序
全部床義歯臨床と矯正治療に共通点はあるか? いうまでもなく全部床義歯とは歯をすべて喪失した無歯顎患者へ装着する補綴装置であるが,対して矯正治療は有歯顎者の歯の位置を改善する治療である.つまり,治療の対象自体が全く異なり,そのための治療術式にも共通点はまず見当たらず,ある意味で両極端な分野だといえる.しかし,「審美ならびに機能を回復・維持する目的で,28歯のポジションを決定する」という点において,両分野の目的は一致している.つまり,それぞれの治療分野において,対象やアプローチは異なるものの,目指すべき歯のポジションには何らかの共通点が存在すると考えられる.たとえば,前歯の切縁の位置や歯軸の傾きやアーチの形態,リップサポートなど,審美的な観点でいえば理想とするゴールは近いと考えられる.ただし,両分野とも専門性が高い治療であり,それぞれの長い歴史のなかでさまざまな知見が培われているため,そのアプローチにはさまざまな違いがあるといえる.
そこで,本書は両分野の知見を交え,共通点や相違点を互いに考察することで,日常臨床に活かせる大切な知識を見出すことを目的として行われた.ただ,あまり難しいことは考えず,両分野の専門医の考え方が想像以上に異なっている点や,不思議と一致している点など,読み物としてもきっとお楽しみいただけるのではないかと思う.
2021年11月吉日
松田謙一
全部床義歯臨床と矯正治療に共通点はあるか? いうまでもなく全部床義歯とは歯をすべて喪失した無歯顎患者へ装着する補綴装置であるが,対して矯正治療は有歯顎者の歯の位置を改善する治療である.つまり,治療の対象自体が全く異なり,そのための治療術式にも共通点はまず見当たらず,ある意味で両極端な分野だといえる.しかし,「審美ならびに機能を回復・維持する目的で,28歯のポジションを決定する」という点において,両分野の目的は一致している.つまり,それぞれの治療分野において,対象やアプローチは異なるものの,目指すべき歯のポジションには何らかの共通点が存在すると考えられる.たとえば,前歯の切縁の位置や歯軸の傾きやアーチの形態,リップサポートなど,審美的な観点でいえば理想とするゴールは近いと考えられる.ただし,両分野とも専門性が高い治療であり,それぞれの長い歴史のなかでさまざまな知見が培われているため,そのアプローチにはさまざまな違いがあるといえる.
そこで,本書は両分野の知見を交え,共通点や相違点を互いに考察することで,日常臨床に活かせる大切な知識を見出すことを目的として行われた.ただ,あまり難しいことは考えず,両分野の専門医の考え方が想像以上に異なっている点や,不思議と一致している点など,読み物としてもきっとお楽しみいただけるのではないかと思う.
2021年11月吉日
松田謙一
序
第1章 治療対象とエンドポイント
第2章 咬合高径と咬合平面
第3章 水平的顎間関係について
第4章 前歯のポジションについて
第5章 臼歯のポジションについて
第6章 I級,II級症例へのアプローチとその難しさ
第7章 矯正医から補綴医へのクエスチョン
Commentary
「Andrewsの6keys」について
フェイシャルパターンについて
骨格性の分類と歯性の分類について
結
第1章 治療対象とエンドポイント
第2章 咬合高径と咬合平面
第3章 水平的顎間関係について
第4章 前歯のポジションについて
第5章 臼歯のポジションについて
第6章 I級,II級症例へのアプローチとその難しさ
第7章 矯正医から補綴医へのクエスチョン
Commentary
「Andrewsの6keys」について
フェイシャルパターンについて
骨格性の分類と歯性の分類について
結