やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 歯周病学は歯を支持する歯肉,歯槽骨,歯根膜,セメント質から構成される歯周組織に起こる疾患を扱う学問です.歯肉炎や歯周炎などの炎症性疾患だけでなく,咬合性外傷への対応や咀嚼機能の安定といった咬合に関する内容も含まれます.さらに,歯周病は糖尿病などの全身疾患との関連も示唆されており,全身の健康へも影響します.そのため,歯周治療を理解するためには,口腔内だけにとらわれるのではなく,全身の健康状態や生活習慣にも目を向ける必要があります.
 近年の歯科医師国家試験の傾向として,普段行う頻度が高い治療や術式について多く出題されています.また,写真を用いた問題が多く,それらを読み取る力が必要です.さらに,FGF-2製剤を応用した歯周組織再生療法といった新たな治療法や歯科インプラント治療に関連した問題も今後増えていくことが予想されます.
 このような傾向を踏まえて,本書では,2020年2月に改訂された『臨床歯周病学第3版』,日本歯周病学会が編集している『歯周治療の指針2015』『歯周病学用語集第3版』など,主な教科書・参考書などを参考としています.特に国家試験に向けて必ず押さえておきたい重要項目について,基礎と臨床のつながりや他分野とのリンクを考慮し,国家試験過去問の写真だけでなくオリジナル写真,イラスト,表を用いて簡潔明瞭にまとめました.また,出題範囲を把握しながら,本書の内容と歯科医師国家試験出題基準(平成30年度版)を照らし合わせて学習できるように,対応表を付録として入れてありますのでぜひご活用ください.
 これから国家試験を受験する歯学生の皆さんにとって,本書が歯周病学に興味を持ちながら継続的な勉強に励み,国家試験を合格するための必須のツールとなれば大変うれしく思います.
 2020年4月
 山忠裕
 好士亮介
 佐藤秀一
【歯周病の基礎系知識】
 Chapter 1 歯周組織の解剖・組織
 Chapter 2 歯周組織の変化
 Chapter 3 歯周病のリスクファクター
【歯周病の診察・検査・診断】
 Chapter 4 歯周病の検査
 Chapter 5 歯周病の分類と診断
【歯周治療】
 Chapter 6 歯周治療の原則
 Chapter 7 歯周基本治療
 Chapter 8 歯周外科治療
 Chapter 9 根分岐部病変の治療
 Chapter 10 口腔機能回復治療
 Chapter 11 メインテナンス・SPT

 付録 歯科医師国家試験出題基準対応表
 参考文献
 索引