  炎症
  変性・壊死・アポトーシス・萎縮・肥大・過形成(1)
  変性・壊死・アポトーシス・萎縮・肥大・過形成(2)
 12.疾患診断の概要
  主な症候:黄疸,チアノーゼ,喀血,頻脈など
 13.疾患治療の概要
  治療方法(栄養療法,輸血,移植など)
 14.栄養障害と代謝疾患
  たんぱく質・エネルギー栄養障害(栄養失調症,PEM)
  ビタミン欠乏症・過剰症
  肥満
  糖尿病
  高尿酸血症・痛風
 15.消化器系疾患
  胃疾患
  腸疾患
  肝疾患
  胆嚢・膵疾患
 16.循環器系疾患
  循環器の構造と機能(1)
  循環器の構造と機能(2)
  循環器の構造と機能(3)
  循環器疾患(1)
  循環器疾患(2)
 17.腎・尿路系疾患
  腎・尿路系の構造と機能
  腎疾患
 18.内分泌系疾患
  ホルモンの作用(1)
  ホルモンの作用(2)
  甲状腺機能の異常・アルドステロン症
 19.神経系疾患
  神経系の構造と機能
  味覚・嗅覚・視覚の構造
  脳血管障害
 20.呼吸器系疾患
  呼吸器の構造と機能
  呼吸器疾患
 21.血液・造血器・リンパ系疾患
  血液の機能(1)
  血液の機能(2)
  貧血
 22.運動器(筋・骨格)系疾患
  骨の構造
  筋肉の構造
  骨疾患
 23.感染症
  感染症(1)
  感染症(2)
 24.免疫,アレルギー
  免疫系の特徴
  アレルギー疾患
 25.悪性腫瘍
  悪性腫瘍の特徴
  がん
II 基礎栄養学
 1.栄養の概念
  栄養の定義/栄養と健康・疾患/栄養学の歴史
 2.食物の摂取
  空腹感と食欲
 3.消化・吸収と栄養素の体内動態
  消化過程の概要/消化管ホルモンによる調節
  栄養素の消化・吸収(1)
  栄養素の消化・吸収(2)
 4.糖質の栄養
  糖質の体内代謝
  血糖とその調節
 5.脂質の栄養
  脂質の体内代謝と臓器間輸送
  脂肪細胞の役割/コレステロール代謝
  必須脂肪酸
 6.たんぱく質の栄養
  たんぱく質とアミノ酸の代謝
 7.ビタミンの栄養
  ビタミンの構造,機能,代謝と栄養学的機能(1)
  ビタミンの構造,機能,代謝と栄養学的機能(2)
 8.ミネラル(無機質)の栄養
  無機質の栄養学的機能
  カルシウム代謝
  鉄代謝
 9.水・電解質の栄養的意義
  水の出納
 10.エネルギー代謝
  エネルギー代謝の概念/エネルギー消費量
 11.遺伝子発現と栄養
  遺伝形質/遺伝子多型
III 臨床栄養学
 1.臨床栄養の概念
  クリニカルパスと栄養ケア
  医療制度における入院時食事療養制度・栄養食事指導料
  福祉・介護と臨床栄養
 2.傷病者・要介護者の栄養アセスメント
  栄養スクリーニングと栄養アセスメント
  問診,観察:自他覚症状の観察
  臨床検査:栄養状態の評価指標
  身体計測
  栄養必要量の算定
 3.栄養ケアの計画と実施
  栄養補給法の決定/栄養適正量の決定
 4.栄養・食事療法,栄養補給法
  栄養・食事療法と栄養補給法
  経腸栄養補給法
  静脈栄養補給法:中心静脈栄養と末梢静脈栄養
 5.薬と栄養・食事の相互作用
  薬と食物の相互作用
 6.栄養ケアの記録
  問題志向型システム(POS,POMRC,SOAP)
 7.疾患・病態別栄養ケア・マネジメント(栄養スクリーニング・アセスメント,栄養ケア計画・実施・評価・フィードバック)
  たんぱく質・エネルギー栄養障害/ビタミン・ミネラルの欠乏症と過剰症
  肥満,メタボリックシンドローム
  糖尿病
  脂質異常症
  高尿酸血症/痛風
  口内炎,舌炎/胃食道逆流症
  胃十二指腸潰瘍
  炎症性腸疾患(クローン病,潰瘍性大腸炎)
  過敏性腸症候群/下痢・便秘
  肝炎/肝硬変
  脂肪肝
  胆石症,胆嚢炎/膵炎
  高血圧/動脈硬化
  狭心症,心筋梗塞/心不全
  急性・慢性糸球体腎炎/ネフローゼ症候群
  急性・慢性腎不全
  糖尿病腎症
  透析
  内分泌疾患
  摂食障害
  血液系の疾患・病態
  筋・骨格疾患
  免疫・アレルギー疾患
  術前,術後
  熱傷
  摂食機能の障害
  乳幼児・小児疾患:消化不良症,周期性嘔吐症
  乳幼児・小児疾患:先天性代謝異常
  乳幼児・小児疾患:腎疾患
  妊産婦・授乳婦の疾患
  老年症候群
応用力試験
練習問題
 人体の構造と機能および疾病の成り立ち
 基礎栄養学
 臨床栄養学
 解答・解説
第25回管理栄養士国家試験問題・解答・解説

 資料 臨床検査基準値
 索引