やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版の出版にあたって

 本図説シリーズも,『ヒトのからだ』,『からだの仕組みと働き』,『病気の成立ちとからだ[I]』,『病気の成立ちとからだ[II]』と,ヒトのからだの正常な働きに関する解剖と生理,その変調ともいえる症候の病態生理と疾患別病態生理の4冊に加え,わが国の高齢化,健康指向に伴う運動の奨励に関連して『運動の仕組みと応用』と『運動・スポーツの功と罪』の2冊を加え,1979年以来6冊の発刊を行い,科学の発達に伴うそれらの全面的な改訂第2版の出版もすでに4冊に及んでいる.
 すなわち,本シリーズ発行の目的は,ヒトのからだの正常な働き,その異常の発見と予防,加齢現象の対策として運動の効用と障害などについて,少なくとも現時点での新しい知識を,生理学,病態生理学,生化学,栄養学,さらには薬理学的など,多方面から考えられる限りの考察を加え,医学に携わる人達はもちろん,いわゆるコ・メディカルに従事される人達の知識と理解を深めることにある.
 さて,本書初版の“はじめに”にも述べてあるように,『病気の成立ちとからだ[I]』の主題である症候は,ヒトの機能のうえからそれを一元的に解釈することは困難である.それは,症候が必ずしも一つの生理機能の変調のみによって起きてくるものではなく,いくつかの機能が程度の差こそあれ同時に変調をきたした場合,あるいは一つの働きの異常が他の機能に影響を与え,その症候が強く現われてくる場合などがあり,病態生理的な考え方から,一元的にその取捨選択を行うことが非常に難しく,膨大な知識を必要とすることにある.そこで本書は,それらを理解するために,生理機能がどのように変化するとどのような症候が現われるのか,あるいはその症候を起こさせる機序,その経過を捉えるための知識を得られる手段の一つになればと考え,症候の病態生理として,本書の初版を出版したのである.
 しかし近年,科学の発展に伴う医科学的知識の進歩は著しく,化学的超微量定量法,酵素染色法,免疫学的・細胞生物学的・電子顕微鏡的手法などの発達に伴い,たとえば,肥満因子のサイトカインであるレプチンの発見,インスリンの分泌・糖の吸収に関するグルット2〜5など多くの細胞膜受容体の作用の解明などがあり,この改訂第2版の発行では,できうる限り新しい知見を取り入れる努力を行うとともに,従来入れていなかった精神機能の面も加え,それらの不備を補捉し,全面的にその内容の見直しを行ったのである.なお,『病気の成立ちとからだ[II]』は,個々の疾患別の病態生理であるために,すでに新たな知見を加え,血液疾患を独立させた改訂第2版を発行してある.まずはこの2冊を並べて通読され,ヒトのからだの生理と病態の概要についての理解を深められることを希望している.
 さて,本書の改訂にあたっても,従来より本図説シリーズで行っている左ページに判りやすい図を,それを右ページで,できうる限り簡略に説明する視覚的手段に訴える手法をとり,少なくも現時点における症候の病態生理と疾患別病態生理との概要の解説と理解とを企図した目的は果たされているものと確信している.
 しかし,毎回申し上げているように,内容をコンパクトにまとめる目的もあって,紙面が制約され,ある分野では,解説の不備,科学の進歩に追従し得なかった点も多々あることは否めない.今後さらに諸先生方のご教示,ご教導を賜り逐次改訂していく所存である.
 また,本書の編集にあたり,多くの先輩,諸兄姉の論文,著書その他から多くのご教示をいただいており,心から感謝の意を捧げるとともに,本書に引用させていただいた図書,文献,あるいは座右にあった書籍を,各章の終わりに挙げ,これらの図書などを,その方面の教科書,研究書として,とくに推薦させていただく次第である.
 さらに,本書の出版には多くの人々のご好意を受けており,個々に感謝の辞を述べることは不可能に近い.しかし,私を臨床の内科学から生理学,病態生理学,運動生理学,スポーツ医学への道にご教導いただいた恩師,先輩諸兄姉に心から感謝の意を捧げるとともに,本書の企画,出版に際して多大なご助力をいただいた医歯薬出版株式会社および図版制作にあたっていただいた高雄デザイン・高橋雄作氏に謝意を表する次第である.
 1999年4月 日本体育大学 大学院体育科学研究科長室にて 中野昭一

はじめに

 ヒトが病気にかかった場合,まず,その病気の成立ちを考える必要があろう.しかし,病気といっても多種多様であり,その成立ちもたいへん複雑である.
 病因論的な考え方からすると,細菌感染の場合,その細菌が存在したからといって,もちろん病気になるわけではないし,仮にその細菌が体内に侵入したからといって,必ずしも発病するものでもない.すなわち,細菌が侵入した生体の条件,たとえば体質C体調,免疫の状態や侵入した細菌の毒性,繁殖状態などが微妙に組み合わされて発病の条件が整ってくるのである.
 一方,生体内の種々の変調によって起きてくる病気の場合には,体内の個々の生理機能が相互に関連してくるため,さらにこれらの条件が複雑になってこよう.すなわち,ヒトが病気にかかると,それらの病気に特異的なサインを出す.これは当然,そのヒトが自覚する症状として,あるいは他覚的に観察される症候として現われてくる.
 しかし,これらの症状や症候として現われるサインは,必ずしも生体内における一つの機能の変調のみによって起きてくるものではなく,いくつかの機能が同時に変化した場合,あるいは一つの機能が変化したために他の機能に影響を与え,それによるサインが現われてくる場合など,きわめて多種多様である.
 このような考え方からすると,病気によって招来される一般的な,あるいは特異的な症状や症候を解析することは非常に難しいものとなってくる.しかし一歩譲って,生理機能の変化を起こさせる機序と,その経過として,種々の病態を捉えることができるならば,より病態生理学的な考え方からの探究ができ,それがその病態を緩解する糸口の一つになるとも考えられるわけである.
 さて,私たちは,これから生理学,生化学,栄養学を学ぼうとする人達が,その概要を把握するための入門書として役立てばという意図のもとに,すでに,『生理・生化学・栄養―図説・からだの仕組みと働き』という小著を刊行した.その内容は,比較的基礎的なからだの仕組みを概説した生理部門,栄養とそれが体内でいかに利用されるかを解説した栄養生化学部門,および病気の仕組みと栄養との関係を論じた病態生理・栄養学部門から成り立っている.その特徴とするところは,視覚的理解を促すことを第1の目的として,できうる限りその内容を簡明に図,表として左ページにまとめ,右ページでその解説を行い,各ページごとに一つの機能,一つの事柄を理解できるように努力したことにあった.しかし,この小著は,紙面の都合もあって,必ずしも筆者らの意図をすべて反映しているとはいえず,また,筆者らの力及ばなかった点も多く,反省すべき点が数多く存在している.
 そこで今回,医歯薬出版株式会社の好意ある薦めによって,これらの点を種々勘案し,その姉妹編である『病態生理・生化学・栄養―図説・病気の成立ちとからだ』IおよびIIの出版を企図したのである.
 さて,そのIである本書は,病気に対応して,生体内で起こりうるであろう生理機能,生化学的な対応,治療薬物の作用点,さらにはそれらの病態によって出現するであろう種々の症状に対する考え方などについての解説を試みた基礎編ともいうべき項と,種々の病気によって出現してくるであろう種々の症候についての病態生理学的な解説を行っている症候編,それらの生化学的検索を試みた病態生化学編,さらには薬物投与による影響を解説した病態薬理編,および,それらの症候や種々の機能変化に対応した臨床的な検索としての機能検査編,の5部から成り立っている.
 なお,そのIIでは主要疾患別に,その病態生理,生化学,栄養,さらには薬理学的な考察を試み,臨床的な対応についても言及する.
 本書も,左ページに図,表を,右ページにその解説をするという特徴ある形式をとり,これらを通読することによって一つ一つの症候の病態を理解するとともに,病態生理,病態生化学,病態薬理および病態栄養,さらには臨床的な機能検査などを有機的に結合して考えることができるようにも配慮したつもりである.したがって,視覚的手法による解説ともあいまって,それらの理解を促すという点では,ある程度その目的を果していると考えているが,紙面の制約もあって,ある分野では解説の不備,不足,あるいは科学の進歩に追従し得なかった点も多々あることは否めない.今後さらに諸先生方のご指摘,ご教示を賜わり,漸次改訂していきたいと考えている.
 しかし,本書の目的とする病気のサインとしての症状や症候の全般的な把握,理解という点では,いわゆる教科書または副読本としての責を果しうるものではないかと考えている.
 なお,本書を編纂するにあたって,多くの先輩諸兄姉の論文,著書,その他から多くの御教示をいただいており,心から感謝の意を捧げるとともに,本書に引用させていただいた図書,文献,少なくとも常に座右にあった図書を各編の終りに挙げ,これらの図書を本書よりさらに進んだ教科書,研究書として推薦する次第である.
 また本書は,多くの人々のご好意を受けており,個々に感謝の辞を述べることは不可能に近い.しかし,私を生理学への道へご教導いただいた慈恵医大の故杉本良一教授,生理学の名取禮二名誉学長,内科学の阿部正和教授,さらには東海大学医学部長佐々木正五教授に心から感謝の意を捧げるとともに,種々ご援助いただいた教室の吉岡利忠助教授に感謝したい.
 なお,本書の企画,出版に際して多大なご助力をいただいた医歯薬出版株式会社および図版製作にあたっていただいた高橋雄作氏に謝意を表する次第である.
1981年8月 東海大学医学部生理学教室にて 中野昭一
I.病気の基礎となる医学的基礎知識
 1章 病気に対応する生理学的基礎知識…(中野)3
  1.からだの制御機構としての神経性協関と液性協関……3
   1)自律神経系とは……3
   2)自律神経系による調節―交感神経系と副交感神経系……3
   3)液性協関とは……3
   4)ホルモンによる調節……3
  2.ストレッサーと汎適応症候群……5
   1)ストレスとは……5
   2)汎適応症候群……5
  3.環境に対する人体の適応……7
   1)気温,気湿,気流の影響……7
   2)加速度の影響……7
   3)高度と気圧の影響……7
  4.免疫の機構……9
   1)免疫系とは……9
   2)免疫反応……9
  5.細菌の侵入に対する白血球の対応……11
   1)化膿菌の侵入とからだの反応……11
   2)侵入細菌に対する白血球の対応過程……11
 2章 病気に対応する生化学的基礎知識……(佐伯)13
  1.病気と代謝……13
   1)生命現象と代謝……13
   2)代謝を司る因子とその異常……13
  2.癌の生化学……15
   1)癌とは……15
   2)癌遺伝子と癌抑制遺伝子……17
   3)転移の機構……17
  3.病気に対する生体の対応……17
   1)感染に対する生体防御機構……17
   2)免疫(特異的防御機構)……19
   3)疾病からの回復……19
 3章 病気に対応する薬理学的基礎知識……(松宮・武田)23
  1.薬理学とは……23
  2.薬理学の範囲……23
  3.薬物作用の分類……23
   1)興奮作用と抑制作用……23
   2)直接作用と間接作用……25
   3)局所作用と全身作用……25
   4)選択作用と一般作用……25
   5)主作用と副作用……25
   6)その他の作用……25
  4.薬物の作用機序……25
   1)物理化学的作用……27
   2)代謝拮抗物質……27
   3)酵素に対する作用……27
   4)細胞に対する作用……27
  5.薬物受容体……27
   1)薬物受容体説……27
   2)受容体と薬物結合……29
  6.薬物の適用経路……29
   1)経口投与……29
   2)注射……29
   3)吸入……30
   4)粘膜からの吸収……30
   5)経皮投与……30

II.病態のサインとその見極め方(中野)
  1.バイタル・サインと病態のサイン……33
  2.病気の成立ちとその見極め方……33
  3.種々の症候とその原因……33
  4.ICDによる疾病の分類……35
  5.主要臓器組織別機能の検査……37
  6.病名の想定とそのプロセス……37

III.症候とその病態生理学(中野・中野浩)
 1章 疲労……41
  1.疲労とは……41
  2.疲労の分類……41
   1)急性疲労と慢性疲労……41
   2)精神疲労と肉体疲労……41
   3)全身疲労と局所疲労……41
  3.疲労に伴う生体の変化……43
   1)自覚症状……43
   2)他覚症状……43
  4.疲労の回復……43
   1)エネルギーの供給……43
   2)休息,睡眠……43
   3)理学的療法……43
 2章 炎症……45
  1.炎症とは……45
  2.急性炎と慢性炎……45
  3.炎症の経過……45
   1)第I期……45
   2)第II期……47
   3)第III期……47
 3章 渇き……49
  1.体内の水の分布とバランス……49
  2.渇きとは……49
  3.渇きを招来する因子……49
   1)体液浸透圧の上昇……49
   2)細胞外液量の減少……49
 4章 食欲と食欲不振……51
  1.食欲と摂食中枢……51
  2.食欲不振……51

 5章 肥満……53
  1.肥満とは……53
  2.肥満の判定……53
  3.肥満の分類と型……55
  4.肥満の要因とレプチンの関与……55
  5.肥満者にみられる異常と合併症……57
  6.肥満の対策……57
   1)食事の制限……57
   2)運動……59
   3)薬物療法……59
 6章 嘔気と嘔吐……61
  1.嘔気,嘔吐とは……61
  2.嘔吐運動……61
  3.嘔吐中枢と化学受容器引金帯……61
  4.嘔吐の成因とその原因による分類……61
   1)中枢性嘔吐……63
   2)反射性嘔吐……63
   3)精神性嘔吐……63
 7章 下痢と便秘……65
  1.排便の仕組み……65
  2.下痢……65
   1)下痢発生の分類と仕組み……65
   2)下痢の原因……67
  3.便秘……67
  4.生理機能に及ぼす影響……67
   1)下痢……67
   2)便秘……67
 8章 黄疸……69
  1.肝臓の構造と機能……69
   1)肝臓の構造とその特徴……69
   2)肝臓の機能……69
   3)胆汁色素の生成と排泄……69
  2.肝機能障害時にみられる主な症状……71
  3.黄疸……71
   1)黄疸とは……71
   2)黄疸の分類……71
 9章 体温と発熱・うつ熱(熱中症)……75
  1.体熱の平衡と正常体温……75
   1)体温の評価……75
   2)体温調節の仕組み……75
  2.体温の異常(発熱,うつ熱)……75
   1)高体温の状態……75
   2)発熱……77
   3)うつ熱と熱中症……79
 10章 出血と止血……81
  1.出血とそれに伴う症状……81
  2.出血の病態生理……81
   1)ショックを伴わない出血……81
   2)ショックを伴う出血……81
  3.止血の機序……83
 11章 貧血……85
  1.貧血とは……85
  2.赤血球の生成過程とその障害……85
   1)赤血球の生成とその部位……85
   2)赤血球の生成過程とその障害要因……85
   3)鉄の不足と必要量……85
   4)鉄の代謝……87
  3.赤血球指数と恒数……87
  4.貧血の型と分類……87
   1)貧血の成因……87
   2)貧血の分類と貧血を呈する疾患……87
  5.貧血の診断と一般症状……89
  6.生理機能に及ぼす貧血の影響……89
   1)代謝障害……89
   2)心臓機能への負担……89
  7.主な貧血症……91
   1)鉄欠乏性貧血……91
   2)悪性貧血……91
   3)再生不良性貧血……91
   4)溶血性貧血……91
 12章 血圧とその異常・高血圧……93
  1.血圧とは……93
  2.最大,最小および平均血圧……93
  3.血圧の正常範囲……93
  4.血圧調節の仕組み……95
   1)心臓機能の調節……95
   2)末梢循環の調節……95
  5.血圧の異常……95
  6.高血圧症……95
   1)本態性高血圧症……97
   2)二次性高血圧……97
   3)高血圧の重症度分類……97
  7.低血圧症……99
   1)二次性低血圧……99
   2)起立性低血圧症……99
   3)本態性低血圧症……99
 13章 心拍と動悸・息切れ・不整脈……101
  1.動悸(心悸亢進)……101
  2.息切れ……101
  3.不整脈……103
   1)不整脈発生の要因と病気……103
   2)病的不整脈……103
  4.心不全と心筋梗塞……103
 14章 呼吸とせき・たん・呼吸困難……105
  1.呼吸機能の基本的事項……105
  2.せき(咳嗽)……105
  3.たん(痰)……105
  4.呼吸困難……107
 15章 糖尿と糖尿病……109
  1.尿糖発生の仕組み……109
   1)腎臓におけるブドウ糖の再吸収能力……109
   2)尿糖発生の原因……109
  2.血糖調節の仕組み……109
   1)体内糖代謝における血糖調節の仕組み……109
   2)内分泌による血糖の調節……109
  3.細胞膜におけるブドウ糖の取り込み……111
  4.インスリンの分泌とその作用……111
  5.インスリン不足をきたす仕組み……111
  6.糖尿病とその新しい分類……113
  7.糖尿病の新しい診断基準……113
  8.糖尿病の症候と,インスリン不足の病態……113
   1)糖尿病の主な自覚症状……113
   2)糖尿病の臨床検査……113
   3)インスリン不足の病態……115
 16章 蛋白尿と腎臓機能……117
  1.蛋白尿とは……117
  2.糸球体および尿細管の機能……117
   1)糸球体におけるろ過……117
   2)尿細管における再吸収機能……117
  3.蛋白尿の分類とその発生機序……117
   1)生理的蛋白尿……117
   2)病的蛋白尿……119
  4.類蛋白尿……121
 17章 むくみ(浮腫)……123
  1.からだと水……123
   1)体内の水の分布……123
   2)水の出納……123
   3)体内における水の一般作用……123
   4)水および電解質の調節……123
  2.むくみ(浮腫)とは……125
   1)むくみ発生の仕組み……125
   2)むくみの成因とその分類……127
   3)心臓および腎臓性の機序によるむくみ……127
   4)その他の機序によるむくみ……129
 18章 痛み……131
  1.痛み(反応)とは……131
  2.痛みの伝導路と痛みの分類……131
   1)痛みの伝導路……131
   2)痛みの種類……131
  3.痛みを感ずる神経の分布……135
  4.臨床的な痛みの成因……135
   1)末梢性の痛み……135
   2)神経障害による痛み―中枢性の痛み……135
   3)心因性の痛み……135
  5.内臓の痛み……135
   1)関連痛の成因……137
   2)関連痛と皮膚投射範囲……137
 19章 睡眠と不眠……139
  1.睡眠……139
   1)睡眠とは……139
   2)睡眠の成因……139
   3)睡眠と脳波……141
   4)パラ睡眠(逆説睡眠)……141
   5)睡眠のリズムと型……141
  2.不眠……141
   1)内因性不眠……141
   2)外因性不眠……141
 20章 めまい(眩暈)とめまい感……143
  1.めまいとは……143
  2.平衡機能の働き……143
   1)平衡機能を司る眼や大脳の働き……143
   2)内耳における迷路と三半規管の働き……143
  3.めまいの分類……145
   1)前庭性末梢性(耳性)のめまい……145
   2)前庭性中枢性のめまい……145
   3)非前庭性のめまい……147
  4.平衡機能の検査……147
 21章 ショック……149
  1.ショックとは……149
  2.ショックの本態……149
  3.ショック時の状態と生理機能の変化……149
   1)ショックの原因と自・他覚症状……149
   2)ショック時の臨床検査項目……151
  4.ショックの分類……151
  5.ショック状態の進展と悪循環……151
  6.ショック状態での心臓循環系の変化……151
   1)心機能低下をきたしてくる要因……151
   2)末梢循環不全による障害……151
   3)心拍出量の低下……153
   4)動脈血圧の低下……153
   5)全末梢血管抵抗の増大……153
   6)静脈圧の上昇……153
   7)冠動脈血流量の減少……153
   8)循環血液量の減少……153
   9)肺のうっ血,水腫……153
   10)代謝性および呼吸性アシドーシス……153
  7.各種ショックの鑑別……153
 22章 意識の障害……155
  1.意識障害とは……155
  2.意識水準の維持……155
  3.意識障害の分類……155
   1)意識混濁……155
   2)夢幻様意識……157
   3)狭縮性意識……157
  4.意識障害の原因疾患……157
   1)エネルギー代謝の障害……157
   2)神経細胞膜透過性の障害―体液の電解質異常……159
   3)てんかん,など……159
  5.意識障害時における全身症状……159
 23章 感情の障害・うつ(鬱)……161
  1.うつ病の出現頻度と原因……161
  2.うつ病の症状……161
  3.うつ病の治療……161
 24章 記憶の障害・痴呆(ぼけ)……163
  1.痴呆とは……163
  2.痴呆の出現頻度と原因……163
  3.痴呆の症状……163
  4.痴呆の検査……165
  5.痴呆の治療……165
 25章 てんかん(癲癇)……167
  1.てんかんとは……167
  2.てんかんの出現頻度とその原因……167
  3.てんかん発作型の分類……167
   1)部分発作……167
   2)全般発作……169
  4.てんかんの診断と検査……169
  5.てんかんの治療……169

IV.症候とその病態生化学(佐伯)
 1章 糖代謝の異常……175
  1.糖代謝と臓器特異性……175
   1)糖とは……175
   2)消化吸収……175
   3)糖代謝における肝臓の役割……175
   4)細胞外から細胞内へのグルコース輸送……175
   5)細胞内でのグルコースの代謝……175
   6)糖代謝の臓器特異性とその分担……175
   7)血糖に対するホルモン作用と作用点……177
   8)糖新生……177
   9)調節酵素……177
   10)絶食による糖代謝の変化……177
  2.糖原病……179
   1)von Gierke病……179
   2)McArdle病……181
  3.赤血球における糖代謝と溶血……181
   1)赤血球におけるATPの役割とその障害……181
   2)赤血球におけるNADPHの役割とその障害……181
 2章 アミノ酸,蛋白質代謝の異常……183
  1.アミノ酸代謝と臓器特異性……183
   1)消化吸収……183
   2)肝臓の働き……183
   3)筋肉,小腸,腎臓のアミノ酸代謝の特徴……183
   4)アミノ酸代謝の臓器相補性……183
  2.高アンモニア血症……183
   1)アンモニアの発生源とアンモニア解毒機構……183
   2)尿素サイクル……185
   3)高アンモニア血症の成因……185
  3.フェニルアラニン代謝とフェニルケトン尿症……187
   1)フェニルアラニンの代謝……187
   2)フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(モノオキシゲナーゼ)……187
   3)テトラヒドロビオプテリンの合成……187
   4)フェニルケトン尿症……187
 3章 脂質代謝の異常……189
  1.脂質代謝と臓器特異性……189
   1)脂質とは……189
   2)消化吸収……189
   3)脂肪代謝における臓器特異性……189
  2.血漿リポ蛋白とその代謝……191
   1)リポ蛋白とは……191
   2)リポ蛋白の分類と成分……191
   3)リポ蛋白の代謝と役割……191
   4)リポ蛋白代謝異常……193
 4章 ビタミン欠乏症……195
  1.ビタミンの代謝……195
   1)ビタミンとは……195
   2)ビタミンの代謝……195
   3)ビタミンの働きと関連する疾患……197
 5章 ホルモンの異常……199
  1.ホルモンとは……199
  2.ホルモンの作用……199
  3.ホルモンの作用機序……199
   1)ステロイドホルモン……199
   2)ペプチドホルモン……199
  4.ホルモンの異常……201
  5.糖尿病……201
   1)糖尿病の原因と分類……201
   2)糖耐容力試験……201
   3)肥満と糖尿病……201
   4)糖尿病における代謝異常……201
 6章 無機質の異常……205
  1.水と電解質の出納……205
   1)体内の水と電解質……205
   2)水と電解質出納の調節……205
   3)水および電解質出納の異常……205
  2.酸・塩基平衡の調節と異常……207
   1)アシドーシスとアルカローシス……207
   2)緩衝系……207
   3)酸・塩基平衡の調節……207
  3.カルシウムとリン代謝の調節とその異常……209
   1)カルシウムとリンの体内分布と役割……209
   2)カルシウムとリン酸の代謝に関与するビタミンとホルモン……209
   3)カルシウム,リン代謝異常……209
 7章 遺伝子の異常……211
  1.遺伝子とは……211
  2.遺伝子部位別にみた遺伝子異常……211
   1)翻訳領域の異常……211
   2)イントロン部分の異常……211
   3)プロモーターおよび転写調節領域の異常……211
  3.染色体異常を伴う遺伝子異常……211
   1)癌遺伝子の活性化……211
  4.遺伝子異常が引き起こす病態……213
   1)細胞周期に関連する蛋白質の遺伝子の異常は癌に関与する……213
   2)細胞死にみられる遺伝子異常……213
  5.体質……213
   1)肥満……213

V.症候とその病態薬理学(松宮・武田)
 1章 薬物の代謝……217
  1.薬物代謝とは……217
  2.小胞体の働き……217
   1)粗面小胞体の働き……217
   2)滑面小胞体の働き……217
   3)肝小胞体とは……217
  3.ミクロゾーム酵素系の働き……217
   1)チトクロームP-450による薬物酸化機構……219
  4.薬物代謝の代表的な様式……219
   1)酸化的反応……219
   2)還元反応……221
   3)加水分解反応……221
   4)脱ハロゲン反応……221
   5)S原子のO原子による変換反応……221
   6)薬物抱合……223
 2章 薬物の生体内分布……229
  1.薬物の生体内での移行……229
  2.薬物の生体膜通過形式……229
   1)受動輸送……229
   2)能動輸送……229
   3)細胞の食作用……229
  3.薬物の生体内分布を支配する条件……229
   1)血流量……229
   2)脂溶性薬物の溶解度……229
   3)組織との結合……229
   4)血漿蛋白との結合……229
   5)沈着……231
   6)血液脳関門……231
   7)胎児への移行……231
  4.薬物の濃縮……231
   1)メチル水銀(水俣病)……231
   2)クロロキン掻痒症,皮膚沈着症……231
  5.薬物と胎児……231
   1)薬物の胎盤通過……231
   2)薬物の胎児に及ぼす影響……233
  6.薬物と血液脳関門……233
  7.薬物の適用経路と生体内分布……233
  8.薬物の排泄……233
 3章 薬物の血中濃度……235
  1.薬物の血中濃度の変化……235
   1)薬物の血中濃度を規定する因子……235
   2)拡散容積と薬理作用……235
   3)薬物動態学とは……235
  2.薬物動態学の基本原理……237
   1)体内で変化しない薬物を静脈内投与した場合……237
   2)他のコンパートメントに出ていく種類の薬物を静脈内投与した場合……237
   3)簡単な経口投与の場合……237
   4)吸収および排泄速度のいずれかが変化する場合……237
   5)薬物療法における薬物増量の場合……237
   6)長期薬物療法の場合……239
   7)長期にわたる薬物療法を中断した場合……239
   8)投薬の配合が間違っている場合……239
 4章 薬効に影響を与える因子……241
  1.生体側の因子……241
   1)体重……241
   2)年齢……241
   3)性別……241
   4)種差……241
   5)個体差……241
   6)特異体質と過敏性……241
   7)環境……243
   8)疾病……243
   9)心理的効果……243
  2.薬物側の因子……243
   1)投与経路……243
   2)投与時間……243
   3)用量……243
   4)薬物の併用……245
   5)薬物の反復投与……245
 5章 薬物の生物学的半減期……247
  1.薬物の血中濃度の経時的変化と生物学的半減期……247
  2.薬物の組織中濃度と体内への移行……247
  3.作用持続薬と作用増強化薬……247
 6章 薬物依存……249
  1.耐性……249
   1)耐性とは……249
   2)耐性の形成原因……249
  2.薬物依存……249
   1)薬物依存の種類―精神的依存(習慣)と身体的依存(嗜癖)……249
   2)精神的依存の形成される条件……251
   3)身体的依存と禁断症状……251
   4)薬物依存を起こす薬物のタイプ……253
  3.薬物の乱用と薬物依存……253
   1)薬物依存形成試験法……253

VI.症候とその機能・臨床検査(足立)
 1章 一般検査……257
  1.尿検査……257
   1)尿の一般検査……257
   2)試験紙法による尿検査……257
   3)尿蛋白……259
   4)尿糖……259
   5)尿沈査……261
   6)胆汁色素……263
   7)尿アセトン体……263
   8)バニールマンデル酸……265
  2.糞便検査……265
   1)肉眼的観察……265
   2)潜血反応……265
   3)顕微鏡的検査……265
 2章 血液学的検査……267
  1.採血法……267
  2.血球計算……267
   1)赤血球……267
   2)白血球……267
   3)血小板……267
  3.血色素量……267
  4.ヘマトクリット……267
  5.ウイントローブの赤血球平均恒数……269
  6.白血球像……269
  7.骨髄像……269
  8.血液型……269
  9.出血時間……271
  10.凝固時間……271
  11.毛細血管抵抗試験……271
  12.血餅収縮試験……271
  13.プロトロンビン時間と部分トロンボプラスチン時間……271
  14.FDP……271
 3章 呼吸機能検査……273
  1.肺気量の測定……273
  2.努力性呼出曲線……275
   1)努力性肺活量……275
   2)1秒量および1秒率……275
  3.換気機能障害の型……275
   1)拘束性換気障害……275
   2)閉塞性換気障害……275
   3)混合性換気障害……275
  4.フロー・ボリウム曲線……277
  5.動脈血ガス分析……277
 4章 循環機能検査……279
  1.心電図……279
   1)心電図とは……279
   2)負荷心電図……279
   3)ホルター心電図……279
   4)ヒス束心電図……279
  2.心音図……281
  3.心機図……281
   1)心尖拍動図……281
   2)頚動脈波……281
  4.心カテーテル法……281
  5.心エコー(心臓の超音波検査)……283
   1)Mモード……283
   2)Bモード……283
   3)カラードプラ法……283
  6.血圧の測定……283
   1)動脈圧……283
   2)静脈圧……283
 5章 胃機能検査……285
  1.胃液とその役割……285
  2.胃液検査……285
   1)胃液検査の意義……285
   2)胃液検査方法……285
  3.キャッスル内因子の測定……285
  4.消化管ホルモンの測定……285
 6章 膵機能検査……287
  1.外分泌機能検査……287
   1)アミラーゼ……287
   2)セクレチン試験……289
   3)PFD試験(ベンチロミド試験)……289
   4)出納試験……291
   5)アイソトープを用いた消化吸収試験……291
   6)その他の消化吸収試験……291
  2.内分泌機能検査……291
   1)尿糖の検査……291
   2)血糖の検査……293
   3)糖負荷試験……293
   4)グリコヘモグロビン……293
 7章 肝機能検査……295
  1.尿検査,糞便検査……295
  2.血液化学検査……295
   1)ビリルビン……295
   2)トランスアミラーゼ……295
   3)乳酸脱水素酵素……295
   4)アルカリホスファターゼ……295
   5)ロイシンアミノペプチダーゼ……297
   6)γ-グルタミールトランスペプチダーゼ……297
   7)コリンエステラーゼ……297
   8)血清蛋白……297
   9)コレステロール……297
   10)プロトロンビン時間……297
  3.色素排泄試験……297
   1)ブロムサルファレイン排泄試験……297
   2)インドシアニングリーン排泄試験……299
  4.胆汁の検査……299
  5.胆道造影法……299
 8章 腎機能検査……301
  1.クリアランスとは……301
  2.尿検査……301
  3.血液化学検査……301
   1)尿素窒素……301
   2)クレアチニン……301
   3)尿酸……301
   4)β2-マイクログロブリン……301
   5)その他の血液成分……303
  4.フィシュバーグ濃縮試験……303
  5.PSP試験……303
  6.腎血流量,腎血漿流量,糸球体ろ過値,ろ過率……305
   1)PAHクリアランス……305
   2)チオ硫酸ナトリウムクリアランス……305
  7.クレアチニンクリアランス……305
 9章 甲状腺機能検査……307
  1.甲状腺ホルモンの合成……307
  2.甲状線ホルモンの定量……307
  3.基礎代謝率……307
  4.甲状腺摂取率……309
  5.甲状腺刺激ホルモン,甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの測定……309
  6.TRH負荷試験……309