第2版序文(改訂に向けて)
2015年10月に初版を発行して以来,早くも5年以上が経過した.社会変化の著しさは,驚かされることがとても多く,改訂作業にも時間が掛かった.「社会的背景」は,人口統計学的な項目であるが,実際の出生率が初版時における出生中位推計よりもやや高かったため,人口の減少具合もほんの少し小さめであった.その影響で,40%を超えると予測されていた老年人口割合の最高値も,2021年1月時点での出生中位(死亡中位)推計では36.7%となっている.その値の増加程度はやや鈍化したが,高齢者人口が増加することは間違いないので,高齢者を対象とした医療担当者としての心構え,すなわち治療内容や治療目的の設定に大きな変更はない.推計作業そのものの理解は本書の主たる目的ではないため割愛するが,社会保障の中心を担う医療にとって,社会的背景は十分に把握しておく必要がある.具体的には,世界中どこも経験したことのない少子高齢化と生産年齢人口のかなりの減少に対処する私たち医療人の役割が,元気で自立した高齢者を多く作ることであることは間違いない.
日本人の死亡原因の集計によると,第1位から5位までのなかに現れたことのなかった「老衰」が,脳血管疾患や肺炎を抜いて第3位に入っている.このことは他の原因による死亡数が減少したことも挙げられるが,それ以上に老衰を迎えるほど高齢者の高年齢化と高齢者人口の増加が影響していると考察できる.栄養摂取の主役である口腔機能を維持向上させる歯科医療の重要性がさらに増していることを表している数字といえる.
この5年間の変化のなかで大きな事柄の一つが「口腔機能低下症」の保険収載である.本書の編集母体である「日本老年歯科医学会」が,2013年に開催したワークショップがその原点となっている.口腔機能管理に関する研究者が一堂に集まり,「加齢により口腔機能が低下することの証明」と,「検査と診断」「治療方法とそのアウトカム」を掘り下げ,さらに継続して研究グループを立ち上げて健康保険の対象に至った.現段階で臨床現場ではまだ多くは行われていないようだが,今後とも絶対に欠かせないアイテムとして充実させる必要がある.今回の改訂で「口腔機能低下症」についての記述を追加した.
歯科診療の対象となる高齢患者の約8割は一つ以上の全身疾患に罹患しているといわれている.それらの患者の歯科診療を安全に行うためには,全身疾患に対する正しい理解と対応,服用薬の把握が絶対に欠かせない.今回の改訂では,この5年間で新しくなった全身疾患に関するガイドラインを確認し,基準値の変更や新規の服用薬などを中心に見直しを行った.地域包括ケアシステムの充実が叫ばれるなか,歯科医師や歯科衛生士がその場で大いに活躍できるよう本書を参考にして頂ければ幸いである.なお,初版の出版準備中に全身疾患の執筆担当者の一人であった子島潤先生が若くして逝去された.この場を借りてご冥福をお祈りする次第である.
今後さらに老年人口が増加し,高齢者の高年齢化が進むことは間違いない.高齢者が一人でも多く元気でいられるために,歯科医療は欠かせない存在である.皆さんのご健闘を祈念致します.
2022年2月
編集者一同
発刊に向けて(第1版序文)
老年歯科医学は,歯科医学のなかで最も新しい学問の一つとして位置づけられている.1973年にA.S.T.FranksとBjorn Hedegardにより,『Geriatric Dentistry』が出版され,その後,Poul Holm-PedersenとHarald Loeにより,『Textbook of Geriatric Dentistry(Munks Gard,Sweden)』が1986年(初版)と1996年(第2版)に出版された.わが国では,渡邊郁馬先生により,1981年に『老年歯科』が教科書として出版された.また,上記のP.H.PedersenとH.Loeによる教科書を翻訳した『高齢者歯科学(渡辺 誠監修,稲葉 繁,高江洲義矩,森戸光彦監訳,永末書店)』が,2000年に出版されている.しかし,現在はそれらすべてが絶版に近い状態となっており,老年歯科医学を学ぼうとする者にとって十分とはいえない環境にある.
一方で,老年人口割合(高齢化率)は26%を超え,2070年には40%に達すると推測されており,ますます老年歯科医学に対する社会的ニーズが高まることは間違いない.本書は,2015年における,わが国における「老年歯科医学=高齢者歯科医学」の科学的根拠に基づいた学問的,臨床的要請に対応して編纂したものである.
「老年歯科医学=高齢者歯科学」とは,GerodontologyあるいはGeriatric Dentistryと標される.臨床だけに留まらず,加齢学,社会学,疫学などの,とても幅広い学問体系をもつ.小児歯科医学や小児科学が発育過程におけるさまざまな医学的問題を対象としているのと比較し,加齢現象やそれに伴う機能低下,社会学的位置づけ,看取りまでを範疇としている.「高齢者の歯科医療を行う分野」と表されることがあるが,それだけに留まらないことを理解すべきである.
わが国における学問的活動は1986年に「日本老年歯科医学研究会」が発足し,1990年に現在の「日本老年歯科医学会」に移行した.その流れは,わが国における「老年学(Gerontology)」の発展と歩調を共にしており,1991年日本老年学会に合流した.日本老年学会は,「日本老年医学会」「日本老年社会科学会」「日本基礎老化学会」「日本老年精神医学会」「日本ケアマネージメント学会」「日本老年看護学会」の7学会から構成されている.まさにわが国における「老年学」のオピニオンリーダーといっても過言ではない.
本書は,歯学部学生,研修歯科医師,一般歯科臨床医,歯科衛生士学校学生,歯科衛生士などすべてが対象となるよう配慮した.さまざまな立場で有効に使って頂ければ幸いである.
2015年9月
編集者一同
2015年10月に初版を発行して以来,早くも5年以上が経過した.社会変化の著しさは,驚かされることがとても多く,改訂作業にも時間が掛かった.「社会的背景」は,人口統計学的な項目であるが,実際の出生率が初版時における出生中位推計よりもやや高かったため,人口の減少具合もほんの少し小さめであった.その影響で,40%を超えると予測されていた老年人口割合の最高値も,2021年1月時点での出生中位(死亡中位)推計では36.7%となっている.その値の増加程度はやや鈍化したが,高齢者人口が増加することは間違いないので,高齢者を対象とした医療担当者としての心構え,すなわち治療内容や治療目的の設定に大きな変更はない.推計作業そのものの理解は本書の主たる目的ではないため割愛するが,社会保障の中心を担う医療にとって,社会的背景は十分に把握しておく必要がある.具体的には,世界中どこも経験したことのない少子高齢化と生産年齢人口のかなりの減少に対処する私たち医療人の役割が,元気で自立した高齢者を多く作ることであることは間違いない.
日本人の死亡原因の集計によると,第1位から5位までのなかに現れたことのなかった「老衰」が,脳血管疾患や肺炎を抜いて第3位に入っている.このことは他の原因による死亡数が減少したことも挙げられるが,それ以上に老衰を迎えるほど高齢者の高年齢化と高齢者人口の増加が影響していると考察できる.栄養摂取の主役である口腔機能を維持向上させる歯科医療の重要性がさらに増していることを表している数字といえる.
この5年間の変化のなかで大きな事柄の一つが「口腔機能低下症」の保険収載である.本書の編集母体である「日本老年歯科医学会」が,2013年に開催したワークショップがその原点となっている.口腔機能管理に関する研究者が一堂に集まり,「加齢により口腔機能が低下することの証明」と,「検査と診断」「治療方法とそのアウトカム」を掘り下げ,さらに継続して研究グループを立ち上げて健康保険の対象に至った.現段階で臨床現場ではまだ多くは行われていないようだが,今後とも絶対に欠かせないアイテムとして充実させる必要がある.今回の改訂で「口腔機能低下症」についての記述を追加した.
歯科診療の対象となる高齢患者の約8割は一つ以上の全身疾患に罹患しているといわれている.それらの患者の歯科診療を安全に行うためには,全身疾患に対する正しい理解と対応,服用薬の把握が絶対に欠かせない.今回の改訂では,この5年間で新しくなった全身疾患に関するガイドラインを確認し,基準値の変更や新規の服用薬などを中心に見直しを行った.地域包括ケアシステムの充実が叫ばれるなか,歯科医師や歯科衛生士がその場で大いに活躍できるよう本書を参考にして頂ければ幸いである.なお,初版の出版準備中に全身疾患の執筆担当者の一人であった子島潤先生が若くして逝去された.この場を借りてご冥福をお祈りする次第である.
今後さらに老年人口が増加し,高齢者の高年齢化が進むことは間違いない.高齢者が一人でも多く元気でいられるために,歯科医療は欠かせない存在である.皆さんのご健闘を祈念致します.
2022年2月
編集者一同
発刊に向けて(第1版序文)
老年歯科医学は,歯科医学のなかで最も新しい学問の一つとして位置づけられている.1973年にA.S.T.FranksとBjorn Hedegardにより,『Geriatric Dentistry』が出版され,その後,Poul Holm-PedersenとHarald Loeにより,『Textbook of Geriatric Dentistry(Munks Gard,Sweden)』が1986年(初版)と1996年(第2版)に出版された.わが国では,渡邊郁馬先生により,1981年に『老年歯科』が教科書として出版された.また,上記のP.H.PedersenとH.Loeによる教科書を翻訳した『高齢者歯科学(渡辺 誠監修,稲葉 繁,高江洲義矩,森戸光彦監訳,永末書店)』が,2000年に出版されている.しかし,現在はそれらすべてが絶版に近い状態となっており,老年歯科医学を学ぼうとする者にとって十分とはいえない環境にある.
一方で,老年人口割合(高齢化率)は26%を超え,2070年には40%に達すると推測されており,ますます老年歯科医学に対する社会的ニーズが高まることは間違いない.本書は,2015年における,わが国における「老年歯科医学=高齢者歯科医学」の科学的根拠に基づいた学問的,臨床的要請に対応して編纂したものである.
「老年歯科医学=高齢者歯科学」とは,GerodontologyあるいはGeriatric Dentistryと標される.臨床だけに留まらず,加齢学,社会学,疫学などの,とても幅広い学問体系をもつ.小児歯科医学や小児科学が発育過程におけるさまざまな医学的問題を対象としているのと比較し,加齢現象やそれに伴う機能低下,社会学的位置づけ,看取りまでを範疇としている.「高齢者の歯科医療を行う分野」と表されることがあるが,それだけに留まらないことを理解すべきである.
わが国における学問的活動は1986年に「日本老年歯科医学研究会」が発足し,1990年に現在の「日本老年歯科医学会」に移行した.その流れは,わが国における「老年学(Gerontology)」の発展と歩調を共にしており,1991年日本老年学会に合流した.日本老年学会は,「日本老年医学会」「日本老年社会科学会」「日本基礎老化学会」「日本老年精神医学会」「日本ケアマネージメント学会」「日本老年看護学会」の7学会から構成されている.まさにわが国における「老年学」のオピニオンリーダーといっても過言ではない.
本書は,歯学部学生,研修歯科医師,一般歯科臨床医,歯科衛生士学校学生,歯科衛生士などすべてが対象となるよう配慮した.さまざまな立場で有効に使って頂ければ幸いである.
2015年9月
編集者一同
序章 老年歯科医学=高齢者歯科医学とは(森戸光彦)
I 老年歯科医学(高齢者歯科医学)の基本的事項
1.社会的背景(編集担当:森戸光彦)
1 社会環境
1-人口統計学的解説(森戸光彦)
2-死亡原因の推移
3-健康の概念(健康寿命)
コラム:健康長寿のすすめ(星 旦二)
4-ノーマライゼーション(小正 裕)
ケアホームとグループホーム
5-「寝たきり老人」(橋一也)
Functional independence measure;FIM
6-QOL
7-地域の現状
2 社会保障(那須郁夫)
1-社会保障の概念
2-社会保障の歴史
3-わが国の社会保障(現行)の仕組み
3 高齢者のための社会保障制度
1-わが国の高齢者の保健・医療・福祉施策の動向
2-おもな高齢者福祉施策
3-高齢者の健康診査
4-高齢者の医療保険
5-介護保険制度
6-社会福祉従事者
7-社会福祉の民間活動主体
2.加齢の科学(編集担当:下山和弘)
1 老化とは(生物学的加齢変化)(秋下雅弘)
1-老化の定義
2-生理的老化と病的老化
3-老化学説
4-老化制御
5-フレイル
2 全身的な加齢変化
1-循環器系
2-呼吸器系
3-消化器系
4-精神神経系
5-内分泌・代謝系
6-腎泌尿器系
7-血液・免疫系
8-筋・骨格系
9-感覚器系
3 口腔の加齢変化―形態と機能―(下山和弘,秋本和宏)
1-歯
2-歯周組織
3-顎骨
4-顎関節
5-口腔周囲の筋
6-唾液腺
7-口腔粘膜
8-味覚
9-歯の喪失
10-顔貌
11-摂食嚥下機能
3.医学的背景(編集担当:森戸光彦)
1 高齢者に多い全身疾患
1-老年疾患(森戸光彦)
2-循環器疾患(森戸光彦,子島 潤)
心臓ペースメーカ(森戸光彦,子島 潤)
3-脳血管障害
4-呼吸器疾患
5-肝疾患
6-代謝性疾患
7-腎疾患
8-血液疾患(田村秀人)
歯科医師として押さえておきたい血液疾患のポイント
9-骨粗鬆症・関節リウマチ(山根源之,子島 潤)
10-認知症を含む精神神経疾患(馬場 元,新井平伊)
2 高齢者の終末期(飯島 節)
1-高齢者の終末期
2-高齢者の終末期医療
3-高齢者の終末期における水分栄養摂取
4-高齢者の終末期における倫理的課題
4.診療環境(編集担当:羽村 章)
1 高齢者歯科診療に応じた歯科診療所(羽村 章)
1-通院高齢者の状況
2-高齢歯科患者に必要な新たな歯科対応
3-高齢歯科患者の安全対策
4-在宅療養を支援する歯科診療所
2 入院下の診療環境(小林直樹)
1-治療体制の確立
2-治療環境の整備
3-経口摂取支援のためのシステム構築
4-ハイリスク患者への対応
3 在宅での診療環境(細野 純)
1-はじめに
2-在宅へのアプローチ
3-家族介護者の介護力や医療・介護連携
4-療養する部屋の環境
5-在宅医療の提供状況
6-在宅療養のステージに伴う診療環境の変化
4 施設での診療環境(江面 晃)
1-口腔健康管理でのチームアプローチ
2-介護保険施設での歯科医療
5.高齢者と栄養(編集担当:櫻井 薫)
1 口腔機能と栄養(櫻井 薫)
1-高齢者における低栄養の実態
2-高齢者における低栄養の原因
3-口腔機能の向上と低栄養の改善
4-特に舌機能の低下について
5-口腔機能向上のための訓練
6-歯科におけるこれからの取り組み
2 栄養状態の評価(新井映子)
1-高齢者の低栄養とその要因
2-栄養状態を評価するための項目と方法
3-簡易な栄養状態の評価法
3 高齢者の栄養管理(吉田光由)
1-口腔状態と栄養管理
2-栄養経路の選択
3-モニタリングと再評価
コラム:サルコペニア(若林秀隆)
II 老年歯科医学(高齢者歯科医学)の実際
1.全身的疾患との関連(編集担当:山根源之)
1 医療情報の収集(医療面接,他科への照会)(片倉 朗)
1-予防とリスクマネジメントを主眼にした情報収集
2-医学的問題点の評価
3-高齢者の特徴に配慮した医療面接
4-医療面接の実際
5-適切な照会状の記載
2 医療情報の分析と診療時・介入時の注意点
1-循環器疾患(高血圧症,狭心症,心筋梗塞,抗血栓療法患者)(山根源之)
2-脳血管疾患(脳梗塞,脳出血,後遺症)
3-呼吸器疾患(気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患,肺炎)
4-消化器疾患(肝炎,肝硬変)(小澤靖弘)
5-代謝・内分泌疾患(糖尿病)
6-腎臓疾患(腎不全・人工透析)
7-精神神経疾患(統合失調症,老年期うつ,認知症)(平野浩彦)
8-血液・免疫疾患(安藤智博)
9-感覚器の疾患
10-その他の疾患(山口雅庸)
2.口腔機能管理(編集担当:櫻井 薫)
1 高齢者と口腔機能低下症(上田貴之)
1-高齢者と口腔機能
2-口腔機能低下症
3-口腔機能の主観的評価法
4-口腔機能管理
2 咬合と口腔機能の評価(小野高裕)
1-咬合の評価
2-舌機能の評価
3 咀嚼機能の評価法(水口俊介)
1-直接的検査法
2-間接的検査法
4 味覚の評価と味覚障害(庄司憲明,佐藤しづ子,笹野高嗣,飯久保正弘)
1-高齢者の味覚と全身の健康
2-味覚のメカニズム
3-味覚検査法
4-味覚障害の症状
5-味覚障害の原因
6-味覚障害の治療
5 唾液の評価と分泌障害(池邉一典)
1-唾液腺
2-唾液の役割
3-口腔乾燥症
4-口腔乾燥感の評価
5-唾液分泌の評価
6-唾液分泌に影響する因子
7-薬剤と口腔乾燥症
8-口腔乾燥症への対応
6 構音の評価と構音障害(西脇恵子)
1-構音とは
2-構音の評価
3-構音障害の分類と原因
4-構音障害の症状
5-構音障害の治療
6-構音障害が高齢者の社会参加にきたす影響
3.口腔衛生管理(編集担当:櫻井 薫)
1 口腔衛生管理と口腔ケア(櫻井 薫)
1-口腔ケアという言葉の歴史
2-口腔ケア
3-口腔健康管理の中の口腔衛生管理
4-歯科における用語の使い分け
2 口腔衛生と口腔環境――口腔管理と肺炎予防(米山武義)
1-急峻なわが国の高齢化と高齢者の口腔環境
2-口腔の特殊性と口腔内微生物
3-在宅,施設,病院における入所者の口腔管理の実態
4-急増する残存歯数(現在歯数)と易感染性の高齢者の増加
5-高齢者の健康を脅かす誤嚥性肺炎
6-口腔の刺激による嚥下・咳反射の改善
7-誤嚥性肺炎予防における歯科の役割
8-咽頭細菌と口腔衛生管理
9-診療室から在宅医療につなぐ
10-口腔衛生の質の担保が求められる
11-効果的な口腔健康管理についての留意点
12-咽頭ケアの重要性
13-インプラント治療を受けた患者が要介護状態になったらどうするか
14-終末期における口腔管理の意義
15-まとめ
3 口腔衛生管理の実際(口腔保湿剤,含嗽剤)(竜 正大)
1-口腔保湿剤を用いた口腔清掃
2-含嗽剤を用いた口腔清掃
3-含嗽剤および口腔保湿剤を用いた口腔衛生管理の実際
4 口臭(八重垣 健)
1-高齢者口臭症のための行動科学
2-口臭症の分類と診断
3-口臭原因物質と毒性
4-口臭の治療
4.訪問診療(編集担当:下山和弘)
1 訪問診療の基本(下山和弘)
1-訪問診療とは
2-診療の目標
3-診療の基本
2 訪問診療に用いる歯科用器具・機材
1-居宅内での治療に必要な器具・機材等に関する基本的考え方
2-歯科診療に必要な器具・機材
3 診療の実際
1-在宅(菅 武雄,下山和弘)
在宅における遠隔医療の導入(菅 武雄)
2-介護老人福祉施設と介護老人保健施設(枝広あや子)
3-病院(飯田良平)
4-地域連携・地域包括ケア(木村年秀)
5.摂食嚥下障害(編集担当:柿木保明)
1 高齢者の摂食嚥下機能の基礎
1-基礎知識(柿木保明)
2-摂食嚥下障害の病態と原因
3-摂食嚥下機能と栄養状態(辻澤利行)
4-嚥下食と栄養(水上美樹)
コラム:摂食嚥下機能の発達(柿木保明)
コラム:摂食機能療法の歴史
2 摂食嚥下機能の検査と評価・診断
1-スクリーニング(戸原 玄)
2-精密検査
3-評価と診断
3 摂食嚥下機能と歯科治療の関連
1-歯の役割(義歯の役割を含む)と意義(柿木保明)
2-舌接触補助床(糸田昌隆)
症例(器質的舌運動障害例)
4 摂食機能療法の進め方
1-摂食機能療法におけるリスク管理(大渡凡人)
2-多職種連携(石川健太郎,弘中祥司)
3-治療計画(菊谷 武)
4-再評価
5 摂食機能療法の実際
1-間接訓練(佐藤光保,植田耕一郎)
2-直接訓練(中山渕利,植田耕一郎)
3-訓練法の選択(高橋浩二)
6 疾患による特徴とリハビリテーション
1-脳卒中後遺症(松尾浩一郎)
2-進行性神経疾患(神経難病)(阪口英夫)
3-口腔がん手術後(野原幹司)
4-認知症(吉田光由)
5-廃用症候群(田村文誉)
6.高齢者に多い口腔疾患(編集担当:森戸光彦,山根源之)
1 歯および歯周病
1-根面う蝕(福島正義)
2-歯周病
3-咬耗・摩耗と歯の破折(川良美佐雄)
4-歯内療法(細矢哲康)
2 歯の欠損への対応
1-義歯補綴の考え方(佐藤裕二)
2-クラウン・ブリッジの考え方(松村英雄)
3 軟組織に関連する疾患
1-炎症(膿瘍,蜂窩織炎,菌血症,敗血症)(外木守雄)
2-腫瘍および腫瘍類似疾患
(1)腫瘍(潮田高志)
(2)腫瘍類似疾患
a.義歯性線維腫
b.口腔潜在的悪性疾患(白板症,紅板症,口腔扁平苔癬)(山根源之)
(3)良性腫瘍(線維腫,脂肪腫,血管腫)(柴原孝彦)
(4)口腔がん(肉腫および口腔への転移性腫瘍含む),白血病・悪性リンパ腫(又賀 泉)
3-口腔粘膜,皮膚疾患
(1)口腔カンジダ症(岩渕博史)
(2)口腔扁平苔癬
(3)義歯性口内炎,口角炎,口角びらん
(4)口唇疱疹,帯状疱疹(浮地賢一郎)
(5)アフタ,褥瘡性潰瘍
(6)舌の疾患(舌炎他)(山根源之)
4 硬組織に関連する疾患
1-老年性骨折(篠塚啓二,大木秀郎)
2-高齢者の顎顔面骨折
3-顎関節脱臼(高井良招)
4-薬剤に関連した顎骨壊死(山口雅庸)
5 神経疾患(渡邊 裕)
1-三叉神経痛(典型的,二次性,帯状疱疹後神経痛),三叉神経麻痺
高齢者の帯状疱疹
2-顔面神経麻痺(末梢性,中枢性)
3-オーラルジスキネジア
オーラルジスキネジアの発生機序
7.それぞれのステージにおける歯科の役割(編集担当:羽村 章)
1 はじめに――各ライフステージの定義と歯科の役割(羽村 章)
2 急性期診療への参画(平野浩彦,枝広あや子)
1-急性期病院とは
2-急性期病院の役割
3 周術期・回復期における役割(曽我賢彦,皆木省吾)
1-周術期の口腔の管理
2-回復期の口腔管理
4 人生の最終段階における歯科のかかわり(阪口英夫)
1-はじめに
2-「口腔ケア」の起源
3-人生の最終段階における口腔管理の目標
4-歯科衛生士による口腔衛生管理の実施
5-人生の最終段階における口腔衛生管理で行うこと
6-まとめ
5 死への立ち会い――高齢患者の容態急変時の救急対応と連携について(佐々木裕芳)
1-高齢患者の容態急変に対する歯科医師としての対応と他科との連携
2-バイタルサインの概略と重症度,危険度判断の指標
3-終末期での急変への対応
4-DNR(Do Not Resuscitate:蘇生処置拒否)と死生観
5-ACP(アドバンス・ケア・プランニング)と人生会議
6-死の受容の段階と可否
臨終に際して
付
資料:高齢者の歯科疾患の状況
老年歯科医学教育基準
I 老年歯科医学(高齢者歯科医学)の基本的事項
1.社会的背景(編集担当:森戸光彦)
1 社会環境
1-人口統計学的解説(森戸光彦)
2-死亡原因の推移
3-健康の概念(健康寿命)
コラム:健康長寿のすすめ(星 旦二)
4-ノーマライゼーション(小正 裕)
ケアホームとグループホーム
5-「寝たきり老人」(橋一也)
Functional independence measure;FIM
6-QOL
7-地域の現状
2 社会保障(那須郁夫)
1-社会保障の概念
2-社会保障の歴史
3-わが国の社会保障(現行)の仕組み
3 高齢者のための社会保障制度
1-わが国の高齢者の保健・医療・福祉施策の動向
2-おもな高齢者福祉施策
3-高齢者の健康診査
4-高齢者の医療保険
5-介護保険制度
6-社会福祉従事者
7-社会福祉の民間活動主体
2.加齢の科学(編集担当:下山和弘)
1 老化とは(生物学的加齢変化)(秋下雅弘)
1-老化の定義
2-生理的老化と病的老化
3-老化学説
4-老化制御
5-フレイル
2 全身的な加齢変化
1-循環器系
2-呼吸器系
3-消化器系
4-精神神経系
5-内分泌・代謝系
6-腎泌尿器系
7-血液・免疫系
8-筋・骨格系
9-感覚器系
3 口腔の加齢変化―形態と機能―(下山和弘,秋本和宏)
1-歯
2-歯周組織
3-顎骨
4-顎関節
5-口腔周囲の筋
6-唾液腺
7-口腔粘膜
8-味覚
9-歯の喪失
10-顔貌
11-摂食嚥下機能
3.医学的背景(編集担当:森戸光彦)
1 高齢者に多い全身疾患
1-老年疾患(森戸光彦)
2-循環器疾患(森戸光彦,子島 潤)
心臓ペースメーカ(森戸光彦,子島 潤)
3-脳血管障害
4-呼吸器疾患
5-肝疾患
6-代謝性疾患
7-腎疾患
8-血液疾患(田村秀人)
歯科医師として押さえておきたい血液疾患のポイント
9-骨粗鬆症・関節リウマチ(山根源之,子島 潤)
10-認知症を含む精神神経疾患(馬場 元,新井平伊)
2 高齢者の終末期(飯島 節)
1-高齢者の終末期
2-高齢者の終末期医療
3-高齢者の終末期における水分栄養摂取
4-高齢者の終末期における倫理的課題
4.診療環境(編集担当:羽村 章)
1 高齢者歯科診療に応じた歯科診療所(羽村 章)
1-通院高齢者の状況
2-高齢歯科患者に必要な新たな歯科対応
3-高齢歯科患者の安全対策
4-在宅療養を支援する歯科診療所
2 入院下の診療環境(小林直樹)
1-治療体制の確立
2-治療環境の整備
3-経口摂取支援のためのシステム構築
4-ハイリスク患者への対応
3 在宅での診療環境(細野 純)
1-はじめに
2-在宅へのアプローチ
3-家族介護者の介護力や医療・介護連携
4-療養する部屋の環境
5-在宅医療の提供状況
6-在宅療養のステージに伴う診療環境の変化
4 施設での診療環境(江面 晃)
1-口腔健康管理でのチームアプローチ
2-介護保険施設での歯科医療
5.高齢者と栄養(編集担当:櫻井 薫)
1 口腔機能と栄養(櫻井 薫)
1-高齢者における低栄養の実態
2-高齢者における低栄養の原因
3-口腔機能の向上と低栄養の改善
4-特に舌機能の低下について
5-口腔機能向上のための訓練
6-歯科におけるこれからの取り組み
2 栄養状態の評価(新井映子)
1-高齢者の低栄養とその要因
2-栄養状態を評価するための項目と方法
3-簡易な栄養状態の評価法
3 高齢者の栄養管理(吉田光由)
1-口腔状態と栄養管理
2-栄養経路の選択
3-モニタリングと再評価
コラム:サルコペニア(若林秀隆)
II 老年歯科医学(高齢者歯科医学)の実際
1.全身的疾患との関連(編集担当:山根源之)
1 医療情報の収集(医療面接,他科への照会)(片倉 朗)
1-予防とリスクマネジメントを主眼にした情報収集
2-医学的問題点の評価
3-高齢者の特徴に配慮した医療面接
4-医療面接の実際
5-適切な照会状の記載
2 医療情報の分析と診療時・介入時の注意点
1-循環器疾患(高血圧症,狭心症,心筋梗塞,抗血栓療法患者)(山根源之)
2-脳血管疾患(脳梗塞,脳出血,後遺症)
3-呼吸器疾患(気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患,肺炎)
4-消化器疾患(肝炎,肝硬変)(小澤靖弘)
5-代謝・内分泌疾患(糖尿病)
6-腎臓疾患(腎不全・人工透析)
7-精神神経疾患(統合失調症,老年期うつ,認知症)(平野浩彦)
8-血液・免疫疾患(安藤智博)
9-感覚器の疾患
10-その他の疾患(山口雅庸)
2.口腔機能管理(編集担当:櫻井 薫)
1 高齢者と口腔機能低下症(上田貴之)
1-高齢者と口腔機能
2-口腔機能低下症
3-口腔機能の主観的評価法
4-口腔機能管理
2 咬合と口腔機能の評価(小野高裕)
1-咬合の評価
2-舌機能の評価
3 咀嚼機能の評価法(水口俊介)
1-直接的検査法
2-間接的検査法
4 味覚の評価と味覚障害(庄司憲明,佐藤しづ子,笹野高嗣,飯久保正弘)
1-高齢者の味覚と全身の健康
2-味覚のメカニズム
3-味覚検査法
4-味覚障害の症状
5-味覚障害の原因
6-味覚障害の治療
5 唾液の評価と分泌障害(池邉一典)
1-唾液腺
2-唾液の役割
3-口腔乾燥症
4-口腔乾燥感の評価
5-唾液分泌の評価
6-唾液分泌に影響する因子
7-薬剤と口腔乾燥症
8-口腔乾燥症への対応
6 構音の評価と構音障害(西脇恵子)
1-構音とは
2-構音の評価
3-構音障害の分類と原因
4-構音障害の症状
5-構音障害の治療
6-構音障害が高齢者の社会参加にきたす影響
3.口腔衛生管理(編集担当:櫻井 薫)
1 口腔衛生管理と口腔ケア(櫻井 薫)
1-口腔ケアという言葉の歴史
2-口腔ケア
3-口腔健康管理の中の口腔衛生管理
4-歯科における用語の使い分け
2 口腔衛生と口腔環境――口腔管理と肺炎予防(米山武義)
1-急峻なわが国の高齢化と高齢者の口腔環境
2-口腔の特殊性と口腔内微生物
3-在宅,施設,病院における入所者の口腔管理の実態
4-急増する残存歯数(現在歯数)と易感染性の高齢者の増加
5-高齢者の健康を脅かす誤嚥性肺炎
6-口腔の刺激による嚥下・咳反射の改善
7-誤嚥性肺炎予防における歯科の役割
8-咽頭細菌と口腔衛生管理
9-診療室から在宅医療につなぐ
10-口腔衛生の質の担保が求められる
11-効果的な口腔健康管理についての留意点
12-咽頭ケアの重要性
13-インプラント治療を受けた患者が要介護状態になったらどうするか
14-終末期における口腔管理の意義
15-まとめ
3 口腔衛生管理の実際(口腔保湿剤,含嗽剤)(竜 正大)
1-口腔保湿剤を用いた口腔清掃
2-含嗽剤を用いた口腔清掃
3-含嗽剤および口腔保湿剤を用いた口腔衛生管理の実際
4 口臭(八重垣 健)
1-高齢者口臭症のための行動科学
2-口臭症の分類と診断
3-口臭原因物質と毒性
4-口臭の治療
4.訪問診療(編集担当:下山和弘)
1 訪問診療の基本(下山和弘)
1-訪問診療とは
2-診療の目標
3-診療の基本
2 訪問診療に用いる歯科用器具・機材
1-居宅内での治療に必要な器具・機材等に関する基本的考え方
2-歯科診療に必要な器具・機材
3 診療の実際
1-在宅(菅 武雄,下山和弘)
在宅における遠隔医療の導入(菅 武雄)
2-介護老人福祉施設と介護老人保健施設(枝広あや子)
3-病院(飯田良平)
4-地域連携・地域包括ケア(木村年秀)
5.摂食嚥下障害(編集担当:柿木保明)
1 高齢者の摂食嚥下機能の基礎
1-基礎知識(柿木保明)
2-摂食嚥下障害の病態と原因
3-摂食嚥下機能と栄養状態(辻澤利行)
4-嚥下食と栄養(水上美樹)
コラム:摂食嚥下機能の発達(柿木保明)
コラム:摂食機能療法の歴史
2 摂食嚥下機能の検査と評価・診断
1-スクリーニング(戸原 玄)
2-精密検査
3-評価と診断
3 摂食嚥下機能と歯科治療の関連
1-歯の役割(義歯の役割を含む)と意義(柿木保明)
2-舌接触補助床(糸田昌隆)
症例(器質的舌運動障害例)
4 摂食機能療法の進め方
1-摂食機能療法におけるリスク管理(大渡凡人)
2-多職種連携(石川健太郎,弘中祥司)
3-治療計画(菊谷 武)
4-再評価
5 摂食機能療法の実際
1-間接訓練(佐藤光保,植田耕一郎)
2-直接訓練(中山渕利,植田耕一郎)
3-訓練法の選択(高橋浩二)
6 疾患による特徴とリハビリテーション
1-脳卒中後遺症(松尾浩一郎)
2-進行性神経疾患(神経難病)(阪口英夫)
3-口腔がん手術後(野原幹司)
4-認知症(吉田光由)
5-廃用症候群(田村文誉)
6.高齢者に多い口腔疾患(編集担当:森戸光彦,山根源之)
1 歯および歯周病
1-根面う蝕(福島正義)
2-歯周病
3-咬耗・摩耗と歯の破折(川良美佐雄)
4-歯内療法(細矢哲康)
2 歯の欠損への対応
1-義歯補綴の考え方(佐藤裕二)
2-クラウン・ブリッジの考え方(松村英雄)
3 軟組織に関連する疾患
1-炎症(膿瘍,蜂窩織炎,菌血症,敗血症)(外木守雄)
2-腫瘍および腫瘍類似疾患
(1)腫瘍(潮田高志)
(2)腫瘍類似疾患
a.義歯性線維腫
b.口腔潜在的悪性疾患(白板症,紅板症,口腔扁平苔癬)(山根源之)
(3)良性腫瘍(線維腫,脂肪腫,血管腫)(柴原孝彦)
(4)口腔がん(肉腫および口腔への転移性腫瘍含む),白血病・悪性リンパ腫(又賀 泉)
3-口腔粘膜,皮膚疾患
(1)口腔カンジダ症(岩渕博史)
(2)口腔扁平苔癬
(3)義歯性口内炎,口角炎,口角びらん
(4)口唇疱疹,帯状疱疹(浮地賢一郎)
(5)アフタ,褥瘡性潰瘍
(6)舌の疾患(舌炎他)(山根源之)
4 硬組織に関連する疾患
1-老年性骨折(篠塚啓二,大木秀郎)
2-高齢者の顎顔面骨折
3-顎関節脱臼(高井良招)
4-薬剤に関連した顎骨壊死(山口雅庸)
5 神経疾患(渡邊 裕)
1-三叉神経痛(典型的,二次性,帯状疱疹後神経痛),三叉神経麻痺
高齢者の帯状疱疹
2-顔面神経麻痺(末梢性,中枢性)
3-オーラルジスキネジア
オーラルジスキネジアの発生機序
7.それぞれのステージにおける歯科の役割(編集担当:羽村 章)
1 はじめに――各ライフステージの定義と歯科の役割(羽村 章)
2 急性期診療への参画(平野浩彦,枝広あや子)
1-急性期病院とは
2-急性期病院の役割
3 周術期・回復期における役割(曽我賢彦,皆木省吾)
1-周術期の口腔の管理
2-回復期の口腔管理
4 人生の最終段階における歯科のかかわり(阪口英夫)
1-はじめに
2-「口腔ケア」の起源
3-人生の最終段階における口腔管理の目標
4-歯科衛生士による口腔衛生管理の実施
5-人生の最終段階における口腔衛生管理で行うこと
6-まとめ
5 死への立ち会い――高齢患者の容態急変時の救急対応と連携について(佐々木裕芳)
1-高齢患者の容態急変に対する歯科医師としての対応と他科との連携
2-バイタルサインの概略と重症度,危険度判断の指標
3-終末期での急変への対応
4-DNR(Do Not Resuscitate:蘇生処置拒否)と死生観
5-ACP(アドバンス・ケア・プランニング)と人生会議
6-死の受容の段階と可否
臨終に際して
付
資料:高齢者の歯科疾患の状況
老年歯科医学教育基準