やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 クラウンブリッジ補綴学は,歯の実質欠損や喪失に対して,生体に調和した人工材料を用いて,歯の形態,機能,審美性を適切に回復し,患者の健康を維持,増進させることを目的としており,口腔内の検査・診断から始まり,補綴装置の製作〜口腔内装着までの一連の治療の流れの中で,その理論と技術を修得する学問です.近年,デジタル化の波と新しいセラミック材料の登場により,クラウンブリッジ補綴学に求められる知識や情報は増加の一途を辿っており,それに伴って歯科医師国家試験の出題傾向や出題内容も変化しています.
 歯科医師国家試験出題基準では,歯科医師として具有すべき知識や技能を適切に評価するために,標準的な学生用教科書に記載されている程度の内容が出題範囲となっています.しかし小項目において教科書等には記載されていない内容でも,臨床現場で必要とされる新しい情報も求められることから,こまめな知識のアップデートが必要です.
 このようなことを踏まえ,本書をまとめるにあたっては,以下の点を考慮して執筆しました.
 (1)標準的なクラウンブリッジ補綴学の教科書である『クラウンブリッジ補綴学第5版』に準拠し,要点を理解しやすいよう,表や図を多く採用しました.(2)日進月歩で変化する学術用語については,『歯科補綴学専門用語集第4版』を基本として,歯科医師国家試験出題基準との整合性を図りながら,本書内で用語を統一しました.(3)近年の潮流であるデジタル診療については,CAD/CAMに関連する新しい材料や機器についても記載しました.(4)学生さんが出題範囲を把握しやすいよう,本書の内容と歯科医師国家試験出題基準との対照表を付録としました.
 本書が,歯学生の卒前教育の教材として幅広く活用され,クラウンブリッジ補綴学への理解がいっそう深まればこの上ない喜びです.
 2017年12月 木本克彦
Chapter 1 総論
 I.クラウンブリッジによる治療の利点と欠点
 II.下顎位と下顎運動
 III.咬合
 IV.欠損による病態
 V.クラウンブリッジ補綴治療に必要な検査
 VI.クラウンブリッジの要件
Chapter 2 治療計画の立案
 I.クラウンの種類と特徴
 II.ブリッジの種類と構成
 III.クラウンブリッジ補綴治療の流れ
Chapter 3 臨床操作
 I.前処置
 II.支台築造
 III.支台歯形成
 IV.プロビジョナルレストレーション
 V.印象採得
 VI.顎間関係の記録と情報伝達
 VII.試適,装着
 VIII.術後管理
Chapter 4 技工操作
 I.作業用模型
 II.ワックスパターン( ろう型) 形成( ワックスアップ)
 III.埋没,鋳造,研磨,ろう付け
 IV.CAD/CAM

 付録 歯科医師国家試験出題基準対応表
 文献
 索引